OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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【マルアン】
街はきらびやかな装飾が施され、もともと浮ついた気分の人にはさらなる幸せをもたらすし、つまらない思いを抱く人には鬱陶しいとしか思えない。
一方では、それに見向きもしない人もいる。
はて自分は今までその中のどこにいたのだろうと、マルコは片手に薄っぺらい手のひらを握りながら考えた。
「はあああ、でっかい、木!」
「…木ってお前」
ツリーだろいとたしなめても無意味なのはわかっている。
マルコは懸命にツリーのてっぺんから根元までを見渡すアンを端目に捉えながら、自分も目の前の大きなツリーを見上げた。
ふたりのアパートから駅五つ分ほど、白ひげ社よりもさらに下ったところにある中心街。
そこの広場には12月に入った頃からこの大きな大きなツリーが飾られていた。
本物のモミノキに電飾を絡めて星やら天使やらをぶらさげたクリスマスツリーの光は夜の闇に浮かび上がり、誰もが足を止める。
しかしマルコは夜の姿より昼間の、あの物寂しいようなツリーのほうが好きだった。
飾りは細い枝には少し重そうで垂れ下がっているのがよく見える。
そして誰も目を留めない。
緑というより暗い黒に近い円錐のモニュメントには、なんとなく親近感のようなものが沸くのかもしれない。
ともあれ今は夜。
マルコとアンはふたり、着飾ったツリーを見上げて息を呑んでいる。
「…電球、何個くらいあるとおもう?」
「…千個くらいじゃねぇかよい」
「一個くらい、うちのトイレの電気に欲しいね。切れそうだから」
「うちのトイレを豆電球で照らすのは勘弁だよい」
そういうとアンはその様子を想像したのかけらけら笑いだした。
そして笑い顔をそのままに、ツリーに視線を戻す。
「クリスマス、ってこんなに実感したのあたし初めて、かも」
アンはツリーを見上げたまま、つぶやくようにそう言った。
弟とふたり年越しに精一杯だった日々がその言葉に十分すぎるほどにじんでいた。
「…じゃあ今年は、ひとつ達成だよい」
「クリスマスを?」
「そう。ツリーを見た」
「来年は?」
「ケーキを食べる」
「そん次は?」
「サンタからプレゼントをせしめる」
「それから?」
「サッチやら呼んでパーティーでもするかい」
アンは嬉しそうに笑って、楽しみだと呟いた。
マフラーの隙間から漏れ出す息は白く、鼻先は赤い。
「マルコがじいさんになったらあたしが車椅子押してツリーまで連れてったげるよ」
「…そりゃどうも」
【サンナミ】
その日の宴は、日が変わる頃になっても盛り下がりはしなかった。
主役であるはずのチョッパーはルフィの麦わら帽子をかぶったまま欄干にもたれてうつらうつらしていたが、他の誰も酒に伸ばす手を止めようとはしない。
ようやくウソップとルフィがつぶれて、ブルックがバイオリンを抱えたまま眠って、フランキーとロビンはワインをいそいそと注ぎはじめ、そしてゾロとナミが酒の種類を変えて飲み直し始めたときにはもう時刻は二時に近かったと思う。
たまたま冬島近くを航海中だが残念ながらホワイトクリスマスにはなりそうもないいい天気で、無数の星が上空に散っている。
波は穏やかで、ときおり船を揺するように動かすくらいだ。
「ちょっとゾロ、あんたその飲み方やめてってば。瓶に直接口付けないで」
「うるっせぇな、悔しかったらてめぇもやってみやがれ」
「そういうことじゃないでしょ…って、ねぇ、サンジくんは?」
「知るかよ、その辺で潰れてんじゃねぇか」
「いないわ」
どうでもいい、とゾロはナミの忠告も忘れてまた瓶を傾けて直接酒を呷った。
ナミは呆れたのか諦めたのか、怒ったように少し眉根を寄せただけでもう何も言わない。
「あたしにもちょうだい」
ナミが差し出したジョッキにゾロは黙って酒を注いだ。
「…いい日だったわね」
上向き気味に、真っ黒に混じり合った空と海の境を見つめてナミが呟いた。
ゾロは答えず、もう一度酒を呷る。
しかし珍しくホロ酔い程度に体があったまっていることが、気分上々のしるしだ。
「サンタが札束詰まった袋抱えて降りてこないかな…」
「てめぇは相変わらず雰囲気もへったくれもねぇな」
「やだ、あんたあたしにそんなこと求めてたの?」
「…いや、俺が悪かった」
そういう役割はコックがする、とゾロは瓶を口につけたままぼそりと付け足す。
ナミはそれを聞き流して、ゾロと同じようにジョッキを傾けた。
「…サンジくんキッチンかしら。何か作ってもらう?」
「握り飯が食いてえ」
「肴になんないでしょうがそんなの」
「うるせぇ、さっさとせびってこい」
ゾロはしっしと追い払う仕草をしてナミを立たせた。
「ったく、仕方ないヤツね」
「…そりゃあこっちのセリフだ」
なんのこと、と聞き返そうとしたナミに、ゾロはもう一度追い払う仕草をした。
*
キッチンの扉を開けると、カウンターの向こう側にサンジの横顔が見えた。
サンジのほうもすぐにナミに気づき、にへりと相好を崩す。
「どうしたのナミさん、おなかすいた?」
「んーん、っていうかおつまみでも作ってもらおうかなーって思ったんだけど、もうこんな時間だし。ゾロはおにぎりたべたいって」
ナミが椅子を引きながらそういうと、サンジはゾロの名を聞いた途端わざとらしく顔をしかめた。
「おにぎりってあいつ、まさかそれで酒飲むつもりか」
「そうみたい」
ふざけてやがる、とブツブツ悪態つきながらもサンジが米炊き用の釜を覗き込むのを、ナミはカウンターに頬杖ついてなんともなしに目で追った。
結局サンジは、要望のままにおにぎりを作る準備を始めた。
乾燥棚には宴に使った皿やグラスがキラキラ光る水滴をつけて行儀良く並んでいる。
コンロには大きな鍋がかかっていた。
明日の朝食用だろうか。
ナミを含む他のクルーたちがまだまだ騒いでいるときから、サンジは一人ここに戻って片付けと仕込みをしていたのかもしれない。
かもしれないじゃない、きっとそう。
「…サンジくんは、クリスマスも働き者ね」
「惚れた?」
「すぐにそういうこと言うから惜しいのよ」
イタイとこ突くなあ、とサンジは苦笑した。
「でもありがと」
「コックですから、当然。ていうかナミさん、それだけ?」
ナミはぱちりと瞬いた。
「それだけってなによ」
「や、だからさ、ありがとうだけじゃなくって、惚れたとかそういう」
「ぜんぜん」
ガクッと肩を落としたサンジは、なあなあとカウンターに乗り出してナミに顔を近付けた。
「え、ナミさんまさかオレが前言ったの冗談だとか思ってねぇよな?」
「好きだってやつ?」
「そう、好きだってやつ」
「いつも言ってることと変わんないじゃない」
「ちが、ちがうって言ったじゃん!なあ、オレ本当本気で…」
サンジの言葉は、ナミの眇めた目を見てう、と詰まった。
「そんな目で見るし…」
「日頃の行いのせいよ。自業自得!」
ばさりと切り捨てられたサンジは、かくりと頭を垂れてすごすごと厨房側に体を戻した。
「…本当に好きなのに…」
「そういう言葉は信用を伴ってから陸に足の付く女の子に言いなさい」
「そんなこと…」
はああ、と深く長いため息をつきながらサンジの手はきゅっきゅとご飯を丸める。
「オレのとこにもサンタさん来てくんねぇかなあ…来ねえよな…トナカイもう寝てるもんな…」
「袋に女の子詰めて持って来てくださいって?」
「ちがっ、ちょ、ナミさんほんと」
サンジは手の中のおにぎりをくるりとひとつ回すと皿にぽんと乗せ、慌てて手を洗った。
何をするのかとナミが黙って見ていると、慌てた勢いのままサンジは手を拭き冷たい手を伸ばしてナミの手首を掴んだ。
ナミはぎょっとして、頬杖から顎を外した。
「オレはあんたの本当の気持ちが欲しい。ごまかしたりじゃなくって」
「ちょ、サンジくん」
「冗談にしてぇのは、ナミさんのほうだろ?」
ぐ、と言葉に詰まったナミにサンジの目がにやりと笑った。
「な、もういいじゃん。追いかけっこはやめにしようぜ」
「別にあたしは」
「いいやしっかり逃げてる」
ナミは掴まれた手からゆっくり力を抜いた。
「仕方ないヤツ」という自分のセリフを思い出したからだ。
本当、悔しいけれど、ゾロの声を思い出す。
そのまま斜め下に目を逸らした。
「…あんたのそういうところが…」
「嫌い?」
「好きじゃない!」
「オレはナミさんのそゆとこ大好き」
ふん、とそっぽを向くナミの様子を特に気にしたふうもなく、ああとサンジは感嘆の息を漏らす。
「サンタさんありがとー…っつーかナミさんがオレのサンタか。ん?プレゼント?」
「知らないわよ」
「プレゼントでもサンタでもいいなー。ミニスカサンタだとなおよし」
「最ッ低」
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