OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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マルコに、怒られた。昨日もその前も、怒られてたんだけどさ。
前までは、つまりあたしがマルコを好きだとか言い出す前は、ちょっと抱き着くくらいじゃ怒らなかったのに。
最近じゃ背後から忍び寄るだけで気付かれて、逃げられるか怒鳴られる。
あんな長い足でたったかと歩かれたら追いつけるわけがない。
なんだろう、この空回り感。
一方通行なのは初めからわかっていたのに、欲張りすぎたんだろうか。
気付かずに、ずっとマルコはあたしの兄ちゃんでいてくれたほうがあたしにとってもマルコにとってもよかったんだろうか。
めずらしく、後悔というものがちらりと頭をよぎった。
不意に、頭の上にずんと重みがかかる。
「サッチ」
「また怒られたのか。懲りねぇなあ」
サッチはあたしの頭に顎を置いたままそう言って、からからと笑う。
マルコの背中を見ながらそう言うから、一瞬まるでマルコに言っているように聞こえた。
「…マルコは、あたしのこと嫌いになっちゃったのかなあ」
そう呟くと、サッチはあたしの頭から顎を離して顔を覗き込み、緑色の目を子供のように丸くした。
「アンにしては弱気な発言じゃねぇか」
「あんまりマルコが嫌がるから」
「…んん、まあ。本気で欝陶しがってるのは確かだな」
わかってはいたけど、はっきりとそう示されると、さすがに気が沈む。
サッチがくしゃりとあたしの髪を撫でた。
「よし、可愛い妹のためにもここは兄ちゃんがアドバイスをくれてやろうじゃないの」
「…ほんと?」
サッチは得意げに鼻の穴を膨らませて、アンの背に合わせるように少し腰をかがめた。
「あのな、男っつーのは追い掛けられると逃げたくなるもんなんだ」
「そうなの?」
「そうなの。アンは追い掛けてばっかりだろ?だからマルコは逃げるんだ」
「なるほど」
画期的で、かつその通りに聞こえた。
「だからな、アン、今日は追い掛けるのやめろ」
「え」
「急にアンが迫ってこなくなったらマルコが心配するだろ?今度は逆にマルコが追い掛けてくれるぜ」
マルコが、あたしを?
想像してみたが、想像力が乏しいのか非常にぼんやりとしている。
しかし今の状況より良いことは確かだ。
サッチすごい!と称えると、サッチは誇らしげに笑う。
「さ、実践実践」
「よっしゃ」
*
食堂の戸を開けると、ふわりと食べ物の匂いが全身を包む。
クルー達が昼食をかきこんでいるテーブルの間を進んでいくと、あちこちから遅かったじゃねぇかと声がかかった。
あたしとマルコとサッチは、同じテーブルに座ることが多い。
別にジョズや他のクルーと食べたいときだってある、決まっているわけじゃない、毎日というわけじゃない。
でももう今は、マルコの隣で食べたいと素直な思いが形になっている。
(…いた。)
四角いテーブルに、マルコとサッチが向かい合って座っていた。
いつもならあたしは食事中のマルコの背中に飛び付いて、ひとしきり愛情表現をしたあとご飯を取りに行くのだけど。(ご飯よりマルコを優先することの重要性をマルコはわかってくれない)
サッチがあたしに気づいたようで、マルコに何か言っている。
マルコがゆっくり振り向き、警戒する動物のような目をこちらに向けた。
でもいつもなら走りよって飛びつくはずのあたしが悠々と歩いているからか、マルコは少し驚いたように目を見開いたもののすぐに視線を皿の中へと戻してしまう。
思いのほか反応が薄くて、思わず舌打ちが漏れた。
「よっ、アン」
「ごはん取ってくる」
マルコの後ろを通り過ぎる。
振り返ってマルコの反応を確かめたかったけどそんな余裕はなかった。
とりあえず、と大量のおかずをお皿に盛り付け、それを三皿もってテーブルへと戻る。あマルコの席を迂回するようにして、マルコの斜め前、サッチの隣に座った。
テーブルに皿を置きながらちらりと視線だけマルコに向ける。マルコは新聞を読みながら食後のコーヒーをすすっていた。
こっちを見もしない。
気づいてないの?
気づいてない振りしてるの?
もしかしていつもあたしが隣に座っているのも知らなかったとか?
「アン座れよ」
悶々と考えて立ち尽くすあたしに苦笑して、サッチはスプーンの柄でコツコツとテーブルを叩いた。
とりあえず席に着き、持ってきたおかずにスプーンを突き刺して口へ運ぶ。
少しサッチに頭を寄せるようにして囁く。
「ね、マルコ気づいてないのかな」
「さあ…気づいてはいるんじゃね、まあまだ様子見だな」
「ん…」
まだこれからだ、とぽんと背中を叩かれて少し気を持ち直す。
きっとそのうちあたしを追いかけてくれるんだろう、マルコも。
未だにあたしの想像力は微動だにしないが。
食事が終わると、ぱらぱらとクルーが食堂を後にする。
今日はあたしもマルコもサッチも午前中に仕事が終わっていて、午後は非番だ。
そういうわけで本当ならここでこうしてぐだぐだとサッチとくだらない話しをしながら、マルコのひげでも眺めていたいところだけど。
そんな思いを振り切って席を立った。
「お先っ」
出口へ歩を進めると、後ろから待ちに待った声。
「あ?もう行くのかい、珍しいねい」
キタッ
そう小さく心のうちで叫び、でも顔だけは努めて冷静に振り返る。
「な、んで?」
やば、噛んだ。
「別に」
マルコは再び手元の新聞に視線を落とした。
その顔には何の気持ちも浮かんでいないように見える。
あのポーカーフェイスが崩れたことなんてそうそう見ないのだけど。
思わず落胆の表情を浮かべたあたしを、マルコの代わりにサッチが見て、励ますように声を出さずに笑ってくれた。
サッチ、話が違うじゃんかとぶすくれる。
*
午後のおやつをもらいに食堂へ行く途中に一回、そして風呂前に一回、マルコに廊下ですれ違った。
あたしは飛びつくことも声を上げて駆け寄ることもせず、他クルーにするように軽い挨拶で済ませる。
「あ、マルコだ」とまるでアリの行列を足元で見つけただけのように興味の色を持たない声を出してみたりする。
それでもマルコはたいした反応も見せず、同じく他クルーに対するのと同じように接するだけだ。意味がない。
風呂で頭を洗いながらそんなマルコの姿を思い返しているとき、不意にハッとして顔を上げた。
垂れた洗剤が目に入って染みる。
いだだだだ、と声を上げて慌ててシャワーで洗い流すと、一緒に風呂に入っているナースの姉さんたちが優雅な笑い声を上げた。
しかしあたしは水と共に流れていく洗剤を見つめて愕然とする。
もしかして、マルコは、信じてない?
もしかしなくても、信じてない。
あたしがどんなにマルコが好きなのか、信じてない。
なんてこと、と思わず声が漏れそうだった。
好きだと思ったら伝えればいいのだと思っていた。
伝えたらすべてが丸く収まるのだと思っていた。
とんでもない。
あたしは空回りの日々を送って、マルコはそんなあたしに疲れ、まるで面白くない芝居のように毎日が過ぎていくだけだ。
あたしはそんな寸劇をマルコと繰り広げたいわけじゃない。
どうして、とそればかりが頭をよぎった。
あたしの伝え方が悪かったのだろうか。
それは一理あるだろう、ともう一人冷静な自分がどこかから声をかける。
うるさいな、と本能ばかりの自分が答える。
わからないことが多すぎるんだ、と諦めが冷たいタイルの床から足の裏を伝って登ってくるようで、頭から思いっきり水をかぶった。
わからないならわからないなりに突っ走るしか、あたしはやり方を知らない。
ましてや恋だとかなんだとか、そんな気持ちは持て余して仕方がない。
あたしは、ただマルコが好きだという思いしかわからないのだ。
はぁ、と深く深くため息をつくと、姉さんの一人が「あらぁしあわせが逃げるわよ」と明るくからかってくる。
しあわせもそりゃ逃げるよ、と口には出さずに答えた。
極めつけの、夕食後のマルコの一言を思い出す。
「ああなんか今日は肩が軽いよい。いい日だ」
話が違うよ!とあたしは叫ぶ。
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