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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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ふらりと一つの影がスタジオに現れると、ざわりと空気が揺れたのがアンにもわかった。
振り返ったそこには、先ほどまで後ろに流されていた髪を一つにくくりまとめた姿でアンに片手を上げるイゾウがいた。


「こりゃあ玄人たちも顔負けの別嬪になったな」

「イゾッ、あた、あたし変くない?こんなかっこ、落ち着かなくって」

「いんや、似合ってんよ」


ワンピースの裾をきゅうと握りしめるアンの手をやさしく包んで、その手をほどいてやる。
服が皺んなっちまうぜと言えば、慌てて手のひらで伸ばし始めた。


アンが着せられたクリーム色のワンピースは膝あたりまでの長さで、すっと細い足が伸びているあたりがアンの細さを物語っていて女の子らしさを強調している。
スカートの裾あたりは細やかな花柄で彩られていて、上品だが華やかな作りになっている。
襟ぐりはそこそこ開いているのだが、下品なほどではなく、丁寧にレースで縁取られていた。
ふんわり膨らんだ半袖から細い腕がしなやかに動くたびにどことなく甘い香りがする。
それはおそらく整えられたアンの髪から香る整髪剤の香りだろう。
アンもそういった自分の様子に違和感があるようで、さっきからもぞもぞと尻が落ち着かないのだ。


「あ、あたし、その、ポーズ?とかわかんないんだけど」

「あぁ、お前さんはなんも考えなくていい。そこの部屋っぽい一角があるだろ?そこで好きに動いてくれりゃぁいいだけさ」

「すきに?」


大きく頷いてやると、アンはほうっと息をついて顔を綻ばせた。


「よし、んじゃちょいとみて来い」


ポンと肩を叩かれて、アンはおずおずと立ち上がった。

















頭上にたくさんのライトがぶら下がるそこは白く照らされて、自分の肌の色まですうっと明るくなる。
6畳ほどの空間に作られたその一角をくるりと見渡してから、アンは窓際(のように作られたところ)のウッドデッキに置かれた小さな置物を手に取った。

木で造られたカモ。
そしてその後ろには、小ガモが三匹。


(へへっ、かわいい)


カモの置物をもとの場所に戻して、その隣にちょこんと佇んでいた観葉植物に目を止めたアンは、思わず噴き出した。


(なにこれなにこれ)


くくっと笑いをかみ殺して植物の小鉢を両手で包むように持ち上げると、アンは嬉々としてイゾウを振り返った。


「イゾウ見てこれ!マルコ!マルコに激似!!」


手にした小鉢を突き出すように掲げれば、三脚に乗ったカメラを覗き込んでいたイゾウはそこから顔を上げた。


「イゾウもう撮ってんの?」

「アン、そりゃあソテツってんだ」


アイツの髪型にしちゃあ細過ぎるだろうよと笑ってやると、アンも確かにと笑い返した。


「うちにもこれ欲しー」

「マルコにねだってみろよ」

「ダメ、これ今度見たら笑っちゃうから、絶対考えてることばれると思う」


だから買ってもらえなさそう、としょんぼり、しかしどこか楽しそうにアンは手の中の小鉢をもとのデッキに戻した。










アンが今いる一角を囲んでいる白い板は、この『部屋』の壁を模しているのだろう。
四角い木の枠が二つ、壁にくっついている。
そしてその木枠の内側には、アンティーク色の強い小さな少女の人形が腰かけていた。
まるでその木枠がフォトフレームで、女の子が写真から飛び出して足をぶらぶらさせているかのようで、そのかわいらしさにアンは口の形をほおと伸ばした。



(なんかこの部屋、なんていうか、すごく、お洒落だ)



言ってしまえば生活感はまるでないが、絵になる部屋だと思った。


(雑誌に乗せる写真にすんだから、当たり前か)




ふいに一歩足を後ろに引いた際、とんとふくらはぎの裏あたりに何かが当たる。
振り返れば、茶色のローテーブルと、その向こう側に茶色いソファ。
ソファの上には白と茶色のクッションが一つずつ。
なんとも肌触りの良さそうなそれに目を奪われたアンは、すすすとそちらに近づいた。

触れてみたクッションは、さらりとアンの指先を受け入れて、やんわりと跳ね返す。
期待を込めた瞳でイゾウを振り向けば先と同じ姿勢のイゾウがにこりと頷いたので、アンはえいとソファに腰を下ろした。


(やばい!ふかふか!)


うちのせんべい布団を積み重ねたってこうはならない、とアンは存分にその柔らかさを満喫し、ぎゅううと腕の中のクッションを抱きしめた。























そんな風に室内を存分に楽しんだアンは、ちらりとイゾウを盗み見た。


(撮影、まだかな)


さっきからイゾウはカメラをいじったり周りのスタッフと話したり、一向にアンに呼びかける気配がない。
そしてアンはふと唐突に、マルコを思い出した。

メール返すの忘れてた、ちゃんとお昼食べたかな、たぶん食べてないだろうなあとパソコンに噛り付いていた背中を思い浮かべる。
今あたしがこんなことしてるなんて微塵も思ってないんだろうなと考えると悪戯をしているような気分になって、ふふっと笑った。



「アン」



声の先を振り返れば、カメラの三脚を畳むイゾウが片手でアンを手招いていた。



「お疲れさん、もういいぜ」

「? 写真は?」

「おかげでいいのが撮れたぜ」



にいと笑ってカメラを顔の高さまで掲げるイゾウにアンが首を傾げれば、ああやっぱ気づいてなかったかとイゾウは苦笑を見せた。


「お前さんが部屋ん中見て回ってる時にもう撮ってたんだぜ。
フラッシュたいてバシャバシャやってたんだが、えらく見入ってたからこりゃ気づいてねぇかもなぁって思ってたけど」


きょとんと目を点にしたアンの頭を、イゾウは両手で挟むように包む。
そのままわしゃわしゃと髪を撫でると、アンはほわっと素っ頓狂な声を上げた。


「やっぱお前さんは最高の被写体だな、こりゃ高くつくぜ。オレァあいつにぼったくられても文句ぁ言えねぇな」

「イゾッ、イゾウ!」


犬を撫でるようにアンの髪をかき混ぜる大きな手を掴んで制止の声を上げれば、ははっと笑ってイゾウはその手を止めた。








「アン、土産の菓子まで奮発すっから、もう一度撮られてくれやしないか」


今度はアレ着けて、とイゾウの親指が指し示す方向を確認したアンは、いいっと大きく顔をしかめたのだった。

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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足りん
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