OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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*【拝啓不死鳥様】をふまえています
ぷるぷると電伝虫の震えが受話器越しに手のひらに伝わると、いやにドキドキした。
たった数秒のそんな緊張感が何分にも感じられて、じわりと汗ばむ手が受話器をぎゅっと握りしめた。
コール音がもどかしくて、少しいらいらして、同時にわくわくして、たまらなく切ない。
ガチャリと電伝虫が鳴いた。
回線千里を繋ぐ
「もっ、もしもし?」
「…エースかい」
「ああ」
聞こえてきたのは久しぶりの低い声で、早く出ろ馬鹿野郎と思いながらかけていたのにマルコが出たら出たでなぜか焦り、エースは汗ばんだ手で握っていた受話器を取り落しそうになった。
しかしそれと同時にとてつもない安心感がどしりと肩にのしかかって、腰の力が抜けた。
今この電伝虫は、我が家とつながっているのだ。
マルコに応えた「ああ」という声は、返事よりも安堵のため息のほうが比重が大きい。
「ひさしぶりだな」
「本当だよい」
「手紙届いた?」
「一昨日な」
「オレ3週間くらい前に出したんだけどな」
「疲れ切ったクーが運んできたよい」
やっぱりアイツじゃまずかったか。
頭悪そうだったもんなあ、遠いところまで運ばせて悪いことしたな。
そんなことを思いながら、まあ届いたならよかったよと呟くように言った。
「今部屋だろマルコ」
「お前がオレの部屋にかけてきたんだろい」
「へへっ、だってマルコが一番自分の部屋にいるだろ」
「オヤジでもよかったじゃねぇかい」
「オヤジに直通なんて、びっくりさせたら悪いだろ!」
「オレならいいのかよい」
ははっと笑ってごまかして、まあとりあえず、とエースは今いる場所、集めた情報、そして今後の予定を如才なく伝えた。
「…ああ、よくやったよい」
「よくって、たいした成果ねーじゃん」
「いや、成果なんてモン」
なくてもいい、とマルコは続けなかった。
エースが船を飛び出した行動そのものを否定する言葉を飲み込んでくれたのだと、わかった。
ほっと息をついたような心地がして、マルコがまだこの旅に反対していたら、まだ怒っていたらどうしようかと心配していた自分に気付く。
いつまでたってもこの家族のうちで自分は末っ子で、怒られることが常だったのだとあらためて思い出した。
「弟に会ったんだろい」
「! そう!!ちょっと聞けよ!」
ひなびた食堂の端の席に腰かけて、電伝虫の眠たげな目を空いている手でいじっていたエースは、もたれていた椅子の背からがばりと身を起こした。
電伝虫が表すマルコの目が、少し驚きで見開いた。
「もうオレァびっくりしたぜ、ほんと、ルフィが、なあ!おい!!」
「…喋りてぇならもうちょっと要領を得て話せよい」
「だって!なあ!もうオレ感動しちまってよぉ!」
「んな取り乱して、弟に引かれやしなかったかい」
「バカだなあマルコ、ルフィの前じゃしっかりオレァ兄貴だぜ?こんな、くぅ、ああ、また会いてぇ!!」
食堂の親父が絶叫するエースを迷惑そうな目でちらりと見た。
背中の刺青を惜しげもなくさらしたまま店で馬鹿食いをして目立ったため、その店の閑古鳥は輪をかけて鳴いてしまった。
しかしおかげで人目、というより人の耳を気にせず会話することができる。
エースは構わず大声で自分の見た弟の姿を幾分かの脚色付きでマルコに語り聞かせた。
もちろん問わず語りである。
「…でな、これがまた色っぽい姉ちゃんを連れててだな」
「へえ、そりゃまた若造のくせにやるじゃねぇかい」
「だろ」
マルコが笑った気配が受話器越しに伝わって、エースも返すようにへへっと笑った。
しかしなんでだか次の言葉が続かない。
エースが不意に黙りこくると、奇妙な沈黙が漂った。
そう言えば自分が喋ってばかりで、マルコの話を聞いていなかった。
「…みんな元気か」
「ああ、今のところな」
「航海は」
「順調だ」
「…ステファンはメシ食ってるか」
「心配しなくてもハルタが世話焼いてるよい」
「2番隊は、サボってねぇか」
「…まぁ、最初のうちは泣いたり叫んだりで邪魔くさかったがねい。今はオレの管轄下で上手いこと働いてくれてるよい」
「…そうか、あ、オヤジはなんか言って」
ああ、とエースの言葉を遮ったものの、マルコからすぐには言葉は続かなかった。
しばらくして、問題はねぇよいと返ってくる。
「おめぇのこと心配してるが、身体の方も今はこれといってまずいこたぁねぇし」
「そうか、よかった」
思わず、エースは受話器を口元にあてたまま頬を緩めた。
しかしすぐに、紡ぎかけた言葉に迷う。
落ちた沈黙をごまかすように意味もなく数回まばたきしてから、おずおずと口を開いた。
「…アンタ、は。元気か」
ふっと、電伝虫の目元が和らいだ。
「ああ、元気だよい」
「…メシ、食ってるか」
「言われたとおりお前の分まで食ってるよい」
「うそつけ…あ、よ、4番隊はどこが」
「ジョズが見てる」
「そ、うか、悪いな…」
「お前が謝ることなんざねぇ」
そうか、と聞こえないほど小さく呟いた。
またもや口を閉ざしたエースに、不意にマルコがくくっと笑った。
「なに、もうホームシックなのかい」
「バッ…!ガキ扱いすんじゃねぇ!」
「はいはい」
ムキになって反論した。
でも、こんなにも苦しいほど『家』が恋しいなんて、ホームシックと呼ばずに何と呼ぶだろう。
受話器の向こうでいまだ笑っているマルコは、電伝虫が伝えるエースの表情に気付いたのかゆっくりと笑いを飲み込んだ。
「マルコ」
「ああ」
「会いてぇなあ…」
その言葉を噛みしめるように、マルコが、マルコの表情を伝える電伝虫が、目を閉じた。
目的を果たさない限り口にできない「帰りたい」の言葉を伝える代わりに、これほど的確な言葉があるだろうか。
会いたいんだ、と強く思った。
クルーに、オヤジに、マルコに、サッチに。
「まったくだよい」
マルコは目を閉じたままそう言った。
「…オヤジにもいろいろ、話してやれよい」
「ああ…」
「隊員たちにも取り次ぐから、覚悟しとけよい」
「わかってる」
受話器を持ったまま、エースは叱られた子供のように俯いた。
今から続く言葉は、「それじゃあな」だ。
言いたくなかった。
「エース」
「ん…」
「早く帰ってこいよい」
ぎゅっと奥歯を噛みしめた。
そうしないと、思わぬ何かがいろんなところからこぼれ出そうだった。
うれしいのに、いとしすぎてかなしい。
エースが答える前に、マルコが口を開いた。
「このままオヤジの部屋繋いでやるよい」
「ああ…サンキュ」
「そんじゃあ、また」
「…また」
マルコが回線を回し電伝虫が保留のために目を閉じる一瞬の間に、自分でも聞き取れないほどの願いをどこかの誰かに猛烈な速さで願った。
どうかオヤジの身体が悪くなりませんようにこのオッサンがメシも食わずに病気になってぶっ倒れたりしませんようにサッチが海に還れていますようにどうかみんな無事に前へ進みますように。
電伝虫がまたぷるぷると鳴きだして、ああ生きて帰れますようにというのを忘れたと思ったが、まあそれはいいかと思った。
ぷるぷると電伝虫の震えが受話器越しに手のひらに伝わると、いやにドキドキした。
たった数秒のそんな緊張感が何分にも感じられて、じわりと汗ばむ手が受話器をぎゅっと握りしめた。
コール音がもどかしくて、少しいらいらして、同時にわくわくして、たまらなく切ない。
ガチャリと電伝虫が鳴いた。
回線千里を繋ぐ
「もっ、もしもし?」
「…エースかい」
「ああ」
聞こえてきたのは久しぶりの低い声で、早く出ろ馬鹿野郎と思いながらかけていたのにマルコが出たら出たでなぜか焦り、エースは汗ばんだ手で握っていた受話器を取り落しそうになった。
しかしそれと同時にとてつもない安心感がどしりと肩にのしかかって、腰の力が抜けた。
今この電伝虫は、我が家とつながっているのだ。
マルコに応えた「ああ」という声は、返事よりも安堵のため息のほうが比重が大きい。
「ひさしぶりだな」
「本当だよい」
「手紙届いた?」
「一昨日な」
「オレ3週間くらい前に出したんだけどな」
「疲れ切ったクーが運んできたよい」
やっぱりアイツじゃまずかったか。
頭悪そうだったもんなあ、遠いところまで運ばせて悪いことしたな。
そんなことを思いながら、まあ届いたならよかったよと呟くように言った。
「今部屋だろマルコ」
「お前がオレの部屋にかけてきたんだろい」
「へへっ、だってマルコが一番自分の部屋にいるだろ」
「オヤジでもよかったじゃねぇかい」
「オヤジに直通なんて、びっくりさせたら悪いだろ!」
「オレならいいのかよい」
ははっと笑ってごまかして、まあとりあえず、とエースは今いる場所、集めた情報、そして今後の予定を如才なく伝えた。
「…ああ、よくやったよい」
「よくって、たいした成果ねーじゃん」
「いや、成果なんてモン」
なくてもいい、とマルコは続けなかった。
エースが船を飛び出した行動そのものを否定する言葉を飲み込んでくれたのだと、わかった。
ほっと息をついたような心地がして、マルコがまだこの旅に反対していたら、まだ怒っていたらどうしようかと心配していた自分に気付く。
いつまでたってもこの家族のうちで自分は末っ子で、怒られることが常だったのだとあらためて思い出した。
「弟に会ったんだろい」
「! そう!!ちょっと聞けよ!」
ひなびた食堂の端の席に腰かけて、電伝虫の眠たげな目を空いている手でいじっていたエースは、もたれていた椅子の背からがばりと身を起こした。
電伝虫が表すマルコの目が、少し驚きで見開いた。
「もうオレァびっくりしたぜ、ほんと、ルフィが、なあ!おい!!」
「…喋りてぇならもうちょっと要領を得て話せよい」
「だって!なあ!もうオレ感動しちまってよぉ!」
「んな取り乱して、弟に引かれやしなかったかい」
「バカだなあマルコ、ルフィの前じゃしっかりオレァ兄貴だぜ?こんな、くぅ、ああ、また会いてぇ!!」
食堂の親父が絶叫するエースを迷惑そうな目でちらりと見た。
背中の刺青を惜しげもなくさらしたまま店で馬鹿食いをして目立ったため、その店の閑古鳥は輪をかけて鳴いてしまった。
しかしおかげで人目、というより人の耳を気にせず会話することができる。
エースは構わず大声で自分の見た弟の姿を幾分かの脚色付きでマルコに語り聞かせた。
もちろん問わず語りである。
「…でな、これがまた色っぽい姉ちゃんを連れててだな」
「へえ、そりゃまた若造のくせにやるじゃねぇかい」
「だろ」
マルコが笑った気配が受話器越しに伝わって、エースも返すようにへへっと笑った。
しかしなんでだか次の言葉が続かない。
エースが不意に黙りこくると、奇妙な沈黙が漂った。
そう言えば自分が喋ってばかりで、マルコの話を聞いていなかった。
「…みんな元気か」
「ああ、今のところな」
「航海は」
「順調だ」
「…ステファンはメシ食ってるか」
「心配しなくてもハルタが世話焼いてるよい」
「2番隊は、サボってねぇか」
「…まぁ、最初のうちは泣いたり叫んだりで邪魔くさかったがねい。今はオレの管轄下で上手いこと働いてくれてるよい」
「…そうか、あ、オヤジはなんか言って」
ああ、とエースの言葉を遮ったものの、マルコからすぐには言葉は続かなかった。
しばらくして、問題はねぇよいと返ってくる。
「おめぇのこと心配してるが、身体の方も今はこれといってまずいこたぁねぇし」
「そうか、よかった」
思わず、エースは受話器を口元にあてたまま頬を緩めた。
しかしすぐに、紡ぎかけた言葉に迷う。
落ちた沈黙をごまかすように意味もなく数回まばたきしてから、おずおずと口を開いた。
「…アンタ、は。元気か」
ふっと、電伝虫の目元が和らいだ。
「ああ、元気だよい」
「…メシ、食ってるか」
「言われたとおりお前の分まで食ってるよい」
「うそつけ…あ、よ、4番隊はどこが」
「ジョズが見てる」
「そ、うか、悪いな…」
「お前が謝ることなんざねぇ」
そうか、と聞こえないほど小さく呟いた。
またもや口を閉ざしたエースに、不意にマルコがくくっと笑った。
「なに、もうホームシックなのかい」
「バッ…!ガキ扱いすんじゃねぇ!」
「はいはい」
ムキになって反論した。
でも、こんなにも苦しいほど『家』が恋しいなんて、ホームシックと呼ばずに何と呼ぶだろう。
受話器の向こうでいまだ笑っているマルコは、電伝虫が伝えるエースの表情に気付いたのかゆっくりと笑いを飲み込んだ。
「マルコ」
「ああ」
「会いてぇなあ…」
その言葉を噛みしめるように、マルコが、マルコの表情を伝える電伝虫が、目を閉じた。
目的を果たさない限り口にできない「帰りたい」の言葉を伝える代わりに、これほど的確な言葉があるだろうか。
会いたいんだ、と強く思った。
クルーに、オヤジに、マルコに、サッチに。
「まったくだよい」
マルコは目を閉じたままそう言った。
「…オヤジにもいろいろ、話してやれよい」
「ああ…」
「隊員たちにも取り次ぐから、覚悟しとけよい」
「わかってる」
受話器を持ったまま、エースは叱られた子供のように俯いた。
今から続く言葉は、「それじゃあな」だ。
言いたくなかった。
「エース」
「ん…」
「早く帰ってこいよい」
ぎゅっと奥歯を噛みしめた。
そうしないと、思わぬ何かがいろんなところからこぼれ出そうだった。
うれしいのに、いとしすぎてかなしい。
エースが答える前に、マルコが口を開いた。
「このままオヤジの部屋繋いでやるよい」
「ああ…サンキュ」
「そんじゃあ、また」
「…また」
マルコが回線を回し電伝虫が保留のために目を閉じる一瞬の間に、自分でも聞き取れないほどの願いをどこかの誰かに猛烈な速さで願った。
どうかオヤジの身体が悪くなりませんようにこのオッサンがメシも食わずに病気になってぶっ倒れたりしませんようにサッチが海に還れていますようにどうかみんな無事に前へ進みますように。
電伝虫がまたぷるぷると鳴きだして、ああ生きて帰れますようにというのを忘れたと思ったが、まあそれはいいかと思った。
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さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。
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足りん
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