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【ハロー隣のクラッシャー】オマケとしてこまつながハナノリさんに捧げたもの。
捧げ物のくせに、こちらでのupが見やすいんでない?と提案いただいたので
うちでupしています。
上記シリーズの02.03当たりのマルコサイドです。
番号が2.5というのはそういうわけです。
※話の内容的に、ハナノリさんに頂いた【ウェルカム恋のファンタジスタ 01】を読んでから閲覧ください。
大人風吹かせて戸締りしろと言ってみたら、
まるで心配されることに慣れていないかのような顔で呆けていたか
すぐに目をそらしてああ、うん、
階段を駆け上っていく背中は細く、
ガンッガンッと近所迷惑な騒音を立てながら階段を上るその女は、
階段を登り切り部屋へ向かって角を曲がるその瞬間、
その理由を考える間もなく荒々しく扉が開きまた閉じる音が聞こえ
*
「遅ェよい」
「ワリィワリィ、赤髪の野郎が来ててさ。
マルコの足元に小さな一山を作った煙草の吸殻たちは、
サッチはそれを一瞥して謝罪を述べる。
白ひげの名を出せばマルコもそれ以上言わないことを知っているの
「…で、今月のは」
「おう、これこれ」
まあ一通り目ェ通してくれよと手渡された封筒から、
サッチがマルコに託す仕事は、いわばマルコの息抜きだ。
他にいくつもの契約を結んでいるマルコが書く記事は出版社業界で
引っ張りだこと言うほどでもないが、
だが難点は、マルコがえり好みすることである。
気に入らなければバッサリ切る。
書きたいものだけを書く。
それができないならあんたんとこはもう用がないとでも言うように
金に頓着しないと言えば格好は付くが、
そんなマルコの性格を一から十まで理解した白ひげが、
たとえマルコでなくとも間に合う内容でも、
そうすればマルコが気に入らないと言って仕事を切り続けても、
それをこなせば金が入るし、
サッチやその他社員含め、
「やるだろ?」
「…オメェんとこのだ、当たり前だろい」
このお偉いさんとのアポとんなきゃなんねぇってのが面倒だがねい
今後の算段をしっかりと予定として埋めていく。
ふと、視線を感じて顔を上げれば目の前の男の瞳とかち合った。
「……なに見てんだよい、気持ちワリィ」
「…いや、なんか今日ご機嫌じゃん。
まあ機嫌いいならそれにこしたことはないわな、
じゃあオレの仕事しゅうりょーと歌うように言い、
マルコの何をもって機嫌がいいと悟ったのかは、
あながち間違ってはいないと思った。
*
仕事机の前で先ほどの仕事の約束を取り付け終わった時にはもう日
ああ腹が減ったと思ったが相も変わらず冷蔵庫にはおそらくマヨネ
面倒だ、だが腹は減る、
食欲には勝てず仕方がない買いに行くかと腰を上げたその時、
そしてそのすぐあとに届いたのは小さな叫びと呻き声。
ここ半年、
人がいなくなるのに慣れるのはあんなにも簡単だったのにと思うと
あの落ち着きのない小娘と、
くっと笑いを漏らすと壁の向こうからクソッという悪態が聞こえて
そのすぐあとにふははっと笑い声が聞こえたので
一瞬自分の笑い声までむこうに聞こえていたのかもしれないと考え
*
翌朝部屋の扉を開けて階段のほうへと顔を向ければ、
ずっしりと中身の詰まった袋を半ば引きずりながら歩いていく小娘
事務服で、
引っ越し早々楽しいやつだと内心笑いながら、
慌ててオレの後を追ってきた女は申し訳なさそうに眉を寄せていた
素直に助かったありがとうと言うのでこちらも気が軽い。
ふと目の前に立ったその姿を不躾に眺めてしまったが、
だが次の会話で尋ねられた言葉はまるで小学生が「
軽く驚きのような呆れのような顔をしてしまったのも致し方ないだ
だからというわけではないが、冗談交じりに耳元に口を寄せた。
「そんなことより、昨日ぶつけた所、大丈夫かよい」
途端にばっと顔を引いたそいつは咄嗟に耳を押さえていて、
こちらがなにを言う間もなく大丈夫!
ダッカダッカとヒール靴にしては珍しい足音をさせて歩いて行った
予想以上の反応にしばらく呆気にとられていたのだが、
ああこれは手放したら退屈して死にそうだと、
マルアンサイト同士あらゆる妄想を披露しあい悶えあう仲である
ハナノリさまのおたく【トリトネコ。】が一万ヒットを迎えたことを記念して、
この現パロシリーズの最終回を彼女に捧げました。
【ハロー隣のクラッシャー】12.世界を反転させる人
ハナノリさん宅で公開してもらっているので上のリンクからどうぞ!
彼女のおうちで読んでもらっても大丈夫なように、できるだけ現パロ連載から引き続いた感じにならないように頑張ったつもりだったんだけど。(あれー?)
丁寧にうちにもリンクしてもらえました。
さらになんということか、その後の小ネタ(では収まりきらないオマケ)を頂いて、
まったくどっちが祝われてるんだか。←
上記のお話を贈った数分後に莫大な量の感想レポートが提出され(笑)
それを採点したこのわたくし(笑)
こっちでも載せようかとおもいましたが、ハナノリさんがおはなしのあと追記で載せてくれてあるので
そちらをお楽しみ下さいな。
頂いたオマケはぞくぞくとこまつなのパソコンに投下されつつあるので、
随時12話の下に更新していきます。
ハナノリ氏→12話その後のおはなし
こまつな→1~12話までの細かいおはなし
的なね!
おまけを二人でえいやあと送りあっている最中です。
掠れた小さな呼吸音。
パソコンが自動更新される無機質な起動音。
冷蔵庫が思い出したように大きな音を出した。
いつもの雑音に交じった微かな音が、今日ばかりはやたらと神経に触れた。
少し視線をずらせば、犬か何かのようにうずくまる物体がソファの上にこじんまりと乗っていた。
それは規則正しく縦に上下し、この部屋に自分以外の生物がいることを視覚的にも認めざるを得ない。
いや、認めたくないわけではないが、落ち着かないのは確かだ。
たとえ一方が安らかに健やかに睡眠中だとしても。
*
数時間前に遡ると、マルコとアンはふたり手にはシーツを握りしめて、狭い室内に立ち尽くして睨み合っていた。
「オレの部屋だい。オレの言うとおりにしてもらうよい」
「やだ!ここ気に入った!ここで寝る!!」
「ベッドで寝ないとてめぇの部屋に押し返すよい」
「うぁ…!…う、でも、マルコの部屋なんだからマルコがベッドで寝るべき!」
「だからてめぇがソファで寝てたらオレが安眠できねぇっつってんだよい」
「なんで」
「…そういうもんなんだよい」
「わけわかんない!!」
かれこれこういうやりとりが半時間は続き、ぎゃあぎゃあと言い合っているうちに日付も変わった。
しかし持久戦になりかけてきたそのとき、不意にアンがソファに上り、くるりと自身をシーツでくるんだかと思えばそのままうずくまって動かなくなった。
「…おい、何勝手に終わらせてんだよい」
「オヤスミナサイ」
「…こンのクソガキ…」
シーツごとアンを引っぺがしてベッドに放り込んでやろうかとも思ったが、それはそれで絵面的にまずい気もしたので思いとどまった。
「明日勝手に起きろよい」
「起こさない」という釘を刺してアンとの攻防を諦めたマルコは軽く着替え、風呂は朝だなと頭を掻きむしる。
アンがソファで寝ると言い出したときに一度つけた灯りを消せば、ばちんとこれまた「切れましたよ」と言わんばかりの切断音が部屋に鳴り響いた。
それと共に、白いシーツの塊もといアンがぴくりと反応を見せる。
ぽこっとシーツの隙間からアンの顔が覗いた。
「…ち、ちっちゃい電気ないの…?」
「ちっちゃい電気ぃ?」
「真っ暗やだ!!」
必死の形相で顔だけ出して叫ばれては、このまま暗闇で就寝するほどマルコも残酷ではない。
溜息と共に電灯の紐を引けば、ぼわっとオレンジ色の光が部屋の真ん中に浮かんだ。
「これでいいかよい」
「あんがとー」
至極満足と言った顔でにへりと笑ったアンは、再びもぞもぞと身じろいですっぽりとシーツにその身を隠してしまった。
いくつだ、とか本当に女か、とかいろいろ言いたいことはあったが、すでにアンの動きが人間らしくないのだから仕方ないかと、妙な納得ができた。
*
(…寝らんねェ…)
むくりと上半身を起こしたマルコは、ぼんやりと宙を見つめた。
この室内で発される音と言う音が耳に襲い掛かり頭の中を駆け巡っている感じがする。
そしてしばらくの間、音源のひとつであるソファのほうを見つめていた。
(…よく寝る奴だよい…)
しかもヨソの男の部屋で。
というよりアンの「ヨソ」の境界はどこにあるのだろうかと、マルコは上体を起こしたまま霞んだ頭で考えた。
少なくとも、自分は間違いなくアンにとって「ウチ」の人間である。
「…んぅぁあ…」
見つめていた先が不意に無意味な呻き声をあげた。
それによってハッとマルコの頭が覚醒したと同時に、狭いソファの上で寝返りを打ったアンは自然とソファの端に移動する。
ずり、ずり、とシーツと共にアンの体がずり落ちていく。
動く気にもならなくて、ああこりゃまずいなとマルコが呑気に思っているも束の間、アンの体は重力に負けて床に落ちた。
どん、というよりべちゃ、と不格好な音がした。
(…ああ…もう…)
どこまでコイツは、と聞こえてもいない小言を吐きかけたマルコは、自分の溜息に励まされるようにして重い腰を上げたのだった。
*
白い光がつんつんと瞼を刺激して、それが眩しさだと脳が理解したころ、アンはゆっくりと目を開けた。
(…ここ…、あぁマルコの…)
上体を起こし一周部屋を見渡して、昨日の記憶も取り戻したアンはぼんやりとする頭をそのままにあくびをひとつ漏らした。
(…マルコは…?)
ああベッドにいるのか、とあたりを見渡すが、すぐにあれ、と脳が停止した。
アンが想像していた景色と違う。
予定では自分の右側にベッドが見えるはずなのに、いや、寝る前までは確かにそうだった。
だが今は右側にあるのは白い壁で、左側にソファがあるのだ。
(…なんであたしベッドにいんだろ…)
あと、あたしの隣にいる動かない大きいのはなに。
その大きな白い塊は間違いなくシーツで、ゆっくりと上下に動いている。
好奇心の働くがままアンがそれに手を伸ばしてシーツを捲れば、俯せの背中が見えた。
「…マルコ…?」
ぴく、と角ばった肩が揺れた。
もぞりと白い塊が動いて、マルコの顔が現れた。
うっすらと目が開いたかと思えば一気に眉間に皺が寄り、マルコの手が自身の顔に影を作る。
「…朝かよい…」
「…うん…?」
「…なんで疑問形…」
「…いや、なんか…」
「…」
「狭い…」
→
「おいアン、肉ばっか食うなよい。野菜を食え、野菜を」
「ひゃはいもはべてふ(野菜も食べてる)」
「アンちゃんぽんずとゴマダレどっちがいい?」
「ん、んぐ、あー、どっちも。マルコ、お皿二つ欲しい」
「・・・めんどくせぇ・・・」
白い蒸気が七畳の狭い室内を満たして、三人の鼻先を濡らしていく。
サッチが冬を偲んで投入した白菜やら白ネギやらそのほか多くの野菜が鍋を彩り、アンとサッチの絶え間ない会話によって唐突に始まった三人鍋は上々の出来だった。
「ていうかこの狭さに男二人の時点できついんだけど」
「同感だよい。お前が出てくかい」
「これ作ったのおれ!ちなみに材料もおれ!」
「なんでマルコはここに住んでんの?」
マルコとサッチのくだらない応酬を肉をつまみながら聞いていたアンは、思ったままの質問を口にした。
マルコはアンに少しの視線をくれてから、すぐに首を振った。
「・・・別に。知り合いの編集者が近ぇし、そこそこの収入が入る前から住んでるからなんとなくそのまま住んでるだけだい」
「・・・ふーん」
ほら野菜食え、とマルコはアンの器に適当な野菜を投入する。
マルコがアンの質問に答える前、一瞬だけアンに視線を合わせたことが、アンにはマルコが言い淀んでいるように思えた。
サッチは特に何を思う風もなく新しく野菜を鍋に投入しているし、人の私生活を詮索するのはよくないよねえ、とアンはひとり納得する。
「サッチはどこに住んでんの」
「おれ?こっから車で20分くらいんとこ」
「ひとり暮らし?あ、サッチなんで結婚してないの」
「・・・アノネ。結婚になんでとかないの!もうアンちゃんお口にチャック!!」
*
あれから三人で後片づけをして、サッチが材料と一緒に買ってきていたゼリーを食べた。
サッチが帰る際、お前が来たから手間が省けたと、マルコはサッチの手に一本のUSBを握らせた。
それを見てサッチは口の端を引きつらせる。
「・・・お前、これまさか」
「再来月号の原稿」
「おれにどうしろと」
「入稿完了だよい」
「ちょっと待て!おま、これまさかおれに持ってけとか言うの!?」
「メールで送るの嫌いなんだよい。信用ならねぇ」
「知ってるけど!おれ直接お前からもらうといっつも怒られんだよ!私事をはさむなっつって!」
「さっさと起こしといてくれよい。原稿料早く振り込んでもらいてぇ」
「人の話をっ・・・、あぁ、もう、しょうがねぇな・・・」
溜息と共にUSBを無造作にポケットへ突っ込んだサッチは、アンに特大笑顔で手を振りながらマルコの部屋を去って行った。
なんだかんだ言いながらのいつもの光景であることを、マルコとサッチもわかっていた。
アンもそろそろ目に馴染みはじめている。
あれだけ騒がしかったはずの室内は今はマルコとアンの二人だけで、二人から発せられる音は皆無だ。
マルコの部屋に響く音はパソコンから流れるBGMと鼻にかかったような人の声だけで、部屋の照明は落とされパソコンの画面からのみ光が漏れる。
「う、わっ!まる、まるこ!あそこ絶対なんかでる!!」
「出るだろうねい」
アンが無意識に抑えた声で隣のマルコに話しかけるので、マルコもつられて小声で返す。
マルコとアンは、サッチが置いて行ったDVDを鑑賞していた。
「・・・だからこっちのアクションにしようっていったのに・・・」
「嘘つけよい。お前がこれ見たいって言ったんじゃねぇか」
「だってサッチがあんまり怖くないって言っ…っぁあああ!まままるこ!あそこにぃいいい!!」
片手はマルコのシャツの裾を、もう片方は画面を指差して絶叫するアンをマルコは呆れたように横目で見やった。
頭からすっぽりシーツをかぶって震えるアンも相当ホラー要素たっぷりだと、マルコは思う。
「やだやだやだもうやだ、マルコ消してそれ消して!!」
「あと30分で終わるよい」
「つづきは明るい時にみるの!」
既にすっぽりシーツで顔も覆ってしまったアンはもうDVD鑑賞をすっかり拒否していて、その姿を確認したマルコはため息とともにマウスを動かしDVDを止めた。
途端にしんとなる室内。
ソファにゆるりともたれて足を組むマルコと、その隣には白い塊もといアン。
静謐が、今の状況をありありと伝えた。
「…アン」
マルコが声をかければ、シーツの盛り上がりがぴくりと動く。
その動作が、この状況に対してアンがそれなりに理解していることを示していた。
「お前もう帰れよい」
「・・・う、ん・・・」
肯定の返事をしたものの、アンは一向にそれ以降のアクションを見せない。
マルコが再び声をかければ、アンの顔がちらりとシーツの隙間から覗いた。
「・・・帰らなきゃなんないのはわかるんだけどね・・・こわい」
暗闇に慣れてきたマルコの目が、アンの歪んだ口元を捉えた。
そんな顔でそんなことを言われたら、返す返事も与えられたようなものじゃねぇかと、マルコは内心ここぞとばかりにため息をついた。
「じゃあこっちで寝てくかよい」
躊躇いもなく返ってきた頷きにマルコは今度ばかりは紛れもなく本物の溜息が零れたのだが、アンは気づかなかった。
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10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
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24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。
@kmtn_05 からのツイート
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一声いただければ喜んで遊びに行きます。
足りん
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管理人:こまつな
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