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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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「ハルタ!あたしのホイップなのに!!」


頬に着いた一滴のホイップクリームの飛沫を不意打ちで捕られてしまったことに、アンは眉をあげてハルタを見遣った。
一方ハルタは、注目してほしいのはそっちじゃないんだけど・・・とでも言わんばかりの困り顔で苦笑する。

(・・・まあ、アンだし)

それだけの理由で、もう気にしないことにした。
とりあえず目的は果たせたわけだし。
ジョズがアンにキスできてオレがしちゃいけないなんて話があるもんか。
だってマルコも今いないし。

と様々な理由を心の中であげてから、ぷんぷんと怒り続けるアンにごめんごめんと適当に謝っておく。


「おいしそうなの食べてるね、アン」

「もうあげないよ!」

「もうとらないって」


ぐるるる、と獲物をとられまいと威嚇する小動物かなんかのようにハルタを警戒するアン。
ハルタは再び眉を寄せながら少し笑い、仕事に戻ると言って食堂を出て行った。


「…ハルタ何しに来たんだろ」

あたしのホイップそんなに欲しかったのかな…
それならちょっとくらいあげてもよかったかな、とアンが変な気の回し方をしている最中、目の前の出来事に少し頬を染めて目を伏せる老年コック。
いやはや若いもんはだから困るとでもいうようにひとり苦笑を洩らした。


「そんなことしてマルコに怒られやせんか」

「え、あ、そうだよね、マルコ今仕事なのにいくらあたしがオフだからっていっても食べてばっかじゃ怒られる、かも」


いけないいけない、とアンは慌てて腰をあげる。
そうじゃないんだがなと突っ込む隙を失ったコックは、まあいいかと笑っておくことにした。


「甲板行ったら船で仕事してるみんなはいるよね、手伝ってこよっかなー」


率先して自身の仕事はしたがらないが、それは書類等の書いていてどういう役に立つのかいまいち見当のつかないものだからで、こういう上陸中の仕事は人手がいるしみんなと動くのも好きだ。
現在甲板にいる隊長格クルーたちがアンの隙を狙おうとしていることを、先程のパエリアとムースに意識を持っていかれてすっかり忘れていたアンは軽い足取りで食堂を後にしたのだった。











船室を出ると思いのほか晴天で、眩しい日の光が身体を満たしていく。
一番に目に入ったのは大きな体をこれまたジョズのように巧みに動かして荷材を運び入れるブレンハイムの姿。


「ブレンハイムッ、あたしにもなんか手伝いさせてー」


まるで子供が親にねだるようにそう見上げながら言われては、別に人手が足りているブレンハイムもぞんざいにはできない。

「んー、そうだな…じゃあアン、オレの肩叩いてくれないか」

「肩?」

「ああ、荷運びばかりしていたら少しこってきてな」

「わかった、いいよ!」


とんっと軽く床を蹴ったアンは、猫の木のぼりのようにブレンハイムの身体を登っていき、その大きな肩に腰掛けた。
弁髪に結われた毛先を後ろにどけ、自分の足の間にある肩をどこどこと叩く。


「気持ちいい?」

「ああ、悪いな」


大きな肩に小さな拳がぶつかるのはほんの少しの面積だが、アン持ち前の力のお陰で思いのほか気持ちよく、ブレンハイムはアンを落とさないよう仕事を続けながらも心地よさに目を細めた。


「あ、そうだ」


アンの思いついた様な声が耳元でしたと思えば、途端に先程まで叩かれていた肩がじんわりと熱を感じる。
熱い、より暖かい程度のそれはブレンハイムの凝り固まった肩をゆるゆるとほぐしていく。


「どう?」

「凄いいい感じだが…何してるんだ?」

「手のひらを燃やさない程度にあっためて当ててんの。あったかくて気持ちいかなーと思って」

「あぁ、すごいなさすがだ」


本当にそう思ったのでするりとこぼれ出た言葉をそのまま口にすると、顔の横でアンがはにかんだのが空気越しに伝わった。


突然ブレンハイムの右腕が、左肩に座るアンに伸びてくる。
ん?と首をかしげるアンの細い腕が大きな手のひらに包まれた。


「お前の手は偉大だな」


そのままアンの手はブレンハイムの顔の前まで持っていかれ、手のひらに何かがぶつかる。
ブレンハイムのその行動を間近でみていたアンは意外さに目を丸くして、自由にされた手をじっと見つめた。

手のひらに、キス。
くすぐったくて、でも偉大だと言われて少しどころじゃなく嬉しくて、アンは肩を揺らして笑った。














Please kiss me!

(大きい手のひらも大好き!)

拍手[7回]

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ミラが優しく緩慢な手つきであたしの髪を撫でる。
その手の動きに寄せられるようにして、いつのまにか床に座ったまま彼女の膝に頭を乗せていた。
 
「…いつ、産まれるの?」
 
「そうですね、あと7ヶ月くらいかしら」
 
「…長い、ね」
 
「ふふ、お腹大きくなったらとてもじゃないけどあの靴は履けませんわ。アン隊長いりませんか?あのブーツ」
 
「はぁっ!?」
 
ミラが目線で示した物を自分でも確かめ、慌てて首を振る。
可愛らしいブーツ立てが差し込まれて、ひっそりと部屋の隅を華やかにしているヒョウ柄のニーハイブーツ。
 
「いらないっ、ていうか履けないし履かない!」
 
「でしょうね」
 
 
ふっと少しの間があって、くすくすと細い笑い声が二人分こぼれ出る。
 
 
 
「…すごく、おかしな感じなんです」
 
 
ふっと笑い声が途絶えたとき、ミラはポツリとそう言った。
 
「自分の中にもう一人人間がいるって…まだ信じられない」
 
ミラの細くしなやかな指があたしの耳の後ろを滑り、それから前にきて顔にかかった跳ねた髪の筋を耳にかけてくれる。
少し視線を上へとやると、ミラの形のいい顎が見えて、彼女がまっすぐ前を見据えているのだとわかった。
 
 
「最初から嬉しかったわけじゃないんです」
 
「え?」
 
「だって突然ここに子供がいるのよって言われても、実感湧かないじゃないですか、」
 
「…そう、なのかな」
 
「えぇ、でもね。彼が喜んだんです、すごく」
 
 
電伝虫で、陸にいる父親となる男に伝えたのだという。
 
 
「ありがとうありがとうって、泣いて喜んでて。そのとき結婚しようって言われたんですけど」
 
ふふっと小さく肩が揺れて、視線を上に上げてみれば少し赤に染まる頬が見えた。
 
 
「そのときになってやっと、ああこれは本当に嬉しいことなんだって、思って」
 
 
そうしたら、じわりじわりと広がっていくの。
暖かいお腹も、陸での新しい生活への期待も不安も、彼と過ごす未来も、全部この子がくれたんですよ。
そしたらもう、愛しくて、愛しくて仕方がないんです。
 
 
そう言って、ミラの指先があたしの頬を滑る。
その指先までもが暖かい。
それが母親っていうものなんだろうか。
 
 
 
「…ミラの子だもん、きっとみんなが大好きになるようないい子が産まれるよ」
 
「ふふっ、ありがとうございます。パパさんがね、この子が大きくなった頃にまた島に寄ってくれるって仰ってるんです。家族の子供は家族だからって。だからアン隊長も、そのときは愛してあげてくださいね」
 
「…うん…でも、どうやって?」
 
 
問うようにミラの膝の上で小さく首を傾げれば、あたしの髪を梳く指がぴたりと止まった。
あれ、あたし変なこと言った?と思わず膝から顔をあげれば、少し驚いたように眼を丸くする整った顔。
 
 
「…ミラ?」
 
 
自分の失言のせいで彼女が固まってしまったのかと思い、やたらと緊張する。
思わずミラが腰掛けるベッドのシーツを固く握りしめた。
するとミラはふぅっと息を吐き出すのと一緒に笑い、またあたしの頭を撫でてくれた。
 
 
 
 
「隊長が、してもらっているようにすればいいんですよ」
 
「…して、もらって…?」
 
 
 
 
それはつまり、あたしが愛されているように愛してあげればいいってこと?
じゃあ愛されているようにって、みんながあたしのこと、愛して…
 
 
 
 
 
 
ああもうっ!と自分の頭を掻き回す。
愛されるとかなんだとか、あたしの日常生活とは程遠すぎてわからないんだ。
しかもなんだか無意味に小っ恥ずかしくなってきて、ぽすんと目の前の膝に再び頭を預けた。
 
 
「…それってなんか、よくわかんない!」
 
 
膝に顔をうずめてごにょりとそう呟くと、頭の上からぷっと噴き出す声が届いた。
 
 
「すぐにわかりますよ」
 
だって私もあなたをとても愛してる、と。
 
頭の上からまろびでた言葉はどこまでも柔らかくて、あたしは只々顔を伏せるばかりだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ナース部屋からの帰り、今日まったく仕事をしていないことを思い出した。
やっばい今日3番隊に回す書類あったのに…!と慌てて自室へ戻る。
何にも手を付けていないから、今からガリガリやっても昼ご飯に間に合うかどうかだ。
食いっぱぐれるとか最悪!と内心毒付いて、仕事用のデスクの上を漁り回して書類を探す。
 
…え、ないんだけど。
さあっと血の気が引く音が聞こえかけたとき、ふと机の端に見慣れないファイルを捉えた。
 
なんだこれ、と持ち上げてみるとぺらりと一枚の紙切れが舞い落ちる。
慌ててそれをぱしんっと両手で捕えた。
 
 
…あった。
探していた書類だ。
『次の隊に回せ』と右上がりの整った字体で走り書いてあるから間違い無い。
でもこんなファイルにいれた覚えないなあと書類とファイルを同時にぺらぺらと煽ってみると、ファイルの中からもう一枚、小さな紙切れがするんと落ちてきた。
 
床に滑り落ちたそれに手を伸ばしたときにみえた文字。
書類の走り書きと同じ右上がりでそれは書かれていた。
 
 
"今月の報告書け"
 
 
 
腰をかがめた状態のまま、は?と思わず口に出して、それからはっとして渦中の書類を顔の前まで持ってきた。
 
 
 
下の方、枠で囲まれた二番隊の仕事の進行報告部分は空白のままだ。
でもややこしくて嫌いな経費の計算も、今月の隊の費用の合計も全部埋めてあった。
全部全部、右上がりの字体で。
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 

拍手[18回]

両側のこめかみを抑えて口をわななかせるアンにお構いなく、ジルとクリエルの2人は満足げな笑みを浮かべて腰を上げた。
 
「よし、任務完了ー」
 
「に、にんむって!」
 
なんのだよ!と叫ぶアンの頭を押さえつける様に、クリエルの平たい手のひらがそれを撫で回す。
 
 
「…役得は平等に、だろ」
 
「役得?」
 
 
どういうこと?と首を傾げるアンには答えず、2人はじゃあと手を振り立ち去ってしまった。
本当に、アンにキスしにきただけだったらしい。
取り残されたアンは、くしゃくしゃにされた髪を手櫛で撫で付けつつクリエルの言葉の意味を考える。
 
役得?
隊長だからあたしにキスできるってこと?
じゃあ平等ってなんだ?
あぁジョズがしたなら他の隊長もってことか。
あれ、でもじゃあマルコは…
 
 
 
ほらよっと目の前に置かれたパエリアから立ち昇る匂いに意識が引っ張り戻された。
 
「おいしそっ!いただきます!!」
 
 
難しい言葉はよくわからない、それなら目の前の美味しいもん食べたほうが断然いいと判断したアンは、すぐさまスプーンを手に取った。
 
ジョズの手伝いで身体も使ったし、頭もちょっぴり使った。
だからか目の前の魚介類は吸い込まれる様にアンの中へ消えて行く。
アンの向かいに腰を下ろしたコックは、その様を至極幸せそうに眺めた。
アンが食べるのに夢中なのをいいことに、ここぞとばかりに。
コック冥利に尽きるったぁこのことか、と内心思い浮かべくっと笑いがこぼれる。
こんなにも一心不乱に食べる事に没頭する娘も珍しいが、それが我らがこの船の可愛い妹ともなると、それはもう愛しくて仕方がないのだ。
 
 
アンが最後のエビを口の中に放り込んだころ、すっとムースの皿を傍に置いてやるとアンの頬はゆるゆると蕩けた。
まだ器ごと冷たいそれを、アンは小さなスプーンで少しすくう。
いつもは大口開けて放り込むように食べるアンだが、こういった数の限られたものは大事に食べる。
アンなりに考えた食事の楽しみ方なのだろう。
赤い口の中に、ホイップクリームの乗ったチョコムースが運ばれた。
 
 
「んまいっ!」
 
「そりゃよかった」
 
 
にぃとコックが口角を上げるとアンもにこりと笑い返す。
親父の喜ばせ方をよく存じた娘である。
 
 
「そういやそのホイップクリーム、カップ一杯分くらい余ってたが」
 
「ちょうだい!」
 
 
間髪いれずに返ってきた返事に小さく笑い、コックはパエリアを温めていた間に作ったアンだけのためのホイップクリームを取りに、厨房へと戻ったのだった。
 
 
 
 
 
 
 
そうして差し出されたホイップにアンはますます顔を綻ばせ、小さな白を迷わず口へと運んでいく。
そのとき、次から次へと消えて行くホイップの飛沫がアンの頬に飛んだ。
 
 
「あ、アンクリームが…」
 
 
コックが手元にあった布巾をアンに差し出しかけたそのとき、ふとアンの横に影がさす。
 
さら、と細やかな金が揺れた。
 
まずはぺろりとそこをひと舐め、それからちゅっとリップ音がひとつ鳴る。
 
 
「ん、甘い」
 
 
きょとりと丸くなったアンの目は、爽やかなハルタの笑顔を捉えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Please kiss me!
 
(ハルタがあたしのホイップとった!)
 
(えっ、そこ!?)
 

拍手[5回]

ご機嫌な様子で立ち去るナミュールの後ろ姿をなんとも言えぬ気分で見送ったアンは、とりあえず食堂行こうか、と再び足を動かした。
 
二人が触れた額に指先で触れてみる。
自分の熱でじんわりと暖かくて指先も暖まった。
 
(…なんか、変な感じだ、)
 
おかしなブームが始まらないといいけど、と肩を竦めてアンは食堂へと向かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
思った通り人も疎らなこの時間帯、食堂では数人のコックが暇そうに煙草をふかしたり新聞を読んだりと、どこか気怠げな空気が漂っていた。
数人の隊員もいたが、若い彼らは島につけばそれなりにすることも行く所もあるため数は少ない。
 
せっかくの休憩中に悪いかな、と遠慮をちらつかせつつも年配のコックのもとへと歩み寄った。
 
 
「ごめん休憩中に、なんか食べ物ないかな」
 
「ん、アンか。あるぞあるぞ、さっきの昼の余りのパエリアかオヤツのチョコムース、どっちがいい」
 
「どっちも」
 
「だろうな。じゃあパエリアとデザートにムースで」
 
 
ぱさりと新聞をテーブルに放り投げ、コックは大きく伸びをして厨房へと戻って行く。
その姿を見送って、アンはコックが座っていた椅子にすとんと腰を下ろした。
 
机に肘をつき手のひらに顎を置き、これからくるであろう食べ物に期待を膨らませて思わず鼻唄がこぼれ出る。
何の歌かなんてわからないが、細い旋律が食堂を満たしていく雰囲気はとても和やかで、そこにいるクルーたちの顔は次第な緩んでいった。
 
アン自身も、あぁなんかいい気分だなんて思いながら足をぶらつかせていたその時、がたんと両隣の椅子が引かれた。
 
 
「えらくご機嫌じゃあねぇか、アン」
 
「アンは暇してるんだろうなと思っていたが、そうでもなかったか」
 
両隣に腰を下ろしたのはスピード・ジルとクリエルで。
 
「あれ、二人とも仕事は?」
 
 
一段楽したんだとクリエルが答えると、アンは何してんだとジルが問う。
 
「今パエリアとムース待ってんの!甲板行くとさ、ハルタとラクヨウが…」
 
そこまで言って、アンはぱっと口をつぐんだ。
この様子からして2人は今アンが置かれている状況を知らないような気がする。
ナミュールの件を考えると油断はできないけど、とアンは2人をじとりと見遣る。
 
 
「ハルタとラクヨウがなんだって?」
 
「なんにも!」
 
 
なんだそりゃ、とジルが笑いを漏らす。
 
キスが嫌とかそういう話ではない。
くすぐったいのだ。
大の大人の男が、歳若い自分を見ては破顔して、キスを強請るのが少し可笑しくて、少しくすぐったいような。
 
ジルに笑われたことに気まずさを感じたアンは、前髪をくしゃりと掴んでやり過ごす。
 
 
「アン知ってるか?」
 
声の方に顔を向けると、クリエルのメガネがてらりと光った。
 
 
「今日はうちの2番隊隊長にキスできるらしくてな」
 
 
クリエルの言葉を引き継いだジルがそう言い、アンがうぁ、と不明瞭な言葉を吐いたその瞬間にはもう、右側のこめかみに小さなぬくもりが。
 
「わっ、」
 
驚いたのも束の間、次は左側のこめかみに小さな口づけが落とされた。
 
 
「もーらい、」
 
 
ニヤリと笑うジルと照れ臭そうに視線を逸らすクリエルは、アンの頭上で高く互いの手を打ち鳴らした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Please kiss me!
 
 
(両側からとかズルい!)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

拍手[5回]

…なんでこうなったんだろう…
 
アンは倉庫の酒樽の陰に身を隠し、息を潜めて外を覗いた。
最初はラクヨウとハルタに追われていたはずが、隊員にひっ捕まった二人は仕事に連れ戻された。
しかし二人が他の隊長たちに事態を伝えると、何故かオレもオレもと広まってしまったのだ。
 
(くそぅ…ジョズめっ!)
 
心の中でこの状況の出元であるジョズに悪態ついてみるが、ジョズこそこんな事態になるとは思ってもみなかったのだろう。
アンは酒樽に背中を預けてはぁとひとつ溜息を吐いた。
 
追いかけてきたのはハルタとラクヨウだけで、他の隊長たちが追いかけてきたわけではない。
だから逃げ隠れする必要もないのだが、なんとなく追いかけられた反射で逃げてしまった。
我ながら悲しい反射だと思いながら。
 
それに今はほとんどのクルーが陸に出ている。
ゆえにこの状況を知るクルーも少ないわけで、あまり逃げる必要もないかもしれない。
そう思い立ったアンはすくっと立ち上がった。
 
(…うんっ、コソコソしてても怪しいしね!)
 
とりあえず少し走ったからかくるると鳴き始めたお腹を満たすため、アンは食堂へと足を進めた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ん、アン、二番隊は今日オフか?」
 
「ナミュール、うちは今日見張りー」
 
食堂までの道中で出会ったナミュールはその答えにあぁと相槌をうってから、暇ができて良かったなと愛想良く笑う。
 
ほらやっぱり、とアンは内心安堵の息を吐いた。
みんながみんな、あたしにキスしようとしてるわけじゃない。
 
 
「お腹空いたから食堂行ってくる!」
 
「あぁ、コック数人残ってたぞ」
 
「ほんと?よかった、」
 
 
じゃ、とひらりと手を振りアンはナミュールの傍を通り過ぎる。
しかしそれは、額にぶつかった衝撃に寄って憚られてしまった。
一瞬きょとんと目を丸くしたアンは、次の瞬間にはぱかりと口を開く。
 
 
「じゃ、貰ったぞ」
 
 
エラが張った(リアルにエラがあるが)顔の上で少し口角をあげ、ナミュールはひらりとアンを通り過ぎて行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Please kiss me!
 
 
 
(やられた!)
 
 
 
 
 

拍手[7回]

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
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さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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