OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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不意に射抜かれたように見つめられて、アンは鍵穴に鍵を差し込んだまま固まった。
数秒、もしくは一秒にも満たないかもしれないほどの時間を、何分にも感じる。
しかしアンをとらえた重たい瞼の向こう側の瞳は、こちらを向いた時と同様、不意にその視線をはずした。
「あっ、あの!」
行ってしまう、と頭が慌てたせいで唐突な呼びかけをしてしまった。
鍵をかけ終わった男はアンに背を向けていたが、その声でゆっくりと体を反転させる。
薄い青色がアンの視線とぶつかった。
「あの、あたし今日から隣に引っ越してきた…アン、ポートガス・D・アン!」
よろしく!と早口にそういえば、男は細い目をさらに細めてアンを眺めてから、あぁとひとつ頷いた。
「マルコ、だよい」
マルコ?とアンが首をかしげて復唱しているうちに、男はまたアンに背を向けて今度こそ階段を下りて行ってしまった。
その背中を見送ってから、ああマルコって名前のことかとアンは合点がいく。
どこへでかけるんだろうと、ぼんやりと男が消えたあとをみつめていた。
なんにせよ、アンもこれから昼食の調達にいくつもりだったのだ。
最後まで鍵がかかったことを確認して、アンも男がたどった通りに階段を下りた。
*
米は炊くのにガス代かかるから…まとめ炊きする鍋がいるな…あ、あと肉。
近所のスーパーまで5分愛車を走らせて、アンは今日の昼食に加え夕食、さらに生活必需品を買い揃えた。
無駄にできるような金はないから、できるかぎり切り詰めて。
ルフィには、アンとルフィが二人バイトで貯めた貯金300万のうちの200万近くを持たせた。
ルフィは高校に通いながら、アンはバイトで生計を立てながら、ふたり汗水流して手に入れた金であるからこそルフィが無駄遣いするとは思えないが、誘惑に負ける可能性は大いにある。勿論食への。
だからどうやってやるつもりかは知らないがいずれルフィが稼げるようになるまでは、ある程度の仕送りをしてやろうとアンは決めていた。
自分にはルフィのように突っ走っていきたい夢もない。
ルフィの夢が自分のそれだ。
だから金なんてもののせいでルフィの夢が潰えるなんてことには絶対したくなかった。
アンはレジで金を支払い、片手に収まるよう袋に商品を収納して店を出た。
*
自転車の籠に袋を載せて、なだらかな坂道をのぼっていく。
現在時刻は二時。
初めて部屋に入ったのが正午過ぎで、それから埃っぽい部屋を掃除して片づけて買い物して、と何かとあわただしく動いていたせいか、いやに時間の進みが早かった。
時刻を道中の公園に突っ立っていたひょろながい柱時計で確認したアンは、どうりでお腹が鳴るはずだ、とペダルを踏み込む足に力を入れた。
アパートが正面に見えてきて、その裏の駐輪場に回り込もうと一度階段前を通り過ぎる。
そのとき、階段の鉄柱に背中をもたれさせてたばこをふかす姿を、視界の端でとらえた。
ついさっきの記憶を引っ張り出して、駐輪場に引っ込む前にもう一度その姿を確認する。
マルコは片手に煙草、片手に携帯で、どうやら話し中のようだった。
めんどくさそうに眉間に皺を寄せ、まっすぐ目の前の電柱を見たままなにやら話している。
アンは籠から荷物を取り出して階段へと歩いて行った。
「どーも」
「あぁ」
「ずっとここにいた?…んですか」
「いや、さっき戻ったとこだよい」
マルコの視線がちらりとアンの片手に注がれて、あぁと納得がいったようにまた前を向いた。
「なんでこんなとこで電話してんの?…ですか」
「人を、待ってんだい」
「…ふーん」
話すことがなくなったアンは、まあいっか、と階段の一段目に足をかけた。
「お前」
「あたし?」
「あぁ…一人かい」
「うん、あ、はい。弟が、今別のとこにいるけど」
「…へぇ」
緩慢な手つきでマルコが煙草を口元に持っていき、ひとつ吸った。
アンは何となくその動作を目で追う。
「戸締り、しろよい」
へっ?と間の抜けた声が出たが、男は構わずもう一口煙草をふかした。
あぁ、うん、はい、ととりあえず返事をしたアンは、何故か逃げるように早足で階段を上り、二階についたときには駆け込むように自分の部屋へと飛び込んだのだった。
→
2014.01.24 修正
数秒、もしくは一秒にも満たないかもしれないほどの時間を、何分にも感じる。
しかしアンをとらえた重たい瞼の向こう側の瞳は、こちらを向いた時と同様、不意にその視線をはずした。
「あっ、あの!」
行ってしまう、と頭が慌てたせいで唐突な呼びかけをしてしまった。
鍵をかけ終わった男はアンに背を向けていたが、その声でゆっくりと体を反転させる。
薄い青色がアンの視線とぶつかった。
「あの、あたし今日から隣に引っ越してきた…アン、ポートガス・D・アン!」
よろしく!と早口にそういえば、男は細い目をさらに細めてアンを眺めてから、あぁとひとつ頷いた。
「マルコ、だよい」
マルコ?とアンが首をかしげて復唱しているうちに、男はまたアンに背を向けて今度こそ階段を下りて行ってしまった。
その背中を見送ってから、ああマルコって名前のことかとアンは合点がいく。
どこへでかけるんだろうと、ぼんやりと男が消えたあとをみつめていた。
なんにせよ、アンもこれから昼食の調達にいくつもりだったのだ。
最後まで鍵がかかったことを確認して、アンも男がたどった通りに階段を下りた。
*
米は炊くのにガス代かかるから…まとめ炊きする鍋がいるな…あ、あと肉。
近所のスーパーまで5分愛車を走らせて、アンは今日の昼食に加え夕食、さらに生活必需品を買い揃えた。
無駄にできるような金はないから、できるかぎり切り詰めて。
ルフィには、アンとルフィが二人バイトで貯めた貯金300万のうちの200万近くを持たせた。
ルフィは高校に通いながら、アンはバイトで生計を立てながら、ふたり汗水流して手に入れた金であるからこそルフィが無駄遣いするとは思えないが、誘惑に負ける可能性は大いにある。勿論食への。
だからどうやってやるつもりかは知らないがいずれルフィが稼げるようになるまでは、ある程度の仕送りをしてやろうとアンは決めていた。
自分にはルフィのように突っ走っていきたい夢もない。
ルフィの夢が自分のそれだ。
だから金なんてもののせいでルフィの夢が潰えるなんてことには絶対したくなかった。
アンはレジで金を支払い、片手に収まるよう袋に商品を収納して店を出た。
*
自転車の籠に袋を載せて、なだらかな坂道をのぼっていく。
現在時刻は二時。
初めて部屋に入ったのが正午過ぎで、それから埃っぽい部屋を掃除して片づけて買い物して、と何かとあわただしく動いていたせいか、いやに時間の進みが早かった。
時刻を道中の公園に突っ立っていたひょろながい柱時計で確認したアンは、どうりでお腹が鳴るはずだ、とペダルを踏み込む足に力を入れた。
アパートが正面に見えてきて、その裏の駐輪場に回り込もうと一度階段前を通り過ぎる。
そのとき、階段の鉄柱に背中をもたれさせてたばこをふかす姿を、視界の端でとらえた。
ついさっきの記憶を引っ張り出して、駐輪場に引っ込む前にもう一度その姿を確認する。
マルコは片手に煙草、片手に携帯で、どうやら話し中のようだった。
めんどくさそうに眉間に皺を寄せ、まっすぐ目の前の電柱を見たままなにやら話している。
アンは籠から荷物を取り出して階段へと歩いて行った。
「どーも」
「あぁ」
「ずっとここにいた?…んですか」
「いや、さっき戻ったとこだよい」
マルコの視線がちらりとアンの片手に注がれて、あぁと納得がいったようにまた前を向いた。
「なんでこんなとこで電話してんの?…ですか」
「人を、待ってんだい」
「…ふーん」
話すことがなくなったアンは、まあいっか、と階段の一段目に足をかけた。
「お前」
「あたし?」
「あぁ…一人かい」
「うん、あ、はい。弟が、今別のとこにいるけど」
「…へぇ」
緩慢な手つきでマルコが煙草を口元に持っていき、ひとつ吸った。
アンは何となくその動作を目で追う。
「戸締り、しろよい」
へっ?と間の抜けた声が出たが、男は構わずもう一口煙草をふかした。
あぁ、うん、はい、ととりあえず返事をしたアンは、何故か逃げるように早足で階段を上り、二階についたときには駆け込むように自分の部屋へと飛び込んだのだった。
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2014.01.24 修正
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