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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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酒くさい人いきれが蒸した部屋に充満する。
きっと男臭いとはこういうことだろうと思うが、慣れというのは恐ろしい。
サッチにジョズ、そしてイゾウはオレの部屋で好き放題酔っぱらっていた。
特に何があったというわけではないが、イゾウが手に入れたという良い酒を味わわせてくれると珍しく気前の良いことを言うので、部屋に入れた。
執念じみたものを感じる鼻のよさでかぎつけてきたのがサッチで、ついでに部屋の前を歩いていたジョズも呼び込んだ。
イゾウのバカ笑いがほどよく酒のまわった頭に響く。
酔ってはいない。

いつもならいるはずの姿がないのは、今日はナースたちと女子会などというものがあるようで。
そういうものにあいつが参加していると知ったときは少し驚いたが、当然といえば当然だ。あいつは女なのだから。
女というか、まだ少女的性質から抜け出せていない子供だ。
だからまたナース共から要らぬ知識を吹き込まれてオレに押し付けてくるのだろう。


「マルコほら、グラスが空んなってるぜ」



イゾウがちょいちょいと酒瓶をかざすので、悪ぃなと注いでもらう。



「なんだ、アンがいねぇからしょげてんのか」
「ちげぇ、つーかしょげてねぇ」



思わずムキになって反論すると、イゾウはそうかいそうかいと軽くあしらう。
腹が立って、そのいい酒をグイと一気に喉の奥まで流し込んだ。
ぴりぴりと咽喉がしびれる。


「あぁでも、アンも殊勝だな、こんな無機質男に惚れちまって」



イゾウはしみじみそう言いながら、猪口を傾けた。
 

「…あいつは、わかってねぇんだよい」


よくは知らないが、それなりに不遇な子供時代を送ってきただろうアンが同じ年頃の女のように誰かを思ったり思われたりなど出来ていたとは思えない。
この船に乗ってからも見ての通りいかつい野郎ばかりで、サッチなどの女好きもいるにはいるが、世間一般の恋愛常識などとは無縁な生活を送ってきたはずだ。

そんなアンが、突然オレのことが好きだとか言う。
いや、前からそんな類のことは口にしていたが、それは間違いなく今とは意味合いが違った。
あいつは家族として、オレのことが好きで。
オレのこともサッチのこともビスタもイゾウもハルタもジョズも、とみんなのことが好きで。
もちろんオヤジへの愛は際限ない。


アンは可愛い。
たとえアンが男でも、オレはそいつを可愛いと思うだろう。
だがそれでは今のアンは納得しないのだ。
何故ならあいつは女として、男のオレが好きなのだから。


「…オレ、アンに聞かれたぞ」
 

マルコには好きな女がいるのかって、だから振り向いてくれないのかって。
こういう話は基本的に聞き役のジョズが、控え目に口を開いた。

オレに、女?馬鹿かあいつは。
サッチはオレの返事を待つように視線を送っていた。



「…そんなもんいねぇのはわかってんだろい」
「ああ、だからそう言ったんだが」


 
アンはそれを聞いただけで去ってしまったのだという。
ねぇねぇマルコってさ、と手当たり次第に訪ねて回るアンの姿が容易く目に浮かぶ。
くっ、とイゾウが喉を鳴らした。
 

「もうお前から落ちちまえよ」
「…は?」
「アンにだよ、わかってんだろ?」
「なんでオレが」
「なあサッチ、オレら可愛い妹に幸せになってもらいてぇもんな」



イゾウが視線をやった先にオレも目をやると、サッチは酒瓶に口をつけたままちらとこちらを見遣る。



「…ああ」



ごくりと喉を鳴らしたサッチは酒瓶を置き、いつものように片眉を吊り上げるようにして笑う。


 
「オレなんか毎日だぜ、マルコの好きなタイプやらいろいろと」
「もとはといやあテメェが元凶じゃねぇかい」
 
 
そうだ、こいつが焚き付けたんだと、睨むように前の男を見ると、隣のイゾウがいやそりゃ違うと口を挟んだ。


「アンはだいぶと前からお前一本だったぜ」


 
本人の認識はさておきな、と。



「なんでお前がそんなのわかるんだい」
「はっ、わかってねぇお前のほうがオレにゃわかんねぇよ」


なんだと、と口を開いくと、ジョズがオレも思ってたとぼそりと呟いた。
ああオレもだとサッチもそっけない。
その反応にオレは細い目を丸くするばかり。

いつもわけのわからない形に纏められているイゾウの髪が、今日は肩の辺りでゆるりとひとつに括られている。
イゾウはその束を指先で弄びながらオレに視線を送った。


「アンの何が気に入らないんだ。あいつは良い女だ」
「…気に入る気に入らないの問題じゃねぇ。あいつは家族で、妹だ。今更そんな目で見れるかい」
「はっ、オレァアンなら抱けるぜ」



イゾウのその言葉に目を剥いた。
あけすけない口調はいつものことだが、それにしてもと思わないでもない。
イゾウはオレの視線を流すように猪口に口を付けた。



「抱かねぇがな」


 
あいつは妹だから、と。



「矛盾しすぎだろい、やっぱり妹なんじゃねぇか」



そう言うと、次は呆れたような切れ長の目がオレを睨んだ。



「だからお前さんは阿呆だっていうんだ」
「なっ」
「オレからしたらアンは妹だ。アンがオレを兄貴だと思ってっからな。だがマルコ、お前さんはどうだ、アンはお前をもう兄貴だなんて思ってねぇ」


すらすらと薄い唇から紡がれるものに、言葉が詰まる。
言い返す言葉が引っ掛かりながらでてきた。


「…なんでそうオレとアンがくっつく必要があるんだい」
「別に必要はねぇよ、オレが思ってるだけで」


もう言うことはないとでも言うように、イゾウは手の酒を飲み干した。


「マルコ」



サッチが真っ直ぐオレを見ていた。
こういう目をするコイツは得意じゃない。


「いつまでもアンがお前しか見てねぇと思ってっと、後悔すっぞ」


イゾウがちらりとサッチを見遣り、再び視線を下ろした。
ジョズは所在なげに首筋に手をやる。


「そんなこと思ってもねぇし、後悔もしねぇよい」
「あっそ」
「オレがあいつに惚れるこたぁねぇ」


ぐらんと頭が揺れる。
だめだ久しぶりに酔った。
手元にあった酒をひったくり、煽るように傾けると喉が火を噴くように熱かった。

オレは別に、 ごまかしてなんかない。



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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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