OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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「ほらエース、こぼしてる」
「お、いけね」
「マルココーヒー飲むかー」
「よい」
「…お前それ全然可愛くねェんだかんな」
馬鹿馬鹿しいけど愛してる
棚に行儀よく並ぶカップを二つ手に取り、もう片方の手でコーヒーメーカーに豆をぶち込む。
ゆるやかに品のいい香りが立ち上った。
こぽこぽと茶色いしずくが落ち始めた頃、テーブルのほうではばたんぐちゃっぐーという三重奏が聞こえてきて、はぁとため息をつく。
入れたてのコーヒー二つを片手で持ち、よっという掛け声とともに壁に掛けてある布巾を手に取りテーブルへと戻った。
エースは誰よりも早く食事をはじめ、誰よりも長く食べ続ける。そしてその合間に小休憩が入るのだ。
突然死ならぬ突然睡眠。本日はナポリタンの中に顔を突っ込んでぐーすかやっている。
オレは末っ子が起きてトマトソースを乗せた顔のまま出歩かないよう、スプーンを握っていないほうの手に布巾を持たせてやった。
「ん」
「ありがとよい」
新聞片手にあくびをかますマルコのわきにカップを置き、向かいに腰掛ける。
眼鏡を外したマルコは再びあくびし、コーヒーに手を伸ばした。
「お前眼鏡ねぇと新聞読めねぇの?」
「読みにくいだけだい」
「老眼じゃね」
そう軽口をたたくと、マルコは嫌そうに顔をしかめた。
うへっ、怖。
「食堂は薄暗ぇんだよい」
「だから?」
「…鳥目なんだよい」
「ウソつけ」
くくっと笑いを零すと、マルコはきまり悪そうにずずっとコーヒーをすすった。
オレはこの匂いが好きだ。
みんなのために飯を作って、野郎どもがそれを食べて、食べ物と人いきれが混じったような。そんな匂い。
そして人もまばらになった頃、マルコの隣で皿に顔を突っ込む末っ子を眺めて、マルコが読む新聞を裏面から読むときに香る、二人分のコーヒーの匂いも。
「今日宴するってよい」
「なんの?」
「確か8番隊の誰かの誕生日だろい」
「あぁ、そりゃいいや」
そうと聞いたらじっとしていても仕方がない。
この時間が終わることに少しの名残惜しさを感じながらも、オレは宴のためのつまみの準備に取り掛かろうと厨房へと向かった。
「宴だァ!!」
ガチャンッといくつものジョッキがぶつかる音が船内を駆け回る。
オレたちの騒々しさに負けて夜の海の陰鬱さはどこかへ弾き飛ばされてしまったようだ。
モビーの明るさがその暗い海のど真ん中にぽっかりと浮かび上がっていた。
「オヤジー、つまみ持ってきたぜー」
「グララララ!悪りィなサッチ!」
「今日のは新作だぜ」
ウインク一つかましてオヤジの酒びんのわきにつまみの皿を置く。
オヤジは嬉しそうに目を細めてから喉を鳴らして酒を呷った。
すると騒々しい甲板の遠くで、わぁっと声が上がる。焦ったような、それでいて喜んでいるような。
「エースが海に落ちたー!!」
酔いどれたちはそれさえも嬉しそうで、ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てている。
「ったくしょうがねェの」
素面のおれが行くしかねェじゃねぇか、とひとつため息をつき足を踏み出した時、オヤジの低い声がオレを呼びとめた。
「後でまたオレのとこに来いよ」
「? わかった」
妙な誘いに首をかしげながら、本日もキマっていたリーゼントにサヨナラを告げてオレは黒い海に飛び込んだ。
だらしなく垂れ下がりぽたぽたとしょっぱい水滴を垂らす髪を絞りながら、再びオヤジの座る椅子へと向かう。
が、その道中14番隊の奴らが『つまみが足りねぇ!』と騒いでいるのを聞いて、オヤジは後でいっかと結論付けたオレは厨房へと方向転換した。
「ほらよ」
本当はつまみなんかなくたって飲み続けられるくせに、と思いながら野郎どもの前に皿をいくつか並べると、おおおお!と歓声が上がった。
「あざーっすサッチ隊長!」
「やべぇ!マジ旨ェ!」
「そりゃよかったよい」
ひとつマルコの真似でもしてみるとこれまた爆笑の渦が起こる。
これだけでネタになるマルコも素晴らしいと思うが、この酔っ払いたちも相当キているのだろう。
きっと箸を転がしても笑う。
そいつらの一人がオレにジョッキを手渡そうとしてきたが、オヤジに用があると断ってそこを立ち去った。
「オヤジー」
「おう、サッチ、…なんだオメェまだ飲んでねぇじゃねぇか」
「あぁ、忙しくってよー」
少し長くオレを見つめたオヤジは、ふっと目元を和らげた。
そしてぽんぽん、と自身の膝を叩く。
「え、あ、」
「なんだ、来ねぇのか」
膝に乗れと促されていることはわかるんだが。
いかんせんこの私サッチ君、悔しいが自他とも認めるおっさんである。
そんなおっさんがオヤジの膝の上と言うのは幾分寒くないか?
エースあたりがオヤジにじゃれついているのは違和感ないし可愛くもあるが。
あれ、そういやこないだマルコもオヤジの膝乗ってたな…
オヤジは諦め悪く膝をたたき続けるもんで、根負けしたオレはじゃぁ失礼とばかりによっと膝へ乗った。
「ほらよ」
オヤジがなみなみと酒が注がれたジョッキを手渡してきたのでそれを受け取る。
きっとオヤジの酒だ、キッツイんだろうなーと思いつつも一口飲んでみると、やはり喉がカッと熱くなった。
「…えらく働きモンじゃねぇかサッチ」
「ははっ、それマルコに聞かせてやりてぇ」
おどけた風にそう言ってもう一口酒を飲む。
オヤジはグララと小さく笑った。
「…いつもオメェは飲み始めが遅ェ。メシ作ってるからだろうが、少々サボリも必要だぜ」
「そ、りゃぁ仕事だし…それにオレ他のとこでサボってるからさ」
ひひ、と笑ってみるとオヤジも目だけで笑い返す。
「メシ作って回って、空いた皿がねぇか見て回って、またメシ作って。この船にゃぁザルばっかだからなぁ、つまみなんてもん作り始めりゃキリがねぇ。…ありがとよ」
ぼすんと重たい衝撃が頭に落ちてきて、崩れた髪形をさらにかき混ぜるようにしてオヤジの手が頭を撫でまわした。
久しぶりの感触に軽く頬に熱が上がったが酒のせいだとごまかす。
それでも緩む頬は隠せない。
オレは、人が飯を食う顔が好きで。旨いとでも呟く声を聞けばなおよし。
だからまさかオヤジに礼を言われるなんて微塵も考えていなかったわけで、オレは俯くばかりでまともな返事さえできなかった。
(あぁ、久しぶりだこの感じ)
いつから、オヤジの膝に先に登るのをマルコと競争しなくなったのだろう。
いつのまに、オヤジに撫でて欲しいとねだらなくなったのだろう。
それでもオヤジはオレの欲しいものをちゃんとわかっていた。
「…へっ、でも好きなんだよなぁ、メシ作るの」
「あぁ、知ってるよ」
やっぱりか。
そう言って笑うとするりとオヤジの手がオレの頭を離れて、くしゃりと顔を歪めて笑うオヤジの姿が見えた。
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麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。
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