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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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ぐりぐりぐりぐり────


船が揺れると部屋は傾く。どんと広い室内、向かい合う十六個の椅子、各々が手に持つ数枚の書類。
白ひげ海賊団の一日を締めるのは日課である十六人の隊長たちによる会議で、その日一日の反省、翌日の大まかな予定、または今後の停泊の算段等について話し合われる、いたって真面目な空間である。


ぐりぐりぐりぐり────


「あー、三番隊は見張りだよい。オヤジが飲み過ぎないようにも注意してくれ」
「おう」
「5、7番隊は武器庫の整理を頼む」
「ああ」
「4番隊は食料調達だい」
「了解」
「あとは」


マルコが一枚紙をめくると、他の男たちもバサバサと乱暴な手つきでページをめくった。そこには三週間ぶりである明日からの停泊の予定が綴られている。

ぐりぐりぐりぐり────


ちら、とブラメンコがマルコを見た。他の隊長たちを見渡すと、ハルタやイゾウなんかは涼しい顔をして書面に目を落としているがキングデューあたりはブラメンコと同じようにマルコを気にしている。
張本人のマルコはいたって無表情を貫き通しているが、その背中にぐりりと押し付けられているものは明らかに何かを主張しているし、二番隊の椅子は空いていた。
ブラメンコはたまらず口を開いた。

「なあ、アンの奴どうしたんだ」
「マルコのベッドの上で菓子食いながら寝てたら夢見て発火して、シーツ燃やしたらしい」
「ああ、それでど叱られたと」
「口聞いてもらえねェらしいぜ」
「てめぇら何無駄口叩いてやがる」


眉間に深く皺を刻んだマルコが、口を動かしていたブラメンコとラクヨウをくいと羽ペンで指した。いくら自分が隊長と言えど、こういう顔をしたマルコを刺激するのは適策ではない。
よって彼等は慌てて口をつぐんだ。
サッチだけはさも面白いというように肩を、そして自慢のリーゼントを揺らしてけらけら笑う。それに対してもマルコは不機嫌な視線を送った。


「何笑ってんだい」
「無視してやんなよマルコ、さすがに可哀相んなってきた」


サッチの言葉に、背中でうごめく頭がぴたりととまった。マルコの返事を待っているらしい。マルコは背中に受ける圧力に対してわざとらしいため息を存分に吐き出して、振り返るように首だけ動かし背中に纏わり付くものに視線を落とした。


「席に戻れ、アン」
「マルコ!」


声を発した瞬間顔を上げたアンの形の良い目からはぶわっと液体が溢れ出し、構わずマルコのシャツを濡らす。
アンはそのまま腕を回してマルコの胴体に巻き付いた。


「うおっ、てめぇ抱き着くんじゃねぇよい! 鼻水垂らすなっ!」
「うううマルコが口聞いてくれないから」
「わかったわかったもういいから離れろい」


顔面から出る液体を全てというほど流しながらアンはマルコに擦り寄ろうとしたが、マルコの角ばった手がアンの額を抑えて全力で阻止している。
残念ながらそんな光景も見慣れたもので、隊長たちはもはやどちらにエールを送るべきかわからないので会議が中断しようと黙ってため息を吐くだけだ。アンの味方をしてマルコに睨みつけられるのも面白くないし、マルコの肩を持てば可愛い妹に嫌われてしまう。


「アンは本当にマルコが好きなんだな」

ふいにナミュールが呟いた。今日寒いなとか、腹が減ったなとか、そんな一言と同じように。


「は?」


高低差のある声が綺麗にそろった。
アンを抑えたまま動きを止めたマルコは眉間の皺を深くして振り返り、アンはきょとんと見返した。


「あれ、違った?」


マルコの無言の剣幕に圧され、ナミュールは慌てて口をつぐむが遅い。
サッチは構わずにやにやと、マルコいわく気分の悪い笑い方で二人を見やった。


「馬鹿なこと言うんじゃねぇよい、なんでこのガキが」
「あたしマルコが好きなの?」


面倒臭げにぐりぐりとアンの額を擦りながら訂正をいれようとしたマルコの言葉は、アンが発した問い掛けに飲み込まれてしまった。
アンは珍しく深刻な顔をサッチに向けたまま静止している。
サッチはというと、零れでる笑いを抑えきれず口元を手で覆いながらアンの問いに答えた。


「なんだアン、自分で気付いてなかったのか」


アンはゆっくりと目線を変え、自分の額を抑え距離をとろうとするマルコを見上げた。
そうだ、なんではっきりとこの言葉に辿りつかなかったんだろう。引き攣り顔のマルコを見上げてアンはすとんと胸に落ちた言葉をそのまま口にした。


「すきだ、マルコ」


その言葉にマルコはぎょっとしたように片眉を上げ、慌ててアンの額から手を離す。
離れかけた手をアンは慌てて掴み引き寄せた。

「マルコ!好き!!」
「は?おわっ!」


そのままの勢いで抱きついてきたアンに、マルコは慌てて腰を引くがすでに遅く。細い腕は意外にも力強くマルコを引き寄せた。


「はなれろい!」
「い、や、だ!マルコ!あたしマルコが好きなんだって!」
「他人事みてぇに言うくせに何が!」
「マルコっ、すきっ」
「テメェ、サッチ!!余計なこと吹き込みやがって」



マルコの怒号が室内に響くが、サッチは涼しい顔をして他の隊長たちと視線を合わせた。


「今更じゃねぇか」
「ああ、まったくだ」
「アンがマルコを好きなことなんて」
「衆知の事実だな」


口々にとびだす言葉にマルコは細い目を見開いて、それからぎろりと鋭く隊長たちを睨みつけた。


「そんなことオレが知るかよい! おいこれどうにかしろ!」


一歩間違えばシャツの仲までもぐりこんできそうな勢いで背中に頬を寄せるアンを引き剥がそうとマルコは躍起になるが、一向にアンは好きだー!と叫びながら離れようとしない。コントのようなやり取りに、あははとサッチは笑って席を立った


「じゃ、明日の予定も決まったし、解散すっか」


サッチの一声で、おー、と隊長たちが腰を上げる。渦中のマルコだけが蚊帳の外である。


「おいっ!放ってくなよい!」
「アン、マルコよろしくな」
「うん!」


隊長たちがぞろぞろと部屋を後にしていく。何が「うん」だ、とマルコはやっとの思いでアンを引き剥がした。 名残惜しげにアンの腕が宙をかく。


「てめぇなんのつもりだい」
「なにって、だからマルコが好きなんだって」
「お前な、ありゃあサッチの誘導尋問じゃないかい」
「ちがう!」
「いいや違わねぇ。ガキが惚れた腫れたもわかんねぇくせに」
「わかるもん」


くいつくように見上げる強い視線に、マルコは一瞬たじろぐ。
ちゃんと好きだもん、と。
ぽつりと零された言葉に血流が早くなった気がした。


「もういい、部屋にもどれ」
「やだ」
「てめぇな」
「だってマルコがちゃんと聞いてくれない」
「お前、誰だってあんな言い方されてみろい、まじめに受け取れるかよい」


しばらく逡巡するかのような間があって、わかったとぽつりと呟いた。


「じゃあ明日から、頑張る」


は、何をと言いかけた時にはじゃあおやすみと逃げるようにアンは走り去ってしまった。
取り残されたマルコはしばし目を丸くしてから、その場にしゃがみ込んで深くため息をついた。

翌日から攻防戦は始まる。



マルコー!
うるせぇ寄ってくんな!
おはようマルコ今日もカッコいいね!
黙れさっさと仕事しろい!
ねぇマルコ好きだよ!
はいはいどっか行け。
もうっ、


「はやくこっち向け、このパイナップルが!」
「……テメェな」





2017.9.30加筆修正

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
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さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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