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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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翌日の正午を少し過ぎたあたり、船内すべてのスピーカーが島が見えたことを伝えた。
スピーカー越しであろうと、ひさしぶりの寄港に興奮した見張りが声を張り上げる。
寄港準備に追われるクルーたちも懐かしい陸が恋しくて、ますます準備に精が出た。
息子たちの興奮と熱気にあおられるように、白ひげも嬉々とした顔で自室から甲板へと顔を出す。
白ひげが存在を無視して引きずるあらゆる医療機器を、ナースたちが慌てて甲板にセッティングし直した。
 
 
 
 
「…見るからに無人島じゃねぇの」
 
 
サッチが遠く見える緑の塊を目を細めて見ながら呟いた。
隣でイゾウが咥えた煙管をひょこひょこと動かした。
 
二人の視線の先には、半球型の緑の塊がぷっかり海に浮いているように見えた。
ほとんどが、いや、白浜以外すべてが森だった。
ライトブルーの海と雪のように真っ白な浜はどうかするとリゾート地のようだが、この島には人間の開発の手が伸びなかったらしい。
おそらく昨日マルコによって説明された『ある民族集団』が、自らの居住地を守っているのだろう。
 
 
白ひげ海賊団は、白ひげが気に入ってリゾート地にしている白ひげ海賊団のテリトリーを持っている。
それと似たようなこの島を見てクルーたちが浮足立つのもいたしかたないか、とサッチは先ほどから嬉々として海水浴の準備をする自隊のクルーを横目で流し見た。
本日4番隊は、幸運なことに休暇日であった。
 
 
先ほどから、遠慮など生まれたところにおいてきましたという顔をして風上で煙管を吸うイゾウにむかってわざとらしく咳き込んで、サッチは甲板前方へ目を向けた。
可愛い可愛い末っ子が、船の縁に両足をつけてしゃがみこんでいる。
視線はもちろん向かう先、到着予定の島。ドラウン・カクス。
後方斜め45度から見る顔だけではわからないが、おそらく漆黒の瞳は期待に濡れて存分に輝いていることだろう。
本当はその顔を覗き込んで堪能したいところだが、そんなことをすればマルコに襟首とっ掴まれて問答無用で何らかの仕事を言い渡される。
そこでサッチが男の嫉妬はなんとやらだとか余計なひと言を言うため仕事は増える一方だ。
またたとえマルコの目がなかったとしても、顔を覗き込まれたアンが少し照れながら「なんだよー、サッチ」とはにかんだりしたら、もう、心臓に悪い。
そろそろ歳を自覚してきたサッチは、そういった自殺行為は自粛した。
 
サッチはアンから視線を外し、再び今度は少し大きくなってきた緑の塊を見遣った。
 
火の島。
どういう云われかわからないが、自分の分身の島だと言われたらアンの期待が膨らむのも必然だろうと、サッチの頬は自然と緩む。
おそらくアンは、火の島だと言われるそこで自分の能力に何らかの力がプラスされる機会を、期待しているのだろう。
 
どんなもんかね、とサッチはぺろりと自分の首筋を撫でた。
 
アンが強くなれるのなら、それでいい。
ただ、とサッチは緩んだ頬を引き締めた。
 
なにが、どこが、とはサッチにもわからない。
本能に近い部分、この稼業を初めて研ぎ澄まされたであろういわゆる第六感、とでもいうものが何かを告げる。
それが白ひげ海賊団にプラスをもたらすのかはたまたマイナスをもたらすのかすらわからない。
 
 
この島が、どこか、なにか、ひっかかるのだ。
 
 
昨晩ひとりマルコの部屋を訪れ、マルコも何か感づいてやいないか探りを入れるような真似をした。
サッチが気付いたことがこの海賊団に何らかの影響を与えるものであるとすれば、マルコはきっとサッチよりもはやく、気付いているはずだと思った。
しかし、マルコはまったくその気を匂わせなかった。
 
 
「どこにでも民族の伝統ってもんはあるんだろうよい、伝統料理でも伝授してもらえよい」
 
 
そうねー、とサッチは気のない返事を返した。
マルコがそうなら、そうでいい。
これまでサッチが訝しく思ったことでも、マルコがGOと言えばそれに従った。
それによって困ったことは一度もない。
だから今回も、例にもれずサッチは素直に、極端に言えば従順なほどあっさりと引き下がった。
 
 
「まあ気は抜かねぇがよい」
 
 
マルコはすでにサッチに背を向けていた。
しかしサッチは、マルコがしっかりとサッチの布石を受け取ったのだとわかり、ほんの少し目元を緩めた。
そして猫背気味な背中にひらりと手を振って、サッチは部屋を後にした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(休みっつーのも考えすぎていけねぇな)
 
 
サッチは見えない苦笑を漏らす。
ふと気づいたころには、緑の塊は眼前まで迫っていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
今回の寄港は何よりも、島の住民たちとの交渉がカギになる。
いつもはさっさと船を飛び出すアンも、心なしか神妙な顔つきでじっとしていた。
 
一番に船を下りたのはマルコの1番隊。
船べりではジョズの隊がいつでも降りられるよう、言ってしまえば交戦準備をして構えていた。
 
 
 
寄港の少し前、航海士による説明があった。
島の構図は見ての通り白浜と森。
しかしこの森はドーナツ状になっていて、真ん中の空洞部分が住民たちの居住地域となっている。
よって島の外からはただの無人島にしか見えないのだという。
中心に行くにつれて高度は緩やかに上がっていく。
その高さは平地と丘ほどの差で、人はその丘の部分に住んでいる。
 
マルコ率いる1番隊は、そこへ向かって白浜を歩き出した。
大勢で行けばいいというものでもないので、残りのクルーは心なしかやきもきしながら1番隊の帰りを待つことになる。
 
 
数十分後、鬱蒼と茂る木々の間から戻ってきた一番隊たちの嬉々とした顔を見て、待機していたクルーたちはほうっと安堵の息をつき、そしてすぐさま歓声をあげたのだった。
 
 
帰ってきた一番隊には、背の高い老人がついてきた。
短い白髪で肌は日に焼け、黒い瞳が知的そうなその老人はこの島の住人の長だった。
麻のような涼しそうな布を器用に巻き付けた衣服と、首には大きな丸い木のビーズでできた首飾り。
マルコの交渉に静かに耳を傾け、海賊という言葉にも臆することなく、必要な物資と食料を積んでログがたまるまで4日間の停泊を承諾してくれた。
 
 
「その代わりというわけではないが、島の中心の神殿には手を出さんでほしい」
 
 
長は真摯な瞳でそう言ったが、無論白ひげ海賊団にこの島を荒らす気は毛頭ない。
約束するよい、とマルコは固く頷いた。
 
 
白ひげが船上から老人を見下ろす。
長も、すっと目を細めて白ひげを見上げた。
二人の老人がほんの数秒の間、視線を交わす。
考えの読めない長の顔に、白ひげはにぃと口端を上げた。
 
長は白ひげから視線を外すと、船員たちに指示を始めたマルコを呼び止めた。
 
 
「どうせなら宴は私たちの村でやるといい。食料を運ぶ手間が省けるだろう」
「あー…ありがてぇがよい。そっちにゃ女子供いるだろい、海賊が入り込んで困るのはそっちじゃねぇのかよい」
「…海賊には慣れている。夕餉を一緒にするなら、ついでの力仕事も頼みたい」
 
 
「海賊を使う気かよい」とマルコが好戦的な目を向けても、長は揺れない瞳のまま「慣れていると言った」と静かに言い返した。
 
 
肝の座った老人は嫌いじゃない。
マルコはにやりと笑って、宴の準備を村へと運ぶよう手配し、指示した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
太く乾いた木々が高く組み上げられていく。
村の広場の中心にあるそれを、村人たちは遠巻きに見守っていた。
長は海賊に慣れているとはいったが、馴れ馴れしいわけではなかった。
この村の、この集団の人間は大人しく寡黙というのが持ち合わせた民族性らしい。
村人たちは海賊たちを臆するそぶりこそ見せなかったが、馴れ合おうとするのは無邪気な子供たちだけだった。
一番子供たちと歳の近いアンに至っては、既に少女をひとり膝の上に乗せて楽しそうに口を動かしている。
 
能力のせいで木材を燃やしてしまうアンはこのとき仕事がない。
組み木造りを男たちに任せることはいつも気がひけていたが、今日は懐かれた子供のお守をすることで暇が潰せた。
 
 
 
「アン!組めたぜ、頼む!!」
「お、了解」
 
 
4メートルほど、常識はずれな高さに積み上げられた木々の傍らでクルーがアンに声をかけた。
アンにも宴を始めるための仕事がようやく回ってきた。
しかもこれは、アンにしかできない。
アンは膝に乗った少女に一言断りひょいと退かし、立ち上がった。
 
寄港1日目の仕事を終えた男たちがわらわらと集まり、組み木を囲むように腰を下ろし始める。
クルーに手招かれて村人たちがおずおずと寄って来た。
手には酒。
いつのまにか日は落ちていて、空は紫色から紺へと変わろうという曖昧な色合い。
 
 
組み木に近づいたアンに、一本のボトルが投げ渡された。
アンは難なくそれを受け取る。
村の中での宴ということで予定とは違い船を下りた白ひげと、クルーが期待を込めた眼差しでアンを見守る。
村人たちは酒を持たされ、何もない枯れ木の積み重ねを怪訝な顔で見つめていた。
 
白ひげ海賊団流キャンプファイアーは、アンのショーから始まる。
 
アンは組み木の2メートルほど手前で立ち止まった。
そして4メートルある組み木の頂点に向かって、一本のボトル、酒瓶を振りかぶって投げた。
 
村人から控えめなどよめきが上がる。
代わりに白ひげクルーからははやし立てる声が上がった。
栓のされた酒瓶は、くるくると回りながらまっすぐ組み木の頂点へと飛んで行った。
 
 
 
アンの右腕が上がり、細い人差し指が狙いを定める。
人の目が追い付かないスピードで閃光がアンの指先から放たれ、瓶は激しい音ともに砕け散った。
今度は村人から悲鳴のような声が上がった。
 
 
アンの火銃は酒瓶を砕くだけではなく、その中身のアルコールに火をつける。
燃え盛った液体は、覆いかぶさるように組み木に降りかかった。
そしてすぐさま、組み木の中心からは吹き上がるような炎が上がった。
 
 
 
豪華なショーの成功に、クルーは歓声を上げて乾杯を始めた。
アンが満足げな顔で白ひげにVサインを送ると白ひげも特別嬉しそうな顔を見せた。
 
 
 
 
代わりに、島の住人たちだけが動きを止めた。
彼らと乾杯をしようとしたクルーたちが少しずつその異様な様子に気づき始める。
住人たちは呼吸を忘れたようにアンを見つめた。
 
少しずつ、クルーたちの歓声が減っていく。
様子に気づいたマルコも、サッチも、そしてアンも首をかしげた。
そしてついに広場からはすべての音が消え去った。
 
 
 
「…えー、と。なに?」
 
 
 
 
アンが肩をすくめた。
口を開いたのは誰かわからない、住人の一人だった。
 
 
 
 
「…神、」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 

 
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さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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