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*マルアン連載【それは狂気に満ちている】の【2 こういう馬鹿はタチが悪い】でアンが夜這うに至るまでの小ネタです。
「オレァ先戻るよい、まだ書類終わってねぇ」
「んだよー!オレの酒飲めねぇってかぁ!?」
「そうだそうだー!まだ帰っちゃだめマルコー!」
きゃぁきゃぁと喚き立てるおっさんと小娘が片方ずつマルコの腕を掴む。
しかしマルコは立ち上がりながら両方の手を振り払った。
「酔っ払いの世話なんかしてられっかよい。オレァ仕事あるんだ」
「けちー!」
「けちー!」
けちだけちだと復唱するサッチとアンに辟易して、もう無視することにしてマルコは部屋へと戻って行った。
残されたふたりはその背中めがけてぶーたれていたが、しばらくするとそれも忘れてまた二人で酒を飲み始める。
甲板の隅に座る二人の周りには十数本にもなろうかというほどの酒瓶がごろごろと無造作に転がっており、それは宴の後甲板でそのまま眠りこける男たちの姿に重なった。
言うなればだらしのない姿である。
「んぅー、サッチぃ、あたしもう酔ったぁ」
「馬鹿言えぇ、オヤジの娘たるものがこんくらいで酔うわけあるかぁ!!」
「でもサッチも酔ってるー」
「ああーん?オレァまだまだ酔ってねぇよぉー?」
緩慢な手つきで開けたばかりの瓶を持ち上げゆらゆらと揺らすサッチ。
その姿にアンは特に面白くもないのにへにょりと笑い、サッチもにたりと笑い返す。
にゃっはっはーと意味もなく笑う酔っ払い二人、完全に出来上がっていた。
「ねー、マルコはぁ、なんであんなに仕事ばっかしてんのぉ?」
「ああー?あいつぁなぁ、仕事が恋人って奴なんだろうよー」
「ふぅーん」
「おや?アンちゃんご機嫌斜めかぁーい?」
覗き込むようにしたサッチに、アンはふるふると首を振った。
「べっつにぃー。いいもーん、あたしが勝手にすきなんだからぁ、いいもーん」
そう言ってサッチの手からウォッカをもぎ取ったアンはそれをためらいもなくごきゅりと喉に通す。
それによってさらに酔いが回ったが、既にアウトコントロールした脳はそれさえもわからない。
大人だからか男だからかつまりはおっさんだからか、アンほど酔いの回っていないサッチはアンの酔っぱらいっぷりを見てこりゃぁやべぇかなぁとのんびりと思う。
あんまり酔わせるとアンは次の日二日酔いで仕事どころじゃなくなる。
しかし面白そうなことが始まりそうな予感に身体がうずうずするのも事実である。
だって腐っても酔っ払い、その口火を切るのは自分自身なのである。
「アンはほんっとぉーにマルコがすきだなぁー」
「んぅー?んぅ。」
当たり前のことに首を傾げてから、それを肯定するようにひとつ頷く。
「アンはどうやってマルコを落とすってんだぁー?」
「んー?マルコがどっから落ちるってぇ?」
「ばっかそうじゃねぇよー。どうやって振り向かせるかって聞いてんだ」
蕩けた瞳をぱちりとまたたかせたアンは不思議そうに首をかしげた。
「ふり、むかー?」
「だってこのまんまじゃよぉ、アン。マルコの奴ぁいつまでたってもお前に惚れたりぁしねぇぜぇ?」
サッチがそう言うと、アンはそれはいやだぁと顔をしかめる。
「だろぉ?他の女にかっ攫われたらどうすんだよー」
「ぬぅーん。でもさぁ、あったしどうすればとかわかんないよー…」
「にゅっふっふっー。そんなアンのために、オレがいいこと教えちゃろうよ」
「えぇー?なにぃー?」
ちょいちょいと人差し指を曲げ顔を寄せるように示すサッチに、アンは示されるまま顔を寄せた。
すると耳元で内緒話のように囁かれた言葉。
「夜這ってこい」
顔を遠ざけると、にんまりと笑う酔っ払い。
しかしアンは再び首をかしげる。
「夜這…ってなにぃ?」
「んー?そうだなぁー・・・寝てる相手のベッドに忍び込んでだなぁ、ほらさぁ、その、イイコト、しちゃうわけよ」
「イイコト?」
「そう、イイコト」
わかる?と問うサッチに、アンは曖昧に頷いた。
イイコト。ベッドでするイイコトと言えば、「寝る」。
それしかないだろう。
アンなりの精いっぱいの解釈が成されたところで、アンはすくっと立ち上がった。
「んじゃぁー、白ひげ海賊団二番隊たいちょー、火拳のアン!ちょっくら夜這ってきまぁす!」
「おぉー!頑張ってこいよぉー!」
へらへらと笑いながらサッチに見送られ、アンはおぼつかない足取りでマルコの部屋を目指したのだった。
マルコー、と呼びかけながら部屋の扉を開けようとして、アンはあわてて口をつぐんだ。
サッチの言葉を思い出したからだ。
夜這いと言うのは、寝てる相手に行うものらしい。
(・・・じゃぁ、起こしちゃだめ、ってことかぁ)
ということで、黙って静かに扉を引いた。
(…寝てる)
書類をするって言ってなかったっけと首をかしげて見たが、マルコの仕事机に置いてある懐中時計を見て納得した。
いい気分で飲んでいたので意識しなかったが、マルコが酒盛りから抜けてから相当な時間がたっていた。
そしてマルコは適度にしか飲んでいない。
そのおかげで酒がちょうどいい睡眠薬になったようで、いつもは人の気配で起きるマルコがぴくりとも動かなかった。
浅く被ったシーツがマルコの呼吸に合わせて小さく上下する。
すすす、とベッドの脇に近づく。
来てはみたものの、夜這う=寝るしかわからないアンは、具体的にどうすればいいのか皆目見当がつかなかった。
(・・・ただ寝ればいいのかなぁ)
そう思い立ち、よいせとマルコのベッドに乗り上げそのままごろんと横になってみた。
ちょうどベッドの中心でマルコが寝ているためなんとなく落ちそうで危ういが、アンは必死にマルコの方へ身体を寄せて落ちまいとする。
アンの方に顔を向けマルコが寝ているので、アンはここぞとばかりにマルコの顔を眺めた。
まつ毛が短いだとか唇が分厚いだとか、これといって新しい発見はなくつまらない。
(…あぁ、なんか本当に、眠くなってきた…)
じんわりと伝わるマルコの体温だとか、内側から身体を温める酒の力のせいでうとうとしだしたアンは、ゆっくりと目を細めていった。
が、慌ててここで寝たらだめだと目を見開いた。
マルコの布団で寝て発火して、怒られたばかりじゃないか。
マルコが目覚めてあたしが寝てたら、今度こそ口きいてもらえない・・・!
そのあたりはきちんと理性的に考えられたらしく、アンは慌てて身体を起こそうとベッドに手をついた。
しかしその動きは隣でマルコが身じろいだことでぴたりと止まってしまう。
「…ん…」
小さな呻きと共にマルコが寝がえりを打つ。
起きてしまったかと冷や汗だらだらなアンは、寝そべったままベッドに手をついて上体を持ち上げるという恰好のまま固まってしまった。
マルコは寝心地のいい場所を探すかのようにごそごそと動いていたかと思うと、不意にアンの方へ腕を伸ばした。
(・・・これは、どういう、こと?)
不意に伸ばされた手はしっかりとアンの腰を抱き込み、自らの体に引き寄せた。
マルコの左手はアンの腰を上から抱き、右腕は上手いことアンの首の下に回してそのままアンの肩を抱き込んでいる。
アンの体温が高く抱き心地がいいからか、マルコは満足な寝場所を得たとでも言わんばかりの安らかな顔で再び動きを止め寝入ってしまった。
がっちりと掴まれた全身は身動きもとれず、アンの目の前にはマルコの鎖骨しか目に入らない。
そして眠い。
アンは限界に近い眠気と戦っていた。
(あー…駄目だー…寝るー…)
怒られるだろうかとちらりと思ったが、離さないのはマルコのほうなのだし自分は悪くない。
そう結論付けたアンは、そうだそうに決まっていると自分が夜這いに来たことも棚に上げて納得し、安心してそのまま眠りについた。
翌日アンは、マルコにベッドから落とされて目覚めることになる。
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麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。
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