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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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だかだかだかっ、と今日も重たいブーツが鳴る。
その足音の主は、廊下を曲がったところでオレを見つけると日向のような笑顔を見せた。
 
 
 
 
ゲームオーバー
 
 
 
 
「サッチ!!どこ行くの?陸上がるの?あたしも行ってい?」
 
いいよ、一緒に行こう、と。そんな返事を期待してキラキラと輝く瞳を見ると、おれはどうしても裏切ってやりたくて仕方なくなるのだ。
嫌な奴だろう。
愛ゆえというやつだ、許してくれ。
 
「アンはダメ」
「えっ!なんで!!」
「おれ今から浮気にしに行くんだよ」
 
 
その瞬間、かくっと落ちた顎を見て内心ほくそ笑む。が、それは必死に押さえつけて顔には出さない。
おれはマルコのようにポーカーフェイスはうまくないからどうだろう。アンの顔を見るところによると、大丈夫だ。顔には出ていない。
 
 
「じゃな」
 
 
ひらりと手を振って隣を通り過ぎる。
数歩歩いてから、忘れていたが隣にいたイゾウがくくっと抑えた笑い声をはみ出させた。
 
 
「お前さんは悪い男だなァ。見たか、天災と人災がいっぺんに来てこの世が終わったかの様なあのツラ」
「見たさ。そのためにやってんだ」
 
そう言うとイゾウは飽きれた様に、しかし至極楽しげに肩を揺らして笑った。
 
 
「で、本当は何しに行くって?」
「ん?コショウ買いに行くってんだよ」
 
それを聞いてイゾウは、こんな男に捕まっちゃ災難だ、と戯けた様に肩を竦めたのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
言ったとおりコショウとの浮気を終えたおれは、目的の場所へ向かう。
目的も何もそこはおれの部屋なのだが。
 
部屋の戸を開けると、主がいない布団がこんもりと盛り上がっていて、やっぱりと息を吐く。
いつもこうだ。
おれがアンを邪険に扱い、アンはヘソを曲げ、何故かおれの布団へ潜り込むのだ。
 
しかし今日はその有様より、おれの机にうず高く積まれたものに目が行った。
 
 
「あああっ!!おれのエロ本!!」
 
慌てて走り寄ると、それは全て本の中心が真っ黒に焼け焦げて、無惨にも綺麗なおねえさんのナイスバディが消えてしまっていた。
まさかとページを捲れば、中のべっぴんさんもすべて同じ状態で。
 
 
「くっそ〜!!おいアン!!てめぇなんてことしてくれんだ!!
おれの…おれの心のオアシスを!!」
 
特にこれお気に入りだったのにぃぃぃ!と積まれた本の一つを指さして叫んでも、布団はぴくりとも動かない。
 
 
「おいアンッ!聞いてんのかよ!」
「うるさいバカッチ」
「バッ…!」
 
再び怒鳴ろうと口を開いたが、ぐすっと鼻をすする音が聞こえたもんでその意思はしゅるしゅると縮んでいってしまった。
 
ちなみに説明すると、このゲームはアンが泣いたら終わりだ。
何故かって、泣かれたら慰めるのが男の役目だろ。
たとえ泣かせたのがそのオトコだとしても。
 
 
 
「…アーン、」
 
山になった布団の隣に腰を下ろすとおれの重みでベッドが揺れたが、アンはかたくなに出てこない。
 
 
「アン、おれが悪かったよ。浮気なんてするわけねぇだろ?ほら、出てこいよ」
「…」
「本当だって。おれコショウ買いにいっただけなんだよ」
「…サッチと浮気してくれる女の人なんていないもんね」
「にゃんだとう」
 
 
娼館のねぇちゃんは相手してくれるわ!と言おうとしたがやめた。また蒸し返してどうする。
 
 
「ほら、ごめんって。出て来てくれよ」
 
とんとん、とあやすように布団を叩くと、ぴらりと布団の裾が捲れてアンの目より上が覗いた。
 
「…サッチのバカ」
「そーだなおれはバカッチだ」
「ふふ」
 
ああ、やっと笑った。
未だ布団に隠れる身体に被さるようにして、見えている目元に唇を落とす。
 
「こんな可愛いの置いてなんて行けるわけねぇだろ」
「そのわりにはエロ本のおねぇさんと仲良しじゃん」
「もうそのねぇちゃんもいねぇよ。アンが燃やしたからな」
「…怒った?」
「…いいや、」
 
 
ちらりとさらに布団を捲り、現れた唇に唇を当てる。
 
 
こうやって、イジメ泣かせた後に思いっきり甘やかしてとろっとろに溶かすのが、いいのだ。
アンだって、こうやって甘やかされるのが好きだから、内心またいつもの意地悪だとわかっていながらも拗ねておくのである。とおれは密かに思っている。
ううんかわい。
 
 
いそいそと布団を捲りあげ、その中に潜り込み布団の中でアンの上に乗る。
 
「…なに」
「いや、本のねぇちゃんは燃えちゃったからさ、」
「あたしはその代わり?」
「ばっか、逆に決まってんだろ」
 
 
やっぱバカッチだ、という呟きは聞かなかったことにして、おれは再びその唇を塞ぐのだ。
 
ゲームオーバーとは、まさにこのことである。
 
 

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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