OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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【手当】
あっ、と短い声が聞こえて振り向いた。
振り向いたものの、見えるのは半分開いたままの引き戸の向こうだけだった。
午後の丸い光をはらんだリビングルームが四角く切り取られている。
その向こうで、サンジくんがばたばたと歩き回っていた。
「どうかしたー?」
「や、大丈夫……ってて」
声の主は姿こそ見えないが、慌てたようにどこかの棚をひっくり返しているようだった。
ばさばさと物が床に落とされる音がする。
私は手にしていた夏服をケースに押し込み、腰を上げた。
リビングへと踏み込むと、嗅ぎ慣れないアルコールの香りがツンと鼻を突いた。
サンジくんはフローリングの上にあぐらをかいて、こちらに背を向けていた。
「どうしたの?」
「蜂に刺されたみてェ」
「蜂!?」
慌てて彼の前に回り込むと、左手の節くれだった細い指をもう片方の手がガーゼで押さえている。
「やだ、針は!?」
「わかんねえ、とりあえず消毒したけど」
「どんなのに刺されたの?」
「あっこに落ちてるやつ」
彼が指差した方に首を伸ばすと、ベランダにつながる窓のすぐそば、茶色いフローリングの上に大きなスズメバチの死骸が落ちていた。
ヒッと思わず肩が跳ねる。
「スズメバチじゃない…!病院行かなきゃ」
「んな、大丈夫だよ。痛みもそのうち」
「ばか、毒があるんだから!」
奪い取るように彼の手を掴み覗き込むと、左手の中指と薬指の間に紫色の腫れていた。
痛々しいその腫れは、思わず目をそらしたくなる。
見たところ針は見えなかったが、やっぱり医者には見せないといけない。
チョッパーのところに行きましょう、と彼の手首を掴んだまま言った。
「薬塗っとくだけじゃだめかな」
慣れないせいかサンジくんは病院嫌いなのが面倒だが、悠長なことを言っている暇はない。
彼の言葉を無視して、私は携帯電話を手に取った。
コール音を聞きながら、刺されるまで蜂に気付かなかったの、と尋ねる。
サンジくんは眉根を下げたまま、あーと不明瞭な声を出した。
「でけェ音で飛んでたから気付いたんだけど、ナミさん家ン中だと思うと慌てちまって、思わず手の平で」
「叩いたの!?」
サンジくんが返事に言い淀んだとき、コール音がぷつっと途切れる。
「…ばかね」
思わず呟いた言葉に、受話器越しにチョッパーがえぇー!?と叫んだ。
*
アーーー!と甲高い声が狭い台所でこだました。
その音の大きさと高さに驚いて、一体どこから発せられたのか辺りを見渡す。
隣を振り仰ぎ、サンジくんが薄い大きな手のひらで開いた口を覆っているのを見て、先ほどの悲鳴が彼からほとばしったことに気付く。
見開いた片目は真っ直ぐ私の手元へ注がれていた。
「なんて声」
「ナナナナミさん、血!」
彼の声とともに、新たな血がぱたたっと音を立ててキッチン台の上に落ちた。
白の上に落ちた赤がよく映える。
じゃがいもの皮を剥いていたら思わず手を滑らせてしまったのだ。
「あー、やっちゃった」
包丁をまな板に置き、血を洗い流すつもりですぐそこの蛇口で傷口をすすぐと、またサンジくんがあられもない声を上げた。
「ナミさん!ばい菌が!!」
声高に叫び私の手を取ったかと思うと、もう片方の腕でおもむろに私を掬うように抱き上げた。
突然のことに私は傷ついていない方の手で彼の肩を掴む。
「ちょっと!何!」
「チョッパーのとこに行かねェと…!」
私がポカンと彼の頭を叩くと、彼は不思議そうに私を見上げた。
本当にわからない、といった顔をしているから始末が悪い。
「ちょっと切っちゃっただけでしょうが。絆創膏貼っときゃ治るわよ」
「バカな、んな血が出てんのに!そこからばい菌が入ってナミさんの手が侵されちまったら」
何を想像したのか彼は青い顔をして、有無を言わさず私を抱えたまま家を飛び出した。
*
私たちのかかりつけ医は、ふたりのためにいつも本当より少し大袈裟に手当てをしてくれるのだ。
***
一緒に暮らすサンナミその…4?
【手当】
どちらかが怪我するたびにわりとばたばたするギャグのような二人が好きです。
当人たちは至って本気なところとか。
虫嫌いなくせにナミさんのために本能的に蜂と素手でやりあうサンジ。
そんなサンジがまったく理解できないナミさん(笑)
一方でナミさんが怪我したときは想像通りのサンジがいとおしいです。
ナミさんげんなりするくらい慌てふためいて、周囲の迷惑なんぞ顧みずに手当しようとするサンジ。
医者には傷ひとつ残すんじゃねェぞと凄んでナミさんに叱られる。
今回の一番の被害者は言わずもがなチョッパーですね。
優しいチョッパーは、少しだけ大袈裟に包帯を巻いてやることで相方が満足してとことん心を砕いてやれることをわかってるので、そうしてやるんじゃないかなあーと思います。
うーんなんだか今回の話は自己満足で、わかりにくくて申し訳ない。
うーんなんだか今回の話は自己満足で、わかりにくくて申し訳ない。
言わんでもいい裏話ですが、蜂に刺されたシーン、ナミさんがサンジにアンモニアつけてこい!ってトイレに押し込めるとこまで書いたんですが、待てよと思って調べたら、刺されたとこにおしっこつけるのはあんまり意味ないみたいですね。
民間療法みたいなもんなのかな。
ちゃんと調べてよかったーと思って消したのでした。
それもそれで面白いなあとか思いましたのであとは想像にお任せしますね。
手当の話は、以前電車で見かけたカップルの会話で、彼氏のちっさい怪我かなんかに対して
彼女「そんな大っきい手で触ったらあかん」
彼氏「小さい手ェやったらええんかよ(笑)」
って話してたのになんだかクッッソ萌えたので書きたい!!!と思ったんですが、まぁ全然違う話になりました。
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麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
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さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。
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