OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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真っ赤なエナメルは薄汚れた甲板には不似合いだった。
目の前に差し出されたそれを彼女は見下ろして、「靴だ」と呟く。
素敵じゃない、とロビンちゃんが囃してくれる。
「履いてみてよ」
「サイズ合うかな」
「おれがナミさんの足のサイズを間違えると思うのかい」
不敵な笑みで彼女にときめきを与えるつもりだったのに、ウソップあたりが「相変わらずきもちわりィな」と余計なことを言う。
ふたりきりならそれこそドアの隙間から漏れ出してクルーをそわそわさせるほど甘い空気を醸し出してみせるのに、いかんせんここは甲板のど真ん中で、ナミさんと彼女にかしずくおれを一味全員が囲んでいるのだ。
ナミさんはルフィの麦わら帽子をかぶり、両手に溢れそうなブリザーブドフラワーを抱えていた。
足元にはびっくり箱みたいなふざけた模様の箱や、リボンのかかった酒瓶が控えている。
今日の主役が即物的な意味で一番喜ぶものを与えてあげられない貧乏海賊のおれたちは、それぞれが頭をひねって贈り物を考えたのだ。
おれが用意したエナメルの靴は、数週間前に寄港した島であつらえた。
サイズはもちろん、彼女に絶対似合うと思った。
高いヒールは船暮らしには向かないが、いつか陸に上がったときに履いてくれれば。そしてそのときおれに隣を歩かせて欲しい。
皆まで言わずと彼女はわかるはずだ。
爪が綺麗に揃えられたつま先が、そっと靴に差し込まれた。
不安定に揺れる彼女の手を支える。
「わ、ぴったり」
知ってたよ、と少し視線の高くなった彼女に微笑む。
そのまま彼女の片手を取って、軽く引っ張った。
「わっ」と声をあげてよろめいたナミさんは、「危ないじゃない」と眉を吊り上げる。
「踊ろうナミさん」
「は?」
「はい、せーの」
彼女の手を引っ張り上げ、その勢いでステップを踏んだ彼女の腰を支える。
足元に散らばるプレゼントを慎重に避け、おれたちの間にみっちりと詰まった花束の隙間から彼女を覗き見る。
丸くなった目が一生懸命足元を見ていて、その可愛さに思わず呻きそうになった。
波間を縫うように、そっとバイオリンの旋律が近づいてくる。
ブルックの音楽は、こちらから音に合わせるより早くおれたちの足のリズムに寄り添うように即興で奏でられた。
懸命に足の運びを見ていたナミさんが思い出したように顔を上げた。
「ちょっと!」
「なに? はい、ターン」
くるりと回ってまたおれの腕の中に戻ってきたナミさんは困惑しているようで、実のところ笑っていた。
「なんなのこれ」
「ワルツ?」
「そういうことじゃなくて」
「靴の履き心地は?」
「すごくいい。ありがと」
目の端に、訳のわからないステップで踊るルフィとロビンちゃんが横切った。
ロビンちゃんが楽しそうでなによりだ。
メロディーが優しくスローになる。
ぐっと彼女に詰め寄ると、いくつかの凍った花びらが散った。
「ナミさんたのしい?」
一瞬なにを聞かれたのかわからないといった顔で、ナミさんはぽかんとおれを見上げた。
しかしすぐに、日向の猫みたいに目を細めた。
「最高」
おれもだ。
旋律にクライマックスの予感が近づく。
赤いつま先が甲板を叩く心地いい音を名残惜しく思いながら、羽を持ち上げるように彼女を抱え上げた。
「もう、急すぎる!」と怒るナミさんに鼻先を近づける。
「誕生日おめでとうおれのレディ。あんたが世界一だ」
ナミさんはくすぐったそうに笑いながら、「ありがと」と言った。
「キスしても?」
「だめ」
「誰も見てないよ」
「それでもだめ」
だめを二回も突きつけられてしょぼくれたおれの顔に、突然ばふっと花束がぶつけられた。
花びらが頬をくすぐる感覚に驚いて目を開けると、同じように花束に埋もれたナミさんがいる。
「でもちょっとだけなら」
そっと撫でるように触れて離れたとき、ナミさんの唇にはかすみ草の花びらが付いていた。
【ナミさんハッピーバースデー!】
目の前に差し出されたそれを彼女は見下ろして、「靴だ」と呟く。
素敵じゃない、とロビンちゃんが囃してくれる。
「履いてみてよ」
「サイズ合うかな」
「おれがナミさんの足のサイズを間違えると思うのかい」
不敵な笑みで彼女にときめきを与えるつもりだったのに、ウソップあたりが「相変わらずきもちわりィな」と余計なことを言う。
ふたりきりならそれこそドアの隙間から漏れ出してクルーをそわそわさせるほど甘い空気を醸し出してみせるのに、いかんせんここは甲板のど真ん中で、ナミさんと彼女にかしずくおれを一味全員が囲んでいるのだ。
ナミさんはルフィの麦わら帽子をかぶり、両手に溢れそうなブリザーブドフラワーを抱えていた。
足元にはびっくり箱みたいなふざけた模様の箱や、リボンのかかった酒瓶が控えている。
今日の主役が即物的な意味で一番喜ぶものを与えてあげられない貧乏海賊のおれたちは、それぞれが頭をひねって贈り物を考えたのだ。
おれが用意したエナメルの靴は、数週間前に寄港した島であつらえた。
サイズはもちろん、彼女に絶対似合うと思った。
高いヒールは船暮らしには向かないが、いつか陸に上がったときに履いてくれれば。そしてそのときおれに隣を歩かせて欲しい。
皆まで言わずと彼女はわかるはずだ。
爪が綺麗に揃えられたつま先が、そっと靴に差し込まれた。
不安定に揺れる彼女の手を支える。
「わ、ぴったり」
知ってたよ、と少し視線の高くなった彼女に微笑む。
そのまま彼女の片手を取って、軽く引っ張った。
「わっ」と声をあげてよろめいたナミさんは、「危ないじゃない」と眉を吊り上げる。
「踊ろうナミさん」
「は?」
「はい、せーの」
彼女の手を引っ張り上げ、その勢いでステップを踏んだ彼女の腰を支える。
足元に散らばるプレゼントを慎重に避け、おれたちの間にみっちりと詰まった花束の隙間から彼女を覗き見る。
丸くなった目が一生懸命足元を見ていて、その可愛さに思わず呻きそうになった。
波間を縫うように、そっとバイオリンの旋律が近づいてくる。
ブルックの音楽は、こちらから音に合わせるより早くおれたちの足のリズムに寄り添うように即興で奏でられた。
懸命に足の運びを見ていたナミさんが思い出したように顔を上げた。
「ちょっと!」
「なに? はい、ターン」
くるりと回ってまたおれの腕の中に戻ってきたナミさんは困惑しているようで、実のところ笑っていた。
「なんなのこれ」
「ワルツ?」
「そういうことじゃなくて」
「靴の履き心地は?」
「すごくいい。ありがと」
目の端に、訳のわからないステップで踊るルフィとロビンちゃんが横切った。
ロビンちゃんが楽しそうでなによりだ。
メロディーが優しくスローになる。
ぐっと彼女に詰め寄ると、いくつかの凍った花びらが散った。
「ナミさんたのしい?」
一瞬なにを聞かれたのかわからないといった顔で、ナミさんはぽかんとおれを見上げた。
しかしすぐに、日向の猫みたいに目を細めた。
「最高」
おれもだ。
旋律にクライマックスの予感が近づく。
赤いつま先が甲板を叩く心地いい音を名残惜しく思いながら、羽を持ち上げるように彼女を抱え上げた。
「もう、急すぎる!」と怒るナミさんに鼻先を近づける。
「誕生日おめでとうおれのレディ。あんたが世界一だ」
ナミさんはくすぐったそうに笑いながら、「ありがと」と言った。
「キスしても?」
「だめ」
「誰も見てないよ」
「それでもだめ」
だめを二回も突きつけられてしょぼくれたおれの顔に、突然ばふっと花束がぶつけられた。
花びらが頬をくすぐる感覚に驚いて目を開けると、同じように花束に埋もれたナミさんがいる。
「でもちょっとだけなら」
そっと撫でるように触れて離れたとき、ナミさんの唇にはかすみ草の花びらが付いていた。
【ナミさんハッピーバースデー!】
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さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。
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