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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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ハナノリさんにいただいた【37】に始まるシリーズのお話をハナノリさんにいただきました。
時系列的には前回より少し戻って37.02くらいのようです。















傷つかないからいくらでも。

そうやって言える男だったらよかったんだろうか。


君の気が済むまで、好きに使ってくれたらいい。

そんな風に言える男だったらよかったんだろうか。



それとも、
割り切った関係を楽しめる男だったらよかったんだろうか。




君が望んだのは、

どういう男だった?










**************







ブラックホール胃袋を船長に持つこの船の食糧在庫がそろそろ怪しくなり始めた頃、
ログの都合で折よく寄港の予定がついた。

二日後に控えたまだ見ぬ街の店屋がどうか当たりであることを祈りつつ、
日課である朝飯の仕込みに今まで腰かけていたスツールから尻を引っぺがす。

時刻は深夜。

一人静かではあるが、昼から煮込んでいる鍋の音だとか、
そこに動く湯気だとか、
全くの静謐ではないこの空間はコックの特権。

誰にも邪魔のされない時間には時折思わぬ来客もあって、
気まぐれな猫にとびっきりのサービスをすること含め、
自分の中で大切な時間だった。


それも、少し前までの話。



起きぬけの朝、騒がしい昼、
夕方でも夜でも、とにかく誰かが視界に入ってる時なら問題はない。

クソ野郎どもに死ぬほど食わせて、レディーたちに給仕。
そうしている間であればなんの問題もない。



深夜の仕込みの時間が、
そっくりそのまま後悔と反省とを一人反芻する時間に変わったのは、
最初にナミさんの誘いに乗った時。

反芻がどんどんと底なし沼のようになってきたのは、
最後にナミさんと二人きりになったあの夜から。







あの夜、俺は酷い顔をしていたんだと思う。

ナミさんが見張りのクソマリモのところへ行った。
そう気付いた時、俺はやりかけの作業を放置して、
ずっと、ずっと消えていったナミさんの姿を見ていた。

どうしてそこへ行って、そこで何を話して、

そして、何をしてるのか、

そんなことを勝手にぐるぐる想像してる間に、
足元に出来た吸い殻は何本にもなった。


いっそ白々しくつまみの差し入れでもして割り込もうかと考えて、
あまりに惨めだと止めた。

そうしているうちにナミさんが戻って来たのだ。


目が合って、
そこから、何を考えたかなんて、
わざわざ説明しなくてもすぐにわかったんだと思う。

ぐちゃぐちゃに煮詰まった嫉妬だった。
ドロドロしてひりついて、
ナミさんの細い両肩を揺さぶってなじってしまう寸前の。


ナミさんは俺のものでも何でもない癖に。





見張りじゃないことを確認して、マリモに用があったのかを確認して、

・・・・自分で言いながらバカみたいだと思った。


でも、聞きたかった『なんで?』の答えは知りたくなかったし、
『マリモのがよかった?』なんて応える姿すら見られないと思った。


勝手に嫉妬に狂ってる俺の姿を、
ナミさんは黙って見て、
そしてお手上げだと言う様に両手を空に向けて伸びをした。




「そりゃ、まぁ」


そうなるわ、と自嘲気味に零しつつ、鍋の様子を見る。
野菜の皮向きをしつつ、もうあの夜から何度も何度も繰り返し再生してきた瞬間は、
本日も自分の納得で停止した。

あれからナミさんと二人きりになることはない。





どうすればよかったのかなんて、わかりきっている。
最初の夜、ナミさんの誘いに乗らなければよかったのだ。

身体は手に入らなくても、
こんな風に心は絶対に手に入らないなんて絶望も知らずに済んだ。

(なのに、俺ときたら・・・)




「っイテ」

短く鋭い感覚が走って、指先を見ると見事に赤い筋が入っていた。

「こんな頻度で指先に傷作って見習いかよ」

剥いていた芋を置いて、洗うのも面倒で舐める。
舌の先に錆びた味が広がって溜息が洩れた。


普段と違うこと、例えば料理の味に変化が出るだとか、
心ここにあらずの様子を見せるとか、そんなことを晒せば彼女の負担になるから、
何でもない風を装って過ごした時はどのくらいだろう。

何でもないわけがない。


好きで、
好きで好きで好きで好きでたまらない相手と最奥まで繋がって、

なのに何も始まりさえしないこの関係。


持って行きどころのない気持ちは、
どこにもぶつけられず、

わかって抱えた癖にもういい加減重たくて、
そこら中で熱を持っていた。

大切にしたくて、困らせたくはなくて、

なのに、

時折、一番大事なナミさんに洗いざらいぶちまけて、
酷い人だと言いたくなる。



(・・・酷いのは、こっちだろ)










コン、と扉をノックする音が聴こえて、
弾かれたようにそちらを見る。

まさかと心臓が跳ねて、落胆しないように掛けた保険を女々しいと思っているうちに、
現実がドアを開けてやって来た。







「・・・・・・フランキー、珍しいな」
「期待はずれだったか?」

どこか悪かったともとれる言い様でやってきた男は、
作業に飽きて腹も減ってな、と肩を竦めてカウンターに座る。


「こんな夜中まで作業か」
「お前ェが言えた義理かよ。ノッてたから止めたくなくてな」

そうか、と応えて適当に夜食を作る。




出し終えたあと、煙草を吸って、そういやこうやって二人でここに居るのは初めてかと思った時、
丁度同じようなことをフランキーも口にした。


「ま、男が仕事場に独りでいる時ァ、入らねぇほうがいいしな」
「言ってることとやってることが矛盾してるぞ」

あ?と出された簡単なリゾット風のものをかきこみながら返事をした声は、
そこでスプーンを置き、(それは完食の合図でもあった)
げふっとクソお上品な音を響かせてこう続いた。


「ちょっと、いい加減気になっちまってよ」
「?」

何が、と問い返そうとして、カウンター向こうのフランキーの目とぶつかる。
サングラス越しだったから誤魔化せるかと思った瞬間、
それを押し上げて薄い水色がまともにこちらを覗き込んできた。

「お前ェ大丈夫かよ」

大丈夫、ととっさには言えず、
そもそも何のことだととぼけることも出来ずに、

ただただ真っすぐな視線が痛くて目を伏せて逃げた。


その様子を見てフランキーは、あー、とかいや、とか口ごもって、
バツが悪そうにサングラスを戻す。

「事情は知らねぇ。ただ、何となく、気になってな」



「俺に変わったとこでもあったか?」
「さぁ、ただ、俺はお前ェよりちっとばかし歳だけは食ってるからよ」

勘だ、と肩を竦めた仕草は出過ぎたことを謝っているようにも見えて、
勘ならクソ仕方ねェな、と思わず変な笑いが口をついた。










それから呑んだ。

珍しさも手伝っていつもの馬鹿騒ぎでの呑み方ではなく。

カウンターの表で。

延々。






何があったかを吐いたら、
ナミさんを貶める気がしたからそこは死んでも口にせずに居たけれど、
たぶんフランキーは何となく察していたんだと思う。




「欲しがらなけりゃ、結果それで手に入ったりするもんよ」
「・・・・・それいつだよ」
「急かすようじゃ無理かもな」
「クソやろう・・・」

ろれつの怪しい返事を適当に流した後は、
もういいから呑め、とだばだばジョッキに酒を注がれて半分無理やり口へ流し込まれる。

ゲホゲホと焼けた喉で噎せていると、
朦朧とした意識の端で笑っているような声が聞こえた。


「うまくいってもらいてぇと思ってるし」
「・・・・・」
「それにゃぁ、お前ェが踏ん張らねェと」


まぁ面倒な女はホント面倒臭くていけねぇな、そう続いたフランキーの言葉はもう途中から、
アルコールに溶けた脳みそでは理解できずにカウンターにずぶずぶと沈む。


どろどろになっていく頭でも仕込みの完了を確認していたのは、
明日の朝飯を出した時に、
笑う彼女の顔を見たいからで。



あぁ、そっか・・・


とりあえず、それがあればいいのか。




酒に沈んだ眠りにしては、思いのほか気分はよく、
この日の記憶はそこで切れた。















------------------------------------------------------------



(オマケ)




明け方ふらふらと甲板に出る。
そういえばと思い出しいい気分で見張り場所へ向かった。



「・・・風上に立たないでくれるかしら?」

お疲れさん、の言葉より先に食らったそっけない口調に肩を竦めると、
言われた通り本日見張りのロビンの風下へドカッと座る。
自分でも酒臭い自覚はあったので文句はない。


「こんな時間まで?」
「あぁ、サンジとな」

あら、と少しだけ目を丸くしたロビンにはその一言だけの裏でいろいろと考えることでもあるのだろう。

「・・・あなたお節介だものね」
「うるせーよ」

怒らないで褒めてるのよ、と小さく笑った声には少々気をよくして、ハァと溜息をつく。


「なんつーか、つくづく男はスーパーに憐れな生きモンだって思うぜ」
「あら自分のことを言ってるの?」
「そう聞こえたか?」

さぁどうかしら、と綺麗な笑顔を笑って流しておいて、
キッチンの方を見る。

「見てて危なっかしくてつい世話焼いちまったけど、」
「・・・よかったんじゃないかしら」


だといいけどな、と言った後は、
さて、スーパーにおはよう、とおやすみと、
いったいどっちの挨拶で別れるか、そんな下らない会話に切り替えて、
酒臭い身体で見張り場を後にした。







------------------------------------------------------------

(以下こまつなの叫び)


アニキィーーーーー!!!

まさかのフランキー登場に、わっしょいわっしょいでした(意味不明)
フランキーがいるということは、ここはサニー号なのねっ、と確認できたり。
でも3Dなつもりです、よね?

ノック音がしたとき、ほんとにナミさん来たのかと思ってめっちゃドキドキしました。
それまでぐーるぐるナミさんのことを考えてたんだから、サンジもそりゃどきっとしたろう。
どんな顔しようか、一瞬のうちにいろいろ考えたはず。
きっとそういうのも、フランキーはわかってんだろうなあ。

サンジは、こいつどこまで知ってんだ?もしかしてナミさんがロビンちゃんに言って、それがフランキーにまで伝わってんのかね、とか憶測してフランキーに対して自分をどこまで晒していいのか迷ったりしてね。
でもアニキの広い背中に思わず寄りかかってしまうんだ。

きっとサンジはそやって頼ったり晒したりすることは不本意だろうと思うので、それを強要することはしないフランキーですが、下っ端たちの世話を焼いてきたフランキーにとってはサンジのそういう内側に追い詰めてしまうところが心配なんだろなあと思ったり。


サンジとフランキーのサシ呑みは、新鮮すぎて非常に楽しいひと時でした!
ふたりの酒の強さにも言及したいとこですがひとまず置いておいて、フランキーは吐かせるつもりでサンジに呑ませたんじゃないんだろうなあと思って嬉しくなりました。
はなしの核の部分には二人ともあえて触れず、ただただ少しでもサンジの気持ちが軽くなればっていうフランキーの優しさよ。
でもそんな一晩やそこらで軽くなるようなもんじゃないことも、フランキーは重々承知してるのでしょう。

サンジにとっては、フランキーみたいに自分のことを心配してる、心配かけてると思うことがいい薬になるんじゃないかな、と思います。
いつでも自分のことは後回しな彼ですので、他の奴らに心配かけないようになんとかしないとって思うことが、いい意味でエネルギーになるんじゃないですかね。

ハナノリさんは、今後の展開で整合性が取れないようなら……と気にかけてくれましたが、むしろこのサンジエネチャージにより前回のような展開があったのだとしたら頷ける……
ハナノリさんすげえ



そんで最後のおまけ、フラロビ夫婦ね。
夫婦ね。
だって夫婦やん(・∀・)あはー

おっかしいな、私どっちかってとゾロビニストだったんだけどな。
最近周囲のフラロビ熱に巻き込まれつつあります。

正味、ロビンちゃんが幸せになれるならどっちでもよいのでしょうな。
もちろんフランキーじゃなきゃ!ゾロじゃなきゃ!とそのCPをまるごと愛してる方からしたらキッサマァ何中途半端なことを!!と思われるかもしれませんが。
元はと言えば、私はサンナミとマルアン以外はオーラキャラ推しですので、総受けとかそんなんでもなく、そのときによってキャラが一緒にいて気持ちいい人と一緒にいてほしいです。

話が逸れました。

最後のロビンちゃんの、「…よかったんじゃないかしら」が個人的にすごくすきです。

ロビンだって部屋でもんもんするナミさんと、キッチンで明るく振る舞うサンジを見て何度も溜息ついたはず。
誰かを好きになったりその人のために悩んだりをしてこなかったからこそ、ナミにはしあわせになってほしいとこっそり思ってるといいなあ。
それをナミに伝えることはしませんが、なんかの拍子にそれっぽいことをぽろっと言ってしまって、ナミが照れるもんだから一緒になって照れたりしてね。
なにそれかわいい!!!!!ダンッ







はい、長くなりましたが次のこまつな版で最後です。
お付き合いくださいましー。





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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
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さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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