OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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しゃぼん玉が鼻先でぱちんと割れた。偶然にも、そのタイミングでナミさんがくしゅんと可愛らしいくしゃみをしたのでおっと肌寒くなってきたかなとむき出しの細い肩に腕を回したら、触れるか触れないかのうちにぎゅっと手の甲をつねられた。
仕方なく、あと少しのところで彼女に触れられたはずの手を引っ込めて、代わりにナミさんが持っていた買い物袋をその手から取り上げた。
「持つよ」
「いいわよ。あんたの方がもういっぱい持ってる」
「大丈夫、貸して」
やんわりと、しかし少し強引に奪い取る。ナミさんは小さく「ありがと」とつぶやいて袋を手放した。
「しゃぼん玉、どこから飛んできたのかね」
「しゃぼん玉?」
ほら、と顔を上げて顎で指し示すと、彼女もつられて顔を上げた。上空の、そんなに高くないところをふよふよとこころもとなく泳いでいる丸がある。しばらく立ち止まって、ふたりでぼんやりとそれを見上げていた。
「本当だ、何だろ」
突然、ごーんと低く鐘の音が響き渡った。思わずびくっと肩を揺らして音のした方を振り返る。
「…なるほど」
遠くに、教会が見えた。小さく鐘が揺れているのが見える。耳を澄ませば、人々の歓声や拍手、鳥の羽ばたきの音なんかが聞こえてきた。
「結婚式ね」
「見てく?」
「なんでよ」
ふっと鼻で笑って、ナミさんは歩き出した。あわてて俺もその後を追う。
「いいなーってなるじゃん。想像膨らむじゃん」
「海賊が見に来てたら幸先悪いでしょ」
それもそうか、と思い直す。
どっかでメシ食べてく? と顔を覗き込んだが、ナミさんはしっかりと首を振った。
「帰りましょ」
うん、と答えながら、いつもよりかたくなな気がするその小さな背中を見下ろしていた。
*
食堂のドアノブには、その日からしばらく花冠が掛けられていた。おれたちが見に行かなかった結婚式に、ウソップとチョッパーがたまたま通りがかっていたのだ。道端にフラワーシャワーの花々が落ちていて、それが珍しく茎のついた生花だったからと拾い集めてきたのだという。なんという乙女メンタル。
チョッパーがそれを使って花冠を作った。きれいだからとドアノブに掛けた。しかし、生花は枯れる。すでにしおしおと花は下を向き、花弁は茶色く染まろうとしている。
夕食後の皿洗い中に人の気配を感じて振り返ったら、その花冠を指先に引っ掛けたナミさんだった。
「んあんナミさん」
「なにか温かいのある?」
「すぐ淹れるよ。それ、どうした?」
「枯れてきてたから」
捨てるのだろうかと思ったが、ナミさんはカウンターに花冠を置いて自身もその前に座った。
ナミさんが思いを巡らすようにじっと花冠を見つめるので、
「式、やっぱり見に行けばよかったな」
「そうね」
思いがけない返事に振り返ると、ナミさんはぷちっと思い切りよく花冠の花弁を一枚ちぎった。
手の指でその薄い花びらをこねている。
「……ウエディングドレス姿のナミさん、もう一度見てぇなあ」
「もうまっぴらなんですけど」
スリラーバーグの一件を思い出して舌を出す彼女に笑い返して、カップに注いだ紅茶を差し出す。おれだってまっぴらではあるが、ナミさんが美しかったのは事実だ。
ナミさんはまだ熱いはずのカップに口をつけて、ふとおれを見上げた。
「いいなって言ってたけど、したいの?」
「結婚?」
「うん」
「ナミさんとなら」
「そういうのいいから」
真顔で遮られて、うーんと頭を掻く。
「正直あんま興味ねえけど、海賊だし。でもバラティエで時々やってたからさ、式っつーか、披露宴。なんともなしにいいなーとは思ったよ」
「へえ。バラティエでできるんだ」
「海上だからなかなか大変だけどな、海好きにはたまらんだろうな」
「海賊向きね」
ふふっと笑った彼女が可愛くて、もっと近くで見ようとそれとなくカウンターを回った。
「私、ちゃんとそういうの見たことないな」
「じゃあ自分のが初めてになるな」
ナミさんがきょとんと目を丸くするので、あれなんかへんなこと言ったっけと口をつぐむ。
しかし彼女はなんでもなかったように紅茶に目を落とし、「そうかもね」と静かにつぶやいた。
隣に腰を下ろして、「どんなのにする?」とおずおず尋ねてみた。
「私の?」
「そう、ナミさんの」
「結婚式?」
「うん」
そうね、と彼女は少し考えるように前を向いて、ぽつりと「ココヤシ村かな、やっぱり」と言った。それがいいと思う、とおれは大きくうなずく。
「でも、村の人達に見られるのもなんかね、やだから」
「恥ずかしい?」
「そうかも」
「でもきっと見に来るよ」
「たぶんね」
ナミさんは歯を見せて笑った。故郷のことを思い出すとき、ナミさんはこの笑い方をする。
「ゲンさんと、ノジコと。あとはドクターくらいかな」
「ずいぶん少ないね」
「そうかしら」
ちっともそうは思わないとでもいうようにナミさんは首を傾げた。
「ドレスは? どうする?」
「あそっか。ココヤシ村じゃ買えないな。帰る前にどこかに寄らないと」
まるで食材の買い出しみたいな気軽さで言うのでつい笑ってしまう。
「ていうか、ウソップ作ってくれたりしないかな。お金が浮くわ」
「ああ、できちまいそうだな」
「浮いたお金で宝石買ってもいいわね」
これくらいの? と指で輪っかを作ると、ナミさんは「ううん、もっと。これくらい」と細い指で一回り大きな輪っかを作った。
「ダイヤモンド?」
「そうね、やっぱり」
ドレスよりずっと高く付きそうだ。
「靴は?」
「そうね、ドレスをゴージャスにしてシンプルなハイヒールでもいいし……ロビンと相談したい」
うんうんとうなずきながら、おれはいつ言おうかと小さな顔をちらちらと覗く。
「そうだ、ケーキ。ウエディングケーキはサンジくんが作ってくれるでしょ」
「もちろん」
「よね。料理のことは心配ないし」
あとは、と考えを巡らす彼女を前にして、ついに想像の中に自分が役割を持って登場してしまったので耐えきれずに言った。
「でもナミさん、ひとりではできないよ」
ナミさんは頬杖をついていた手から顎を少し浮かせて、ほんの一秒の間を開けて「わかってるわよ」と怒ったふりと笑ったふりを同居させながら言った。
「てか、する予定なんかないし。帰る予定もまだないし」
「でもいつでもできるよ」
「なんでよ」
「おれがいるから」
ナミさんはまた一拍の間を開けて、カウンターの上で両肘を組んでそこに頬を置いた。そしてにやりと笑っておれを見る。
「興味ないって言ったわ」
「それより先に、ナミさんとならって言った」
「ふうん。じゃあ、あんたのはどんな式にするの」
「そうだな、場所はイーストブルーの温暖でみかんが特産の小さい村かな。街からちょっと離れた丘に立ってる家で。ゲストはこの船の奴らと、家族が少し。花嫁さんは知り合いの鼻がなげえのが作ったドレスを着て、こんなでっかいダイヤモンドの指輪をはめてる。そんでウエディングケーキはもちろんおれが作る」
あはは、とナミさんは頬をつけたまま声を上げて笑った。
「それ、私の」と。
「そうだよ、おれたちの」
「ううん、私の」
「おれたちの」
私のだってば、と笑いながらナミさんが目を伏せた。そのすきにぎゅっと椅子を寄せて距離を詰める。肩が触れたがナミさんは気づかないふりをして目を伏せたままだ。
テーブルと距離の近い彼女の姿勢のまねをして、おれも背中を丸めて顔を寄せた。彼女の頬の温度が感じられるくらい近くで、触れた肩がじんと熱い。
「叶うかね」
「さあ」
「も少し先かね」
「少なくとも」
ナミさんはいやにはっきりと「まだ帰らない」と言った。それもそうだとおれはうなずく。
ナミさんがちらりと視線をよこした。
「くっつかないで」
「誰も来ないよ」
「そういう問題じゃあないのよ」
じゃあ、何が問題なんだろう。二人の間の温度と湿度はじゅうぶんなほど高いというのに。
部屋にはふたりだけで、肩が触れていて、頬もあと数センチ、少し動かせば指も絡まる。そっと膝を開くと彼女のそれにぶつかった。いそぎんちゃくの先っぽに触ったときみたいに、細い脚はぎゅっと縮まる。
「なんの話してたんだっけ」
言わせたくてわざと尋ねると、意外に素直なナミさんは言いにくそうにしながらも「けっこん」とつぶやいた。
そうだったね、とおれはしらばっくれる。
もしもナミさんが、と切り出すと彼女の視線がこちらに向くのがわかった。
「おれにウエディングケーキを作ってほしいときが来たら」
「作ってくれる?」
どうだろうな、と思う。考えようとするも、やっぱり考えたくなくてわざともやもやした気持ちのまま答えをだすのをやめてしまう。
答えないおれを、怪訝な顔で彼女が覗き見たので代わりに言った。
「キスしてもいい?」
「ケーキの話はどこいったのよ」
「キスしてから考えよっかなって」
呆れた顔で、彼女はカウンターから体を起こした。せっかくくっついていた肩が離れて、ひんやりした空気が触れる。
髪を後ろに払った彼女は呆れ顔のまま「律儀ね」と言って立ち上がった。
「キスするのにはお伺い立てるのに、私の結婚式は乗っ取るつもりなの」
「うん」としか言いようがない。「ケーキの話だけど」と切り出すと彼女はおれを見下ろした。
「頼まれたら作るよ。でも、おれとの式じゃなけりゃ乗っ取ってぶち壊すよ」
「最低」
そう言って笑ったナミさんが少しうれしそうだったので、今ならもしかしてと思って腰へ伸ばした手はやっぱり目一杯つねりあげられた。
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仕方なく、あと少しのところで彼女に触れられたはずの手を引っ込めて、代わりにナミさんが持っていた買い物袋をその手から取り上げた。
「持つよ」
「いいわよ。あんたの方がもういっぱい持ってる」
「大丈夫、貸して」
やんわりと、しかし少し強引に奪い取る。ナミさんは小さく「ありがと」とつぶやいて袋を手放した。
「しゃぼん玉、どこから飛んできたのかね」
「しゃぼん玉?」
ほら、と顔を上げて顎で指し示すと、彼女もつられて顔を上げた。上空の、そんなに高くないところをふよふよとこころもとなく泳いでいる丸がある。しばらく立ち止まって、ふたりでぼんやりとそれを見上げていた。
「本当だ、何だろ」
突然、ごーんと低く鐘の音が響き渡った。思わずびくっと肩を揺らして音のした方を振り返る。
「…なるほど」
遠くに、教会が見えた。小さく鐘が揺れているのが見える。耳を澄ませば、人々の歓声や拍手、鳥の羽ばたきの音なんかが聞こえてきた。
「結婚式ね」
「見てく?」
「なんでよ」
ふっと鼻で笑って、ナミさんは歩き出した。あわてて俺もその後を追う。
「いいなーってなるじゃん。想像膨らむじゃん」
「海賊が見に来てたら幸先悪いでしょ」
それもそうか、と思い直す。
どっかでメシ食べてく? と顔を覗き込んだが、ナミさんはしっかりと首を振った。
「帰りましょ」
うん、と答えながら、いつもよりかたくなな気がするその小さな背中を見下ろしていた。
*
食堂のドアノブには、その日からしばらく花冠が掛けられていた。おれたちが見に行かなかった結婚式に、ウソップとチョッパーがたまたま通りがかっていたのだ。道端にフラワーシャワーの花々が落ちていて、それが珍しく茎のついた生花だったからと拾い集めてきたのだという。なんという乙女メンタル。
チョッパーがそれを使って花冠を作った。きれいだからとドアノブに掛けた。しかし、生花は枯れる。すでにしおしおと花は下を向き、花弁は茶色く染まろうとしている。
夕食後の皿洗い中に人の気配を感じて振り返ったら、その花冠を指先に引っ掛けたナミさんだった。
「んあんナミさん」
「なにか温かいのある?」
「すぐ淹れるよ。それ、どうした?」
「枯れてきてたから」
捨てるのだろうかと思ったが、ナミさんはカウンターに花冠を置いて自身もその前に座った。
ナミさんが思いを巡らすようにじっと花冠を見つめるので、
「式、やっぱり見に行けばよかったな」
「そうね」
思いがけない返事に振り返ると、ナミさんはぷちっと思い切りよく花冠の花弁を一枚ちぎった。
手の指でその薄い花びらをこねている。
「……ウエディングドレス姿のナミさん、もう一度見てぇなあ」
「もうまっぴらなんですけど」
スリラーバーグの一件を思い出して舌を出す彼女に笑い返して、カップに注いだ紅茶を差し出す。おれだってまっぴらではあるが、ナミさんが美しかったのは事実だ。
ナミさんはまだ熱いはずのカップに口をつけて、ふとおれを見上げた。
「いいなって言ってたけど、したいの?」
「結婚?」
「うん」
「ナミさんとなら」
「そういうのいいから」
真顔で遮られて、うーんと頭を掻く。
「正直あんま興味ねえけど、海賊だし。でもバラティエで時々やってたからさ、式っつーか、披露宴。なんともなしにいいなーとは思ったよ」
「へえ。バラティエでできるんだ」
「海上だからなかなか大変だけどな、海好きにはたまらんだろうな」
「海賊向きね」
ふふっと笑った彼女が可愛くて、もっと近くで見ようとそれとなくカウンターを回った。
「私、ちゃんとそういうの見たことないな」
「じゃあ自分のが初めてになるな」
ナミさんがきょとんと目を丸くするので、あれなんかへんなこと言ったっけと口をつぐむ。
しかし彼女はなんでもなかったように紅茶に目を落とし、「そうかもね」と静かにつぶやいた。
隣に腰を下ろして、「どんなのにする?」とおずおず尋ねてみた。
「私の?」
「そう、ナミさんの」
「結婚式?」
「うん」
そうね、と彼女は少し考えるように前を向いて、ぽつりと「ココヤシ村かな、やっぱり」と言った。それがいいと思う、とおれは大きくうなずく。
「でも、村の人達に見られるのもなんかね、やだから」
「恥ずかしい?」
「そうかも」
「でもきっと見に来るよ」
「たぶんね」
ナミさんは歯を見せて笑った。故郷のことを思い出すとき、ナミさんはこの笑い方をする。
「ゲンさんと、ノジコと。あとはドクターくらいかな」
「ずいぶん少ないね」
「そうかしら」
ちっともそうは思わないとでもいうようにナミさんは首を傾げた。
「ドレスは? どうする?」
「あそっか。ココヤシ村じゃ買えないな。帰る前にどこかに寄らないと」
まるで食材の買い出しみたいな気軽さで言うのでつい笑ってしまう。
「ていうか、ウソップ作ってくれたりしないかな。お金が浮くわ」
「ああ、できちまいそうだな」
「浮いたお金で宝石買ってもいいわね」
これくらいの? と指で輪っかを作ると、ナミさんは「ううん、もっと。これくらい」と細い指で一回り大きな輪っかを作った。
「ダイヤモンド?」
「そうね、やっぱり」
ドレスよりずっと高く付きそうだ。
「靴は?」
「そうね、ドレスをゴージャスにしてシンプルなハイヒールでもいいし……ロビンと相談したい」
うんうんとうなずきながら、おれはいつ言おうかと小さな顔をちらちらと覗く。
「そうだ、ケーキ。ウエディングケーキはサンジくんが作ってくれるでしょ」
「もちろん」
「よね。料理のことは心配ないし」
あとは、と考えを巡らす彼女を前にして、ついに想像の中に自分が役割を持って登場してしまったので耐えきれずに言った。
「でもナミさん、ひとりではできないよ」
ナミさんは頬杖をついていた手から顎を少し浮かせて、ほんの一秒の間を開けて「わかってるわよ」と怒ったふりと笑ったふりを同居させながら言った。
「てか、する予定なんかないし。帰る予定もまだないし」
「でもいつでもできるよ」
「なんでよ」
「おれがいるから」
ナミさんはまた一拍の間を開けて、カウンターの上で両肘を組んでそこに頬を置いた。そしてにやりと笑っておれを見る。
「興味ないって言ったわ」
「それより先に、ナミさんとならって言った」
「ふうん。じゃあ、あんたのはどんな式にするの」
「そうだな、場所はイーストブルーの温暖でみかんが特産の小さい村かな。街からちょっと離れた丘に立ってる家で。ゲストはこの船の奴らと、家族が少し。花嫁さんは知り合いの鼻がなげえのが作ったドレスを着て、こんなでっかいダイヤモンドの指輪をはめてる。そんでウエディングケーキはもちろんおれが作る」
あはは、とナミさんは頬をつけたまま声を上げて笑った。
「それ、私の」と。
「そうだよ、おれたちの」
「ううん、私の」
「おれたちの」
私のだってば、と笑いながらナミさんが目を伏せた。そのすきにぎゅっと椅子を寄せて距離を詰める。肩が触れたがナミさんは気づかないふりをして目を伏せたままだ。
テーブルと距離の近い彼女の姿勢のまねをして、おれも背中を丸めて顔を寄せた。彼女の頬の温度が感じられるくらい近くで、触れた肩がじんと熱い。
「叶うかね」
「さあ」
「も少し先かね」
「少なくとも」
ナミさんはいやにはっきりと「まだ帰らない」と言った。それもそうだとおれはうなずく。
ナミさんがちらりと視線をよこした。
「くっつかないで」
「誰も来ないよ」
「そういう問題じゃあないのよ」
じゃあ、何が問題なんだろう。二人の間の温度と湿度はじゅうぶんなほど高いというのに。
部屋にはふたりだけで、肩が触れていて、頬もあと数センチ、少し動かせば指も絡まる。そっと膝を開くと彼女のそれにぶつかった。いそぎんちゃくの先っぽに触ったときみたいに、細い脚はぎゅっと縮まる。
「なんの話してたんだっけ」
言わせたくてわざと尋ねると、意外に素直なナミさんは言いにくそうにしながらも「けっこん」とつぶやいた。
そうだったね、とおれはしらばっくれる。
もしもナミさんが、と切り出すと彼女の視線がこちらに向くのがわかった。
「おれにウエディングケーキを作ってほしいときが来たら」
「作ってくれる?」
どうだろうな、と思う。考えようとするも、やっぱり考えたくなくてわざともやもやした気持ちのまま答えをだすのをやめてしまう。
答えないおれを、怪訝な顔で彼女が覗き見たので代わりに言った。
「キスしてもいい?」
「ケーキの話はどこいったのよ」
「キスしてから考えよっかなって」
呆れた顔で、彼女はカウンターから体を起こした。せっかくくっついていた肩が離れて、ひんやりした空気が触れる。
髪を後ろに払った彼女は呆れ顔のまま「律儀ね」と言って立ち上がった。
「キスするのにはお伺い立てるのに、私の結婚式は乗っ取るつもりなの」
「うん」としか言いようがない。「ケーキの話だけど」と切り出すと彼女はおれを見下ろした。
「頼まれたら作るよ。でも、おれとの式じゃなけりゃ乗っ取ってぶち壊すよ」
「最低」
そう言って笑ったナミさんが少しうれしそうだったので、今ならもしかしてと思って腰へ伸ばした手はやっぱり目一杯つねりあげられた。
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