OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ（いまはもっぱらこっち）を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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「た」
「遅い」
ただいまの言葉とともに開きかけたドアは、
よって続くはずだった言葉は、
ぱちくりと丸めた目を少し上げれば、悲惨な顔色の、
「言って渡して戻ってくんのにどんだけ時間かかってんだよい、
「ちょ、マル、なかっ、中はいろっ」
玄関口ではかんべん、
＊
うげ。
念願のシュークリームを口に詰めていたアンは、
『どした、アン』
『いや、何か、携帯が』
『携帯が？』
『マルコでいっぱい』
てん、とアンを見つめたイゾウは、
『
あっはっはと笑い続けるイゾウはごそごそと尻のポケットを探り、
そしてその背をアンに向けた。
『ほれアン、笑え』
『は？』
『笑うんだよ、ほら』
こうやって。
イゾウはにぃと自身の口端を持ち上げた。
つられておずおずとアンもクリームの乗った口角を釣り上げると、
『…なに』
『マルコに送ってやろうかと思って』
『なにを？』
『何って、今の写真』
『今写真撮ったの！？』
身を乗り出して目を丸めるアンに、
『…アン、携帯のカメラ使ったことねぇのか』
『携帯にカメラ付いてたんだねぇ…』
ねぇあたしのにもついてる、
見るまでもなくついているのはもちろんで、
『ついてるよ。ほらここ、レンズあんだろが』
『おおこれ…』
教えてやるよと手招けば、
＊
「で？」
「…でぇ…、サッチに渡してぇ、3人で喋っててぇ…」
「シュークリームで餌付けられたってわけかい」
ううん最初はクッキーだったと、
「ってなんでシュークリーム貰ったって知ってんの？」
「…イゾウの野郎が写真送ってきたよい」
そういってマルコがかざした携帯の画面には、
「ったく言いつけてもききゃしねぇ…」
呆れと苛立ち（その半分はサッチとイゾウへだが）
「マルコ！携帯にカメラ付いてんの知ってた！？」
「ああ？」
当たり前、と口を開いたその矢先、パシャッと『シャッター音』
「へへー、『マルコ』」
「・・・てめぇ、」
瞬間的に湧き上がった苛立ちも、
タチの悪いことこの上ねェとマルコは口の中で毒づいた。
「ったく、どんだけ喋りたくって来たってんだ」
結局一日つぶしやがって、と言う言葉にアンの心臓は跳ねる。
帰り際、イゾウに言われたのだ。
『今日モデルしたことは、しばらくマルコには内緒な』
『内緒？』
『まあしばらく、な』
意味ありげに口角を上げたイゾウに、アンはとりあえず頷いた。
内緒かぁ、ちゃんと内緒にできるかな、
『約束、な』
切れ長の目が綺麗に弧を描いた。
『約束か！わかった！』
それでヨシと満足げに頷くイゾウに手を振って、
（約束だし）
内緒の話、秘密のこと、
＊
二週間後、イゾウの言っていた『しばらく』がようやく終わった。
その時お馴染みの部屋で子鳥をあしらった黄色い小鉢に植えられた
仕事机の前、
「うわっ、なにやってんのマルコ」
慌てて机に置かれたらしいコーヒーカップからは机の上に茶色い輪
しかし当の本人は口元を拭おうともせず、
台所から布巾を手に取り戻ってきたアンが依然固まったままのマル
そして、ぎゅあっと蛙が潰れたような声を出した。
「わ、あ、それ、その、」
「…なんでお前が載ってんだよい…」
布巾を取りこぼし意味もなくわたわたと手を動かすアンを見ること
紛れもなく、アンである。
ちらりとかすめた思考はある意味『予想』で、
マルコはコーヒーに濡れた手のまま次のページをめくった。
右ページの右上一角には、日の光の差し込むリビング全体の写真。
そしてそこ以外には、
壁にかかる人形に手を伸ばしていたり、
今この家にあるものと同じ観葉植物を両手で包んだアンは、
「…どういうことだよい」
マルコは腰かける椅子から一歩も動きはしないのに、
アンはひたすら視線を泳がせ逃げていたのだが、
＊
「そういうことかよい」
「ね、しょうがないでしょ」
「どこが」
丸められた雑誌が、とすっとアンの額を突いた。
そしてそのままねちっこく、ぐりぐりと押し付けられる。
「あだっ、だだだだ」
「渡したらすぐ帰ってこいってあんときさんざん言ったよな、
「つられたんじゃなくて、イゾウが困ってたんだもん」
「黙れ」
ぼふっ、と再び雑誌がアンの頭上で跳ねた。
理不尽だ、
「ていうかマルコなんでそんなに怒るの。
む、と不満を口で表してアンがそう言うも、
気に食わないものは気に食わないのだなんて、
人目になんて触れさせたくない。
できることなら、ガラスケースなんて柄ではないから、
そんな不毛で欲にまみれたことを口にするわけにはいかないので、
マルコは不平不満を垂れ流すアンを無視して、
パララ、と数枚のカラーページが流れていく。
だが不意に、マルコがその手の動きを止めてページを戻した。
「…おい」
「なに」
まだなんか文句あんのと言いたげな視線を送ると、
「髪、」
「髪？」
アンはマルコの手元を覗き込み、ああそれ！と手を打った。
「イゾウがね、いっぺん付けてみろっていうから！
こう、首のあたりがもぞもぞってこそばかったんだけど、
アンがメインのコーナーとは別に組まれた、1ページのみの特集。
胸から上のみが大きく映されたアンの姿。
ただ実際の姿と違うのは、
小さな、細い緑色の葉を覗かせる小鉢をその手に掲げ、
綺麗な笑顔ではない。
ポーズ自体先ほどの特集ページと違って造られた風はあったけど、
「長いのもね、あんまり邪魔じゃなかったら伸ばすのもいいかな、
「・・・」
冗談じゃねェよい、とは言えなかったので返事はしなかった。
見慣れないからだろうが、心臓に悪いことこの上ない。
お前はオレをどうしたいんだと舌の先まで出かかった言葉を何とか
「…これ」
「？ ああそれ？」
「あれだろい」
「そうそう！」
マルコが交互に指差した「それ」を、
「これすっごい気に入って、
「なんでまた」
「だってほら」
黄色い小鉢を、アンはマルコの顔のすぐ横に並べて見せた。
「マルコにそっくりなんだもん！」
fin.
（おまけ）
『おうマルコ』
『てめぇよくも好き放題やりやがって』
『ああん、所有者の印鑑でも要ったか』
『・・・ふざけたもんまで送り付けやがって』
『おう、それいいだろ。アンの原寸大パネル。
『オレにこれをどうしろってんだよい』
『さあ。部屋ン中にでも飾りゃあいいだろうが』
『できるか』
『とか言って、返せっつっても返さねぇくせに』
『・・・はんっ』
『まあ宝箱にでも大事にとっとけよ』
『ほっとけ』
『・・・抜くなよ？』
『死ね！！』
[22回]
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さらにはエース女体化でポートガス・Ｄ・アンとマルコの攻防物語。
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