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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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サッチとの買い物は楽しかった。
車で15分ほど走ったところにある何だかお洒落な建物。
レトロっていうのかな、こういうのって。

一歩入ってビックリした。
知らない野菜とか、見たことない色の果物とか、よくわからない調味料だとか、
普段のスーパーとはちょっと違う。
何か外国みたいだ。

そう言うとサッチはそうだろうそうだろう、と満足げに笑う。
輸入食品を沢山置いているその店はサッチのお気に入りだという。

「すっごいね、こんなとこでいつも買い物してんの?」
「いんや、普段使いにゃ向かねェっしょ、このテの店は」
んじゃ何で、と言う顔をアンはして、その表情にサッチはにかりと笑った。

「楽しいだろ?」
ん?と聞かれてアンはコクリと素直に頭を振る。
よしよし、とよくわからない顔のままくしゃくしゃと頭を撫でられた。

「んじゃ買うぞー!今日はもう何でも買ってよし!お菓子も解禁!
「マジで!?3個でもいいの!?」

ズコッと入れた気合が空回りとなったサッチは、何よその3個ってと突っ込んできた。

「あ、いや、だってマルコがいっつも2個までって怒る」

・・・どこのお母さんか。

「・・・まぁ、好きに」
「でも、いいや、うん、今日は居ないもんね。よーっし!」

アンはふるふると頭を左右に振って、パッと笑った。

「怒られた時にはサッチがいいって言ったって言おう」
うん、と頷く小娘はすでに菓子売り場へ向かおうとしている。

いやいやそれはちょっと勘弁と思いつつ、サッチはひとまず食材コーナーへ行きませんか?とアンの後姿に声をかけた。







「サッチすごい、天才、カッコいい、最高」
「おお、もっと褒めて褒めて」

ダイニングのテーブルでひと匙すくって口に入れたアンは、足をバタバタさせて身悶えていた。

スープをすすりながらのアンを微笑ましく見ながら、サッチは向かい合わせのキッチンカウンター向こうでずっと作業をしている。

作りながら食わせながら、たまに自分もつまみながら、
行儀は悪いかもしれないが、楽しいのは断然こっちのほうである。

「それ食ったらお前はプチトマトのヘタを取れ」
「はーい」

イモの皮剥きはどうやらなくなったらしい。
アンは上がり込んだサッチの家、テーブルの椅子へ座りつつ、
じゃんじゃん出される料理を着々と食べ、たまに出される手伝いの指示をこなしている。


家に入ってすぐにキッチン以外の場所はいろいろまずいもんがいっぱいなので漁っちゃ駄目よ、
とウィンク付きで言われたが、アンは至極あっさりはいそーですか、と返しただけだった。
誰もいい歳こいたオッサンの部屋を漁りたくはない。

けれど珍しいには違いないのでくるくるとあちこち見回して、少々面食らった。

「・・・意外に片付いてて綺麗だね」

素直に口に出すと後頭部をぽすんとはたかれ、失礼なとしかめっ面をされた。
もちろんふざけているに決まっている。

「はいはい、アンちゃんがそこ入るといろいろ問題出るからキッチン行け、キッチン」

サッチはアンの視界からパタンとベッドのある部屋の扉を閉じて、きょとんとしたアンをダイニングに追いやる。

そうして今に至るのだが、
独り暮らし(・・・だと思う)にしてはキッチンが大きくて、アンはものすごく納得をしてしまった。

サッチの担当している雑誌にはグルメなんとかとか美味しいレシピなんとかとかもあるらしいので、
このレイアウトには大層説得力がある。
単なるお料理好きのおっさんではないということだ。



ジュワーッという食欲をそそる音がしてきた。
同時にものすごくいい匂い。
二口のコンロの片方では何かが炒められ、もう一方では油で揚げられている。
何だろうとアンがキッチンへ意識をやる。

「油跳ねっからこっち来んなよー」
「うん、何揚げてるの?」
「カエル」
「!?」

アンはさっきの店の冷凍コーナーで見かけたラベルのラインナップが一気に脳内によみがえってきた。
さすが輸入系、と恐る恐る手に取ろうとしてちょっと腰が引けた事もついでに思い出す。

「うそうそ、ワニもスズメもカエルも買ってませんって」
「買う奴いんのかな・・・サッチ食ったことある?」
「おー、あんぜ」
「ど、どう?」
「ま、普通?」
「ふ、普通?」
「俺は鶏のが好きってくらいかな、へいおまち」

ぎゃー!唐揚げだ!唐揚げって考えた奴天才!いただきます!
とアンは一気にしゃべって箸で塊を掴むと口へ放り込んだ。

「おわ!お前揚げたて」
熱っの声とともにピクピクと痙攣する小娘一名。

だから言わんこっちゃない、とサッチはコンロの火を止め、ちょうど炒め上がったものを皿に移し終えると、
冷凍庫を開けてアンに氷の塊を差し出した。
四角くない、酒とかに入れるようなごつごつした透明の塊。

舐めとけ、と言いつつアンの口には少々大きかった事を悟り、
押し当てる為のタオルを取りに一度キッチンを離れた。

すると玄関から微かにダースベイダーのテーマが聞こえる。何で玄関?

気持ちが沈む着メロはマルコの設定で、同時に思い出す。

そういえば帰宅した際、車のキー置いたついでに財布携帯全部下駄箱の上に置きっ放しだった。

サッチはとりあえずアンにタオルを渡すのが先だと脱衣所へ行き、ひとつとってリビングへ戻る。
案の定溶けた水滴をどうしたらいいかわからず氷を握りしめたアンが居た。
その姿に苦笑して悪い悪いとタオルを投げ、サッチは玄関へ向かう。




アンを迎えに行ってから2時間程。

(さすがお姫様盗られりゃ死ぬ気で仕事もするか)


サッチはマルコの仕事がやたら増えた事に気付いていた。
あの選好みの激しいオッサンに何があったのかは知らないが、
・・・というのは嘘で、当然最近の封筒攻撃の結果だろう。

マルコの腹は決まったというわけだ。

まぁ、もともとの仲介はあそこの出版社との話だったようだから、サッチの封筒は面白半分の単なる便乗。
義理欠くとあとあと面倒になる業界なのも織り込み済みなので、別段スルーされても痛くない。
アンの部屋に置き忘れを装ってまで追加で投入したものも、マルコの事だ読まずにその辺に放置だろう。

そして、アンの元気の無い理由はこのあたりにあるのでは、とサッチはにらんでいる。


(にしても、やりゃァできる癖によ)

サッチはちょくちょく締め切りに無理を言うマルコの言い分を、
次からは絶対に聞かないと心に決めた。
そして原稿欲しい時にはアンの連れ出しに限るな、とも。

そもそもそんな理由など抜きでサッチはアンを構いたいのだが、
マルコへのいい建前だ。

まぁ、封じられそうではあるが。


「へいへい、今出るって」


扉を一つ開けると、遮られていた音量が玄関でこだましている。

下駄箱の上で主張する暗黒卿のテーマは正直テンションあがらないので変えようと思うのだが、
設定対象とすばらしくマッチングしていると思うので長い事そのままだ。


電話はこちらに向かう車内からなのかもしれない。
追加で買うモンあるかよぃ、とかまぁそんなとこだろう。

サッチは呑気に通話のボタンを押そうとしたが、
タッチの差で切れてしまう。

「ありゃ」

すぐさま着信アリの表示を押して、リダイヤルにつなげようとしたその時、

何気なく履歴を見て、思わず唸った。



(・・・冗談)


性別が女だったら、間違いなく通報レベルのこの着信の数。

携帯放置かつキッチンでの作業音でまったく気付けなかったとはいえ、
この数はなんだ。


男でもこれは怖ぇよ、と突っ込んだところでハタと思った。

そういえば、机の上に出しっ放しで飯を食ってたアンの携帯は、
一度だって鳴ったか?




背筋にじわりと嫌な気配を感じた瞬間、
再びサッチの手の中で、マルコからの着信に携帯が大きな音を立てた。






ハナノリさんのあとがき

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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