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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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「これこっちでいいのー?」

 

「ああ、そこに置いてくれ」

 

「んー、」

 

よっこいしょ、と年寄り臭い掛け声と共に数個の木箱を持ち上げたアンは、それをジョズが指し示す方向に持っていく。

 

寄港している今、ジョズ率いる3番隊は積荷の管理、アン率いる2番隊は見張りとして船に残っている。

ジョズは自身の隊員にあらゆる指示を飛ばして忙しいが、見張りというのは100人の隊員でするものでもない。

よって隊長であるアンに実際のところ今仕事はないのだ。

暇だから変わるよと隊員に声をかけてみても滅相もないと断られるし、見張りといってもまっすぐに続く海を眺めるか遠くから聞こえる喧騒を恋しく思いながら陸を眺めるかしかすることがないので、どっちにしろ暇であることには変わりない。

時間を持て余したアンは、ジョズに手伝いを申し出たのだ。

 

 

「悪いなアン、手伝わせて」

 

「何言ってんの、あたしから言ったんだよ」

 

どかどかっと積荷を重ねていると、後ろからジョズの詫びる声。アンはからからと笑って受け流す。

 

「後で菓子、やるからな」

 

「やった!」

 

こういうご褒美があるからという下心がなかったと言えば嘘になるが。

 

アンは荷物を抱えながらもちらりと横目でジョズを流し見た。

巨体を自由自在に操り狭い倉庫を行ったり来たり。

寡黙で穏和な彼だが内には熱いものを秘めた三番隊隊長。

 

振り返ったジョズはアンが自分を見つめていることに気づいて少しわたついた。

 

「…な、なんだアン」

 

「ううん、ジョズなんか格好イイね」

 

「!?」

 

 

カッと顔に血が上り、口をぱくぱくさせる大男にアンはあれ、と苦笑する。

 

「…な、にを突然…」

 

「いやー、ただ思っただけ」

 

ふふ、と肩を揺らす小娘に返すべき言葉もなく、ジョズはあーとかうーとか唸って後頭部を所在なくさする。

この小さな妹の前だとどうも調子が狂って仕方がない。

 

じっと見返すと、アンは ん? と首を傾げた。

自分の落とす爆弾がどれだけ兄たちを困らせるか(喜ばせるか)分かっていないのだから、本当に本当にタチが悪いにも程がある。

しかし誰がそれを言ったところでアンが理解できるとは到底思っていないし、それ以前にまず落とされる爆弾に内心ホクホクしている兄たちがいるため、誰も口にしようとはしない。

困ったものだと思いながら、ジョズ自身も悪くないと思っていた。

 

いつもはマルコを筆頭に可愛がられる末っ子。

クルーの少ない今くらい、独り占めに目を瞑ってもらいたい。

 

 

「隊長ー!これリストと違うんすけどー!」

 

「お、呼んでるよジョズ」

 

「あ、あぁ」

 

 

樽にとんと背をもたれさせて、じゃああたしの仕事は終わりかなー、と伸びをするアンをちょいちょいと手招く。

何?とアンは首を傾げつつもその顔は期待で輝いている。

ジョズはおもむろに鎧の一部をごそごそと探り、対アン用に購入しておいた飴玉の袋詰めをアンに差し出した。

ジョズからしたら指先で摘まむほどの大きさだが、アンの片手のひらに乗せられると結構ずしりと重量がある。

 

「御礼だ」

 

「やった!!ありがと!」

 

 

少し期待していた通りのモノが与えられて、アンは満面の笑みを咲かせてジョズを見上げた。

するとふっと頭上が翳る。

あれ?と思う間もなく、額に異変を感じた。

すぐにアンを覆っていた陰は消え、見えたジョズの顔はこれでもかというほど赤に染まっていて。

 

「ジョズ?」

 

「…御礼だ」

 

くるりと背を向けたジョズは、どしどしと重い足音を鳴らして隊員たちのほうへと歩いていった。

 

なんだったんだ?とアンがその大きな後ろ姿を見送っていると、横からあーーーっ!!とかうぁーーーっ!!という雄叫び。

突然の絶叫にアンが目を丸めてそちらを見遣ると、アンを指差して口をわななかせるハルタとラクヨウの姿。

 

「えっ、な、なにっ!?」

 

「ジョ、ジョズが!アンにキスした!」

 

 

え?と聞き返すアンに構わず、ラクヨウは「あのむっつり野郎…」と悪態をつく。

 

 

あぁ、さっきのはおデコにキスされたんだ、とようやく納得のいったアンはきょろりと辺りを見渡したがジョズの姿はない。

そそくさと一早く立ち去ったらしい。

そうかそうかそうだったのかと額に手をやっていると、ハルタにびしっ!と指差された。

 

「アン!」

 

「お、おぉっ?」

 

「ズルいぞ!」

 

 

オレもアンにキスしたい!と少し低い目線からハルタが宣言する。

 

「はぁっ!?」

 

「てめぇ何言ってやがるハルタ!そんなの…そんなのオレもしてぇよ!!」

 

ラクヨウまでもがびしっとアンを指差した。

はあぁぁ!?と訳のわからないアンは呆れたように二人を見るが、二人はじりじりとアンとの間を詰めてくる。

 

 

「…ちょ、待ってよ」

 

「「待たん!!」」

 

 

言うが早いか、二人の脚が一斉に駆け出す。

その姿を捉えたアンは、ひぇと思わず顔を顰めて逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

Please kiss me!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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