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思わず声が上がりそうなほど強い力で腕を掴まれた。
自分の眼の中に思わず不安の色がよぎったのが自分でも判った。
だがそれも振り払うように、ぐっと強い光を放って相手を睨みかえす。
「だれだよい。離せ」
しあわせの足音
男は波打つような長い髪を持っていて、小さく口端をあげていた。
笑っているが、目の光はつよい。
思わず手に持っていた本日の収穫を落としそうになった。
「ガキが。物騒なもん持ってんじゃねぇよ」
そういう男の視線はオレの薄汚れたジャンバーのポケットに走った。
ここにはオレの必需品が入っている。
男の腕を振り払おうとしたが、力を込めることもかなわぬほどの力がおれの腕を圧迫している。
「腹減ってんのか」
「・・・」
「親は」
「いねぇよい」
「・・・家族は」
「・・・いねぇ」
「そうか!!」
男はあっさりとオレの腕を離した。
じゅんっと掴まれていた部分に血液が戻って熱くなる。
次の瞬間、男の分厚い手が頭の上に伸びてきた。
掴まれる殴られる、そう判断したおれはとっさにポケットに手を伸ばす。
だがその手はポケットに入れられる前にとまった。
男の手は、オレの脳内をかきまぜるほど荒くオレの頭を撫でていた。
「そうかそうか!家族がいないのか!」
これでもかと言うほど目は弧を描き、口は大きく開かれている。
思わずあっけにとられて見つめ返した。
「お前、オレの息子になれ!!!」
・・・・・・・・・
思わずきょとんと見つめ返してしまい、はっとして次はちゃんとポケットからナイフを取り出した。
「・・・ばかじゃねぇのかお前!!な、何がもくて」
言葉が終わる前に、男はおれが持っていたナイフの柄を、よっ、と掴んでいとも簡単に取り上げると、近くのゴミ箱に放り投げた。
ホールインワン。
「言っただろ、物騒なもの持ってんじゃねぇ」
それだけ言うと、男は一歩おれに近づいた。
反射的に目を閉じてしまったおれは、ふわりと内臓が浮かぶ感覚に驚いて目を開ける。
地面が遠くにあった。
「なっ・・・!離せ!離せよいっ!!」
「まあ落ち着け。飯を食おう」
暴れまくるおれを容易く担いだ男は、そのまま意気揚々と飯屋へと歩を進めた。
がつがつと目の前のものを食い散らかしていくオレを、男は酒を飲みながら黙って見ていた。
無理やり座らされて、さあ好きなものを食えと言われたが素直に言うはずもない。
男はふっと笑ってから適当に注文をした。
目の前に出された料理はここ何カ月、いや何年と見たことのないごく一般の料理で、思わず喉が上下に動いた。
「食わねぇのか?」
男は至極面白そうにオレを見下ろす。
くるるるるとオレの腹は男に返事をした。
「グラララララ!!!」
突然上がった意味不明な声に男を見上げると、どうも笑っているようだ。
「くわねぇとオレが食っちまうぞ」
その言葉に、オレはスプーンを素早く握った。
何年かぶりに腹が満たされ、気分が落ち着いた。
それと一緒に疑問が再浮上した。
この男、オレに息子になれって言わなかったか?
「食ったか」
男は店のマスターに勘定をすますと、さあ行くぞとオレを促した。
狼狽するような視線を返すと、男はにっと口端を上げる。
穏やかな気分で考えてみると、こうやって人に笑い掛けられたのはすごくすごく久しぶりなんじゃないかと思った。
もう一度聞いておこう、と男は言う。
「おめぇ、オレの息子にならないか?」
じっと男を見上げると、男はひゅっと目を細めた。
「・・・なれるのか」
「あ?なんだって?」
「・・・『息子』って、なろうとすればなれるもんなのか」
男は一瞬ぱちくりとまたたきをし、また訳のわからない笑い声をあげた。
「なれるさァ!!お前がオレをオヤジと呼びゃあ、お前はオレの息子だ!!」
どくどくと、心臓が波打つ。
ぐっと、拳に力を込めた。
「・・・オ、オヤジ・・・」
「グララララ!!!」
オレの息子よ!
そう言って、男はオレを抱き上げた。
とても高くから見た世界は、オレの世界をひっくりかえした。
(そういやぁ、お前名前は)
(マルコだよい)
(そうかそうか!マルコ、お前も今日から海賊だ!)
(・・・海賊・・・!?)
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麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。
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