OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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【ハロー隣のクラッシャー】続編オマケとして、ハナノリさまにいただきましたよ!
ウェルカム恋のファンタジスタ
郵便受けにしろ表札にしろそれらは家屋に比例しての付属品だから
当然このアパートの物も例にもれず申し訳なさ程度のブツ。
仕事上大判の郵便物が多いので大抵がドアの下、
よって鍵を開けてまずする事は狭い玄関に落ちている届け物を拾う
よっぽど大事なものは手渡しされるので、別段困る事もない。
全くもって困ることはなかった。
・・・・・・ほんの一週間ほど前までは、だ。
*
(いよいよ嫌がらせじゃねェか)
マルコはサンダルと靴とが窮屈そうに並んだ玄関の上、
いくつも散らばる封筒を鬱陶しそうに回収した。
宛名は見なくても分かる。
出版社は一目でわかる様に封筒の色に違いをつけている事が多い。
薄いグリーンの封筒と、同じく薄い水色の封筒。
こんなことをするのはあいつんとことあいつんとこくらいだ。
大事な仕事の書類をこんな風に投げ込む事はありえないので、
マルコは開封しなくともその中身を悟る。
グリーンの方があの女編集者で、水色の方はフランスパン頭。
二人がその場に居たら、
うっかり幻聴でその音が聞こえそうになり、
女編集者の方は現場(というほど大層なものでもないが)
別にナニをしていたところを目撃されたわけじゃなし、
いくらでも訂正はできたが言い募ればそれだけ不利な要素を与える
ムキになっていると思われたくもないので適当な時間を空けて、
握りつぶして多少不格好になった契約破棄の書類を返送し終える。
と、入れ違いで新たな書類攻撃が始まった。
最初は何かと思い開封した。
出て来たのは不動産情報。
仕事部屋と、寝室、リビング、キッチン
どう考えても一人で暮らすには設備が整い過ぎてやしないか?
その意図くらい聞かなくても分かる。
分かるがこれ幸いと乗り換えるほど単純な作りはしていないつもり
この手のことは無視するに限るが、
水色の封筒と違って、
マルコは最初の封筒の中身を確認してすぐに編集者の番号を呼び出
『はい、お疲れ様です』
「どういうつもりだよぃ」
『届きました?あ、
「だったら」
『何か問題ありました?』
「
電話口の向こうでは、
『空気読んでそういう条件の物件にしたつもりですけど?』
「・・・いらねェ世話だよぃ」
『マルコさんのとこ行くの結構遠くて面倒なんです』
編集者が足の苦労をサラッと仕事相手に愚痴るなと内心で突っ込ん
じゃぁもういいと手を切るほどマルコも生活にゆとりがあるわけで
「家賃だけで原稿何回分が飛ぶか、
それとも何か、
マルコの嫌味にも電話口の声は押されなかった。
むしろいい笑顔をしていると声だけで分かる位の音が返ってくる。
『ええ、通りましたよ』
「・・・は?」
『とりあえず今抱えてるコーナーが好評なので、
「おい」
『あとは新しく創刊する雑誌があるのでそっちで一本。
で、あと新しい試みで対談形式の依頼がいくつか、で・・・
はい退路断ちました、
この沈黙がどんな表情の元繰り出されているのかは、
それだけのものを新たに抱えれば、
当然それは別の出版社のものでしかないので、
「・・・即断できる話じゃねェよぃ」
『そうですね』
「また電話する」
お待ちしてます、
*
引っ越し、ねェ・・・
一度はするつもりだった。
極論住んでいる場所はどこだってかまわないし、
女と別れてからでも別にそこに面影の何やらを見るわけじゃなし、
住み続けるのに何ら不都合は無かった。
ただ仕事の資料で手狭になって来た気はして、
たったそれだけの理由で転居を決めていたのに。
隣に越してきた馬鹿はそんな計画を見事にブチ壊した。
・・・まぁ、本人には壊した気はないのだろうが、
結果として見事に綺麗サッパリの大破だ。
マルコは靴を脱ぐのに邪魔だ、ということと、
とりあえず薄いグリーンの封筒は回収する。
チャイムの音と名前を呼ぶ声とノブを回して鍵が空いてれば突撃突
水色封筒の方は放置しようかと思ったが、
ばさりとまとめてベッドの上に放る。
(物件の条件変えたって、
腕時計を外し、机に置いたついでに煙草を取る。
火をつけ、深く吸い込むと長く吐いた。
何を思ったのかは知らないが、
たかだかそんな時間経過で一体何の決断をしろと?
マルコは内心でアホらしいと吐きながら、
頭の一方ではいつからの関係なのか向こうは知る由もないのだから
だから許容できる、とはならないが。
カラカラ、と安いサッシの音をさせながら窓を開ければ、
(飯、どうすっかねぃ)
そんな事を考えていたときに、外から何故か声がする。
「マルコ飯!」
白い衝立の向こうでサンダルをつっかけたような音がしたので、
「俺はお前ェの飯じゃねェよぃ」
人を丼物のように呼ぶな、とマルコはいい、
げらげらと笑う声とすげー不味そう、絶対ェ食べないという声。
「ね、そっち行っていい?一緒に飯食お?」
「・・・って何食うってんだよぃ」
「職場の人からおすそ分け貰ったんだ」
「?」
「何かお祝いでちらし寿司たくさん作ったんだって」
ていうか顔見ずに話すのって変だな、
そして10秒もしない内にアンの部屋の玄関扉が開閉する音が聞こ
続いてマルコの玄関ノブが回りかけて、そして途中で止まる。
そして何故かまたアンの玄関がガチャ、バタンと開く音がして、
マルコは何やってんだと首を捻りつつ、
そうこうしているうちにアンが色々抱えてやって来た。
テーブルの上に頂き物の折り詰めを大事そうに置くと、(
脇に挟んだ水色の封筒をアンはマルコへ渡す。
「はいコレ」
「・・・何だよぃ」
「知らない、サッチが何か忘れてったみたい」
宛名にマルコって書いてあるからマルコにだよね、
今までに封筒に名前を書かれたことなど一度もない事実をアンに言
マルコがフランスパンへの報復をどうするか考えているとも知らず
ストンとローテブルにスタンバイしたアンは、
あ、お茶お茶、
「・・・あれ?マルコ、あたしのマグはー?」
「昨日部屋戻る時に一緒に引き上げてったんじゃねェのかよぃ」
「げ、そうだっけ?」
「つーかお前ェは自分のモンをこっちに置き過ぎなんだよぃ」
「いいじゃんマルコのとこのキッチン殆ど使わないんだし」
サラッとアンはマルコの苦言を聞き流し、
「?マルコのもないよ?机?」
コーヒーをいれっぱなしで机に放置ということはよくあるのでアン
「いや?・・・あー・・・そういやこの2,3日見てないねぃ」
紛失する類の物でもないので、
「お前んとこで飯食った時に、
カチカチカチ、
とりあえず見てくると言ってその場に立ちあがった。
「それにしてもさァ」
ああもう、と何故かアンは投げやりな雰囲気だ。
壁越しに自室のキッチン辺りを見やって、
「いちいち靴履いて玄関回って取りに行くとかすげー面倒!
そう思わねェ?
「ベランダの衝立無くしても、結局サンダル履かなきゃだし」
やっぱ部屋が繋がるのがベストだよなぁ、
「じゃちょっと見てくる」
そう言ってバタンとマルコのドアは閉まった。
「部屋が繋がる・・・ねェ」
隣人からクラスチェンジした後に、
本人から脱隣人を所望されるとはなかなか喜ばしいが、
単に面倒が減るだけという非常に合理的な理由だろう。
その下地にしょっちゅうこの部屋に来ることがあり、
来たいと言う気持ちがあるのはわかってはいるが。
さて、とマルコは棚に突っ込んだ封筒の数々を一瞥する。
そこにアンから渡された水色も追加で突っ込もうとして・・・・・
ハナノリさんのあとがき
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