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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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「誰だオメェ」

仕事の出がけに玄関ではちあった。
真っ黒な髪をぼさぼさ伸ばした、男。ていうかガキだ。
片脇に大きなボール紙をひと巻き抱えている。

「──サンジ。お前は」
「おれはルフィ! なんだ、誰の友だちだ?」
「あ? 誰のっておれは」

あ、と呼び止める声といっしょに、パタパタ軽い足音が背後から駆けてきた。
ナミさんは眠たげに眼鏡の下に指を入れて目元をこすりながら、よっとルフィに片手を上げてみせた。

「おかえり」
「おうっただいま。こいつナミの友だちか?」
「ちがう。サンジ君。新しい住人よ」

おっ、と声をあげたルフィは、すぐさまおれの肩をばしんと叩いた。

「なんだよ新しい仲間かー、よろしくな! おれはルフィ!」
「さっき聞いたよ。あーおれ仕事遅れるから」
「んだ、今から仕事か、なんの仕事だ?」
「またゆっくりな。マジで遅れる」

ひらっと手を振ると、ルフィはあっさりと「おうまたなー!」と手を振った。
玄関を出る間際、そうだ忘れてたと振り返り、奥へ引き返そうとしているナミさんを呼び止める。
さっと手を取ろうと腕を伸ばしたら、それより早く手をひっこめられた。

「キスはいいから。遅れるんじゃないの」
「そうだった。失礼」

彼女の方が一枚上手だったことに苦笑して、アパートを後にした。



最寄りの駅まで送迎が来る。おれは襟元とネクタイ締めて突っ立っているだけだ。
黒塗りのセダンを運転するのはまだ18にいったばかりのガキで、おれは偉そうに運転席の真後ろに座ったが別に偉いわけでもない。このあとまだふたりを拾って店へ行くのだ。
開店は19時。明後日の締日までボルテージを上げていかねばならん夜だ。
既に煙草で視界のけぶった控室で仕事前の一服を済ませた。
黒服の従業員が呼びに来て、オーナーに稼げよとどやされて、レディのお出迎えだ。

開店から22時頃までは、仕事終わりのレディ達が羽根を伸ばしに来るにすぎない。
ほぼ水に近く薄めたウイスキーを飲みながら、焼酎のハーフボトルをひとり一本開けさせながら楽しくおしゃべりするだけだ。
だけだが、これがなかなか骨が折れるのだ。
レディとお喋りするのは願ったりかなったりだが、仕事となるとまた別であるというのは働き始めて初めて知った。
望まれればときおり手を握ったり、膝を撫でたりするのも、下心があっては仕事にならないということもまた初めて知った。
22時から1時までが勝負で、ボトルを入れてもらったりカラオケしたり、ほかの奴のシャンパンコールを聞いたりでどちゃどちゃと時間は過ぎていく。
最後のレディを送って、笑顔で腰を折って礼をする。頭を上げるとそのまま後ろに倒れ込んだ。ボフンと厚い革のソファに受け止められ、身体が跳ねる。
「相変わらず弱ェな」と他のホストにからかわれるが、仕事終わりはいつも答える元気もない。
そのままズブズブ眠りかけた頃、また車に放り込まれた。
一緒に放り込まれた野郎二人はぺちゃくちゃと元気に喋り倒していたが、中でも最高齢なおれはガーガー車の中で寝て、はっと起きたときには車内にひとりだ。
窓の外に目を凝らしたらいつもの景色だった。

「ん、あっ、おい! だめだおれぁ引っ越したんだ! こっちじゃねェ」
「はァ? 先言ってくださいよ」
「悪ィ」

車は大通りでUターンし、携帯に登録していた新住所に向かって走り始めた。
最後の一人だったので、迷惑ついでに家の手前の路地まで送ってもらう。
ドアを閉める音が静かな住宅地にやけに響いた。
斜め前の家の庭で、音に反応した犬がわんと1度だけ吠える。

未だ使い慣れない鍵をおぼつかない手先で鍵穴に差し込んだ。
ギュウーと妙に高い音で扉が軋んだのでおいおいと思う。
廊下は暗く、静かだ。
ただしリビングに通じるドアから灯りが漏れていた。
まだ誰かいる。
思えば時刻は夜中の二時半で、起きてるやつがいてもおかしくはない。
水、と思い、灯りに向かう羽虫の様にふらふらと歩いた。

右手に見えるリビングは明るく、左手のキッチンは暗がりに沈んでいる。
一直線にシンクへと向かい、適当なコップを借りてざばざばと水を汲み、煽るように飲んだ。
はぁはぁと息が上がる。飲み過ぎたわけでもないのにいつもこうだ。
この仕事はおれには向いていない。
カタカタと心地よいビートが一定の速度でどこからか走ってくる。
シンクに手をついて、肩で息をして、目を閉じてそのリズムを追いかけた。

「おかえりなさい。大丈夫?」

振り返ると、ナミさんが昼間と全く同じ場所にゆったりともたれ、足に置いたノートパソコンから顔を上げてこちらを見ていた。

「あ、あァ、びびった。ナミさんか」
「家に帰ってきてびびったはないでしょ。それより顔色悪いけど本当に平気なの」

ナミさんは眼鏡を外し、ソファの横に置いてあるカップから一口何かを飲んだ。

「あぁ、ごめん、酒くせぇかも」
「それより煙草くさい。どうやって帰って来たの? 電車?」
「や、送りの車がある」

へぇ、と物珍しげにナミさんはひとつ相槌を打つと、すっと壁に向かって指を差した。

「昼間言い忘れてたけど風呂場はこの裏。一階廊下の突き当りを左に曲がったところよ。シャンプーとか石鹸とか、私たちは自分のを使ってるけど、男たちは共有してるみたいだからあんたも借りれば」
「んあ、じゃあそうさせてもらおっかな」

げほ、と一口むせて口元を拭った。立ちのぼる酒とたばこと香水のにおいに頭がガンガンする。
コップを軽く流してもとあった場所に戻し、部屋を出る間際に「ナミさんは」と尋ねた。

「なに?」
「や……仕事?」
「えぇ。宵っ張りなの。でもそろそろ寝るわ」
「あ、そう」
「起きてた方がいい?」

え? と聞き直すと、ナミさんはぱたんとパソコンを閉じて、噛んで含めるみたいに一字ずつはっきりと言い直した。

「あんたが戻るまで、起きてた方がいい?」

こち、と突然どこからか時計の針の音がした。
責めたてるみたいに針の音が近づいてくる。
口を開くと酒臭い息が漏れ、ゲホッとまたむせた。
ナミさんはクッと小さく笑って、「あんまり遅いと寝ちゃうから」と言った。

「──じゃ、急ぎで」
「あんたが最後だから軽く洗ってきてくれる?」

了解と言いながらリビングのドアを閉めた。
階段目の一段目を踏み外し、ドンと大きく床を踏み鳴らした。
3階まで上がってからおれの部屋はどこだっけと一瞬迷い、廊下の電気を手探りで探してつけると突き当りのドアに見覚えがあった。
ノブを回すと鍵がかかっていて、当然か、とケツのポケットに突っ込んでいた鍵を取り出す。
やけに手汗をかいていた。
引っ越しの荷物の中から着替えとタオルを取り出し、ふたたび階段を降りる。
一階の廊下の電気は消えていたので、リビングからこぼれる灯りがぽかっと浮かんで見える。
しばらく見入って、彼女に言われた通り一階奥の左手に進むと脱衣所と風呂場があった。共用の洗濯機もある。
浴室は広く、清潔で、色とりどりのボトルがいくつか置いてあった。
野郎のものと思われるものを拝借し、ざばざばとかき鳴らすようにシャワーを浴びた。
酒臭さは依然として体の中から染みだすようだったが、香水のにおいは排水溝に惜しげもなく流れていった。



脱衣所を出ると廊下に明かりがついていて、代わりにリビングの明かりが消えていた。
間に合わなかった。
タオルを肩に掛け、早いところ自分用の食器を買わねェとと考えながらリビングのドアを引いたら、暗がりからぽんと飛び出すようにナミさんが出てきた。
ぶつかる寸でのところで互いがハッと立ち止まった。

「わっ」
「あ、ごめ」
「お風呂、使い方分かった?」
「あぁ、うん、ありがとう」

ナミさんはTシャツの首回りに眼鏡をかけていた。少し引き下がったその布の先に自然と目が行く。

「電気、消えてるけど」
「あぁ、うん、寝ようかと」
「あ、そう、君の部屋は?」
「一階の右手。風呂場の斜め向かいよ」

あぁ、とクソつまらない返事をしたら、ふふっとナミさんが笑った。

「間に合わなかった、って思ったでしょ」
「あー……うん」
「どうかしら」

くらっと、本当に揺さぶられるようにくらっときたのだ。

腰をかがめると肩に掛けたタオルがずるりと落ちた。
肩を掴むと思いのほか細く骨ばっていて、手のひらに余るほどだ。
ナミさんが少し背伸びをしたおかげで、思いのほかすぐに唇が合わさった。
かくっと頭が引き寄せられ、そのままよろよろと暗いリビングに引きずり込まれる。
引きずり込まれるというか、おれが彼女を押し込んだというか、どっちつかずなところだ。
ただ、ばかでかいソファまでおれを誘導したのは確実にナミさんの方で、重力に任せて倒れ込むとその衝撃でナミさんが小さく「うっ」と呻いた。
服を脱がしたあと、ナミさんがおれの頭を抱えたまま小さな声で「泥酔してるんだと思った」とささやいた。

「覚めたよ」
「風呂場で?」
「君で」
「あっそ」

後頭部を撫でていた手がするりとおれの顔を掴み、自分のところまでもっていく。
全部、彼女が求めるがままだ。

今この家に何人の人間がいるだろう。
ナミさん、おれ。
ゾロとルフィは自分の部屋にいるのだろうか。
彼女は奴らの風呂上りをひっそりとリビングで待つことがあるのだろうか。
食卓にはあと二つ席がある。
まだ見ぬ誰かとも、あるいは。

「サンジ君、サンジ君。持ってる?」
「え、あ、ねぇかも」
「ん、わかった」

突然むくりと身を起こした彼女は、おれがずりさげたハーフパンツをみずから上げると、ぺたぺた足をならしてリビングを出て、すぐに戻ってきた。

「はい」

アホのようにぽかんとするおれの手にゴムを乗せ、よいしょとソファに両足を乗せて座り込む。

「いるでしょ」
「あ、うん、ありがと」

おれがチリチリと袋を破くのを、ナミさんはじっと見ていた。




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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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一声いただければ喜んで遊びに行きます。

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