OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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布擦れの音。
掠れた小さな呼吸音。
パソコンが自動更新される無機質な起動音。
冷蔵庫が思い出したように大きな音を出した。
いつもの雑音に交じった微かな音が、今日ばかりはやたらと神経に触れた。
少し視線をずらせば、犬か何かのようにうずくまる物体がソファの上にこじんまりと乗っていた。
それは規則正しく縦に上下し、この部屋に自分以外の生物がいることを視覚的にも認めざるを得ない。
いや、認めたくないわけではないが、落ち着かないのは確かだ。
たとえ一方が安らかに健やかに睡眠中だとしても。
*
数時間前に遡ると、マルコとアンはふたり手にはシーツを握りしめて、狭い室内に立ち尽くして睨み合っていた。
「オレの部屋だい。オレの言うとおりにしてもらうよい」
「やだ!ここ気に入った!ここで寝る!!」
「ベッドで寝ないとてめぇの部屋に押し返すよい」
「うぁ…!…う、でも、マルコの部屋なんだからマルコがベッドで寝るべき!」
「だからてめぇがソファで寝てたらオレが安眠できねぇっつってんだよい」
「なんで」
「…そういうもんなんだよい」
「わけわかんない!!」
かれこれこういうやりとりが半時間は続き、ぎゃあぎゃあと言い合っているうちに日付も変わった。
しかし持久戦になりかけてきたそのとき、不意にアンがソファに上り、くるりと自身をシーツでくるんだかと思えばそのままうずくまって動かなくなった。
「…おい、何勝手に終わらせてんだよい」
「オヤスミナサイ」
「…こンのクソガキ…」
シーツごとアンを引っぺがしてベッドに放り込んでやろうかとも思ったが、それはそれで絵面的にまずい気もしたので思いとどまった。
「明日勝手に起きろよい」
「起こさない」という釘を刺してアンとの攻防を諦めたマルコは軽く着替え、風呂は朝だなと頭を掻きむしる。
アンがソファで寝ると言い出したときに一度つけた灯りを消せば、ばちんとこれまた「切れましたよ」と言わんばかりの切断音が部屋に鳴り響いた。
それと共に、白いシーツの塊もといアンがぴくりと反応を見せる。
ぽこっとシーツの隙間からアンの顔が覗いた。
「…ち、ちっちゃい電気ないの…?」
「ちっちゃい電気ぃ?」
「真っ暗やだ!!」
必死の形相で顔だけ出して叫ばれては、このまま暗闇で就寝するほどマルコも残酷ではない。
溜息と共に電灯の紐を引けば、ぼわっとオレンジ色の光が部屋の真ん中に浮かんだ。
「これでいいかよい」
「あんがとー」
至極満足と言った顔でにへりと笑ったアンは、再びもぞもぞと身じろいですっぽりとシーツにその身を隠してしまった。
いくつだ、とか本当に女か、とかいろいろ言いたいことはあったが、すでにアンの動きが人間らしくないのだから仕方ないかと、妙な納得ができた。
*
(…寝らんねェ…)
むくりと上半身を起こしたマルコは、ぼんやりと宙を見つめた。
この室内で発される音と言う音が耳に襲い掛かり頭の中を駆け巡っている感じがする。
そしてしばらくの間、音源のひとつであるソファのほうを見つめていた。
(…よく寝る奴だよい…)
しかもヨソの男の部屋で。
というよりアンの「ヨソ」の境界はどこにあるのだろうかと、マルコは上体を起こしたまま霞んだ頭で考えた。
少なくとも、自分は間違いなくアンにとって「ウチ」の人間である。
「…んぅぁあ…」
見つめていた先が不意に無意味な呻き声をあげた。
それによってハッとマルコの頭が覚醒したと同時に、狭いソファの上で寝返りを打ったアンは自然とソファの端に移動する。
ずり、ずり、とシーツと共にアンの体がずり落ちていく。
動く気にもならなくて、ああこりゃまずいなとマルコが呑気に思っているも束の間、アンの体は重力に負けて床に落ちた。
どん、というよりべちゃ、と不格好な音がした。
(…ああ…もう…)
どこまでコイツは、と聞こえてもいない小言を吐きかけたマルコは、自分の溜息に励まされるようにして重い腰を上げたのだった。
*
白い光がつんつんと瞼を刺激して、それが眩しさだと脳が理解したころ、アンはゆっくりと目を開けた。
(…ここ…、あぁマルコの…)
上体を起こし一周部屋を見渡して、昨日の記憶も取り戻したアンはぼんやりとする頭をそのままにあくびをひとつ漏らした。
(…マルコは…?)
ああベッドにいるのか、とあたりを見渡すが、すぐにあれ、と脳が停止した。
アンが想像していた景色と違う。
予定では自分の右側にベッドが見えるはずなのに、いや、寝る前までは確かにそうだった。
だが今は右側にあるのは白い壁で、左側にソファがあるのだ。
(…なんであたしベッドにいんだろ…)
あと、あたしの隣にいる動かない大きいのはなに。
その大きな白い塊は間違いなくシーツで、ゆっくりと上下に動いている。
好奇心の働くがままアンがそれに手を伸ばしてシーツを捲れば、俯せの背中が見えた。
「…マルコ…?」
ぴく、と角ばった肩が揺れた。
もぞりと白い塊が動いて、マルコの顔が現れた。
うっすらと目が開いたかと思えば一気に眉間に皺が寄り、マルコの手が自身の顔に影を作る。
「…朝かよい…」
「…うん…?」
「…なんで疑問形…」
「…いや、なんか…」
「…」
「狭い…」
→
掠れた小さな呼吸音。
パソコンが自動更新される無機質な起動音。
冷蔵庫が思い出したように大きな音を出した。
いつもの雑音に交じった微かな音が、今日ばかりはやたらと神経に触れた。
少し視線をずらせば、犬か何かのようにうずくまる物体がソファの上にこじんまりと乗っていた。
それは規則正しく縦に上下し、この部屋に自分以外の生物がいることを視覚的にも認めざるを得ない。
いや、認めたくないわけではないが、落ち着かないのは確かだ。
たとえ一方が安らかに健やかに睡眠中だとしても。
*
数時間前に遡ると、マルコとアンはふたり手にはシーツを握りしめて、狭い室内に立ち尽くして睨み合っていた。
「オレの部屋だい。オレの言うとおりにしてもらうよい」
「やだ!ここ気に入った!ここで寝る!!」
「ベッドで寝ないとてめぇの部屋に押し返すよい」
「うぁ…!…う、でも、マルコの部屋なんだからマルコがベッドで寝るべき!」
「だからてめぇがソファで寝てたらオレが安眠できねぇっつってんだよい」
「なんで」
「…そういうもんなんだよい」
「わけわかんない!!」
かれこれこういうやりとりが半時間は続き、ぎゃあぎゃあと言い合っているうちに日付も変わった。
しかし持久戦になりかけてきたそのとき、不意にアンがソファに上り、くるりと自身をシーツでくるんだかと思えばそのままうずくまって動かなくなった。
「…おい、何勝手に終わらせてんだよい」
「オヤスミナサイ」
「…こンのクソガキ…」
シーツごとアンを引っぺがしてベッドに放り込んでやろうかとも思ったが、それはそれで絵面的にまずい気もしたので思いとどまった。
「明日勝手に起きろよい」
「起こさない」という釘を刺してアンとの攻防を諦めたマルコは軽く着替え、風呂は朝だなと頭を掻きむしる。
アンがソファで寝ると言い出したときに一度つけた灯りを消せば、ばちんとこれまた「切れましたよ」と言わんばかりの切断音が部屋に鳴り響いた。
それと共に、白いシーツの塊もといアンがぴくりと反応を見せる。
ぽこっとシーツの隙間からアンの顔が覗いた。
「…ち、ちっちゃい電気ないの…?」
「ちっちゃい電気ぃ?」
「真っ暗やだ!!」
必死の形相で顔だけ出して叫ばれては、このまま暗闇で就寝するほどマルコも残酷ではない。
溜息と共に電灯の紐を引けば、ぼわっとオレンジ色の光が部屋の真ん中に浮かんだ。
「これでいいかよい」
「あんがとー」
至極満足と言った顔でにへりと笑ったアンは、再びもぞもぞと身じろいですっぽりとシーツにその身を隠してしまった。
いくつだ、とか本当に女か、とかいろいろ言いたいことはあったが、すでにアンの動きが人間らしくないのだから仕方ないかと、妙な納得ができた。
*
(…寝らんねェ…)
むくりと上半身を起こしたマルコは、ぼんやりと宙を見つめた。
この室内で発される音と言う音が耳に襲い掛かり頭の中を駆け巡っている感じがする。
そしてしばらくの間、音源のひとつであるソファのほうを見つめていた。
(…よく寝る奴だよい…)
しかもヨソの男の部屋で。
というよりアンの「ヨソ」の境界はどこにあるのだろうかと、マルコは上体を起こしたまま霞んだ頭で考えた。
少なくとも、自分は間違いなくアンにとって「ウチ」の人間である。
「…んぅぁあ…」
見つめていた先が不意に無意味な呻き声をあげた。
それによってハッとマルコの頭が覚醒したと同時に、狭いソファの上で寝返りを打ったアンは自然とソファの端に移動する。
ずり、ずり、とシーツと共にアンの体がずり落ちていく。
動く気にもならなくて、ああこりゃまずいなとマルコが呑気に思っているも束の間、アンの体は重力に負けて床に落ちた。
どん、というよりべちゃ、と不格好な音がした。
(…ああ…もう…)
どこまでコイツは、と聞こえてもいない小言を吐きかけたマルコは、自分の溜息に励まされるようにして重い腰を上げたのだった。
*
白い光がつんつんと瞼を刺激して、それが眩しさだと脳が理解したころ、アンはゆっくりと目を開けた。
(…ここ…、あぁマルコの…)
上体を起こし一周部屋を見渡して、昨日の記憶も取り戻したアンはぼんやりとする頭をそのままにあくびをひとつ漏らした。
(…マルコは…?)
ああベッドにいるのか、とあたりを見渡すが、すぐにあれ、と脳が停止した。
アンが想像していた景色と違う。
予定では自分の右側にベッドが見えるはずなのに、いや、寝る前までは確かにそうだった。
だが今は右側にあるのは白い壁で、左側にソファがあるのだ。
(…なんであたしベッドにいんだろ…)
あと、あたしの隣にいる動かない大きいのはなに。
その大きな白い塊は間違いなくシーツで、ゆっくりと上下に動いている。
好奇心の働くがままアンがそれに手を伸ばしてシーツを捲れば、俯せの背中が見えた。
「…マルコ…?」
ぴく、と角ばった肩が揺れた。
もぞりと白い塊が動いて、マルコの顔が現れた。
うっすらと目が開いたかと思えば一気に眉間に皺が寄り、マルコの手が自身の顔に影を作る。
「…朝かよい…」
「…うん…?」
「…なんで疑問形…」
「…いや、なんか…」
「…」
「狭い…」
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さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。
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