OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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がしゃんとあちこちでジョッキがぶつかる。約1600人に9人加わったところでたいした変わりはないのだが、まだ日も暮れきっていないというのに盛り上がりは常にピークのままだ。
エースとルフィは肩を組んだまま、多くの白ひげクルーに囲まれたまま昔話に勤しんでいた。
「でよぉ、ルフィお前オレが狩った猪一人で食っちまって」
「でもあんときゃエースが」
「「ぐぅ」」
「寝るんかいっ!!」
寝たり食ったりと忙しい兄弟を半ば呆れながらも眺める白ひげクルーたち。
そんな様子を遠くで見遣りながら、ナミとロビンは頬を緩めた。
「あれがルフィのお兄さん?そっくりね」
「でしょ」
くすくすと肩を揺らしていると、その肩を無骨な掌に包まれた。
「おじょーちゃんたち女の子同士で飲んでねぇでオレらの相手しましょー」
「…誰?」
ふふんと笑った男はリーゼントを揺らし、何故か得意げな顔をした。
「オレは4番隊隊長サッチ兄さんだよーっ。ちっこい海賊団のくせにかわいこちゃんばっかり連れちゃって、あんたのキャプテンもやるね」
「そりゃどーも」
べたべたと肩やら腰やらに触れてくるしつこさに辟易しつつ、酒のせいか振り払う気にもならないナミは軽くあしらう。横目でロビンを見ると、ロビンはなんともおかしな服装の綺麗な男に声をかけられていた。
隣に腰掛けた男はジョッキを傾けにまりと笑う。
「ナースのねぇちゃんとはまた一味違うあんたみたいなのも、いいなあ、若いし」
「ふふ、とかいって色気たっぷりのナースに毎日引っ掛かってんでしょ」
「よくおわかりで」
くっと笑いあっていたとき、だだだだだっと物凄い足音がしたかと思うと、ひゅっと風の音ともにサッチが飛んでいった。酒樽に突っ込んだサッチは蹴られた背中をさすりながら身をおこす。
「って~、テメェ、」
「ナミさんに気安く触んじゃねぇ」
料理中だったのか腕まくりもそのままのサンジは、驚きに目を丸めるナミの腰を引き寄せた。
へぇ、とサッチは目を細める。
「あんたの女か」
「そうだ」
「ちょっ…!」
慌ててサンジを見上げたが、腰を締め付ける力が強まるだけだった。
「手ェだしてんじゃねぇよ、おっさん」
「かっちーん!ちょっとかわいこちゃん手に入れたからって調子乗ってんじゃねぇぞ、ガキ」
「んだとォ、古風な髪型しやがって」
「そっちこそ器用に眉毛なんて巻いてんじゃねぇ」
ぐるると唸りあう二人は頭を付き合わせ睨みあう。めんどくさくなったナミはサンジに抱え込まれたまま酒に口をつけた。
「…あんた、コックか」
「そうだ文句あっかクソリーゼント」
「…ここァ正々堂々料理勝負で手を打とうじゃねぇか」
「…なんの勝負だよ…だがその話、乗った」
「行くぜ!」
一睨みを最後にそれぞれのキッチンへと二人は駆け込んだ。サンジのほうは、もちろんナミに断りを入れ額にキスも忘れない。
「…なんなのよ、もう…」
「あんたみたいなのもいるんだな」
いまいちこの騒がしさに馴染まない男が、ロビンの隣に腰を下ろした。
「ここは興味が尽きなくていいわ」
ふふと肩を揺らすと、イゾウは口端を上げながら猪口に口をつけた。
「あんたニコ・ロビンだろ」
突然の名指しに思わず顔を向けると、イゾウは少しだけ目を合わせた。
「別にたいして知ってるわけじゃねぇよ。ただオレも歴史好きなもんでね」
「…そう」
「騒々しいのは、好きじゃないかい?」
ロビンは少し考え、首を横に振った。
「似合わないとは言われるけど」
「はっ、オレもだ」
少しの間があって、くっと二人から笑いが漏れる。ふわりと酒が香った。
「…で、あのたぬきはペットか」
「いいえ、船医さんよ。それにたぬきじゃなくてトナカイ」
「…へぇ、世の中わかんないね」
そういうチョッパーはというと、白ひげに付いていたナースたちに触られ抱きしめられ、されたい放題で目を回している。男達に羨ましげな目を向けられたことは言うまでもない。
甲板の先ではオーケストラが始まった。白ひげ海賊団の音楽家たちとブルックの共演に、宴のボルテージは天井を知らず上がり続ける。
ウソップとフランキーは白ひげ海賊団員と飲み比べ中らしいが、ウソップのほうはすでにへたっている。その傍でエースがウソップの火薬に火を付け暴発。悲痛な叫びとともに、フランキーの髪が焦げた。
グララララ、と豪快な笑い声が波の音と喧騒を掻き混ぜた。
「あんたがこの船の二番かい」
声に引かれてゾロが視線だけを送った先には、昼間ルフィが捕まえた鳥…いや、人間。
「はっ、さあな」
どす、と腰を下ろしたマルコはゾロの空いたグラスに酒を注いだ。わりぃな、とゾロが嬉しげに片眉を上げた。
「あんたもガキのくせによく飲むねい。…まぁあのねーちゃんも相当ザルだが」
そう言いマルコが目をやったのは、先程からサッチとサンジの料理対決に付き合わされてたまらないといったふうに酒を飲み続けるナミの姿。
「はっ、違いねぇ」
思わず笑いを漏らすと、ふっとマルコの眼光も柔らかくなる。二人でグラスを傾けぶつけると、かちんと軽い音がした。
「お隣りよろしいかな?」
コック二人の意味のない小競り合いに閉口していたナミに、男が丁寧に声をかけた。
「へ?あ、どーぞ」
その男ビスタは、ワインを注がれたグラスをナミに差し出した。それに口をつけると、甘露が口内に広がり思わず目元が綻ぶ。
「…ねぇ、この船の男って、みんなこんなふうなの?」
「というと?」
「ほら、女の子に優しいっていうか、甲斐性無しっていうか」
「いや、皆が皆といいわけではない。…まあ男所帯ゆえ、飢えてはいるが」
半ば苦笑しつつそう答えると、そうみたい、とナミも笑みを返した。
ところで、とビスタが甲板の中央を指差す。
「あれは放っておいていいのか?」
目をやった先には、ハート型の煙を吹きながらナースに言い寄るサンジの姿。
「ああ、いいのよいつもだから」
そう言い目を逸らすと、隣からふっと小さな笑いが漏れた。思わず顔をしかめる。
「…なによ」
「…男の嫉妬は醜いが、女性のそれはまた違う」
「…別に、」
「男というのは妬いてほしいものだ。なあサッチ?」
「ごもっとも」
突然後ろから聞こえた声にナミが振り向くと、サッチがにまりと口角を上げ立っている。
「選手交代だな」
そう言うとビスタは腰をあげ、マルコたちのほうへと歩いていった。ビスタがいた場所にサッチが腰を下ろす。
「…で、なんの話だっけ」
「もう終わったわ」
「はっ、冷たいのねおじょーちゃん」
サッチはちろりとサンジとナースに目をやると、にやりと笑みを浮かべた。
「…何笑ってるの、おじさん」
「ちょっ…!あのね、オレってば敏感なお年頃なんだからそういうこと言っちゃダメなんです!」
へーそう、と軽くあしらうナミにサッチは口をとがらしたが、すぐに口端を上げた。
「…おっさんを怒らせると怖いんだぜ」
ぐっとサッチの顔、というよりリーゼントが迫ってきたかと思うと、鎖骨のあたりに柔らかな感触。首元に酒臭さが漂った。
「ひゃっ…!」
何すんのよとげんこつを振り上げた瞬間、再び突風とともにサッチが姿を消した。否、飛んでいった。
座るナミの視界には、細く長い黒の足。
「テンメェ…!なんだ今のナミさんのやらしい声は!ナミさん!あの変態に何されたんだ!?」
「…何って」
がくがくと肩を揺すられ、サンジの額に薄く滲んだ汗を眺めた。
吹き飛んだサッチはなんとも不敵な笑みを浮かべ立ち上がる。
「へっ、自分はナースの姉ちゃん口説いてたくせに」
「んなっ、あれは」
「あれは?」
返事を待つナミを決まり悪そうに見て、くしゃりと頭を掻いた。
「…ナミさんが、見てたから」
「はあ?」
「…いい、恰好ワリィから。ごめんなさいオレが悪いです」
その場に足を折り、サンジはぺこりと頭を下げた。
「…なによ」
そうは言うものの、サンジが言わんとすることなどナミにも分かっている。
「…馬鹿ね」
「おっさん怒らせると怖いっつっただろ?」
いつの間にか二人の前に立っていたサッチは、くしゃりと両手で二人の髪を撫でた。
「ほんとね」
「けっ、男に撫でられるなんて気色ワリィ」
「まったくいいねぇ若いコは。いいもんみたぜこりゃ」
そう言いひらひらと手を降りながらその場を後にするサッチの背中を見送っていると、つと鎖骨に違和感。細く硬い指がそこを這っていた。
「…キス、された?」
「…そんなんじゃないわよ」
「…まったくあんたは」
次の瞬間には肩を掴まれがぶりとそこを噛まれた。
「ちょ」
「黙って」
ちくりと小さな痛みを感じ、最後にぺろりとひと舐めして顔が離れる。
「馬鹿!痕付けてどうすんのよ!」
「消毒、とマーキング」
へへ、と目を垂らすサンジに呆れた顔を見せると次は口を塞がれた。
遠くからの冷やかしといいなあ若いってなどという声を聞きながら、不承不承ながらナミは目を閉じる。酒の甘さとタバコの苦さが心地よかった。
真っ黒の海に月だけが浮かび、酔い潰れた男たちのいびきの大合唱が鳴り響く。
そんな中、ルフィがぱちりと目を覚ました。
「…肉…」
隣で口を開けて眠る兄を跨いでぺたぺたと甲板をさ迷っていると、向こうに大きな背中が見えた。
足音に気付いた白ひげは顔を向けた。
「おう、エースの弟。起きてたのか」
「…にく」
「グララララ、まだ喰う気かァ」
少し抑えた笑い声を上げると、肉探しを諦めたのか眠気に負けたのか、へたりとその場に座りこみこくりこくりと舟を漕ぐ。
「…エースの弟…」
「…んぅー?」
「…ガキのワリにゃあ、いいクルーじゃねェか」
「…ああー?当たり前だろ…オレの仲間だ…」
かくっと落ちるルフィの首を横目にグララと笑い、しばらく揺れる波間を眺める。
「…エースを、頼むぜ」
「…あー?…エースはおっさんの…仲間だ…ろ」
「…あァ…オレの、息子だ…」
「…?…」
次の拍子にがくりと頭が落ちたので、とんと肩を付いてやるとルフィは背中から甲板に倒れ込みそのままいびきをかきだした。
誰もが宴の熱に酔い、頬を赤らめ夢を見る。
その姿を、月だけが見ていた。
かがり様!
遅くなりまして大ッッ変申し訳ありません!
リクエストを頂いてその内容を読ませていただいて、なんだコレは今すぐ書きたい!と思い立ってネタをがーっと書いていくと、楽しすぎて長くなり…遅くなり…
陳謝します;;ごめんなさい!
しかしながら本当に楽しく書かせていただきました!
サンナミスト様かなー?と思いつつも、麦わらと白ひげクルーを同じくらい絡めに絡めてしまいました;
こんなものですが、よろしければ貰ってやってください。
キリリクありがとうございましたっ!
エースとルフィは肩を組んだまま、多くの白ひげクルーに囲まれたまま昔話に勤しんでいた。
「でよぉ、ルフィお前オレが狩った猪一人で食っちまって」
「でもあんときゃエースが」
「「ぐぅ」」
「寝るんかいっ!!」
寝たり食ったりと忙しい兄弟を半ば呆れながらも眺める白ひげクルーたち。
そんな様子を遠くで見遣りながら、ナミとロビンは頬を緩めた。
「あれがルフィのお兄さん?そっくりね」
「でしょ」
くすくすと肩を揺らしていると、その肩を無骨な掌に包まれた。
「おじょーちゃんたち女の子同士で飲んでねぇでオレらの相手しましょー」
「…誰?」
ふふんと笑った男はリーゼントを揺らし、何故か得意げな顔をした。
「オレは4番隊隊長サッチ兄さんだよーっ。ちっこい海賊団のくせにかわいこちゃんばっかり連れちゃって、あんたのキャプテンもやるね」
「そりゃどーも」
べたべたと肩やら腰やらに触れてくるしつこさに辟易しつつ、酒のせいか振り払う気にもならないナミは軽くあしらう。横目でロビンを見ると、ロビンはなんともおかしな服装の綺麗な男に声をかけられていた。
隣に腰掛けた男はジョッキを傾けにまりと笑う。
「ナースのねぇちゃんとはまた一味違うあんたみたいなのも、いいなあ、若いし」
「ふふ、とかいって色気たっぷりのナースに毎日引っ掛かってんでしょ」
「よくおわかりで」
くっと笑いあっていたとき、だだだだだっと物凄い足音がしたかと思うと、ひゅっと風の音ともにサッチが飛んでいった。酒樽に突っ込んだサッチは蹴られた背中をさすりながら身をおこす。
「って~、テメェ、」
「ナミさんに気安く触んじゃねぇ」
料理中だったのか腕まくりもそのままのサンジは、驚きに目を丸めるナミの腰を引き寄せた。
へぇ、とサッチは目を細める。
「あんたの女か」
「そうだ」
「ちょっ…!」
慌ててサンジを見上げたが、腰を締め付ける力が強まるだけだった。
「手ェだしてんじゃねぇよ、おっさん」
「かっちーん!ちょっとかわいこちゃん手に入れたからって調子乗ってんじゃねぇぞ、ガキ」
「んだとォ、古風な髪型しやがって」
「そっちこそ器用に眉毛なんて巻いてんじゃねぇ」
ぐるると唸りあう二人は頭を付き合わせ睨みあう。めんどくさくなったナミはサンジに抱え込まれたまま酒に口をつけた。
「…あんた、コックか」
「そうだ文句あっかクソリーゼント」
「…ここァ正々堂々料理勝負で手を打とうじゃねぇか」
「…なんの勝負だよ…だがその話、乗った」
「行くぜ!」
一睨みを最後にそれぞれのキッチンへと二人は駆け込んだ。サンジのほうは、もちろんナミに断りを入れ額にキスも忘れない。
「…なんなのよ、もう…」
「あんたみたいなのもいるんだな」
いまいちこの騒がしさに馴染まない男が、ロビンの隣に腰を下ろした。
「ここは興味が尽きなくていいわ」
ふふと肩を揺らすと、イゾウは口端を上げながら猪口に口をつけた。
「あんたニコ・ロビンだろ」
突然の名指しに思わず顔を向けると、イゾウは少しだけ目を合わせた。
「別にたいして知ってるわけじゃねぇよ。ただオレも歴史好きなもんでね」
「…そう」
「騒々しいのは、好きじゃないかい?」
ロビンは少し考え、首を横に振った。
「似合わないとは言われるけど」
「はっ、オレもだ」
少しの間があって、くっと二人から笑いが漏れる。ふわりと酒が香った。
「…で、あのたぬきはペットか」
「いいえ、船医さんよ。それにたぬきじゃなくてトナカイ」
「…へぇ、世の中わかんないね」
そういうチョッパーはというと、白ひげに付いていたナースたちに触られ抱きしめられ、されたい放題で目を回している。男達に羨ましげな目を向けられたことは言うまでもない。
甲板の先ではオーケストラが始まった。白ひげ海賊団の音楽家たちとブルックの共演に、宴のボルテージは天井を知らず上がり続ける。
ウソップとフランキーは白ひげ海賊団員と飲み比べ中らしいが、ウソップのほうはすでにへたっている。その傍でエースがウソップの火薬に火を付け暴発。悲痛な叫びとともに、フランキーの髪が焦げた。
グララララ、と豪快な笑い声が波の音と喧騒を掻き混ぜた。
「あんたがこの船の二番かい」
声に引かれてゾロが視線だけを送った先には、昼間ルフィが捕まえた鳥…いや、人間。
「はっ、さあな」
どす、と腰を下ろしたマルコはゾロの空いたグラスに酒を注いだ。わりぃな、とゾロが嬉しげに片眉を上げた。
「あんたもガキのくせによく飲むねい。…まぁあのねーちゃんも相当ザルだが」
そう言いマルコが目をやったのは、先程からサッチとサンジの料理対決に付き合わされてたまらないといったふうに酒を飲み続けるナミの姿。
「はっ、違いねぇ」
思わず笑いを漏らすと、ふっとマルコの眼光も柔らかくなる。二人でグラスを傾けぶつけると、かちんと軽い音がした。
「お隣りよろしいかな?」
コック二人の意味のない小競り合いに閉口していたナミに、男が丁寧に声をかけた。
「へ?あ、どーぞ」
その男ビスタは、ワインを注がれたグラスをナミに差し出した。それに口をつけると、甘露が口内に広がり思わず目元が綻ぶ。
「…ねぇ、この船の男って、みんなこんなふうなの?」
「というと?」
「ほら、女の子に優しいっていうか、甲斐性無しっていうか」
「いや、皆が皆といいわけではない。…まあ男所帯ゆえ、飢えてはいるが」
半ば苦笑しつつそう答えると、そうみたい、とナミも笑みを返した。
ところで、とビスタが甲板の中央を指差す。
「あれは放っておいていいのか?」
目をやった先には、ハート型の煙を吹きながらナースに言い寄るサンジの姿。
「ああ、いいのよいつもだから」
そう言い目を逸らすと、隣からふっと小さな笑いが漏れた。思わず顔をしかめる。
「…なによ」
「…男の嫉妬は醜いが、女性のそれはまた違う」
「…別に、」
「男というのは妬いてほしいものだ。なあサッチ?」
「ごもっとも」
突然後ろから聞こえた声にナミが振り向くと、サッチがにまりと口角を上げ立っている。
「選手交代だな」
そう言うとビスタは腰をあげ、マルコたちのほうへと歩いていった。ビスタがいた場所にサッチが腰を下ろす。
「…で、なんの話だっけ」
「もう終わったわ」
「はっ、冷たいのねおじょーちゃん」
サッチはちろりとサンジとナースに目をやると、にやりと笑みを浮かべた。
「…何笑ってるの、おじさん」
「ちょっ…!あのね、オレってば敏感なお年頃なんだからそういうこと言っちゃダメなんです!」
へーそう、と軽くあしらうナミにサッチは口をとがらしたが、すぐに口端を上げた。
「…おっさんを怒らせると怖いんだぜ」
ぐっとサッチの顔、というよりリーゼントが迫ってきたかと思うと、鎖骨のあたりに柔らかな感触。首元に酒臭さが漂った。
「ひゃっ…!」
何すんのよとげんこつを振り上げた瞬間、再び突風とともにサッチが姿を消した。否、飛んでいった。
座るナミの視界には、細く長い黒の足。
「テンメェ…!なんだ今のナミさんのやらしい声は!ナミさん!あの変態に何されたんだ!?」
「…何って」
がくがくと肩を揺すられ、サンジの額に薄く滲んだ汗を眺めた。
吹き飛んだサッチはなんとも不敵な笑みを浮かべ立ち上がる。
「へっ、自分はナースの姉ちゃん口説いてたくせに」
「んなっ、あれは」
「あれは?」
返事を待つナミを決まり悪そうに見て、くしゃりと頭を掻いた。
「…ナミさんが、見てたから」
「はあ?」
「…いい、恰好ワリィから。ごめんなさいオレが悪いです」
その場に足を折り、サンジはぺこりと頭を下げた。
「…なによ」
そうは言うものの、サンジが言わんとすることなどナミにも分かっている。
「…馬鹿ね」
「おっさん怒らせると怖いっつっただろ?」
いつの間にか二人の前に立っていたサッチは、くしゃりと両手で二人の髪を撫でた。
「ほんとね」
「けっ、男に撫でられるなんて気色ワリィ」
「まったくいいねぇ若いコは。いいもんみたぜこりゃ」
そう言いひらひらと手を降りながらその場を後にするサッチの背中を見送っていると、つと鎖骨に違和感。細く硬い指がそこを這っていた。
「…キス、された?」
「…そんなんじゃないわよ」
「…まったくあんたは」
次の瞬間には肩を掴まれがぶりとそこを噛まれた。
「ちょ」
「黙って」
ちくりと小さな痛みを感じ、最後にぺろりとひと舐めして顔が離れる。
「馬鹿!痕付けてどうすんのよ!」
「消毒、とマーキング」
へへ、と目を垂らすサンジに呆れた顔を見せると次は口を塞がれた。
遠くからの冷やかしといいなあ若いってなどという声を聞きながら、不承不承ながらナミは目を閉じる。酒の甘さとタバコの苦さが心地よかった。
真っ黒の海に月だけが浮かび、酔い潰れた男たちのいびきの大合唱が鳴り響く。
そんな中、ルフィがぱちりと目を覚ました。
「…肉…」
隣で口を開けて眠る兄を跨いでぺたぺたと甲板をさ迷っていると、向こうに大きな背中が見えた。
足音に気付いた白ひげは顔を向けた。
「おう、エースの弟。起きてたのか」
「…にく」
「グララララ、まだ喰う気かァ」
少し抑えた笑い声を上げると、肉探しを諦めたのか眠気に負けたのか、へたりとその場に座りこみこくりこくりと舟を漕ぐ。
「…エースの弟…」
「…んぅー?」
「…ガキのワリにゃあ、いいクルーじゃねェか」
「…ああー?当たり前だろ…オレの仲間だ…」
かくっと落ちるルフィの首を横目にグララと笑い、しばらく揺れる波間を眺める。
「…エースを、頼むぜ」
「…あー?…エースはおっさんの…仲間だ…ろ」
「…あァ…オレの、息子だ…」
「…?…」
次の拍子にがくりと頭が落ちたので、とんと肩を付いてやるとルフィは背中から甲板に倒れ込みそのままいびきをかきだした。
誰もが宴の熱に酔い、頬を赤らめ夢を見る。
その姿を、月だけが見ていた。
かがり様!
遅くなりまして大ッッ変申し訳ありません!
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陳謝します;;ごめんなさい!
しかしながら本当に楽しく書かせていただきました!
サンナミスト様かなー?と思いつつも、麦わらと白ひげクルーを同じくらい絡めに絡めてしまいました;
こんなものですが、よろしければ貰ってやってください。
キリリクありがとうございましたっ!
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麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。
@kmtn_05 からのツイート
我が家は同人サイト様かつ検索避け済みサイト様のみリンクフリーとなっております。
一声いただければ喜んで遊びに行きます。
足りん
URL;http;//legend.en-grey.com/
管理人:こまつな
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こまつな
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