OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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平和なモビーディック号では、世界一の海賊白ひげ海賊団の、それも隊長たちが雁首揃えて頭を抱えていた。
強面の男達はうんうんと唸り、責任転嫁に始まり状況の打開策まであれやこれやと話し合っている。
「誰だよアンのニワトリ喰った奴!」
「みんな喰ったわ!」
という具合に。
ことの始まりは昨日の昼食。
メニューはチキンのソテー。
アンの大好物だ。
ご機嫌でぺろりとたいらげたアンは、近頃日課になっていた船底の家畜小屋へと向かった。
1600人の胃袋を支える為に、モビーの船底には豚とニワトリを数匹飼っている。
中でもニワトリは貴重だ。卵や肉といったタンパク源の宝庫。
そのうち一匹のニワトリをアンはいたく気に入ってしまったのだ。
理由は
『なんとなく顔が弟に似ているから』
らしい。
「オレ言ったんだぜ?あんま懐かせると情が移るからやめとけって」
「なんでもっとキツく言っとかねぇんだよい!」
「だってまさかこんなに落ち込むとは思わねぇじゃん!」
はあ、と重い溜息が食堂を包んだ。
そして食事後家畜小屋に向かったアンは、お気に入りのニワトリの姿が無いことに戸惑う。
急いで食堂に戻りサッチを問い詰めた。
「14の札のついたニワトリ?ああ、それならさっきのソテーに…あ、」
気づいたもののすでに遅く、アンはまさしく真っ青な顔で固まった。
食べてしまったのだ。
あんなに可愛がっていたニワトリを。
しかもものすごくおいしく。
ふら、とよろめいたアンはよたよたと食堂を後にして、部屋へと閉じこもってしまった。
泣きも喚きもしなかったのがこれまた恐ろしい。
その背中を、食堂にいたクルーたちは何とも言えぬ表情で見守っていた。
もちろん、誰がそのニワトリを食べたかなどわからないが、言いようの無い罪悪感にかられた。
それから丸一日、アンは部屋から出てこない。
「なんであのトリにしたんだよいっ!」
「仕方ねぇじゃん!どうせ食うための家畜だったんだから!…ちょ、みんなしてそんな目で見るのやめて!」
まるであのニワトリを捌いたサッチに非があるかのような棘のある視線が集まり、サッチは肩をすぼめた。
このマルコを除くクルーたちは、アンを責めるという思考は持ち合わせていないらしい。
「…仕方ないねい」
「お、マルコさん出動!?」
「仕事進まねぇだろい」
そういいマルコをが腰を上げると、何故か他の隊長たちも一様に腰を上げる。
男たちはぞろぞろとアンの部屋へと向かった。
目的の部屋の扉を囲む様にして男たちは佇む。
「ア、」
「ちょっと待てマルコ!お前そのままじゃ説教モードだろ!」
「優しくな!や、さ、し、く!!」
隊長たちはあわあわと、身振り手振りをつけてマルコを諭す。
とうのマルコはまさに説教しようと口を開いたところで、むっとして眉根を寄せた。
「…わかってるよい」
とんとん、と小さくその扉をノックする。
全員が耳をそばだたせるも、無音。
「…アン、その、」
「っうあぁぁぁぁっ!」
マルコの声が発せられた瞬間、爆発するような泣き声。
マルコは目を丸め、何事かと尋ねる様に隊長たちを振り返った。
イゾウは微かな苦笑を浮かべている。
「あれだろ、マルコ→トリ→ニワトリ→喰っちまった、っていう」
ああー、と納得する様な嘆息が皆から漏れる。
選手交代だな、と心なしか打ちひしがれたような顔をするマルコの肩を、サッチが掴んだ。
「アンー。ほら、またさ、別のにしたらいいじゃん。あんなに一杯いるんだぜ?弟に似た奴なんてまだいるって」
「あの子がよかったの!」
絶叫の後、ぶびーっと鼻をかむ音までご丁寧に届いてきた。
サッチはぽり、と頬を掻いたのち、ぱちんと指を鳴らした。豆電球が光ったようである。
「アンはもうトリ飼ってるだろ?一匹で我慢しなさい!」
「…?」
「サッチ、」
がしっと大きな手がリーゼントを鷲掴み、握り潰す。
いやぁぁぁぁとアンより酷い叫びが響いた。
そこにぽつりと落とされた、小さな声。
「ぐすっ…マルコよりあの子がいい」
だって不死鳥はルフィに似てないんだもん、と。
今だリーゼントの緊急事態に悲鳴をあげるサッチと、サッチの頭についた物体を握り潰したままポーカーフェイスでさらなる悲しみに沈むマルコを他所に、じゃあ、とジョズが進みでた。
「…ア、アン。今なら仕事の手伝いしなくても、オレの持ってる菓子をやろう」
おお!物で釣る作戦か!ジョズ賢い!と賞賛が上がる。
これは出てくる、と誰もが思った、が。
「…今いらない…」
海王類もびっくり、というやつである。
「アンが食い物をいらないと言った!」
「アンがジョズのお菓子を!」
「夏島に雪が降るぞ!」
「冬島に桜が!!」
これは相当だ…!と隊長たちはさらに頭を抱えた。
前代未聞の非常事態である。
「じゃあちぃとばかしオレが出ようかねぇ」
そう言って進み出たのはイゾウ。
「アン、こんなときになんだがオレァお前さんに話がある」
「っ、あの子の話はやだ」
「いや、オレの話だ。アン、実はオレはマルコが好きなんだ」
「「!!」」
同時にアンとマルコが息を呑む。
何言ってんだと食い付くマルコを慌てて他の隊長が抑えた。
イゾウは至極楽しげに、袂に手を入れたままアンの反応を待った。
「…ほんとに…?」
どうしようとでも言いたげな弱弱しい返事に、イゾウの喉がくつりと鳴る。
マルコは、想像も及ばぬアンの思考回路に目眩がした。
「ああ、もちろん家族としてじゃねぇ。黙ってて悪かったな。だがオレァお前さんがこの船に乗る前から…」
「…うそ、」
役者モード全開のイゾウは、はぁ、と深く息を吐く。
「お前さんとマルコが出来ちまってオレァ身を引いたつもりだったが…このままお前さんが出てこねぇっつうならオレァ攻めちまうかもなぁ」
ふうっと紫煙を吐き出せば、返事が帰ってこなくなった。
これは考えている。
ぱくぱくとマルコは口を開いたり閉じたりと落ち着かない。
そのうち出てくるぜ、とイゾウが口だけ動かした。
しかしアンは悉く予想を裏切ってくれる。
「…今だけ貸してあげる…」
これにはイゾウもぶっ飛んだ。
マルコは何故か目頭を抑えている。
「おいおいいいのか?オレァお前さんのマルコ取って喰っちまおうってんだぜ?」
お前が喰っちまうのかよ!と小声で突っ込む隊長たちを他所にイゾウが慌ててそう言うが、アンはさらさら意味を解していない。
「全部食っちゃやだけど、ちょっとならいいよ…」
会話の不成立を悟ったイゾウは、お手上げとばかりに肩を竦めた。
「よしマルコ、許可ももらったことだしちょいと一発やろうかい」
「ふざけんじゃねぇよい…!」
それからはまさしく攻防戦である。
ハルタは非常食を分けてやろうと持ち出し、ビスタは次の島で奢ってやろうと提案し、その他隊長たちは必死でアンを引っ張り出そうと試みたが、どれもばっさり切り捨てられる。
しかしもう放っておこうとは誰も言わない。
一日でも可愛い妹の顔が見られないのは辛いものだ。
そこへ突如、どすんと響いた大きな足音。
「オヤジ!」
「グララララ!アンの奴がへそ曲げてるらしいじゃねぇか!」
白ひげは巨体を巧みに動かし部屋の扉の前まで来ると、一言言い放った。
「おいアン、今日は一緒に寝るかァ!」
「寝る」
すぐさま答えが帰ってきたかと思えば、この数時間隊長たちがあれやこれやと手を尽くして開けようとしていた扉が容易く開いた。
真っ赤な目を腫れぼったくしたアンは、よたよたと白ひげに歩み寄るとその胸に飛び込んだ。
グララと小さな笑いがあがり、アンを抱き込んだ白ひげは愉快そうに自室へと戻って行く。
残された隊長たちはというと、誰もが心の中で叫んだ。
つもりだったが、全員声に出ていた。
「何このお約束!!」
我等が父は最強
(こらマルコ羨ましそうな顔すんな!)
(お前どっちが羨ましいんだ?)
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