OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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大切なものはオレが守ればいいと思っていた。
身を削るつもりなんてさらさらないが、こいつらのためならそれもいいかと思うのだ。
幸福運び人
「マルコ隊長!この書類エース隊長がさっきそこに捨てるように置いてったんすけど…いりませんか?捨てていいっすか?」
「…いるよい。捨てんな」
「あっ、じゃあエース隊長に」
「いい、いい。オレが代わりにもらっとくよい」
そういいクルーの一人からぴっと書類を受け取った。
きっとまたエースのところに戻ったところでこの書類の運命は紙飛行機かなんかだろう。
ありがとうございますっと元気に礼を述べたクルーはきびきびと執務に戻った。
俺はくるりと反転し、書類に目を通す。
(…なにからやろうかねい…)
ジョズから書類にサインを貰い、換金のリストを作り、オヤジの定期健診の結果を聞きに医務室へ…
それからエースの説教とサッチのアホの書類をまとめて…
ああ、そういやイゾウが次の島の件で話あるっつってたねい…
んで次は…
「…コ、マルコ!」
「おわっ!」
考えに熱中しすぎて声が耳に届いていなかったらしい。
ビスタが背を丸めてオレを覗きこんでいた。
「マルコ、お前おかしいところないか?」
おかしいところ?はて、そんなものあっただろうか。
強いていうならば、思考中の頭が多少クラクラするくらいだろうか。
クラクラ?
あ、やべぇ。
そう思ったときにはすでに俺の脚は身体を支えることをやめていて。
情けなくもビスタの胸に倒れかかる瞬間オレは意識を手離したのだった。
夢を見た。
真っ暗闇の中俺は1人立っていて。
足を動かしても進んでいるのかなんてわからない。
ふと、横に人の気配。
…ああ、お前かい。
んっ?と片眉を上げオレに視線を送るサッチは行こうぜとオレを促した。
どこへ行くんだい?
決まってんだろ。
そんなやりとりがあって、またふいに横に人の気配を感じる。
日の光の匂いがした。
エースはオレを見上げにししと声を上げて笑う。
早く行こうぜとオレを誘った。
またひとり、またひとりと。
確実に増えて行くオレを囲む仲間たち。
見知った顔が一様に何処かを目指して歩いて行く。
暗闇の中ぼんやりと浮かび上がる大きな背中。
ああ、来るべき場所はここだったと、納得したオレはさらに早く歩を進めた。
しかし見える背中はすぐそこなのに、なかなかたどり着かない。
もう既に到着した奴らもいるのに、オレだけがついていけない。
やたらと息が切れる。
サッチもエースも、と目指す場所に行ってしまうのに。
何故オレだけがこんなにも疲れている?
サッチのように飄々と行けない。
エースのように軽やかには走れない。
おれ一人、必死で何を背負ってるってんだ。
向こうでみんなが早く来いよとオレを呼ぶ。
無理だ。背負うものが重過ぎて、お前たちと一緒には行けないんだ。
突如、グララララっと慣れ親しんだ笑い声が身体を包んだ。
ぱち、と瞼が開いた。
頬に暖かな何かが添えられている。
1番に目に入ったのは、見慣れた天井だった。
「起きたか」
「...オヤジ」
俺の頬を滑っていたのはオヤジの大きな指先で。
オヤジは実を屈めるようにして俺が横たわるベッドの横に腰を下ろしていた。
「風邪と、疲労だ」
無理させちまったようだなァと、オヤジは眉をすがめた。
ああ、あの朦朧とした頭は熱のせいだったのかと思いあたる。
ふと、オレの左側に熱を感じた。というか気づいた。
「...こいつ…」
「グララララ、エースの奴、自分が仕事サボったせいでマルコがぶっ倒れたと思いやがった。責任持って添い寝するんだとよ」
すやすやとムカつく程心地良さげな寝息を立てるエースを横目に捉えてから、ふと右側にも違和感を感じる。
床に座り込み、リーゼントをベッドに突っ伏したままこれまた寝息を立てる男。
「オレが来たときにゃァサッチの奴寝てやがった。オレがマルコの看病するんだ!っつって張り切ってたんだがなァ」
眉根を寄せて、それでも愛し気にオヤジはサッチの肩に乗せられた毛布を掛け直した。
しばらくそんなオヤジの顔を眺めていたのだが、ふと重大なことを思い出した。
「オヤジッ!オレまだ仕事がッ…」
がばりと身体を起こすとだるさが全身を駆け巡り、また目眩のような靄が視界を覆う。
そんなオレをオヤジは小突くようにして寝かせた。
「グララララ、窓見てみろ」
言われたとおりそちらに視線を送ると、そこはもう黒一色で。
オレからしたら一瞬のうちに、夜になっていた。
「・・・仕事は・・・」
「心配しねェでも、ハルタやらイゾウやらが張り切ってたぜェ。やっとお前の分の仕事ができるっつってなァ」
不覚だ。
自分のやるべきことを人にやらせて自分は一日ぐうすかしていたとは。
なぁマルコ、とオヤジが視線を下ろした。
「・・・おめェは・・・なんでも一人で背負いすぎるきらいがあるなァ・・・他の野郎どもが寂しそうだぜ」
「・・・オレは別に・・・」
「もうちょっと周りを見てみろ。他の奴の仕事ぶりを見るんじゃあねェ。お前が頼ってくれるのを待ってる奴ァ腐るほどいるんだ」
よっとオヤジが腰を上げた。
「熱が下がるまで休暇だ。仕事すんじゃねェぞ」
そういい小さな笑い声を上げてから、オヤジは部屋を出て行ってしまった。
隣で寝息を立てるエースの手には、先ほど(厳密には朝の話だが)俺が持っていたはずの書類が握られていた。
ベッドに突っ伏すサッチの横にあるローボードには、蓋をされた膳が置いてある。
仕事机へと目をやると、朝にはなかったはずの書類が綺麗に整理されて積んであった。
(・・・なんて贅沢もんだい・・・)
苦痛だなんて思ったことはなかった。
だが少し重石を外してみると、肩はありえないほど楽だった。
きっと体が回復したら、オレは今までと同じように同じだけ働くのだろう。
それがオレで、これからも変わることはない。
だがたまには融通の利かないことも言ってみようと思う。
理性と論理でガチガチのオレをほどいてくれる奴が、オヤジの言うとおりこの船には腐るほどいるのだから。
久しぶりに、夢も見ないで眠った。
身を削るつもりなんてさらさらないが、こいつらのためならそれもいいかと思うのだ。
幸福運び人
「マルコ隊長!この書類エース隊長がさっきそこに捨てるように置いてったんすけど…いりませんか?捨てていいっすか?」
「…いるよい。捨てんな」
「あっ、じゃあエース隊長に」
「いい、いい。オレが代わりにもらっとくよい」
そういいクルーの一人からぴっと書類を受け取った。
きっとまたエースのところに戻ったところでこの書類の運命は紙飛行機かなんかだろう。
ありがとうございますっと元気に礼を述べたクルーはきびきびと執務に戻った。
俺はくるりと反転し、書類に目を通す。
(…なにからやろうかねい…)
ジョズから書類にサインを貰い、換金のリストを作り、オヤジの定期健診の結果を聞きに医務室へ…
それからエースの説教とサッチのアホの書類をまとめて…
ああ、そういやイゾウが次の島の件で話あるっつってたねい…
んで次は…
「…コ、マルコ!」
「おわっ!」
考えに熱中しすぎて声が耳に届いていなかったらしい。
ビスタが背を丸めてオレを覗きこんでいた。
「マルコ、お前おかしいところないか?」
おかしいところ?はて、そんなものあっただろうか。
強いていうならば、思考中の頭が多少クラクラするくらいだろうか。
クラクラ?
あ、やべぇ。
そう思ったときにはすでに俺の脚は身体を支えることをやめていて。
情けなくもビスタの胸に倒れかかる瞬間オレは意識を手離したのだった。
夢を見た。
真っ暗闇の中俺は1人立っていて。
足を動かしても進んでいるのかなんてわからない。
ふと、横に人の気配。
…ああ、お前かい。
んっ?と片眉を上げオレに視線を送るサッチは行こうぜとオレを促した。
どこへ行くんだい?
決まってんだろ。
そんなやりとりがあって、またふいに横に人の気配を感じる。
日の光の匂いがした。
エースはオレを見上げにししと声を上げて笑う。
早く行こうぜとオレを誘った。
またひとり、またひとりと。
確実に増えて行くオレを囲む仲間たち。
見知った顔が一様に何処かを目指して歩いて行く。
暗闇の中ぼんやりと浮かび上がる大きな背中。
ああ、来るべき場所はここだったと、納得したオレはさらに早く歩を進めた。
しかし見える背中はすぐそこなのに、なかなかたどり着かない。
もう既に到着した奴らもいるのに、オレだけがついていけない。
やたらと息が切れる。
サッチもエースも、と目指す場所に行ってしまうのに。
何故オレだけがこんなにも疲れている?
サッチのように飄々と行けない。
エースのように軽やかには走れない。
おれ一人、必死で何を背負ってるってんだ。
向こうでみんなが早く来いよとオレを呼ぶ。
無理だ。背負うものが重過ぎて、お前たちと一緒には行けないんだ。
突如、グララララっと慣れ親しんだ笑い声が身体を包んだ。
ぱち、と瞼が開いた。
頬に暖かな何かが添えられている。
1番に目に入ったのは、見慣れた天井だった。
「起きたか」
「...オヤジ」
俺の頬を滑っていたのはオヤジの大きな指先で。
オヤジは実を屈めるようにして俺が横たわるベッドの横に腰を下ろしていた。
「風邪と、疲労だ」
無理させちまったようだなァと、オヤジは眉をすがめた。
ああ、あの朦朧とした頭は熱のせいだったのかと思いあたる。
ふと、オレの左側に熱を感じた。というか気づいた。
「...こいつ…」
「グララララ、エースの奴、自分が仕事サボったせいでマルコがぶっ倒れたと思いやがった。責任持って添い寝するんだとよ」
すやすやとムカつく程心地良さげな寝息を立てるエースを横目に捉えてから、ふと右側にも違和感を感じる。
床に座り込み、リーゼントをベッドに突っ伏したままこれまた寝息を立てる男。
「オレが来たときにゃァサッチの奴寝てやがった。オレがマルコの看病するんだ!っつって張り切ってたんだがなァ」
眉根を寄せて、それでも愛し気にオヤジはサッチの肩に乗せられた毛布を掛け直した。
しばらくそんなオヤジの顔を眺めていたのだが、ふと重大なことを思い出した。
「オヤジッ!オレまだ仕事がッ…」
がばりと身体を起こすとだるさが全身を駆け巡り、また目眩のような靄が視界を覆う。
そんなオレをオヤジは小突くようにして寝かせた。
「グララララ、窓見てみろ」
言われたとおりそちらに視線を送ると、そこはもう黒一色で。
オレからしたら一瞬のうちに、夜になっていた。
「・・・仕事は・・・」
「心配しねェでも、ハルタやらイゾウやらが張り切ってたぜェ。やっとお前の分の仕事ができるっつってなァ」
不覚だ。
自分のやるべきことを人にやらせて自分は一日ぐうすかしていたとは。
なぁマルコ、とオヤジが視線を下ろした。
「・・・おめェは・・・なんでも一人で背負いすぎるきらいがあるなァ・・・他の野郎どもが寂しそうだぜ」
「・・・オレは別に・・・」
「もうちょっと周りを見てみろ。他の奴の仕事ぶりを見るんじゃあねェ。お前が頼ってくれるのを待ってる奴ァ腐るほどいるんだ」
よっとオヤジが腰を上げた。
「熱が下がるまで休暇だ。仕事すんじゃねェぞ」
そういい小さな笑い声を上げてから、オヤジは部屋を出て行ってしまった。
隣で寝息を立てるエースの手には、先ほど(厳密には朝の話だが)俺が持っていたはずの書類が握られていた。
ベッドに突っ伏すサッチの横にあるローボードには、蓋をされた膳が置いてある。
仕事机へと目をやると、朝にはなかったはずの書類が綺麗に整理されて積んであった。
(・・・なんて贅沢もんだい・・・)
苦痛だなんて思ったことはなかった。
だが少し重石を外してみると、肩はありえないほど楽だった。
きっと体が回復したら、オレは今までと同じように同じだけ働くのだろう。
それがオレで、これからも変わることはない。
だがたまには融通の利かないことも言ってみようと思う。
理性と論理でガチガチのオレをほどいてくれる奴が、オヤジの言うとおりこの船には腐るほどいるのだから。
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