OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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これのつづきです
ソースで汚れたプラスチックのパックが机の上にふたつ転がって、どこかの国の地図が描いてあるセピア色の灰皿にはどっさりと短い煙草が山盛りで、縁には灰がこびりついていた。
淀んだ空気をかき混ぜるように窓辺まで歩み寄り、窓を開けると冷えた夜気がするんと入り込んでくる。
すーずしーい、と背中側でサンジ君が頼りない声を出した。
「あんた酔い過ぎ。缶ビールでそんなに酔えちゃっていいわね」
「ん、おれぁどうせ安上がりな男さ……」
「なに言ってんの」
窓辺に置いてある背の高い本棚に背中を預け、汗をかいた首筋を外気で冷やした。
サンジ君はいわゆる体育座りで膝を抱えていた。長い足を窮屈そうに縮こめて座っているのも酔っ払いさながらで、ほの赤い頬がちらりと見える。
「たばこ」と言って彼はテーブルに置いてある空き箱に手を伸ばしたけど、触れた途端ぐしゃりと潰れた。
「ない」
「吸い過ぎ」
「ああー……今買い置きも切れてんだわ」
「ちょうどいいじゃない、禁煙しなさい」
「えー、じゃあ代わりにキスしてよ」
「しない」
サンジ君はわずかに頭を持ち上げて私を見た。
「口さびしい」
「勝手に寂しがってれば」
うう、と呻いてサンジ君は俯いた。
ふぁあ、とあくびがこぼれ出る。
「今何時なの?」
「ん、わかんね。2時くらい?」
「そりゃ眠くもなるわね。帰ろっかな」
「こんな時間に? 遅いよ、危ないよ、泊まって行きなよ」
じろりとサンジ君を睨む。
かたくなに顔を上げなかった彼が、やがて観念したようにこちらを見た。
「泊まって行きなよ」
「そっちのが危ない」
「こんな時間までおれんちにいて、今更なに言っちゃってんの」
それもそうだ。
足元に転がっていた携帯電話で時間を確かめた。夜中の2時16分。
「明日仕事休みだと思うと嬉しくなって夜更かししちゃっただけ。あんた昼から仕事なんでしょ」
「そだけど、今からナミさんと一緒に寝るから平気」
「寝ないし。帰るし。送って」
「いやだっつったら?」
「もうここには来ない」
「それはいやだー……」
ごねるように首を振って、サンジ君は煙草の箱を握りしめたままだった手を缶ビールに伸ばした。
もう軽いはずのそれを呷る彼の喉が、黄色い電光でやけに目立つ。
私もテーブルに置きっぱなしのロング缶を取り上げ、ごくごくと飲み干した。
ぬるい酒がよたよたと喉を通り抜けていく。
夜中らしくてなんとなく心地が良かった。
机の角をへだてたサンジ君の隣に座り、二人で飲み干していったいくつかの空き缶をビニール袋に放り込む。
ふと持ち上げた缶が予想外に重く、勢いよく振り上げたせいで中身が手の甲に飛び散った。
「わっ、なによこれ、あんた全然飲んでないの残ってんじゃない!」
「んおー、ミスった」
「もう! ティッシュちょうだい」
座ったままサンジ君が右に手を伸ばしてティッシュの箱を掴む。
クレーンゲームのように私の元までそれが運ばれてきた。
「ナミさぁん」
「なによ」
「おれと付き合って」
「やだって」
「なんでなんでさー」
「あんた私だけじゃないでしょ、だらしないからいや」
「んなことねェって、どっからンな勘違いしてんのナミさん」
勘違いじゃないんだもの、と手の甲を拭きながら彼を睨む。
サンジ君も睨み返すように私を見てくる。
酒のせいで熱のこもった目がいたたまれずにすぐに逸らした。
「んじゃなんでこんな時間までおれと遊んでくれんの」
「誘われたから。便利だから。ごはんおいしいし」
「今日はスーパーの焼きそばだったけど」
「気分よ」
「手ェ出しちゃうよ」
「ぶっとばす」
ドンと重たい音がして視界が翳った。
頭の中身が揺さぶられて咄嗟に目を閉じた。
次に目を開けたら逆光に翳るサンジ君の目がとても近くに見えた。
押し付けられた手首がラグマットの毛足に触れてざらりと擦れる。
「ぶっとばされる?」
垂れた前髪が頬をかすめた。
「場合によっては」
「んじゃ、これはセーフなんだ」
アウトだバカ。
唇の動きだけでそう言うと彼がふっと笑った。
ふに、と頬に口づけられる。
音も立てず離れた。
「キスしていい?」
「今したわよね」
「次、ちゃんとしたやつ」
「嘘ね」
うそ? とサンジ君は子どものように首をかしげた。
覆い被さる彼のせいで部屋の明かりが遮られ、視界はどんより薄暗い。
一緒に飲んだお酒のにおいがふたりの間を漂って、上の方を開けっ放しの窓から風が流れ込む。
「できないくせに」
「できるよ」
「嘘」
「まじまじ。キスしちゃうよ。なんならもっといろいろしちゃうよ」
「いろいろ?」
うん、と馬鹿正直に彼は頷く。
「引き裂くみたいに脱がせるよ。ナミさん泣いちゃうよ」
「あっそう」
「やってみる?」
「泣いちゃうけどいい?」
途端、サンジ君はふにゃりと眉を下げて「よくない」と言った。
あまりに情けないその顔に思わず噴き出す。
「ぶ、ばかじゃないの、あんた」
「よくねぇよー、ナミさん泣いたらやだよー」
「わかったから、どいて、背中痛い」
ぐずぐずとサンジ君は半ば本気でべそをかきながら身体を起こした。
私も彼を押しのけて身体を起こす。
しかしサンジ君は床に押し付けていた私の手首を離さなかったので、子どもの遊びみたいに私たちは両手を繋いで床に座り込んでいた。
「ナミさんおれと付き合って」
「うーん、やだ」
「なんでなんでさー」
「あんた私だけじゃないしそんな贅沢なことさせたくない」
「んなことねェよー、ナミさん勘違いしてんだって」
なんだか覚えのあるやり取りだなと思った。
勘違いじゃないし、と呟く。
「今日の私の友だちが今度あんたの店に行ったらあんた絶対連絡先訊くでしょ」
「えー、まあそりゃ礼儀みてェなもんで」
「そんで連絡するでしょ」
「それもマナーじゃん」
「こやって家に連れ込むんでしょ」
いやいや、と彼はだらだら首を振る。壊れた人形みたいに関節が不安定に揺れる。
「連れ込まねって。つかナミさんの友だち美人ばっかだったじゃん。連れ込ませてくれねぇよ」
「連れ込まれてる私はなんなのよ」
「そりゃーナミさんはおれとどうにかなっちゃっていいって思ってるからじゃないの?」
じっと彼を睨んだ。
酔っ払いの青い目は焦点が合っていなくて、どこか中間点を見ているようで、でも実のところ私を見ていた。
そうよ。
どうにかなっちゃったらいいと思うから、こんな時間まで、汚いあんたの部屋で、だらだらと美味しくもないスーパーの惣菜を食べて、ぬるくてまずいお酒を呑んで、それでも帰らずにここにいるのよ。
本当にこの男、ばかなんじゃないだろうか。
「帰る」
携帯を掴んで立ち上がる。
するりと彼の手が離れた。
汗で湿ったところが途端に冷えていく。
「送るよ」
「うん」
背後で彼が立ち上がり、伸びをする気配がした。
「なんつって」
背後から腰に回った手が圧倒的な力で身体を引き寄せた。
身体がぶつかるとすぐそこのベッドに一緒になって倒れ込み、なにを言う間もなく深く唇が重なった。
薄いシーツにぎゅと押さえつけられた手が熱く、足の間に割り込んだ膝がぎっとベッドを軋ませた。
じわじわと身体の奥からせり上がる興奮が眠気をどこかに押し込めていく。ぎゅっと手のひらを握り込んだ。
少し唇が離れたとき、咄嗟に口を開いた。
「手、離して。痛い」
「──いやだ。ナミさんが逃げる」
「いいから。離して。痛いって言ってんでしょ」
私の手をシーツに縫い付ける力がほんの少し緩んだ隙にさっと腕を引いて彼の手から抜け出す。
一瞬で哀しそうな顔をした彼の顔をぐいと両手で掴んで薄い唇に噛みついた。
本当に、前歯でぎりぎりと噛みついた。
「いてっ、でっ、いたたっだだだナミざんいだい」
痛い痛いとサンジ君は笑いながら、ぎゅうぎゅうときつく私を抱きしめて、ベッドの上をごろごろ転がった。
ソースで汚れたプラスチックのパックが机の上にふたつ転がって、どこかの国の地図が描いてあるセピア色の灰皿にはどっさりと短い煙草が山盛りで、縁には灰がこびりついていた。
淀んだ空気をかき混ぜるように窓辺まで歩み寄り、窓を開けると冷えた夜気がするんと入り込んでくる。
すーずしーい、と背中側でサンジ君が頼りない声を出した。
「あんた酔い過ぎ。缶ビールでそんなに酔えちゃっていいわね」
「ん、おれぁどうせ安上がりな男さ……」
「なに言ってんの」
窓辺に置いてある背の高い本棚に背中を預け、汗をかいた首筋を外気で冷やした。
サンジ君はいわゆる体育座りで膝を抱えていた。長い足を窮屈そうに縮こめて座っているのも酔っ払いさながらで、ほの赤い頬がちらりと見える。
「たばこ」と言って彼はテーブルに置いてある空き箱に手を伸ばしたけど、触れた途端ぐしゃりと潰れた。
「ない」
「吸い過ぎ」
「ああー……今買い置きも切れてんだわ」
「ちょうどいいじゃない、禁煙しなさい」
「えー、じゃあ代わりにキスしてよ」
「しない」
サンジ君はわずかに頭を持ち上げて私を見た。
「口さびしい」
「勝手に寂しがってれば」
うう、と呻いてサンジ君は俯いた。
ふぁあ、とあくびがこぼれ出る。
「今何時なの?」
「ん、わかんね。2時くらい?」
「そりゃ眠くもなるわね。帰ろっかな」
「こんな時間に? 遅いよ、危ないよ、泊まって行きなよ」
じろりとサンジ君を睨む。
かたくなに顔を上げなかった彼が、やがて観念したようにこちらを見た。
「泊まって行きなよ」
「そっちのが危ない」
「こんな時間までおれんちにいて、今更なに言っちゃってんの」
それもそうだ。
足元に転がっていた携帯電話で時間を確かめた。夜中の2時16分。
「明日仕事休みだと思うと嬉しくなって夜更かししちゃっただけ。あんた昼から仕事なんでしょ」
「そだけど、今からナミさんと一緒に寝るから平気」
「寝ないし。帰るし。送って」
「いやだっつったら?」
「もうここには来ない」
「それはいやだー……」
ごねるように首を振って、サンジ君は煙草の箱を握りしめたままだった手を缶ビールに伸ばした。
もう軽いはずのそれを呷る彼の喉が、黄色い電光でやけに目立つ。
私もテーブルに置きっぱなしのロング缶を取り上げ、ごくごくと飲み干した。
ぬるい酒がよたよたと喉を通り抜けていく。
夜中らしくてなんとなく心地が良かった。
机の角をへだてたサンジ君の隣に座り、二人で飲み干していったいくつかの空き缶をビニール袋に放り込む。
ふと持ち上げた缶が予想外に重く、勢いよく振り上げたせいで中身が手の甲に飛び散った。
「わっ、なによこれ、あんた全然飲んでないの残ってんじゃない!」
「んおー、ミスった」
「もう! ティッシュちょうだい」
座ったままサンジ君が右に手を伸ばしてティッシュの箱を掴む。
クレーンゲームのように私の元までそれが運ばれてきた。
「ナミさぁん」
「なによ」
「おれと付き合って」
「やだって」
「なんでなんでさー」
「あんた私だけじゃないでしょ、だらしないからいや」
「んなことねェって、どっからンな勘違いしてんのナミさん」
勘違いじゃないんだもの、と手の甲を拭きながら彼を睨む。
サンジ君も睨み返すように私を見てくる。
酒のせいで熱のこもった目がいたたまれずにすぐに逸らした。
「んじゃなんでこんな時間までおれと遊んでくれんの」
「誘われたから。便利だから。ごはんおいしいし」
「今日はスーパーの焼きそばだったけど」
「気分よ」
「手ェ出しちゃうよ」
「ぶっとばす」
ドンと重たい音がして視界が翳った。
頭の中身が揺さぶられて咄嗟に目を閉じた。
次に目を開けたら逆光に翳るサンジ君の目がとても近くに見えた。
押し付けられた手首がラグマットの毛足に触れてざらりと擦れる。
「ぶっとばされる?」
垂れた前髪が頬をかすめた。
「場合によっては」
「んじゃ、これはセーフなんだ」
アウトだバカ。
唇の動きだけでそう言うと彼がふっと笑った。
ふに、と頬に口づけられる。
音も立てず離れた。
「キスしていい?」
「今したわよね」
「次、ちゃんとしたやつ」
「嘘ね」
うそ? とサンジ君は子どものように首をかしげた。
覆い被さる彼のせいで部屋の明かりが遮られ、視界はどんより薄暗い。
一緒に飲んだお酒のにおいがふたりの間を漂って、上の方を開けっ放しの窓から風が流れ込む。
「できないくせに」
「できるよ」
「嘘」
「まじまじ。キスしちゃうよ。なんならもっといろいろしちゃうよ」
「いろいろ?」
うん、と馬鹿正直に彼は頷く。
「引き裂くみたいに脱がせるよ。ナミさん泣いちゃうよ」
「あっそう」
「やってみる?」
「泣いちゃうけどいい?」
途端、サンジ君はふにゃりと眉を下げて「よくない」と言った。
あまりに情けないその顔に思わず噴き出す。
「ぶ、ばかじゃないの、あんた」
「よくねぇよー、ナミさん泣いたらやだよー」
「わかったから、どいて、背中痛い」
ぐずぐずとサンジ君は半ば本気でべそをかきながら身体を起こした。
私も彼を押しのけて身体を起こす。
しかしサンジ君は床に押し付けていた私の手首を離さなかったので、子どもの遊びみたいに私たちは両手を繋いで床に座り込んでいた。
「ナミさんおれと付き合って」
「うーん、やだ」
「なんでなんでさー」
「あんた私だけじゃないしそんな贅沢なことさせたくない」
「んなことねェよー、ナミさん勘違いしてんだって」
なんだか覚えのあるやり取りだなと思った。
勘違いじゃないし、と呟く。
「今日の私の友だちが今度あんたの店に行ったらあんた絶対連絡先訊くでしょ」
「えー、まあそりゃ礼儀みてェなもんで」
「そんで連絡するでしょ」
「それもマナーじゃん」
「こやって家に連れ込むんでしょ」
いやいや、と彼はだらだら首を振る。壊れた人形みたいに関節が不安定に揺れる。
「連れ込まねって。つかナミさんの友だち美人ばっかだったじゃん。連れ込ませてくれねぇよ」
「連れ込まれてる私はなんなのよ」
「そりゃーナミさんはおれとどうにかなっちゃっていいって思ってるからじゃないの?」
じっと彼を睨んだ。
酔っ払いの青い目は焦点が合っていなくて、どこか中間点を見ているようで、でも実のところ私を見ていた。
そうよ。
どうにかなっちゃったらいいと思うから、こんな時間まで、汚いあんたの部屋で、だらだらと美味しくもないスーパーの惣菜を食べて、ぬるくてまずいお酒を呑んで、それでも帰らずにここにいるのよ。
本当にこの男、ばかなんじゃないだろうか。
「帰る」
携帯を掴んで立ち上がる。
するりと彼の手が離れた。
汗で湿ったところが途端に冷えていく。
「送るよ」
「うん」
背後で彼が立ち上がり、伸びをする気配がした。
「なんつって」
背後から腰に回った手が圧倒的な力で身体を引き寄せた。
身体がぶつかるとすぐそこのベッドに一緒になって倒れ込み、なにを言う間もなく深く唇が重なった。
薄いシーツにぎゅと押さえつけられた手が熱く、足の間に割り込んだ膝がぎっとベッドを軋ませた。
じわじわと身体の奥からせり上がる興奮が眠気をどこかに押し込めていく。ぎゅっと手のひらを握り込んだ。
少し唇が離れたとき、咄嗟に口を開いた。
「手、離して。痛い」
「──いやだ。ナミさんが逃げる」
「いいから。離して。痛いって言ってんでしょ」
私の手をシーツに縫い付ける力がほんの少し緩んだ隙にさっと腕を引いて彼の手から抜け出す。
一瞬で哀しそうな顔をした彼の顔をぐいと両手で掴んで薄い唇に噛みついた。
本当に、前歯でぎりぎりと噛みついた。
「いてっ、でっ、いたたっだだだナミざんいだい」
痛い痛いとサンジ君は笑いながら、ぎゅうぎゅうときつく私を抱きしめて、ベッドの上をごろごろ転がった。
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白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。
@kmtn_05 からのツイート
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足りん
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