OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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あ、えーっと。
開いた扉の前で立ち往生を強いられたこの船のコックは、件の者たちから視線を外すこともできずに先のような声を発した。
ベッドに男と女が二人。
その位置関係は言わずもがな。
そうとなれば無粋なことはできない、おっと失礼とばかりに一つからかいでもしてドアを閉めればいいことなのだけれど。
サッチからは二人のつむじが見えていた。
それが同時に動き、アンは仰向けのまま顔を後ろへと反らす。
マルコはひそめた眉をそのままに顔を上げる(げんなりしているように見えないでもない)。
サッチは虚を突かれた顔にやんわりと苦笑を浮かべた。
「あー、稽古付けてるとか、そういうアレ?」
*
翌朝、食堂へと向かうマルコの足取りは重かった。
マルコの朝は遅い。
よってすれ違う隊員たちがすでに朝食を済ませていることも少なくない。
その隊員たちが、マルコに生暖かい視線を送っていた。
食堂まで一本道の廊下に出てから、適当な間隔ごとに爆笑と思われる声が聞こえることも気にかかる。
あのクソリーゼント、と悪態ついてからマルコは食堂の扉を開けた。
「…っだっはっはっは!!!」
一番奥のテーブルで、フォークを握りしめて震えるラクヨウの横顔が見えた。
その向かいでイゾウは目の端に小さく水滴まで浮かべてヒーヒー言っている。
隣に座るハルタが顔をこちらに向けて、あ、と声を漏らした。
いつもであれば、『楽しそうじゃねぇかい』とでも言って青筋を浮かべれば黙らせることなど造作もなかったのだが。
今日は眠たげな眼をさらに細めて、じとりと睨むことしかできなかった。
笑いのタネがタネである。
据え膳を食い損ねた長男は、モビー内におけるネタの格好の餌食となっていた。
「おはよ、マルコ」
「…おぉ」
言い返さないマルコに、ハルタが苦笑を向けつつ声をかけた。
その隣でやっと顔を上げたイゾウは未だはぁはぁと荒い呼吸を繰り返しており、マルコを視界に捉えてもおぉマルコと言うだけで止まらなかった。
くい、と長く白い指が厨房を指さした。
「サッチ」
「…わかってるよい」
マルコは二人の後ろを通り過ぎ、重たい足取りを一変させて厨房へと歩いていく。
数秒後、聞きたくもない男の断末魔の叫びをBGMにイゾウはやっとのことで煎茶をすすった。
*
例によって寝坊したアンは、朝食の皿を抱えての隊長会議参加となった。
昨日あのままアンの上で脱力したマルコは、ゆっくりと起き上った。
ドア付近へ視線を運ぶと、ドア前の床に紙束が一つ。
サッチの姿はなくなっていた。
そして無言でアンが寝ころぶベッドをメイキングして、ぽかんとしたままのアンをそこに再び転がした。
「寝ろ」
その一言と、ぽんぽんと布団の上からお腹辺りを叩かれる、それだけのことでアンは拍子抜けする暇もなく引きずり込まれるように寝てしまった。
マルコの部屋のにおいと布団の気持ちよさがあいまって、この部屋に来た目的などその瞬間に忘れた。
よって、ぐっすりと、気持ちよく、寝すぎた。
朝起きたそこは見慣れた部屋(しかし自室ではない)とすぐにわかったが、部屋の持ち主の姿はなかった。
というより寝入ってからマルコの気配を感じていない。
(……)
マルコはどこに、えっと、っていうよりあたしはなんでこの部屋に、あ、そういや久しぶりだなここで寝るの…
働きがいいとは言えない頭が、寝起きのせいでますますスロー運転だ。
アンはぬいぐるみのようにベッドの上に座って、ぼんやりと宙を眺めた。
かさかさと手が動いてマルコの気配、マルコが寝ていた気配を探したがすぐに微塵もないことに気付いた。
(…ベッド、取っちゃったんだな…また)
逆の立場(あればの話だが)だったとしたらアンは迷わずベッドを取った張本人のベッドを陣取るだろうが、まさかマルコがアンの部屋まで寝に行ったとは考えられない。
ということは寝ていないのだろう。
マルコの仕事机の上はいつも通り片付いていたが、椅子が引いたままだ。
夜通し仕事をしていたらしい。
これはまた出会い頭に説教コースだな、とアンは自分で自分の額をぺちんと音を立てて叩いた。
そのとき、さあっと窓から入り込む光の量が一気に増えた。
どうやら本日は快晴で、今まで太陽を覆っていた雲が立ち去ったらしい。
はあ、眩しい。
アンは目を細めて窓の外、薄い青を眺めて数秒、スプリングが悲鳴を上げる勢いでベッドから飛び退いた。
窓の外、大分上から光を差し込む太陽は起床時間にしては高すぎたのだ。
慌てて食堂に駆け込んだころには食後の安息をむさぼる隊員たちしかいなくて、見慣れた15人の姿がすでにないことに気付いてアンは慌てて会議室へと走ったのだった。
腰かける15人の隊長に囲まれ、マルコは本日の仕事を言い渡した。
寝坊・遅刻に関するアンへの負荷は忘れない。
不平の声を上げるアンを人睨みによって制して、マルコは抱える書類を一枚捲った。
「…と、今日の仕事は以上だよい。あと今日はもう一つ、次の寄港が近い」
「!! 何島!?何島!?」
「飯を飛ばすな。夏島だ」
おぉ!とアンが顔を綻ばせる。
それと同時にポロポロと口端からご飯をこぼすので、隣でサッチが甲斐甲斐しく世話を焼いていた。
「次の島には、街がない」
隊長たちが書類から目を離し、怪訝な顔を見せた。
「無人島ってことか」
「いや違う、人はいる。だが一民族の集団だ。自給自足生活ってとこか」
「へぇ、それはまた」
イゾウが楽しげに資料を捲った。
「食料調達は現地の奴らとの直接交渉になる。交渉にはオレが行くが、万一渋られたら、まぁ準備しとけよい」
「了解」
「もちろん花街もねぇからよい、クルーたちもほとんど船で過ごすだろい。飯は頼むよい」
「あいよ」
その島ジャガイモ生えてっかなー、と呟くサッチの隣で、アンがはいはい!と手を上げた。
「なんだよい」
「夜!夜の宴は!?」
島に着いたらするやつ!とアンはそわそわ身体を動かした。
ああー、とマルコは人差し指でこめかみを掻く。
「うまくいきゃあする予定だがよい、何しろ食料も酒もねぇんじゃどうにもなんねぇだろい」
「あ、そか…」
「マルコ、ログは」
「ああ、4日だ」
まあ、4日なら…と男たちは頷いた。
食料はともかく、酒なしの日々は船乗りにはキツイ。
4日、ログがたまったらすぐに出航し、次の島で酒の調達をすればいい。
マルコがばさりと音を立てて資料を閉じた。
「なんにせよ、今回の目的は食料の調達、あと医術班ができれば薬草の採取もってとこだ。今回は短ェ寄港だからオヤジは降りねぇ。
民族集団は外を排他する意識が強ェか、呑気で平和かどっちかだ。
その辺の情報がまだねぇから、気ぃ抜かねぇように言っとけよい」
やっとスプーンを置いたアンも含め、全員が頷いた。
ああそう、とマルコが首筋に手をやった。
「言い忘れてたが、島の名前はドラウン・カクス」
火の島、だそうだよい。
マルコがほんの少し口角を上げて、アンに視線を移した。
隊長たちの視線も否応なしに集まる。
ほ、とアンが口をすぼめた。
火を司る娘なら
(うちにひとりいますけど)
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麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
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さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。
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