忍者ブログ
OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

頭がぐちゃぐちゃして、身体と頭がバラバラになったかのようなわけのわからない感覚に襲われて、アンはただひた走った。
角をいくつか曲がってやっと目に飛び込んできた扉を掴みかかるようにして開け、中に飛び込んだ。
長く走ったはずなのに誰にも会わなかったのは幸いというもの。
甲板からは賑やかな笑い声や怒号のような叫びが聞こえてきたので、きっと毎夜の如く至る所で酒盛りが行われているのだろう。
そんな中、自分だけがものすごい非日常に浸っているような気がした。
 
 
「…う、ぁっ…!」
 
 
ドアに背中を預けると自然と口からは呻き声が漏れ出る。
膝がわななくように震えて、ドアを背にずるずるとしゃがみこんだ。
 
「っは、ぁ」
 
喉の奥から鋭い空気が昇ってきて思わずむせ返る。すると呼吸がままならなくなり肺がきゅっとすぼまるのがわかった。ひゅー、ひゅー、と呼吸音が頭の中で響き続ける。酸素を求めて息をすればするほど苦しくなり、徐々に視界は霞んでいった。
 
「ぁ、っか…はっ」
 
ばさばさと雑な音を立てて抱き込んでいた書類が床に落ちる。くらりと頭に靄がかかり、気付けば横に倒れこんでいた。
 
(あ、苦し、い)
 
喉を引っ掻き頭を反らせ、自ら気道を確保しようともがくが一向に楽になる気配はない。
なにこれなにこれ、とショートを起こした脳内が悲鳴を上げたそのとき、控え目にノックが響いた。
 
 
「…アン隊長、いるんでしょう…?」
 
 
ユリアの澄んだ声が耳に滑り込んできた。
 
 
「っか、…りあっ…!」
 
 
掠れた声は届かなかったようで、再びこんこんと木の優しい音が響く。
 
「…いないのかしら、」
 
 
溜息と共に吐き出されたその言葉が諦めを含んでいたことに焦り、なんとかして自分の存在を知らせなければと思ったアンは、痺れ始めた脚を思いっきりドアにぶつけた。
 
どかんという荒っぽい音と共に激しくドアが軋む。
 
 
「…隊長?アン隊長!?」
 
 
鍵のかかっていない扉が開き、その先にうずくまるアンの背中にすぐにぶつかった。
 
 
「隊長!!どうしたの!?ちょ、誰か!!あぁっ、ジョズ隊長!早く来て!!」
 
 
ユリアが力強くドアを押し開け、アンの身体をずりずりと動かして行く。
その間もずっとアンの不気味なほどの呼吸音は止まらない。
 
やっとのことで人が入れるほど開いたドアの隙間から、ユリアの身体が室内に滑り込んだ。
 
「アン隊長!…過呼吸だわ!ジョズ隊長このドアをもっと開けて!!あと他のナースを!」
 
 
そういうや否やものすごい勢いでドアが開き、アンは危うく吹っ飛びかける。しかしおかげでドアは大きく開き、ジョズの巨体が廊下を行ったり来たりするのをアンの目は捉えた。
 
すっとアンの顔全体を影が覆う。そのままひゅーはーとおかしな呼吸を続けると、かすかに甘ったるい匂いが鼻腔をくすぐり、自分の吐いた暖かな息が再び気道に戻ってきた。
その匂いが夕食後ビスタにもらったチョコレートの香りだと、アンの五感が告げる。
 
駆け込んできた寝巻き姿のナースがうずくまっていたアンの身体をゆるやかに伸ばして重たいベルトを抜き取った。
すると、掠れた呼吸音が次第に穏やかなものと変わり、アンの瞳を覆っていた涙の膜が崩壊して一粒ほろりと頬を滑った。
ぴりぴりと痺れていた指先にゆっくりと感覚が戻ってくる。
 
 
「…もう、大丈夫よ」
 
ユリアの柔らかい声が発せられると、辺りからほうっと安堵の吐息が漏れる。
隊長の異変を聞きつけた二番隊に始まりその他隊長たちまで、このときばかりは役に立たない立派な身体を持て余して廊下に立ち尽くしていた。
 
 
「念の為医務室に運びましょう。ジョズ隊長、お願いします」
 
「あぁ」
 
 
アンの身体の下にしっかりと腕を差し込んだジョズは、しなやかにしかし力強くアンを抱き上げた。
その腕の中から重力に従うようにしてアンの腕がたらりと垂れると、部屋を取り囲む男たちは苦々しく顔を歪めた。
海賊だとはよもや思えないような弱々しいいくつもの声が、愛しい妹の名を呼ぶ。
 
 
ぱさりとアンの胸に布が載せられ、ユリアがアンの口元に袋を固定したまま視線で道を開けるよう示した。
男たちは巨体を縮こませて道を開けたが、やはりどうしてもアンの顔が見たくて、みんな一様に首だけ伸ばすといった珍妙な格好をする。
 
 
ジョズによって速やかに廊下を進んで行くアンの目は先程の荒々しい呼吸が嘘だったかと思うほど静かで、流れすぎて行く景色を只々眺めていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
仕事机で朝を迎えたオレは軋む身体を反らせて背中の骨を鳴らし、倒れるようにしてベッドに横たわった。
時計に目を遣ると起きるには早すぎひと眠りするには遅すぎる、腹が立つほど微妙な時間。
しかし一睡もせずに一晩越したというのに眠気は一向にやってこず、結局こうしてうだうだといつもの起床時間までの時を過ごすのだろう。
 
「あぁー…」
 
意味もなく声を発して、それからちくしょう、と呟いてみる。
虚しくなって寝返りを打ったときノックの音が飛び込んだ。
 
 
 
「よう、起きてたのか」
 
ドアを開けると現れたのはサッチで、いつもの如く目元の傷を上げるようにしてにっと笑っていた。
 
「あぁ、まぁねい」
 
室内に戻り、朝日が滲み出した窓辺のカーテンを開きながら何の用だと問うてみて、出てきた言葉に耳を疑った。
 
 
「アンが過呼吸で倒れた」
 
「…は?」
 
 
振り返り聞き直したが、サッチの目が言葉のとおりだと告げている。
 
 
 
「お前に襲われて、パニックで過呼吸んなったんだよ」
 
 
 
とんとん、と己の首筋を指し示しながらそう言うサッチを見て否応なしに昨夜の記憶がぶり返し軽く吐き気がしたが、それどころではない。
 
 
「…いつの話だよい」
 
「昨日の9時くらい」
 
 
アンがオレの部屋を飛び出してすぐだ。
 
 
「…なんで、なんでもっと早く言わねぇんだよい!!」
 
 
噛み付くようにサッチに詰め寄るとサッチは顔色一つ変えず、ただ近づいてきたオレを鬱陶しそうに押し返した。
 
 
「言ったらどうするつもりだよ」
 
「っ、」
 
 
その通りだ。オレのせいで取り乱したアンがオレの姿を見て安心するはずがない。
胸の内で小さく舌を打ち、ベッドに深く腰を下ろした。
やり場のない思いが隠しきれず、膝に肘を付き顔を手で覆う。
サッチが仕事机の椅子に腰掛けて木の椅子が軋んだ。
 
 
「…あいつは」
 
「落ち着いて、医務室で爆睡中」
 
 
そうかい、と呟くと今度はサッチが息を吐いた。
 
 
「オレァよ、別にお前を責めに来たわけじゃねぇぜ」
 
 
俯いていた顔を上げると、サッチはリーゼントになる前の伸びた髪を弄くっていた。
だってお前の言い分も結構わかるし、と。
 
 
 
「マルコが好きだ好きだ好きだ言いながらいざお前が一歩踏み込むとそれ以上はダメ、みたいなことするだろ、あいつ」
 
「…」
 
「お前はそれがなんでかわかんねぇ。で、アンは言おうとしない。そりゃねぇわな」
 
「…だがオレァ、」
 
「待てるってんだろ?おっさんだしなー」
 
わかるわかると感慨深げに頷くサッチは、つと動きを止めてオレを見据えた。
 
 
「でも、男だ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ただのエゴってわけでもなくね?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

拍手[24回]

PR
 
 
地震が起こったら、必ず窓を開けてください。 
そして、家にいる人は、今、お風呂に水をためてください。 
 
まだ、電気が通じる人は、ご飯を炊いてください。 
阪神淡路大震災の経験から、皆さんに伝えます。 
 
X字の亀裂が入っているとこはすぐに崩壊するから注意! 
携帯と充電器、ラジオ、ペットボトル水必要! 
ヒール履いてる人は折る! 
 
食料は最低3日間は自立しなきゃいけない。
トイレは基本ないからビニール袋を。 
火事などの2次災害に注意! 
 
パニックになったら周りもパニックになるからしゃがんで「落ち着いて!」と叫ぶ。 
 
ストッキング履いてる女性はできるだけ脱ぐ。火傷したら広がるから。あとナプキンがいい止血帯になるから覚えておいてください。 
 
安否確認はダイアル171! 
できるだけ安否確認で電話は使わないで! 
救急ダイアルが混乱するから。 
あったらいいもの 
お金 
水 ペンライト お菓子 携帯 応急セット ハンカチ ティッシュ 
 
被災者のために持っている情報を無駄にしたくないので日記にコピペして拡散してもらえると助かります。 
 
テレビのむこうだけをじっと眺めているだけではいけない。 
追記 
屋内の場合 
●家の中 
 
・テーブルの下にもぐる(無理なら座ぶとんなどで頭を守る) 
・ガラス片が危険なため、素足で歩かない。
・火の始末はすみやかに。 
 
●デパート・スーパー 
・バッグなどで頭を保護。 
・ショーウインドウや売り場から離れ、壁際に。 
 
・係員の指示に従う。●ビル・オフィス 
・机や作業台の下にもぐる。 
・ロッカーなど大型備品の転倒、OA機器の落下に注意。 
 
●集合住宅 
・ドアや窓を開けて、避難口を確保。 
・エレベーターは絶対使用しない。避難は階段で。 
屋外の場合 
●路上 
 
・かばんなどで頭を保護し、空き地や公園などに避難。 
・ガラスや看板などの落下に注意。 
・建物、ブロック塀、自動販売機などには近寄らない。 
 
●車を運転中 
・ハンドルをしっかり握り徐々にスピードを落す。・道路の左側に車を寄せ、エンジンを切る。 
 
・避難するときは、キーをつけたままに。 
・車検証や貴重品は携帯する。 
●電車などの車内 
 
・つり革、手すりに両手でしっかりつかまる。 
・勝手に車外へ飛び出さず、係員の指示に従う。 
●海岸付近 
 
・海岸からすぐに離れ、高台へ避難する。 
【津波から身を守る為のポイント】 
津波警報が出たら、ただちに高い場所へ小さな揺れでも油断しない 
 
津波のスピードは速いので注意 
繰り返し襲ってくるので注意 
テレビ・ラジオなどで正しい情報を確認 
追記2 
 
【緊急拡散希望!】 
【人命にかかわります!!】 
電話の使用は極力避けてください! 
 
非常の為の119番や110番がかかりづらくなっています 
安否の確認は災害用伝言ダイアル171番 またはツイッターなどのネットの利用でお願いします 
 
【拡散】電話の使用は極力避けましょう。 
緊急の連絡(119,110)で必要としています。 
 
安否の確認は災害伝言板ダイヤル171、ツイッター・ネットやSkypeを使いましょう。
 
・危険勧告 
 
震災の時に、建物に赤い紙が貼られていたら、それは「全壊」の判定を受けた建物です。 
倒壊の危険性が高いですので、近寄らないようにしてください! 
 
コメントより。情報ありがとうございます!
 
夜になります。女性の方はなるべく一人にならないでください。災害時に、「お風呂を貸す」「トイレを貸す」そういった言葉で女性を騙し、乱暴する犯罪が過去発生しています。避難や徒歩での移動など、出来る限り独りにならないで、どうか、どうか気をつけてください。 
ツイッターから。 
・体の不調が起きたときの対策 
地震酔いに苦しんでいる方が多いと思います。 
 
目をつむり、10秒程度深呼吸を繰り返してください。 
口内が乾いている方は辛くとも水等を含んでください。 
 
今後余震などが続く可能性が高いので、対処法を知っていると楽になると思います。 
コメントより 
 
車中泊及び避難所生活で窮屈な姿勢が続いたり運動が不足すると、運動を再開した時に、いわゆるエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症に合併する急性肺動脈血栓塞栓症)により突然死の危険が有ります。実際に、新潟中越地震死者37人中7人がエコノミークラス症候群によるものであった事が有名です。これは注意していれば防げる避難所突然死であり、ほとんど人災だと言えます。また生き残っても、重大な後遺症が残る場合が有ります。 
 
対策として、狭い場所で寝る・長時間過ごす時には、「足や足の指をこまめに動かす」「1時間に1回かかとの上下運動(20~30回程度)」「伸び・ストレッチ」「トイレを控えようと水を飲むことを我慢せず十分に水分補給」「酒は血液が濃縮されるので飲まない方がいい」「車中泊はリスクが高いので余計に注意」「ベルトをきつく締めない」「足を上げて寝る」などが言われております。是非とも気をつけて下さるようにお願いします。 
 
 
 
いま現在苦しんでいらっしゃる方が大勢います。
こんな時こそ日本国民一丸となって協力するべきです。
どうかこの文章を色んな所に発信してもらえないでしょうか?
 
どうぞよろしくお願いします。
 



 


こまつなの日参サイトさまよりいただきました。

拍手[5回]





もらう、あげる






そのときオレはごろんと体を横倒しにして膝を抱えていた。
顔はふたつの膝の間に収めるというお決まりのポーズ。
あのときオレは何をしていたんだろう。
寝ていたのかもしれないし、ただ目を閉じて真っ暗闇とはどんなものかを考えていたのかもしれない。
もしかすると、泣いていたのかも。

そこへぬっとのばされた小さな手。
初めはふわふわと、オレの癖っ毛を軽く抑えるように。
今度はゆるゆると、髪の毛ごとオレの頭を撫でるおぼつかない手つき。
顔をあげれば、不思議そうに口を半開きにした弟の顔に出会った。


「・・・なんだよ」


低く唸るような声が出たのだけはしっかりと覚えている。
ルフィは一度首をかしげたと思えば、突然寝転ぶオレの上にのしかかってきた。


「うわっ!重てぇ!ルフィどけっ!」


いつもはうるさいルフィが、一言も口を利かなかった。
ただオレの上にうずくまるようにして、かたくかたくオレのタンクトップを握りしめていた。


「・・・なんなんだよ」


溜息といっしょにそう吐き出し、オレは諦めて仰向けに転がった。
ルフィはまだオレの上だ。

…温かい、な。

そう思って、オレは手のひらで両目を強く抑えた。















「おっかえり~!エースくん待ってたよー!」

「うぜぇ!サッチうぜぇ!!」


オレが敵船から、もしくは町から帰ると必ずと言っていいほどオレを抱きしめにきたおっさん。
スキップを軽やかにかましながら駆けよってくるからこれまた気持ち悪い。
サッチは逃げ惑うオレを簡単に捕まえて腕の中に閉じ込めた。この表現は誤解を生むかもしれない。


「1億の船落としたらしいじゃん、オレの弟はよくできるやつだなー!」

「うっぜ!頬ずりすんなよおっさんが!」

「ん~?いいだろこのひげの触り心地が」

「マッマルコ!助け…」


いつもの眠そうな顔でこっちを見ていたマルコに助けを求めると、サッチがにやりと笑った。


「あ~だめだめ、マルコに助け求めたって。だってこいつオレの順番待ちだぜ?」

「はっ?」

「わりぃねい、エース。次はオレだよい」


ほいっというサッチの掛け声とともにマルコに投げ渡されたオレ。
マルコの胸板に鼻をぶつけたところで、サッチほど暑苦しくない締め付けがやってきた。

「ぶわっ!マ、マルコッ!」

「ほんとよくやったよい」

がしがしと後頭部を撫でられる。
後にも先にも、マルコがこんなふうにオレを抱きしめたのも、サッチにノッてやるのを見ることもなかった。
オレを離した時に、慣れねぇな、と照れくさそうに呟いた顔も。



次々とオレの頭の上に乗せられていく大きな手たち。
よくやった、さすがオレの弟だと。
みんな一様に同じようなことを言う。
ひときわ大きな独特の笑い声が船を揺らした。


「よくやったじゃぁねぇか!さすがオレの息子だ!!」


分厚く大きな手のひらがオレを陰に隠す。
反射で一瞬目を閉じれば、頭に落ちてきた衝撃はどこまでも優しいもの。
撫でるというより、頭ごとかき混ぜるかのような乱暴なそれにオレは目をまわして、でもその手のひらの下でこっそり笑うのが好きだった。













甲板で昼寝をしていた時、よく見た夢がある。

夢の中でもオレは寝ていて、でも場所はいつも同じ場所。
見たこともない花が咲く、どこまでも続くような一面の花畑。
甘ったるい匂いがふわりふわりと鼻をくすぐり、その匂いが嫌じゃなかった。

そして次に遠くでオレを呼ぶ声が聞こえてオレは目を覚ます。
突き抜けるような青空の下でオレは声の主を求めて辺りを見渡す。

「オレを呼ぶのは誰だ?」

「…ス、エース」


はっきりと聞こえる声を感じてそちらに首を回せば、遠すぎて小さく見える人影。
なんとなくおおいと手を振れば、見えないはずの顔がしっかりと笑うのがわかる。
身体の感じからして女だと思う。
それに優しい声をしていた。

一瞬強い風が吹いてオレは目を細める。
薄く開いた目の向こうで、その女の長く柔らかそうな髪が横になびいた。

ふわりと包まれるような温かさがオレにまとわりついて、それを合図にオレはいつも目が覚める。
むっくりと甲板から起き上がると、あ、起きた、といくつもの声が聞こえた。














頼りないほど細く骨の出た肩に顔を預けると、胸から落ちた滴がぽたりと地面をたたく。
この世に二人っきりのような錯覚に陥るが、そんなはずはない。
ここにはオレを家族だと馬鹿みたいに繰り返す奴らがたくさんいて、戦っているのだから。

とくとくとくとくとくとく
命を刻む音が聞こえる。それも超速急。
ルフィの奴どんだけ動悸はえぇんだと思うとふっと鼻から息が漏れた。
おっとそんな場合じゃない。
オレには言うべきことがあった。



オレの背中にまわされた手にきゅっと力がこもる。
相変わらずあったかい奴だ。
モビーではオレが人間カイロとして扱われていたが、おれよりこいつのほうが温かいんじゃないだろうか。

ごめんなルフィ。
オレにはもう抱きしめ返す力が、



















花畑だ。あの、夢に出てきた花畑。
おぉ、やっぱ人って死ぬとまず花畑なんだなあ。あれ、川ってのも聞いたことあるな。
まぁ川じゃなくて良かった。川だとオレは溺れてたかもしれねぇからな。2回も死んじまう。


「エース」

「お?」

「…エース」

「誰?あんた」

「ふふっ、…会いたかった」

「あぁオレもだ」



おっと待てよ?なぜオレも会いたかったとか言ってんだ?オレァこの人を知ってるのか?
いやいや知らねぇなぁ。でも待てよ、どっかで会ったっけ…



「おかえり」


ふわりとその人のワンピースの袖がオレの頬を撫で、オレより小さなその人がオレを包んだ。
ほんとに、オレより小せぇのに、なんでこの人はオレの全部を抱き締められるんだ?


「…あんたは優しい声をしてる」

「そう?」

「あぁ、いい声だ」

「あなたもよ、エース」

「お、そうか?そんなこと初めて言われた」

「だってあの人にとてもよく似てるもの」



ふふっと春風のような柔らかい笑い声が首筋を撫でる。
あの人って誰?とかなんでオレの名前知ってんの?とか、いろいろ聞きたいことはあったが、おかえりと言われたら言わなければならない言葉をオレは知っている。
家族が教えてくれた。


「…ただいま」



オレはやっと、人を抱き締めることができた。
 

拍手[10回]


ごくっと、男たちが生唾を飲み込む。その中の紅一点、アンも同じく息を詰める。
輪を作る男たち(+アン)の中心にそれぞれの手がすっと差し出される。

「負けた奴、一人で行けよ」

「怪我を負った場合のナースの準備は万端だ」

「よし、」



じゃんけんぽんっ!!




「・・・あ、」



いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・!と悲痛な叫びが食堂に響き渡った。












15人一度にじゃんけんして一人負けするという奇跡にも近い偉業を成し遂げたアンは、ひとり長い廊下をぽてぽてと歩く。
これから世にも恐ろしいことが始まる。
みんな部屋の外までは付いてきてくれたっていいものを、誰も来てくれない。みんなこの恐ろしさを分かっているからだ。

(あぁ、ほんと、生きてられるかな・・・)


とりあえず自分はロギアだ、たいていの物理攻撃は効かない。
だがこの世には覇気という便利なのか不便なのかわからないような代物を垂れ流す奴がいる。
特にこの船は猛者ばかり。隊長たちの覇気は並大抵じゃない。
だというのに。



「あぁよかった!アンかマルコがすべきだと思ってたんだよオレは!」

「考えてみりゃそうだよな、アンもマルコも普通の攻撃はきかねぇ」

「あのな、オレァ普通にいてぇんだよい、治るだけで」

「ま、とにかく」


アンよろしく!!


14人の男どもに満面の笑みで見送られると言うのは、なんか、こう…身震いする。



目的の部屋の前で立ち止まったアンは、はぁ、と思いため息をひとつ吐き出した。
何をするかって?


イゾウを起こすのだ。












意味はないと知りつつとりあえず扉をノックする。いつもはだれそれ構わず扉とあればノックもせずに開けるアンだが、こんなときばかりは妙に丁寧になる。
もちろん返事などない。

きぃ、と木造の扉を内側へと押しあける。
ふわりと嗅ぎなれない香りが中から漏れ出し、きっちりと閉められたカーテンの裾からは既に朝日ではない太陽の光が零れていた。

すすす、と足音忍ばせベッドへと歩み寄る。
もしかしたら足音高く近づいたほうがいいのかもしれないが、そうすると厄介なことになる。
イゾウは発砲するのだ、寝ながら。
安眠妨害反対とでも言わんばかりに、近付いたものに発砲する。その素早さと言ったら戦闘の時と何ら変わりないのだから困る。


普通に肩を揺らしたり布団をはぎとったくらいでイゾウが起きないことは実証済みだ。
しかもそんなことをしたクルーは必ず怪我(しかも結構重度)をして帰ってくる羽目になる。
アンは、とりあえずイゾウから銃を取り上げることにした。
物音立てずベッドのわきに立ったアンは、イゾウの枕元に置いてある銃を素早く手に取った。


(・・・上手くいった、)


思いのほか簡単に済んでしまった。
とりあえずこれで発砲される危険はないわけだ。

銃をイゾウの手の届かない仕事机に置き、再びベッドのわきに戻る。
さて、どうやって起こそうか。
叩いたりしたくらいでイゾウは起きそうにない。
でもこのまま寝続けたらイゾウは簡単に2日くらい寝る。
イゾウの寝起きの悪さはこの船では周知の事実で、知らないのはご本人様だけだ。
事実を教えてみても真に受けないし、たとえ2日くらい寝続けたって起きたその日のうちに滞った仕事をすべて片付けてしまうのだからマルコだって何も言えない。
オヤジは「寝る子は育つ」精神だから、イゾウがよく寝ることはむしろ喜ばしいらしい。

(いや、あたしも人のこと言えないんだけどね・・・)

まだ攻撃しないだけましだと思ってほしい。







ちらりと布団の上部をめくってみると、八方に広がった黒いもの。


(怖ァッ!!)


うつ伏せで、しかも髪の毛入り乱れて爆睡している。
ゆっくりと規則正しく上下に動く背中が、イゾウが本当に深く眠っていることを告げている。
なんとなく、起こすのに気が引けた。
自分も、寝続けることがどんなに気持ちいいかよくわかっているつもりだからだ。

でも今日ばかりは起こさなくては。
明日は白ひげ傘下の海賊団が集まる会議がある。そこに隊長16人揃わないというのはなんとも締まらないものだ。


「…イ、イゾウっ!」


声を張り上げてみても、規則正しい呼吸は続く。
ただ、イゾウの左手が枕元を無造作に探っていた。
銃をどけておいて本当によかった。本当に。



(そうだっ、目!)


アンが会議中眠りに落ちそうになると、マルコはむりやりアンの目を開かせる。
あれは痛い上に目が乾くから、嫌でも目が覚めるのだ。

それをイゾウに実行しようと思ったのだが、いかんせん顔が髪に埋まってどこかわからない。


(・・・顔、掘ろう)


だいぶ怖いが、そっとイゾウの髪に手を伸ばし、とりあえず顔がどっちを向いているのか確認する。
髪の束を持ち上げてみると、イゾウの顔が出てきた。上手いことこっちを向いている。




「・・・おぉ・・・」



変な感嘆の声がでてしまった。
しかし現れたイゾウの寝顔は、アンでも感嘆するくらい綺麗だった。

いつものように化粧気がないのに、この人は変な色気がある。
しかも化粧がないぶんやっぱり男っぽい。

見とれたようにまじまじとイゾウの寝顔をこれでもかと言うほど眺めていたアンだったが、イゾウが不意に目を開けたためはっとした。


「イゾウ起き…」


喜んだのも束の間、細く開いた目の隙間はアンを捉えているのかどうかもわからないほど朧だと言うのに、イゾウの手はまっすぐアンに伸ばされ、ものすごい力でアンを引っ張りこんだ。

「うわっ!」

突然のことに反射が追いつかず、顔からイゾウの背中に倒れ込む。
肩の骨がモロにアンの鼻にぶつかった。

「いったぁーっ・・・」

つぶされて痛む鼻を押さえようと手を顔に持って行く途中、むず、と身じろぎができないことに気付く。
視線を下げると、抱き枕よろしくイゾウのたくましい両腕がアンの腰をがっちりホールドしていた。

「ちょ、イゾウ!いたっ!いたたイゾウきついってば!」

ぎゅうぎゅうと締め付けるように、アンがもがけばもがくほど腕の力は強くなる。
それに気付いたアンは、諦めてふぅと息をついた。

ベッドに膝をついたアンの下腹部に顔を寄せるようにして眠りこけるイゾウの顔は、端正なのにどこか幼い。
言うなれば儚かった。

紅の乗っていない唇が薄く開いて、ごにょ、と何かを呟いた。
アンは思わず顔をほころばせる。

(…イゾウは、おっさんに見えないなぁ・・・)


そんなことを考えているうちに、ベッドのふかふか具合とイゾウが与えてくれる温もりがアンの眠気を誘う。


(…あ、やば…)


駄目だあたしはイゾウを起こしに来たのに、これじゃミイラ取りがミイラにってやつだ…

しかし必死で抵抗する頭とは反比例するように瞼は下がっていく。
ぽすんとイゾウの枕に頭を横たえてしまえば、すうっと意識は遠のいていく。
おなかのあたりで規則正しい寝息が聞こえてくるのがこれまた心地よかった。















ふわりと意識が浮上して目覚めたイゾウは、珍しく自分の寝起きがいいことに気付く。
自分の独特の香の香りと煙管の香りに混じって、柔らかい太陽の匂いがする。
上体を起こして、一瞬目をむいた。

(・・・こりゃぁ、)

すかーっと見ているこちらが気持ちいくらいの寝息を立てて眠る小娘一匹。
どうぞ召し上がれってことか?と勝手に解釈してみるが、それを行動に移す間もなく再び襲ってきた眠気。
イゾウは寝こけるアンの肩を抱き込み自分もろとも掛け布団を掛けた。
なんとも夢見がよさそうだと思っているも束の間、陽だまりの匂いに包まれるようにして、ゆるやかにイゾウの意識は落ちて行くのだった。








ふたりでしあわせに身を委ねよう












拍手[11回]

 
 
はぁっ、と熱い息を吐き出すと、マルコのそれと混じった。
天井を背景にマルコの顔が見える。
ぎゅっと眉根に皺を寄せて、怒っているというより苦しそうだ。
薄ぼんやりと霞む視界の向こうをみながら、そんなことを思った。
 
 
「…泣いたってわからねぇよい…」
 
「…ごめ、」
 
「そうじゃねぇっつってんだろい!!」
 
 
びくっと自然に肩が跳ねる。
こんな風に怒られたのは初めてだ。






あたしがごめんと呟いたその刹那、マルコが突然立ち上がった。その勢いに驚いて一歩脚が後ろに下がったが、それよりも早くマルコの大きな手があたしの腕を掴み、一方向に放り投げる。
バランスを崩したあたしが倒れこむのをマルコのベッドはやわらかく受け止め、それからあたしの上に被さるように倒れてきたマルコも受け止めた。
ベッドに倒れこんできた衝撃に備えて閉じていた瞼を持ち上げると、存外近くにあるマルコの顔。
こんな顔のマルコ、あたしは知らない。
 
あたしの手首を押さえ付ける力が強まった。
マルコはあたしの肩に額を押し付ける。
 
「…なぁ、オレには言えねぇのか、理由くらい、」
 
「…っ、」
  
 
不意に顔を持ち上げたマルコと視線が絡む。
まるで、そんなことが言いたいんじゃないとでもいうようにしかめた顔をしている。
 
マルコに触れられるのはすごく好きだ。
めったに触れてくることなんてないから殆どあたしから飛び付いているけど、それでもあたしに触れる指先はびっくりするくらい優しい。

それでも駄目なものは駄目なわけで、それはなぜかと言われても上手には言えない。
それ以前に、まだ言っていないことがありすぎる。
あたしは言っていないことを知られるのが怖いんだと、マルコの眉間に浮かんだ皺を見ながら思った。


突如、鎖骨の上あたり、首筋の下のほうに電気のような小さな刺激が走る。

「った・・・!な、何…?」

返事のないマルコの髪がふわりと顎の辺りを掠める。手首を掴む力はますます強くなる。
つ、と鎖骨をなぞる柔らかさと裏腹に、マルコはあたしをきつくベッドに縫い付けた。 


(あぁ駄目だ駄目だ)


雰囲気が違う、あたしの知ってるマルコじゃない。
そう思う一方で、痺れを切らしたというやつか、と考えるどこか冷静な自分がいた。


「ねぇっ!マルコ!・・・やだっ・・・!・・・っつ!!」

あたしの抗議に耳も貸さないマルコが、突然あたしの首筋に噛み付いた。
まるであたしなんか簡単に食べてしまえるんだというように。



(こわい、やだやだやだ、)


あたしの両手首を片手で纏め上げ、マルコの空いたほうの手が背中に回る。
布が擦れる音がして、胸元の締め付けが一気になくなった。




「やだぁっ!!!」



振り上げた脚の、膝の部分がマルコの脇腹に食い込む。いくら不死鳥でも、きっと、絶対、痛い。
あたしに蹴り飛ばされたマルコは、ずり落ちるようにゆっくりと背中から床に落ちた。
どすんと重たい音がして、あたしの呼吸音が室内に響く。ひゅーひゅーと、秋島の風の音のようにそれは止まらない。
上体を起こすとはらりと布が落下して、あたしはあわててそれを掻き抱く。
そんなあたしをベッドの下から真っ直ぐ見つめる視線に出会った。


「・・・っ・・・」

「・・・アン、」


何を考えているのかまったくわからない瞳のまま、マルコはゆっくりと腰を上げた。
無意識のうちにベッドの端まで後ずさっていたあたしの頬に、ゆらりと大きな手が差し出される。が、それはあたしに触れることなく下ろされた。


「・・・マ、ル・・・」

「・・・悪ぃ・・・」



くるりと背中を向けたマルコは、仕事机に戻りごそごそと書類を数枚引き出すと再びベッドまで戻ってきてそれをあたしに押し付けた。


「・・・明後日、期限だよい」


『出て行け』と暗に示されているのに気付いたあたしは、押し付けられた書類を布もろとも抱き込み、逃げるようにして部屋を飛び出した。

















ボキッと、人聞きの悪い音を立てて羽ペンの上部が落ちる。コレで4本目だ。
だが仕事の進みは信じられないほど良かった。
というより、単に頭がそれ以外のことを考えるのを拒否している。
机に置いてある懐中時計に目をやると、いつのまにか日付が変わっていることに気付いた。
仕事の進みも良いし、今夜はもう眠る気分でもない。
コーヒーでも入れようとメーカーに手を伸ばしたそのとき、アンがいつか置いていったままのココアのカップが茶色い染みをつけたままそこにいるのに気付いてぐんと気が滅入った。



「・・・ガキかオレは・・・」



コーヒーを飲む気も失せたオレは再び机へと向かったが、すぐに5本目の羽ペンが折れた。












脇腹痛ェ






でもそれよりも痛いところがある




 

拍手[26回]

≪ 前のページ   |HOME|   次のページ ≫
material by Sky Ruins  /  ACROSS+
忍者ブログ [PR]
カレンダー
01 2026/02 03
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
フリーエリア

 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



我が家は同人サイト様かつ検索避け済みサイト様のみリンクフリーとなっております。
一声いただければ喜んで遊びに行きます。

足りん
URL;http;//legend.en-grey.com/
管理人:こまつな
Twitter


災害マニュアル

プロフィール
HN:
こまつな
性別:
女性
バーコード
ブログ内検索
カウンター