OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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猫一匹分くらいの大きさの海老をその姿のまま真っ赤に焼き上げたものが三つ、大皿にどんと乗って運ばれてきた。
私たちは料理が来るまでにすでに一本瓶を空けてしまい、海老を届けに来たウェイターに新たな一本を注文する。
ゾロは両手で海老をばりっと折って、見事に詰まったその身をがぶりと頬張った。
私は手で殻をむき、フォークで身を口に運ぶ。
弾力のある身が口の中で弾けて、海の塩気が効いている。
お酒がすすんだ。
「ウメェな」とゾロがぽつりと言う。
「本当ね。立派な海老のわりには値段も安いし」
「もう一個頼むぞ」
ゾロがウェイターを呼び止め、別の海老料理を注文する。
「この辺りでよく獲れるみたいね」
「てこたぁコックが大量に仕入れて来るな。違うもん食っときゃよかった」
「本場で食べるのもいいじゃない」
丸いテーブルの白いクロスに、朱色の殻が積まれていく。
ある程度殻が溜まると、いつのまにか店員が殻をさっと掃いて集めて持って行ってくれた。
新しいボトルが届き、ゾロのグラスに注ぐ。
悪ィな、と言ってゾロはそれをぐいと飲んだ。
「あと用は何が残ってんだったか」
「あとはクリーニングを回収するだけ。少し私も買い物をしていきたいんだけど」
「服か」
「いえ、石鹸とか、そういうの」
ゾロが少しほっとした顔をしたように見えて、一体今までナミの買い物にどれだけ苦しめられてきたのか目に見えるようだった。
「あとそう、靴を買うわ」
「あぁ」
店の人に頼んで、私の右足首には氷が巻かれていた。
おかげで感覚はないが、痛みも随分楽になった。
食事が終わるころ、オープンテラスで食事をする私たちの前を行き交うにぎわいの中に見慣れた姿を見かけた。
彼の方もきっとにおいで私たちに気付いていて、探しているようだった。
「チョッパー、ここよ」
声をかけて手を振ってやると、四つ足の彼はぱっと顔を華やがせてこちらへ駆けて来た。その背にはハーネスのように紐が結んであり、大きな台車をごろごろと引いていた。白菜やら小麦粉やら、食料がたくさん乗っている。
「お疲れさま。サンジのお手伝いしてたの?」
「そうだ! サンジはまだ買うものがあるから、これ持って先船帰ってろって」
「そう、偉いわね」
チョッパーははにかむように青い鼻先を細かに動かした。
「お前らメシ食ってたのか、いいなあ」
「あなたも食べてく?」
「んーでもおれ、サンジに船で食べるって言っちゃった」
「そう」
ふとチョッパーの鼻先が下を向き、私の足元に目を止めた。途端に顔色を変え、私の名前を叫ぶ。
「怪我してるじゃないか! 見せてみろ」
いつもの小さな姿になり、台車を引く紐をもがくように取り払うとチョッパーは人目も気にせずテーブルの下に潜り込んで私の足を手に取った。
「冷やしてたのか、でもまだ腫れてるし熱も持ってるな」
「ヒールが折れてしまったの」
「待ってろ、すぐに固定してテーピングするから」
台車の隅に乗せていた青いリュックを引っ掴むと、彼は白い小瓶に入ったクリームを幹部に塗り、それから白い包帯を手際よく私の足首に巻き始めた。
真剣な彼の目に私まで見入ってしまう。
ものの数分で「できたぞ」とチョッパーは私の足首を離した。
幹部から下はまったく動かないように固定され、でも驚くほど痛みがない。
クリームを塗られたところがひやひやとしている。
「すごいわ、全然痛くない」
「固定してるから今は痛くないだけで、あんまり歩いちゃだめだ。そうだ、乗せてってやるから一緒に帰るか?」
あ、と声には出さなかったが、口ごもってしまった。
ゾロは酒瓶を逆さに煽って、最後の数滴まで飲み干した。
「まだ買いたいものがあるの。ありがたいけど、もう少しぶらついてから帰るわ」
「そうか、無理すんなよ」
「おうチョッパー、これ乗っけてってくれ」
ゾロがバゲットの袋をチョッパーの台車に乗せる。おう、とチョッパーも快く返事をする。
「じゃあおれ行くな。サンジも戻ってくるかもしれねぇし、そしたら昼飯くいっぱぐれちまう」
トナカイ型になった彼に背に台車の紐をかけてあげる。
「ありがとうね」と背中をひとつ叩いてやると、張り切った様子で彼はまたゴロゴロと台車を引いて、船のある方へと歩いて行った。
ゾロがひとつ伸びをして、「おれたちも行くか」と腰を上げた。
「歩けるか」
「えぇ」
そろそろと立ち上がるとき、つい物欲しげな目で彼の方を見てしまった。
なんだというように彼が口先を尖らせる。
「いえ、手を貸してくれる?」
「あぁ」
気付いた彼が手を差し伸べて、その手を取って立ち上がる。
足の痛みは不思議なくらい引いていたので、不安定な靴に右足を置いても歩いて行けそうだった。
「残念」
「あ?」
「もう少し運んでもらえるかと思って」
チョッパーには悪いけど、と少しきまり悪い思いをしながらそう言うと、ゾロは一拍きょとんとした後唐突に吹き出して笑った。
「お前さっきは「荷物になって」とか殊勝なこと言ってたくせに」
「だって、でもさっきは本当に悪いと思っていたのよ」
ゾロは笑いの残る顔を手で拭って、「乗せて行ってやろうか」と言った。
「もう結構よ。いじわるね」
「おま、勝手な言い分だな……」
ゾロは私の手を引いて、いつもより狭い歩幅で歩き始めた。
「まずは靴屋だな、もっと歩きやすい靴買え」
「そうね、そうするわ」
いつでも走り出せるように。
「今敵襲があったら、私真っ先にやられてしまうわね」
「どの口が。大人しくやられるようなタマじゃねェだろ」
「でも速く走れないんじゃもしものとき危ないじゃない」
「今はいいだろ、おれがいんだから」
「背負って逃げてくれるの?」
ゾロは私の顔を見もせずハンと鼻を鳴らした。
「だれが逃げるか。お前背負って戦ってやるよ」
「危ないわ。私が」
ゾロが呆れた顔で私を振り返るので、「だってあなた刀を振り回すじゃない」と思ったことを口にする。
ゾロは少し考えて口を開き、「んじゃあせいぜいおれの背中で小さくなってろ」と投げやりに言った。
きっと彼は本当に言葉の通り、私を背負ったままでも戦ってしまうのだろうなと思った。
彼の邪魔をしないよう首を縮めて、必死で背中にしがみつく自分を想像したら少し笑ってしまって、「にやにやすんな」と叱られた。
素朴で手作り感のあふれる靴屋を見つけ、歩きやすそうで平らなスニーカーを買った。
左足だけ履いて、右足の靴は袋に入れてもらう。
踵が下がって重心が安定し、やっと一息付けた心地がした。
「おまたせ」と言って店を出ると、さっきの私のように今度はゾロが足元に猫をまとわりつかせていた。
「猫の多い街ね」
「踏んじまう。おらどけ」
猫は何故かゾロの足首に爪を立て、その足を上へ登ろうとする。
いってェ! とゾロが大きな声を出してもおかまいなしに猫はがりがりと爪を立てた。
「クソ、なんだこいつ」
「随分懐かれてるわね」
とうとうゾロは猫の首根っこを掴んで持ち上げた。
なーとかにーとか、低めの声で猫が不満げに鳴く。
「ったく、あっちいってろ」
ゾロは無造作にぽいと猫を店先の草むらに放った。
軽い放物線を描いて、猫はすたっと四つ足で地面に着地する。
そのままゾロのことなんて忘れたように、店の壁沿いに路地を曲がって行ってしまった。
私たちはなぜかしばらく、その姿を見送った。
気ままに歩いていく後ろ姿がどことなく愛しく思えたのかもしれない。
私の方が先に視線を外してゾロの顔を窺うと、彼も気付いてこちらに視線を寄越した。
思い出したように「行くぞ」と言って彼は歩き出す。
その目になにか懐かしいような気持ちを感じて、でもその懐かしさの正体もわからないまま、彼のあとに続いて私も歩き出した。
→
私たちは料理が来るまでにすでに一本瓶を空けてしまい、海老を届けに来たウェイターに新たな一本を注文する。
ゾロは両手で海老をばりっと折って、見事に詰まったその身をがぶりと頬張った。
私は手で殻をむき、フォークで身を口に運ぶ。
弾力のある身が口の中で弾けて、海の塩気が効いている。
お酒がすすんだ。
「ウメェな」とゾロがぽつりと言う。
「本当ね。立派な海老のわりには値段も安いし」
「もう一個頼むぞ」
ゾロがウェイターを呼び止め、別の海老料理を注文する。
「この辺りでよく獲れるみたいね」
「てこたぁコックが大量に仕入れて来るな。違うもん食っときゃよかった」
「本場で食べるのもいいじゃない」
丸いテーブルの白いクロスに、朱色の殻が積まれていく。
ある程度殻が溜まると、いつのまにか店員が殻をさっと掃いて集めて持って行ってくれた。
新しいボトルが届き、ゾロのグラスに注ぐ。
悪ィな、と言ってゾロはそれをぐいと飲んだ。
「あと用は何が残ってんだったか」
「あとはクリーニングを回収するだけ。少し私も買い物をしていきたいんだけど」
「服か」
「いえ、石鹸とか、そういうの」
ゾロが少しほっとした顔をしたように見えて、一体今までナミの買い物にどれだけ苦しめられてきたのか目に見えるようだった。
「あとそう、靴を買うわ」
「あぁ」
店の人に頼んで、私の右足首には氷が巻かれていた。
おかげで感覚はないが、痛みも随分楽になった。
食事が終わるころ、オープンテラスで食事をする私たちの前を行き交うにぎわいの中に見慣れた姿を見かけた。
彼の方もきっとにおいで私たちに気付いていて、探しているようだった。
「チョッパー、ここよ」
声をかけて手を振ってやると、四つ足の彼はぱっと顔を華やがせてこちらへ駆けて来た。その背にはハーネスのように紐が結んであり、大きな台車をごろごろと引いていた。白菜やら小麦粉やら、食料がたくさん乗っている。
「お疲れさま。サンジのお手伝いしてたの?」
「そうだ! サンジはまだ買うものがあるから、これ持って先船帰ってろって」
「そう、偉いわね」
チョッパーははにかむように青い鼻先を細かに動かした。
「お前らメシ食ってたのか、いいなあ」
「あなたも食べてく?」
「んーでもおれ、サンジに船で食べるって言っちゃった」
「そう」
ふとチョッパーの鼻先が下を向き、私の足元に目を止めた。途端に顔色を変え、私の名前を叫ぶ。
「怪我してるじゃないか! 見せてみろ」
いつもの小さな姿になり、台車を引く紐をもがくように取り払うとチョッパーは人目も気にせずテーブルの下に潜り込んで私の足を手に取った。
「冷やしてたのか、でもまだ腫れてるし熱も持ってるな」
「ヒールが折れてしまったの」
「待ってろ、すぐに固定してテーピングするから」
台車の隅に乗せていた青いリュックを引っ掴むと、彼は白い小瓶に入ったクリームを幹部に塗り、それから白い包帯を手際よく私の足首に巻き始めた。
真剣な彼の目に私まで見入ってしまう。
ものの数分で「できたぞ」とチョッパーは私の足首を離した。
幹部から下はまったく動かないように固定され、でも驚くほど痛みがない。
クリームを塗られたところがひやひやとしている。
「すごいわ、全然痛くない」
「固定してるから今は痛くないだけで、あんまり歩いちゃだめだ。そうだ、乗せてってやるから一緒に帰るか?」
あ、と声には出さなかったが、口ごもってしまった。
ゾロは酒瓶を逆さに煽って、最後の数滴まで飲み干した。
「まだ買いたいものがあるの。ありがたいけど、もう少しぶらついてから帰るわ」
「そうか、無理すんなよ」
「おうチョッパー、これ乗っけてってくれ」
ゾロがバゲットの袋をチョッパーの台車に乗せる。おう、とチョッパーも快く返事をする。
「じゃあおれ行くな。サンジも戻ってくるかもしれねぇし、そしたら昼飯くいっぱぐれちまう」
トナカイ型になった彼に背に台車の紐をかけてあげる。
「ありがとうね」と背中をひとつ叩いてやると、張り切った様子で彼はまたゴロゴロと台車を引いて、船のある方へと歩いて行った。
ゾロがひとつ伸びをして、「おれたちも行くか」と腰を上げた。
「歩けるか」
「えぇ」
そろそろと立ち上がるとき、つい物欲しげな目で彼の方を見てしまった。
なんだというように彼が口先を尖らせる。
「いえ、手を貸してくれる?」
「あぁ」
気付いた彼が手を差し伸べて、その手を取って立ち上がる。
足の痛みは不思議なくらい引いていたので、不安定な靴に右足を置いても歩いて行けそうだった。
「残念」
「あ?」
「もう少し運んでもらえるかと思って」
チョッパーには悪いけど、と少しきまり悪い思いをしながらそう言うと、ゾロは一拍きょとんとした後唐突に吹き出して笑った。
「お前さっきは「荷物になって」とか殊勝なこと言ってたくせに」
「だって、でもさっきは本当に悪いと思っていたのよ」
ゾロは笑いの残る顔を手で拭って、「乗せて行ってやろうか」と言った。
「もう結構よ。いじわるね」
「おま、勝手な言い分だな……」
ゾロは私の手を引いて、いつもより狭い歩幅で歩き始めた。
「まずは靴屋だな、もっと歩きやすい靴買え」
「そうね、そうするわ」
いつでも走り出せるように。
「今敵襲があったら、私真っ先にやられてしまうわね」
「どの口が。大人しくやられるようなタマじゃねェだろ」
「でも速く走れないんじゃもしものとき危ないじゃない」
「今はいいだろ、おれがいんだから」
「背負って逃げてくれるの?」
ゾロは私の顔を見もせずハンと鼻を鳴らした。
「だれが逃げるか。お前背負って戦ってやるよ」
「危ないわ。私が」
ゾロが呆れた顔で私を振り返るので、「だってあなた刀を振り回すじゃない」と思ったことを口にする。
ゾロは少し考えて口を開き、「んじゃあせいぜいおれの背中で小さくなってろ」と投げやりに言った。
きっと彼は本当に言葉の通り、私を背負ったままでも戦ってしまうのだろうなと思った。
彼の邪魔をしないよう首を縮めて、必死で背中にしがみつく自分を想像したら少し笑ってしまって、「にやにやすんな」と叱られた。
素朴で手作り感のあふれる靴屋を見つけ、歩きやすそうで平らなスニーカーを買った。
左足だけ履いて、右足の靴は袋に入れてもらう。
踵が下がって重心が安定し、やっと一息付けた心地がした。
「おまたせ」と言って店を出ると、さっきの私のように今度はゾロが足元に猫をまとわりつかせていた。
「猫の多い街ね」
「踏んじまう。おらどけ」
猫は何故かゾロの足首に爪を立て、その足を上へ登ろうとする。
いってェ! とゾロが大きな声を出してもおかまいなしに猫はがりがりと爪を立てた。
「クソ、なんだこいつ」
「随分懐かれてるわね」
とうとうゾロは猫の首根っこを掴んで持ち上げた。
なーとかにーとか、低めの声で猫が不満げに鳴く。
「ったく、あっちいってろ」
ゾロは無造作にぽいと猫を店先の草むらに放った。
軽い放物線を描いて、猫はすたっと四つ足で地面に着地する。
そのままゾロのことなんて忘れたように、店の壁沿いに路地を曲がって行ってしまった。
私たちはなぜかしばらく、その姿を見送った。
気ままに歩いていく後ろ姿がどことなく愛しく思えたのかもしれない。
私の方が先に視線を外してゾロの顔を窺うと、彼も気付いてこちらに視線を寄越した。
思い出したように「行くぞ」と言って彼は歩き出す。
その目になにか懐かしいような気持ちを感じて、でもその懐かしさの正体もわからないまま、彼のあとに続いて私も歩き出した。
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