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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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いつものごとく出勤ついでにゴミを抱えて家を出たアンは、ゴミ置き場の前で件の隣人とでくわした。


「あ、おはよう、ございます」

「あぁ」


そっけない挨拶も慣れてしまえば悪くない。
今日は珍しく寝起きの良かったアンは、上機嫌にゴミをいくつかの袋の上に放り投げた。
その隣に、マルコが自身のゴミを置く。

特に見るつもりもなかったのだが、ちらりと視界に映ったその袋の中身をアンの目が捉えた。





「ねぇ」
「あ?」
「コンビニ弁当、ばっかだね」
「あぁ・・・作ってもいいんだが面倒くさくってよい。たいして旨くもねぇし」


そう言って煙草をふかすマルコを見上げて、ふーんと相槌を打ったアンは、ふと閃いて目を輝かせた。





「ねぇ、あたし作ってあげよっか!」
「あぁ?」
「あんまり上手じゃないんだけどさ、一応7年間弟の面倒見てご飯も作ってきたし、今も自炊生活だし。
コンビニ弁当ってさ、ほら、よくわかんないけどいろいろ入ってるっていうじゃん、悪いのが」


ねっ?と同意を求めるアンを見下ろして、マルコはあー、と低く唸りながら首筋をさすった。


「・・・だがよい」
「あ、あたしならいいよ。今日は夜のバイトもないし」



いいじゃん、とにかりと笑われて断る術を失ったマルコは再びあーと唸り、それから小さく息をついた。




「・・・じゃぁ、頼むよい」
「うん!あ、材料は買ってね!」
「あぁ」



じゃ、行ってきます!と大きく手を振りながら出勤するらしいアンを煙草の煙と一緒に見送ったマルコは、その姿が角を曲がってから一際大きく息をついた。



「材料って、何買えばいいんだよい・・・」




















夕刻の6時、マルコの部屋のインターホンが安っぽいベルを鳴らした。
見当のついていたマルコがドアを開ければ、案の定にかりと愛想よく笑う小娘が一人。
帰宅後着替えたらしく、パーカー姿という部屋着のようなラフな格好になっていた。


「よう」
「ひひ、お邪魔しまーす」


知り合って数日とは思えない気安さで笑い、アンはつっかけてきたサンダルを脱いで部屋に上がる。
一番に見えたのは片付いたキッチンだったが、裏を返せば全く使われていないように見えた。




「あ、そういえば何作るの?」
「・・・適当に買ってきたよい」


マルコがビニール袋の中身を広げれば、アンはその中をのぞいておぉと感嘆の声を上げた。


「いっぱいだね」
「二人分の材料ってのがどんなもんかわかんなくてねい」



そう言えばアンがきょとんとマルコを見上げたので、マルコも何かおかしかったかいとアンを見返す。
だがすぐにアンの疑問点を理解したマルコはふうとひとつ息をついた。
この娘といるとどうもため息をつくことが多くなるようだ。



「一緒に、食べるに決まってんだろい」



作ってもらってはいさようならなんてするはずがない。
そう言えば、アンは考えてもみなかったようで、驚いたように目を丸めたがすぐに嬉しそうに笑った。















アンが作ったのは二人分にしては大きすぎるお好み焼きで、作る様子を所在なく見ていたマルコはその量に目を剥いたが、まぁ買ってきたのは自分なわけだしと黙ってみていた。
だが心配は不要だったようで、手際よく作られた大量のお好み焼きはその多くが細い体のどこへ消えたのか、アンの口に難無く放り込まれていった。




「おなかいっぱい!」
「そりゃあれだけ食えばそうなるよい」
「あたし食べ過ぎ?マルコ足りない?」
「いや、オレももう無理だよい」
「あたしの弟もよく食べるからさぁ、いっつも二人分であれでも足りないくらいなんだ。あ、その、どう・・・だった?」


今更ながらアンが不安げに尋ねれば、マルコは小さく笑った。



「美味かったよい」



その言葉にぱあっと笑みを零したアンは、あたしも!と嬉しさを隠さず答えたのだった。







2014.01.24 修正

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低いのによく通るバリトンが、昼ご飯を食べているときも、服を片しているときも、夜ご飯を食べているときでさえアンの耳に住み着いて離れなかった。


「…変なの」


がちゃがちゃと騒々しい音を立てながら食器を洗い、その音に紛れてひとり呟いた。












窓から暗闇が溶け込んでくる。
室内の明かりは窓から外へと溶けていく。
アンはその境目を眺めながら、つくねんとひとり部屋の真ん中に座っていた。


(やっぱり、ちょっと寂しい…かな)



おかずの取り合いをすることも、食器洗いの当番を決めることも、おやすみと言う相手がいないことも。
しかしきっと寂しがりで甘ったれのルフィは、その何倍ものひとりぼっちに耐えているのかもしれない。
そう思うことだけが、これから自分の生活を支えることになるのだろうとアンは身に染みて感じた。


明日から、アンは今まで勤めていたファミレスのバイトに加えて小さな商社への出勤が始まる。
本当に小さな零細企業ではあるが、何かと入り用なアンにとって到底バイト資金だけでやっていけそうにはなかったので、この採用は本当にありがたかった。
仕事は事務であり、基本的に首より上を使うことが苦手なアンにとって向いているかどうかは疑問ではあるが、いまさら向き不向きがどうだとかは言ってられない。
ちなみにファミレスのバイトは夜間に移して続けることにした。

考えていても仕方ない。
明日着ていく予定である、規定された事務服をたんすの扉にかけようとアンは勢いづいて立ち上がった。
が、勢い余って足の指を机の脚にぶつけて目から火花を散らした。



「いたあぁっ!!つぅ~ぁ~っ…!」



つま先を抱えて丸くなり、にじんできた生理的な涙を抑えながら痛みをこらえる。
その様子が不意に滑稽に思えて、可笑しくなってきたアンはふはっとひとり笑いを零したのだった。














翌朝は、初出勤にふさわしい快晴だった。
事務服に着替えたアンは、バイト時代と違って余裕をもって支度をした。
昨日梱包を解いた際に出たビニールひもやらのゴミを袋に詰めると結構な量になり、アンはそれを片手に、もう片方に仕事用のカバンを抱えて家を出た。
もちろん鍵は忘れずに。


「…重っ」


いかん引っ越しなめてた、とひとりつぶやきながらずっしりと質量のあるそれを半ばひきずるようにして階段まで歩いていく。
階段の前までやってきて、一息ついた。
時間は余裕を持って出たからまだ大丈夫だ。
やっぱりふたつに分けるべきだったかな、と少しの後悔と共にアンは再びそのゴミ袋を持ち上げた。
が、その重みはふわりと浮かぶようにアンの手から消えた。


「えっ」


自分の手を確認して、それから心当たりの行ったアンが急いで振り返れば、今起きましたといった顔にお決まりの煙草を咥えた隣人の男。
Tシャツにスウェット姿のマルコはアンに目を合わすこともなく、ただ「持つよい」と言うとアンの返事も待たずに階段を下りだした。
アンが引きずっていたゴミ袋を片手で持ち、あろうことかもう片方の手には自分のゴミらしい小さな袋をもって下りていくその姿を呆気にとられて見ていたアンは、はっとして慌ててその後を追った。

アンが階段を下りた頃には、すでにゴミは集積場に鎮座しており、マルコが折り返し戻ってくるところだった。


「うわっ、ごめん、重かったのに!」
「だからだろい」


気にすんな、と煙草の煙と共に吐き出したマルコに慌ててありがとうを告げておく。

マルコはアンの姿をつま先から頭のてっぺんまでを一瞬眺めると、勝手に何かに納得したらしくよいと呟いた。
一方アンは、いい歳こいたおっさんが朝8時にこんなラフな格好でうろついていることに少なからず疑問を抱く。



「ねぇ、おっさん」
「マルコ」
「あぁ、そう、マルコ…さん」
「…マルコでいいよい」
「マルコは、仕事しないの?ないの?」




無邪気と言ってしまえばそれまでだが、こんなに朗らかに人の職業を尋ねさらには無職かとまで尋ねてしまうのはアンだけがなせる業である。
マルコは一瞬軽く目を開いてから、くつりとひとつ喉で笑った。

アンが反応するよりも早く、唐突にマルコの顔がアンのそれに近づく。





「そんなことより、昨日ぶつけた所、大丈夫かよい」







またあのときと同じ声が重たく鼓膜を打ち、アンは自分でもわからないうちに弾かれたように顔を引いて耳を手で押さえた。



「だっ、だいじょうぶ!」




叫ぶようにそう言って勢いよく身体を反転させたアンは、なんで知ってるんだていうかなんであんな声出すんだ馬鹿!と、ぐるぐると巡る頭を必死で落ち着かせようと、徒歩五分先にあるはずの会社に二分で着いてしまうほどのスピードで足を動かしたのだった。





2014.01.24 修正

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不意に射抜かれたように見つめられて、アンは鍵穴に鍵を差し込んだまま固まった。
数秒、もしくは一秒にも満たないかもしれないほどの時間を、何分にも感じる。
しかしアンをとらえた重たい瞼の向こう側の瞳は、こちらを向いた時と同様、不意にその視線をはずした。


「あっ、あの!」


行ってしまう、と頭が慌てたせいで唐突な呼びかけをしてしまった。
鍵をかけ終わった男はアンに背を向けていたが、その声でゆっくりと体を反転させる。
薄い青色がアンの視線とぶつかった。


「あの、あたし今日から隣に引っ越してきた…アン、ポートガス・D・アン!」



よろしく!と早口にそういえば、男は細い目をさらに細めてアンを眺めてから、あぁとひとつ頷いた。


「マルコ、だよい」


マルコ?とアンが首をかしげて復唱しているうちに、男はまたアンに背を向けて今度こそ階段を下りて行ってしまった。
その背中を見送ってから、ああマルコって名前のことかとアンは合点がいく。
どこへでかけるんだろうと、ぼんやりと男が消えたあとをみつめていた。

なんにせよ、アンもこれから昼食の調達にいくつもりだったのだ。

最後まで鍵がかかったことを確認して、アンも男がたどった通りに階段を下りた。














米は炊くのにガス代かかるから…まとめ炊きする鍋がいるな…あ、あと肉。

近所のスーパーまで5分愛車を走らせて、アンは今日の昼食に加え夕食、さらに生活必需品を買い揃えた。
無駄にできるような金はないから、できるかぎり切り詰めて。

ルフィには、アンとルフィが二人バイトで貯めた貯金300万のうちの200万近くを持たせた。
ルフィは高校に通いながら、アンはバイトで生計を立てながら、ふたり汗水流して手に入れた金であるからこそルフィが無駄遣いするとは思えないが、誘惑に負ける可能性は大いにある。勿論食への。

だからどうやってやるつもりかは知らないがいずれルフィが稼げるようになるまでは、ある程度の仕送りをしてやろうとアンは決めていた。



自分にはルフィのように突っ走っていきたい夢もない。
ルフィの夢が自分のそれだ。
だから金なんてもののせいでルフィの夢が潰えるなんてことには絶対したくなかった。


アンはレジで金を支払い、片手に収まるよう袋に商品を収納して店を出た。


















自転車の籠に袋を載せて、なだらかな坂道をのぼっていく。
現在時刻は二時。
初めて部屋に入ったのが正午過ぎで、それから埃っぽい部屋を掃除して片づけて買い物して、と何かとあわただしく動いていたせいか、いやに時間の進みが早かった。

時刻を道中の公園に突っ立っていたひょろながい柱時計で確認したアンは、どうりでお腹が鳴るはずだ、とペダルを踏み込む足に力を入れた。






アパートが正面に見えてきて、その裏の駐輪場に回り込もうと一度階段前を通り過ぎる。
そのとき、階段の鉄柱に背中をもたれさせてたばこをふかす姿を、視界の端でとらえた。
ついさっきの記憶を引っ張り出して、駐輪場に引っ込む前にもう一度その姿を確認する。
マルコは片手に煙草、片手に携帯で、どうやら話し中のようだった。
めんどくさそうに眉間に皺を寄せ、まっすぐ目の前の電柱を見たままなにやら話している。


アンは籠から荷物を取り出して階段へと歩いて行った。




「どーも」
「あぁ」
「ずっとここにいた?…んですか」
「いや、さっき戻ったとこだよい」


マルコの視線がちらりとアンの片手に注がれて、あぁと納得がいったようにまた前を向いた。



「なんでこんなとこで電話してんの?…ですか」
「人を、待ってんだい」
「…ふーん」



話すことがなくなったアンは、まあいっか、と階段の一段目に足をかけた。





「お前」
「あたし?」
「あぁ…一人かい」
「うん、あ、はい。弟が、今別のとこにいるけど」
「…へぇ」


緩慢な手つきでマルコが煙草を口元に持っていき、ひとつ吸った。
アンは何となくその動作を目で追う。



「戸締り、しろよい」




へっ?と間の抜けた声が出たが、男は構わずもう一口煙草をふかした。
あぁ、うん、はい、ととりあえず返事をしたアンは、何故か逃げるように早足で階段を上り、二階についたときには駆け込むように自分の部屋へと飛び込んだのだった。








2014.01.24 修正

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*現代パロディー注意!更新履歴等ブログのほうで連載していたものです。




























ルフィが、家を出た。



別に言葉通りの家出とかじゃない。
オレは探検家になるんだと子供のころから言い続けていて、高校を卒業した昨日ついにその夢を実現すべく、バックパックとその身一つで旅に出たのだ。





ルフィと二人住んでいたボロ屋は、ルフィの旅立ちを狙ったかのように底に穴が開いた。

天井はもとから穴だらけで雨漏りもひどかったので、下に穴が増えたくらいアンとしてはどうってことなかったのだが、大家のダダンが改装するから出て行けといって、アンをそこから追い出したのだ。





たしかにボロイ家ではあったけど、土地はあったので広い部屋だった。

だからアンひとり住むには確かに広すぎたし、空いた空間にルフィの面影を探してしまいそうだったアンに引っ越しの提案はちょうどよかったとも言える。



アンはバイトで貯めた数少ない貯金と自分の衣服、それにルフィと集めたくだらないキャラクターのシールやルフィの卒業式で撮った写真などをうちにあった一番大きなカバンに詰めて、安アパートに引っ越した。













「ここ、か」


玄関前に立ち止まってその建物を見上げた。

4階建て、家賃月3万8千円風呂付アパート。
壁が薄く駅から遠いのが難点でこの値段、らしい。

壁が薄いのなんて知ったこっちゃないし、バイトには愛車(チャリ)があるので駅も必要ない。


「よしっ、今後どうぞひとつよろしく」


アンはぺこりと90度に腰を曲げてそのアパートに一礼すると、やたらと音を響かせる鉄筋の階段を上ったのだった。








アンの部屋は二階、階段から二つ目の部屋だ。
閑散とした部屋の真ん中に荷物を下ろしたアンは、ふうと一息ついた。

前の家で使っていた冷蔵庫はルフィの友人、ゾロが運んでくれると言っていた。
今日は剣道の試合があるから明日来てくれるらしい。
洗濯機は、アンの引っ越しを見計らったかのように壊れたが、もう一台買う余裕もないので、どうせひとり分だけだしと割り切って手洗いすることにする。

何もない部屋の真ん中にとりあえずぺたんと座り込み、ぐるりと視線を一周させてから天井を見上げる。
今日からここで一人暮らしが始まる。
寂しくないと言えば嘘だけど、どこかでルフィが頑張っているのだと思えば苦ではない。

よしっ、とアンが新生活に気合を入れたその時、壁の向こうからどん、と物音が聞こえた。

そういえばこの建物、壁薄いって言ってたっけとアンが思い出し、はたと気づいた。

こういう引っ越しの時って、隣の家の人に挨拶とか行かなきゃなんないんだっけ。
さすがに挨拶に手ぶらで行くわけにもいかないということはわかるが、だからといって持っていけるものなどないしそれを買う余裕もない。
どうしようかとひとしきり悩んだ末、いつか偶然廊下とかでばったり会ったらそのとき挨拶すればいいやと、あっさり決めてしまった。


「じゃ、今日の昼ごはん買いにいこ」


結論が出てひとりすっきりしたアンは途端に空腹を感じ、それを満たすべく出かけようと立ち上がる。
冷蔵庫がない今、とっておけるものを買いだめしたほうがいいかな、などと考えながら脚にサンダルをひっかけて重たい扉を押し開けたそのとき、同じようにして隣の扉がゆっくり開いた。

なぜか、思わずまた扉を閉めかけたアンだったが、挨拶しなければならないことを思い出してとどまる。

(…どんな人だろ)


ゆっくりと扉の向こうから人の影が現れる。
さっと部屋の外に出て、しっかりと鍵をかけながら目の端でその姿を確認した。


縦に長いその影は、男だった。
細身で、背が高い。
頭は…とにかく言い表しにくい形をした金髪。



細い煙草をめんどくさそうに咥えた顔が不意にアンのほうに向けられ、眠たげに細まった目の奥の瞳がしっかりとアンを捉えた。











2014,01,24 修正

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欲しいものはたくさんあった。
自由、時間、旨い酒、楽しい仲間、それに可愛い女。
飛びだせば手に入れられた自由。
誰もに等しく与えられた時間。
旨い酒は金で手に入り、得られなければ奪った。
気に入った奴は誘ったし、なんらかの障害があれば連れ去ったりもした。
好きだと思った女は今まで何人かいたが、連れ去って船に乗せたいと思ったことは一度もなかった。
守る自信がなかったからだ。
適当に相手をして、相手をしてもらって、互いに熱を求めあって満足したらさよならをして。
足らない部分を補い足しあうようにして関係を持つ。
それが海の男とただの女だと思っていた。
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
好きな女ができた。
妹だった。
足らない部分を補ってくれる女じゃない。
おれのえぐれた気持ちなんかに気付くような繊細な女じゃないんだ。
全てを包み込むように、温かく、明るく笑う女なんだ。
 
アンの胸の中で全てを吐き出して膝を抱えてくるまって笑っていられればどんなに幸せだろうかとガキくさいことも考えた。
そう思うともうおれが好きになれる女はアンしかいない気さえして、どうしても欲しくなった。
 
 
 
 
 
 
 
 




 
 
「サッチィ…マルコがまたあたし置いてオカ上がっちゃった」
 
 
しゅんと項垂れておれの背中に額を寄せる。
マルコの奴はしょうがねぇなあと言いながら頭を撫でてやれば、猫が喉を鳴らすようにすり寄ってきた。
 



 
ああもうおれはどうしてこんなにも。
 
なあその漆黒の目ん玉に、青い焔をちらつかせるのはやめてくれないか。
不死鳥だからマルコがいいのか。
一番隊だからマルコがいいのか。
もしあのときお前にスープをくれてやったのがマルコじゃなくておれだったら、おれのことを好きになってくれたか。
そのスープ作ったのおれなんだぜとあのとき言っていれば、お前はおれのことを好きになってくれたか。
なぁなんでおれはこんなにもお前のことが好きなんだ、馬鹿馬鹿しい。
 
 
 
 
 
 
 
 





 
 
 
 
「いつまでもアンがお前しか見てねぇと思ってっと、後悔すっぞ」
 
 
精一杯の挑発をしても、マルコの目の色は変わらなかった。
ああでもやっぱり、
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
勢いってのは恐ろしい。
 
あのとき、山賊とやりあって怪我をしたアンを拾い戻ってきたマルコを見て、そのあと船でアンを部屋に運んで行ったマルコの背中を見て、やべぇと思った。
 
本当にアンが行ってしまう。
 
 
 
そう思ってしまえば押し倒すのもキスをするのも簡単だった。
不安に揺れる黒い瞳も愛しい。
こんなにも人を愛しいと思うのは初めてだ。
今まで好きだと思った女と比べることさえ我慢ならねぇ。
きっとマルコもそうなんだろうなと思った。
 
 






 
このまま舌を入れて赤い咥内を味わって、思うままにアンの身体に触れておれのものにしてしまいたい。
アンが泣いたって構うもんか。
アンは優しくて素直で馬鹿だ。
おれに抱かれた体でマルコに抱き着くことなんてできないだろうから。
そしたらおれの勝ちだ、たとえアンがおれのものにならなくてもマルコのものにもならない。
きっと、しばらくは。
 
 
 
 
 
 







 
 
あのときマルコが部屋に入ってこなかったとしても、おれは行為を続けることができたんだろうか。
今になってはもうわからねぇけど。
 
マルコはドアの傍に突っ立っていて、アンはオレが組み敷いた下にいるのに。
マルコの手には白い包帯があって、おれの手はアンの腕に触れていたのに。
二人の視線がぶつかったのを見た瞬間、完全なる敗北を悟った。
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 
好きだと言って抱きしめたら、アンもおれを抱きしめてくれた。
嫌いにはならない、なれないと言っておれの代わりにアンが泣いた。
 
なんだこの満足感。
結局手に入らなかったのに、もういいと思った。
 
アンはおれが好きで、おれもアンが好きだ。
アンはマルコに惚れていて、マルコもアンに惚れている。
一見キナ臭い三角関係みたいだが、なんてことはない。
ハッピーエンドじゃねぇか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



 
 
 
 
 
しょぼくれたマルコの顔を見たら、ちょっとイラッとしたけどそれ以上に笑えてきた。
ああやっぱりこいつからは奪えない。
オヤジからは欲しいものは奪えと教えられたけど、奪ったら欲しいものを失っちまうときはどうすればいいのかは教えてもらっていない。
 

 
アンは好きだけど、すげぇ好きだけど、
やっぱりおれは、マルコのことも大好きなんだ。
 
大好きなんだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 






 
 
 
 
 
「…だから、よい…なんど言ったらわかるんだよい…」
 
「マルコが怒るからできないの!もっと優しく教えてくれたらあたしだって間違えないのに!」
 
「………」
 
「ああああごめんなさあああい」
 
 

 
 
 
じゃれあうおっさんと小娘を横目に見ながら根野菜の皮むきをする。

 
 
「…サッ、サッチ…!たす、たすけてぇっ」
 
「マルコそんくらいにしとけよー、アンの前髪抜けるぞ」
 
 
アンの前髪部分を鷲掴んでいたマルコは面倒くさそうにおれを見てからその手を離し、広いアンの額に一発お見舞いしていた。
アンは額を押さえながらさっとマルコから距離をとりおれの背後に身をひそめる。
きゅうとおれの服を握りしめる手からは相変わらず温かい熱が伝わるけど、それをもうおれのものにしたいとは思わない。






 
 
結局叶わなかったけど、






 
 
 
 
「てめぇまだ終わってねえのに逃げんじゃねぇよい」
 
「やだマルコ怖いサッチ助けて」
 
「よしアン、お前が今から一時間でその書類の山片づけられたら今日のおやつ量増やしちゃる」
 
「ほんと!?」
 
「おいサッチ、アンを甘やかすんじゃねぇよい。コレァ提出期限切れてんだい、やって当然なんだよい」
 
「今日だけ今日だけ」
 
 
まぁいいじゃんと肩をすくめて見せれば、マルコは嫌そうに眉間に皺を寄せたまま息をついた。
アンはおれの背中にぴたりと張り付いたままそのマルコの顔から妥協を読み取ったらしく、嬉しそうにおれを見上げて笑みを咲かせた。
 
 


 
 
「ありがと!!サッチ大好き!!」
 


 
 
 
あぁ敵わない。
 
 
 








世界は終末を迎え、そして始まる



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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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一声いただければ喜んで遊びに行きます。

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