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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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「サッチだ。仲良くやれよ」
 
そう言ってオヤジがオレともう一人の頭の上にポンと手を落とす。
そいつが嬉しそうに笑う一方、オレはこれでもかというほど顔をしかめたのだった。
 
 
 
 
柱に刻まれた思い出
 
 
 
 
 
「オヤジっ、オヤジっ!」
「ああん?」
「なんだよい、さっきの奴!誰だよい!」
「グララッ、さっき言ったじゃねぇか。サッチだ」
「そうじゃなくてっ!なんでこの船に乗ってんだよいっ」
「そりゃああいつもオレの息子だからだ」
 
 
息子。
それはオレのことであって、あいつのことじゃない。
 
「…なん、で」
「グララララ!てめぇたちゃぁ兄弟だ。仲良くやれよ。あいつにいろいろ教えてやれ」
 
 
豪快に笑ってそういうオヤジは、何処かいつもよりも機嫌が良さそうで、それがあいつのせいかと思うとまた腸がぐつりと音を立てた。
 
 
 
 
 
 
「あんたがマルコ?おれ、サッチってんだよ!よろしくな!」
 
にかりと笑うそいつに返事は返さず、オレはじとりと睨み返す。
しかしサッチというそいつはまったく気にした風もなく、船縁に寄りかかって海を眺めるオレの隣に同じ様に寄りかかる。
 
 
「おれさぁ、さっきの島の飯屋にいたんだけどさぁ、飯屋のくせにオレに飯食わせてくんなくてさぁ、そったらオヤジが一緒に来いって言ってくれたんだ!あ、オヤジって言うのなんかいいよなぁ。おれ自分のオヤジ知んねェからさぁ、なんか最初は照れ」
「オヤジはオレのオヤジだ」
 
奴の方に視線を向けることなくそう零すと、サッチは一瞬キョトンとしたがすぐに、おう!おれのオヤジもあの人だ!と屈託なく笑った。
 
気に入らない。
オヤジはオレのオヤジで、オレだってオヤジが誘ってくれたからここにいるんだ。
 
なんで。
オレがいるのに、なんでこんな奴連れてくるんだよ。
オヤジ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「あぶねぇっ!!」
 
ぐんと全身に重みがのしかかり、二人一緒に後ろへともんどり返る。
オレが今しがた居た場所には、それはもうぶすりと、ナイフが一本刺さっていた。
 
オレの上にのしかかっていたサッチは素早く立ち上がり、オレと背中を合わせる。
オレたちの周りには、オレたちよりも当然背丈のある大人が数人。
 
「んだぁ、ここにゃあガキしかいねぇのか」
 
「うるせぇ、人の船に乗り込んできて何のつもりだよい」
 
「おれたちゃぁ、エドワード・ニューゲートの船に乗り込んだつもりだったんだがなぁ、」
 
ひっひっ、と耳触りの悪い笑いをあげる。
ぐっと唾を飲み込んだ。
その音が背中にいるこいつに聞かれたらどうしようとも思った。
 
オヤジは今換金に島へ下りている。その隙に他の海賊に乗り込まれたのだ。
オレとサッチは食堂で待機中だった。
 
 
「おい、お前戦えるのかよい」
 
「…まともにやったことねぇけど、あ、そこの包丁二本取ってくれ」
 
 
こいつ包丁で戦うつもりかよとも思ったが、とりあえず言われた通りサイドテーブルに置いてあった果物ナイフと刃渡りの大きい包丁を手に取りサッチに渡す。
サッチは長さの違うそれを手の内でくるりと回した。
 
 
「お前強いの?」
 
「強いよい」
 
「そりゃいいや」
 
 
にひっと笑い、肩が揺れたのが背中越しに伝わった。
 
オレたちが2人で会話していたのが気に食わなかったらしい大人は、なにかを叫びながら一斉に斬りかかってきた。
 
 
(攻撃をかわせばこいつに当たる)
 
何故だか本能的にそう思い、近くにあったイスを持ち上げ攻撃を受け止め、その隙に男のすねを蹴り上げる。
うっと屈んだヤローの顔に一発拳をめり込ませると、鼻血を吹いてあっという間に伸びた。
 
背中からは同様にサッチが戦っている様子が振動で伝わる。
どこか妙な安心感があった。
はじめ感じていた違和感も、やりあっている内にそれはまるでダンスでも踊っているかのように息が合っているのが自分でもわかった。
 
 
 
「このガキっ…!」
 
放たれた弾丸は手元にあったステンレスの盆で受けとめはたき落とす。
そのままその盆を男に投げつけたとき、オレの後ろから別の男が飛んできてそいつの上に重なり落ちた。
すぐに二本包丁が飛んできて、重なったそいつらに突き刺さる。
そして男たちは動かなくなった。
 
 
「おーわりっ」
 
ぱんぱんっと手を払う音が聞こえ、すぐに食堂は静けさを取り戻した。
ふたりぶんの息遣いだけが伝わる。
 
「はぁ、オレ初めて戦ったよ!海賊ってすげぇな!てかお前本当に強いのな!」
 
「…っ、当たり前だろい」
 
お前もな、と言おうとしてやめた。
 
「おれさぁ、毎日飯屋のオヤジと戦争してたんだよ。包丁で。初めて役に立った」
 
へへっと鼻を鳴らすと、サッチは高々と片手を上げた。
 
「?」
 
「おつかれだぜ!兄弟!」
 
 
にっと笑うそいつの顔は、どこかオヤジの笑顔と重なった。
だからだろうか。
知らず知らずのうちにオレも同様に片手を上げ、互いの手を打ち鳴らしたのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「なぁ、ここなんかやたら傷ついてねぇ?」
 
エースがリスのように口を膨らませたまま、食堂にある一本の柱をさすった。
 
「ああ、そりゃ前の船で使ってた柱ぁそのまんま使ってんだよい」
 
「前の船なんてあったのか!!」
 
「エースが生まれるより前の話だぜ」
 
「へぇ、時代を感じるぅ」
 
「「喧嘩売ってんのかクソガキ」」
 
 
 
エースは口の中のものを精一杯咀嚼して飲み込んだ。
 
「にしても傷ついてんなぁ。戦闘でやったみたいな傷だ」
 
 
 
ちらりとサッチに目をやると、サッチも然り。
くっと笑いが漏れた。
 
「…なに笑いあってんだよ。気持ちわりぃおっさんたちだなおい」
 
「よし、エースくんは言葉遣いから覚え直そうか」
 
 
サッチにヘッドロックをかけられて絶叫する末っ子を目の端に映しながら、オレはグラスの酒を大きく仰ぎ、喉に流し込んだ。
 
 
 
その傷は、オレが初めて背中を預けるということを覚えた証。
 
 
 
エースの成敗を終えたサッチは、にっと笑って片手を上げた。
 
オレは片眉を上げながら、その手に自身の手のひらを叩きつけたのだった。
 

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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