OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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*現パロ注意!(【ハロー隣の~】+サンナミ設定です)
夏、女が薄着になっていくこの季節、男としては目に嬉しいものだと思っていた。
それがどうだ。
クーラーが壊れ熱風を噴き出すたった7、8畳ばかりの部屋の中。
熱にやられたパソコンの前で頭を抱えた男がせめてもの目の保養とばかりに同じ部屋にいる自身の彼女に目をやっても、そこには男の皺の寄ったTシャツにすっぽりくるまって暑さにうだる女の姿。
だらしがないうえに楽しくないことこの上ない。
「…お前オレの服勝手に着るのやめろい…」
「だってこれだと下履かなくていいから涼しーんだもん」
そういって、アンはベッドの上で俯せになったまま足をパタパタ動かした。
翻るTシャツの隙間から一瞬覗いた内股に免じて、これ以上追及するのはやめることにした。
ああそれにしても。
「暑ィ…」
首元を滴る汗がシャツの襟に吸い込まれていく。
熱に弱いパソコンはさっさと仕事を諦めたままブラックアウト。
大量の氷を投入したせいで薄くなったコーヒーはクソまずい。
アンはベッドの上でだらりと四肢を伸ばしたまま、ねぇマルコーとハリのない声を出した。
「アイス買いに行こうってばあ」
「お前朝も食ってたじゃねぇか。腹壊すよい」
「へっぷーん、あたし生まれてこの方お腹壊したことなんてありませーん」
「冷凍庫に氷入ってんだろい。食っとけ」
「氷はいやだってば!」
ねぇマルコ、アイス、アイス、コンビニ、コンビニ、とアンがせがむ。
しばらく無視を続けてパソコンの復旧作業を続けていれば、諦めたのかアンが静かになった。
やっと大人しくなった、とマルコが額の汗をぬぐったその時。
突然ぐいっとマルコの襟が後ろに引っ張られ首が締まり、ガラガラガラっと耳元で響く轟音。
大量の氷がマルコの背中を伝っていった。
「うおっ!!おまっ、なにすんだよい!!」
「ね、涼し?涼しくなった?コンビニ行く気になった?」
驚いたマルコが立ち上がると、背中からゴトゴトと十数個の氷が床へ落ちる。
製氷機片手ににんまり笑顔のアンはさも『してあげた』顏だ。
「馬鹿言ってんじゃねぇよい!見ろ床ビッタビタじゃねぇか!」
「いーじゃん涼しいじゃん。もう一回いっとく?」
「…」
絶句したマルコに、アンは氷の詰まった製氷機を机に置いて、はいっ、はいっ、と財布と部屋の鍵を持たせた。
「こっんっびっにっ!」
もうマルコには、氷のおかげで濡れた服を着替えコンビニに赴く以外道はなかった。
*
「うはー!暑いねー!」
部屋の外に出るなり、うっと顔をしかめたマルコとは対照的に、アンは両腕を広げて暑い暑い!と叫んだ。
「…夏、好きかよい…」
「うん!でも冬もすき!」
セミの鳴き声がわんわんと鳴り響く。
なにが悲しくて午後二時という一日の中で最も暑い時間帯に、熱されたフライパン状態のコンクリートの上を歩かねばならないのか。
それを口に出そうにも、それは一瞬でアンのはしゃぐ声に飲み込まれる。
「セミいっぱいいる!ルフィとよく捕ったなー」
アンは電信柱や余所の家の樹を見上げながら前を歩いていく。
こういうところで歳の差が顕著に表れるもんだ、とマルコは隠すことなく大きなため息をついた。
「マルコ歩くの遅い!」
マルコの数歩先を歩いていたアンは、振り返ってマルコを待ち、その隣に並んだ。
「…これ以上老体に無理させんじゃねェよい」
「いっつも年寄扱いすんなって怒るくせに」
「…夏は別だ」
なにそれ、とアンがカラカラと笑う。
夏の似合う女だと思った。
*
たらたらと歩くマルコと、それを励ましながら歩くアンの向かいから二人の男女が歩いてきた。
アンは喋るのに夢中で気づいてはいないが、マルコは遠目に一瞥をくれた。
男は片方の手に大きめのビニール袋、おそらくスーパーの袋を持ち、もう片方の手は女の手と繋がっていた。
男が冗談でも言ったのだろう、女は笑いながら空いている方の手でこめかみあたりを拭った。
不意にアンの言葉が途切れた。
視線を隣に落とすと、アンも向かいの男女を見ていた。
「アン?」
「え?あ、うん、それでね…あれ、なんのはなしだっけ」
忘れちゃった、とアンは俯いた。
そのつむじを見下ろして、マルコはもう一度、自分たちとすれ違おうとしている男女を見た。
楽しげにお喋りをやめず、手を繋いだふたりはマルコたちが来た方へと歩いていく。
男のほうが一瞬こちらを見た。
ふたりを、というより視線はアンに向かっていた気がする。
完全にすれ違ってから、アンは少し首を捻じってすれ違ったばかりの男女を振り返った。
「…知り合いかよい?」
「や、ちがう…」
しらないひと、と呟いたアンはさっきの元気はどこへ行ったのか、押し黙って俯いた。
マルコが怪訝な顔でアンを見下ろすと、アンは一瞬マルコの顔を仰ぎ見たがすぐに目を逸らし、また俯く。
「…マルコ」
「なんだよい」
「あの、さあ…」
煮え切らない言い方で、アンの視線は宙をさまよう。
「あの…、て…」
「あ?」
「…手を、さあ…」
手?と繰り返し、ああとマルコは再び若いカップルを振り返った。
なるほど、とアンの言葉が腑に落ちた。
「こうかよい」
揺れていたアンの手を取って握ると、アンは目を丸めてマルコを見上げた。
しかしそれはすぐに嬉しそうな顔に変わる。
アンは笑顔で頷いた。
「こんなおっさんと手ェ繋ぎたいとかお前も酔狂な奴だよい」
「おっさんじゃないもん、マルコだもん」
「…お前常日頃オレをおっさん呼ばわりしといて…」
まあいい、とマルコは少し湿ったアンの手を握り直す。
少し強く握ると、同じ力が返ってきた。
角を曲がると、眼前にはコンビニの看板。
「ねぇマルコ」
「なんだよい」
「帰りもしたい」
「…しょうがないねい」
***
「はい」
「ありがと」
伸びてきた手に中身の詰まった袋を手渡す。
サンジはそれをナミから遠い方の手にぶら下げ、スーパーの自動ドアをくぐると同時に空いている方の手をナミのそれと繋いだ。
「うわ、あつ…」
「冷房との温度差で鳥肌立つわ」
「ほんとだ、ナミさん鳥肌立ってる」
焼けるからちゃんと帽子かぶって、とサンジはナミの頭に手をかざして帽子を深く被せた。
ナミは大人しくその手に頭を任せる。
「もうみんな来てるかな」
「ウソップからさっき着いたっつってメール来てた」
「ゾロは間違いなくまだね」
「あいつぁ出不精だからまだ着いてねぇとすりゃ家か迷子だな」
たしかに、とナミが笑う。
こめかみに汗が伝い、目に入る前にそれを拭った。
20メートルほど先、向かいから1組の男女が歩いてくる。
すらりと背の高い女の方は、激しい身振り手振りをつけておしゃべりに夢中らしい。
そのスタイルに反して子供っぽい笑顔の可愛い人だと、ナミはこっそり覗き見ながら思う。
男の方は煙草をふかした完全なる中年。
女の方の話に適当な相槌を打っているように見えた。
「どうする?このまま店行ってもいいけど。ゾロ迎えに行ってあげる?」
「そうだな…ああ、でも野菜。悪くなっちまう」
「ああ、そっか。じゃあ一回店に戻ってからもう一度でよっか」
「んー…」
おざなりな返事。
訝しく思いナミが視線を上げると、サンジの視線はすれ違ったふたりから戻ってきたところだった。
コイツ、と少しの制裁をこめて繋がった手を動かし手のひらをつねってやる。
「ぃたっ!なに?」
「やらしい目で見てんじゃないわよ」
途端に目を泳がせ始めたサンジは、そんなんじゃないよと裏返った声で否定した。
やだなあナミさん、と笑う声がひきつっている。
サンジは少し顔を捻じり後ろを振り返ると、でもさあと腰をかがめた。
「今の二人、親子かな。それにしちゃ仲良くね?」
「ばか。どうみても恋人同士じゃない」
「え!?でも歳…」
「そう、あんたはわかんないのねー」
まるで達観した様子でため息をつくナミを見下ろして、それから再び件のふたりを振り返ったサンジは、あ、と呟いた。
「ナミさん、見て」
「え?」
振り返れば、先の二人。
先程より少し身を寄せて、二人の間で揺れていたはずの手が今はしっかりと繋がっている。
「ナミさん、すげぇ」
「でしょ」
ふふっと得意げに笑ったナミに、サンジは感心して息をつく。
「…なんか、いいな」
「ね。いいね」
サンジが握った手にきゅっと小さく力を込めると、サンジの手に包まれていたナミの手がもぞりと動く。
ナミはサンジの指に自分のそれを絡ませた。
「暑いね」
「暑いな」
しあわせなら手を繋ごう
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