OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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マルアン連載【それは狂気に満ちている】の【03 押しても引かれて引いても引かれて】のマルコサイドになります。
飛びつかれることが日常となったことも、挨拶のような告白も、すべてがオレの「普通」を壊していった。
妹が突然性別を持った。
その変化にオレが対処しきるよりも早く、めまぐるしく日常は変わっていったのだ。
「あっ、マルコ!」
どんなに遠く離れた甲板の端と端にオレたちが立っていようともあいつは目ざとくオレを見つけた。
向けられる笑顔はまさしく太陽で、そこからは日の光の匂いがした。
その光はオレには眩しすぎて思わず目を逸らす。
逸らした後になってその理由を考えたのだが、行き着いたのはただただ「鬱陶しい」からだというものだった。
だからオレは、あいつがオレを好きだと言葉に乗せたその思いすべてを「アンの気の迷い」の一言で収めることにした。
そうと決めてしまえば楽なもので、「気の迷い」が持病の「鬱陶しい」アンを上手くあしらってしまえばオレの日常は簡単に戻ってきたのだ。
アンが昼飯の際オレの隣に座らなかったその日、オレはいつものように洗濯物の山を雑用係に手渡した。
そしてその山の上に脱いだばかりのシャツを放った。
「これも頼むよい」
「? 汚れたんすか?」
「あぁ」
雑用係が何気なくオレのシャツを開けて汚れを探す。
袖んとこだと教えたのだが、そいつは首をひねるばかりだった。
「とくに汚れてないように思いますけど」
「いや、今日はミートソースのパスタだったからよい。絶対アンのヤツ…が…、」
口を開いたまま固まったオレの前で、隊員は不思議そうに首をひねった。
「…いや、わりぃ。とにかく洗っといてくれ」
「了解っす、」
素直にシャツをカゴに収めた隊員は、それを船底の洗濯スペースへと運んでいった。
アンは今日、オレの隣に座らなかったのか?
言われてみればそんな気もするし、いつも通り隣にいた気もする。
でもその記憶は目に馴染んだ残像のような気もした。
(どうりでシャツが綺麗なはずだよい)
あいつが抱きついたせいでつく皺もなにもなかった。
オレはクローゼットから別のシャツを取り出して、残像をかき消すように大きな音を立ててそれを羽織った。
夜の帳が降りるまで仕事漬けになって、晩飯を取りに食堂へ向かった。
波のうねりに逆らわずに揺れる廊下を進んでいると、向こうから隊員と談笑しながら歩いてくるアンの姿を見つけた。
アンの目はオレを捉えてひとつ瞬いたが、それはすぐに横に逸らされて隣の男へと滑らかに戻る。
そしてすぐに二人は二番隊の大部屋へと消えて行った。
再びオレひとりになった廊下をしばらく見つめてから、いつのまにか肩に力が入っていたことに気づいた。
アンの突進を予期して身構えた身体は、いつまで経ってもやってこない衝撃に肩透かしをくらう。
その力を抜くと共に自然と口から零れたのは溜息だった。
いつのまにかオレにとっての日常が逆転していたのだ。
その事実は酷くオレを打ちのめした。
アンの意図などとうにわかっていた。
アンが自分で考えつくとは思えないので、おそらくそれはサッチあたりの入れ知恵だろうということまでわかっていた。
その日の夕食時、またアンはオレの斜め前の席にいた。
昼飯の時には気付かなかったほど些細なことだというのに、気づいてしまうとどうも落ち着かない。
それよりも、そんな些細なことを気にしている自分に嫌気がさした。
その日一日の終わり、昨日と比べてずっと肩が軽いと思う。
軽くて、軽くて、あまりに軽くて、
虚しくなった。
日常に少しずつ埋まりつつあったアンという一部の大きさに気付くのを、そのときのオレの心はまだかまだかと待っていたのだろう。
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麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。
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