OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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「昨日まで痛くなかったのだけど」
「それは湿布の痛み止めが効いてただけだ。動いちゃだめっていっただろ!」
小さな船医は厳しい目で私を叱ると「せっかく固定した包帯もどっかいってるし」と呟きながら私の足首にテーピングを施した。
「いいか。一週間は要安静、テーピングを外すのは風呂のときだけ。戦闘は参加禁止だ。いいな?」
はい、と殊勝に応えた私にチョッパーは満足げに頷いて、道具を青いリュックに片付けた。
お気に入りのハイヒールは折れるし、足首の痛みは憂鬱だし、一週間もじっとしていなければならないなんて耐え難い。
耐え難いのに、足元からじんじんと伝わる疼きが妙にうれしい。
アーウ、とどこからかフランキーの叫び声が聞こえてきた。
私も変態になったのかもしれない。
動けないので、船番は私の役目となった。悪いわね、と船を降りていくナミに手を振って、欄干に上体を預ける。ルフィやウソップは、とっくに街へと繰り出していた。サンジがお重の風呂敷を手にしてナミの跡を追いかけていく。
さて。
くるりと向きを変えて欄干に背中をもたれかけさせる。目の前には、大口を開けて眠るゾロがいる。
「あなたはどこか行かないの」
話しかけてみるが、がっ、と短いいびきが返ってきただけだった。
二人で出掛けた一日がまるでなかったことみたいだ。それか、勝手に一人で見た夢だったような。船に戻ってから、ゾロとは一度も話をしていない。
「ゾロ」
ねぇゾロ、私を見て。
ふわりと瞼が持ち上がった。声も出せずに息を呑む。
黒と灰色の中間みたいな深い目が、何も言わずに私を見ている。目がそらせない。
薄い唇が不意に笑った。
「一人だとよく喋る」
「ひ……一人じゃないもの」
「寝てるやつを換算に入れるな」
ゾロは大きく伸びをして、左手を動かし三つの刀に触れた。癖だろう。
「あいつらは?」
「降りていったわ。あなたの昼食、冷蔵庫にってサンジが」
ふん、と鼻を鳴らしてゾロは一度空を見上げると、「湿布くせぇな」と顔をしかめた。
「ああ、ごめんなさい。さっきチョッパーに替えてもらったばかりで」
「湿布ってのはなんでみんなこうくせぇのか」
ゾロは座ったまま「おい」と私を手招いた。
「なに?」
「ああ、そうか。動いちゃいけねーんだったな」
大儀そうに立ち上がると、ゾロは大きな一歩でおもむろに私に近付いてきた。思わず身を引いてしまう。
私の肩口に顔を寄せたゾロは、すん、と一呼吸した。そのままふいと顔を背け、ぼりぼりと首筋を掻きながら食堂の方に向かう。
「待って、今の何?」不可解すぎて笑ってしまった。
「ちゃんとお前の匂いがするか確認した」
「なにそれ……」
「ちゃんとした」
よろしい、とでも言うようにゾロは頷いて、そのまま行ってしまう。かと思いきや、急に踵を返して戻ってきた。
唐突に私を抱き上げる。は、と声が出た。咄嗟にゾロの肩に掴まる。
「お前が動けねーこと、すぐ忘れちまう」
そのまますたすたとまた歩き出すので、あっけにとられたまま私は食堂まで輸送された。
誰もいない食堂で、私は椅子に降ろされる。意外ときびきびした動作でゾロが自分の食事を用意するのを見ていた。見ていろと言うことかしら、と考えながら。
ゾロがカトラリーをごそごそと探しながら言う。
「エビ、うまかったな」
「エビ?」
尋ねながら、洪水のようにあの一日が目の前に溢れて戻ってきた。パンを買って、石畳をヒールで走り、迷子になって、鍛冶屋に寄って、おんぶされて。
そのすべてをゾロと共有している事実をはっきりと胸に感じ、なぜだか泣きたくなった。
夢じゃない、と何度も繰り返し言い聞かせなければ信じていられないのはなぜだろう。ゾロのことはこんなにも確かに信じられるのに、自分のことは露ほども信じていないから、幸福な時間は私にはありえないと思っている。
「なんつー顔してんだ」
ゾロが私の顔を覗き込み、怪訝そうに眉を寄せる。微笑んでみせるが、ますますゾロの眉根が寄るだけだった。
「見てるぞ」
不意にゾロが言った。まっすぐ私の目を見て射抜くかのようだ。
「言われなくても見てる」
それが、私を見て、という稚拙でひとりよがりな私の独り言に対する返事だと気付き、泣くつもりなどなかったのにまぶたの下に熱いふくらみが揺れるのを感じた。
静かにゾロがそれを舐め取る。そのときはっきりと、私でも幸福になれるはずだと思えた。
「それは湿布の痛み止めが効いてただけだ。動いちゃだめっていっただろ!」
小さな船医は厳しい目で私を叱ると「せっかく固定した包帯もどっかいってるし」と呟きながら私の足首にテーピングを施した。
「いいか。一週間は要安静、テーピングを外すのは風呂のときだけ。戦闘は参加禁止だ。いいな?」
はい、と殊勝に応えた私にチョッパーは満足げに頷いて、道具を青いリュックに片付けた。
お気に入りのハイヒールは折れるし、足首の痛みは憂鬱だし、一週間もじっとしていなければならないなんて耐え難い。
耐え難いのに、足元からじんじんと伝わる疼きが妙にうれしい。
アーウ、とどこからかフランキーの叫び声が聞こえてきた。
私も変態になったのかもしれない。
動けないので、船番は私の役目となった。悪いわね、と船を降りていくナミに手を振って、欄干に上体を預ける。ルフィやウソップは、とっくに街へと繰り出していた。サンジがお重の風呂敷を手にしてナミの跡を追いかけていく。
さて。
くるりと向きを変えて欄干に背中をもたれかけさせる。目の前には、大口を開けて眠るゾロがいる。
「あなたはどこか行かないの」
話しかけてみるが、がっ、と短いいびきが返ってきただけだった。
二人で出掛けた一日がまるでなかったことみたいだ。それか、勝手に一人で見た夢だったような。船に戻ってから、ゾロとは一度も話をしていない。
「ゾロ」
ねぇゾロ、私を見て。
ふわりと瞼が持ち上がった。声も出せずに息を呑む。
黒と灰色の中間みたいな深い目が、何も言わずに私を見ている。目がそらせない。
薄い唇が不意に笑った。
「一人だとよく喋る」
「ひ……一人じゃないもの」
「寝てるやつを換算に入れるな」
ゾロは大きく伸びをして、左手を動かし三つの刀に触れた。癖だろう。
「あいつらは?」
「降りていったわ。あなたの昼食、冷蔵庫にってサンジが」
ふん、と鼻を鳴らしてゾロは一度空を見上げると、「湿布くせぇな」と顔をしかめた。
「ああ、ごめんなさい。さっきチョッパーに替えてもらったばかりで」
「湿布ってのはなんでみんなこうくせぇのか」
ゾロは座ったまま「おい」と私を手招いた。
「なに?」
「ああ、そうか。動いちゃいけねーんだったな」
大儀そうに立ち上がると、ゾロは大きな一歩でおもむろに私に近付いてきた。思わず身を引いてしまう。
私の肩口に顔を寄せたゾロは、すん、と一呼吸した。そのままふいと顔を背け、ぼりぼりと首筋を掻きながら食堂の方に向かう。
「待って、今の何?」不可解すぎて笑ってしまった。
「ちゃんとお前の匂いがするか確認した」
「なにそれ……」
「ちゃんとした」
よろしい、とでも言うようにゾロは頷いて、そのまま行ってしまう。かと思いきや、急に踵を返して戻ってきた。
唐突に私を抱き上げる。は、と声が出た。咄嗟にゾロの肩に掴まる。
「お前が動けねーこと、すぐ忘れちまう」
そのまますたすたとまた歩き出すので、あっけにとられたまま私は食堂まで輸送された。
誰もいない食堂で、私は椅子に降ろされる。意外ときびきびした動作でゾロが自分の食事を用意するのを見ていた。見ていろと言うことかしら、と考えながら。
ゾロがカトラリーをごそごそと探しながら言う。
「エビ、うまかったな」
「エビ?」
尋ねながら、洪水のようにあの一日が目の前に溢れて戻ってきた。パンを買って、石畳をヒールで走り、迷子になって、鍛冶屋に寄って、おんぶされて。
そのすべてをゾロと共有している事実をはっきりと胸に感じ、なぜだか泣きたくなった。
夢じゃない、と何度も繰り返し言い聞かせなければ信じていられないのはなぜだろう。ゾロのことはこんなにも確かに信じられるのに、自分のことは露ほども信じていないから、幸福な時間は私にはありえないと思っている。
「なんつー顔してんだ」
ゾロが私の顔を覗き込み、怪訝そうに眉を寄せる。微笑んでみせるが、ますますゾロの眉根が寄るだけだった。
「見てるぞ」
不意にゾロが言った。まっすぐ私の目を見て射抜くかのようだ。
「言われなくても見てる」
それが、私を見て、という稚拙でひとりよがりな私の独り言に対する返事だと気付き、泣くつもりなどなかったのにまぶたの下に熱いふくらみが揺れるのを感じた。
静かにゾロがそれを舐め取る。そのときはっきりと、私でも幸福になれるはずだと思えた。
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Comment
カリカチュアシリーズ読ませていただきました
ロビンちゃんがいじらしくて、可愛くて、読むたびに、涙が出ます。
何でもないようで、特別な二人の1日を辿ると、最終的に胸がいっぱいになってしまい、
ものすごい読後感です。
特に、
『当たり前に一番にはなれなかったひっ彼の心をとても近くに感じた』
という一文と、
ラストの
『必死で生きている恋なんだもの』
からはポロポロ泣いてしまいます。
昔から好きなカップリングでしたが、こまつなさんのお話で沼りました。このお話を越える二人の話には出会わないだろう、というくらい好きです。
まるで、映画のような素敵なお話をありがとうございました。
何でもないようで、特別な二人の1日を辿ると、最終的に胸がいっぱいになってしまい、
ものすごい読後感です。
特に、
『当たり前に一番にはなれなかったひっ彼の心をとても近くに感じた』
という一文と、
ラストの
『必死で生きている恋なんだもの』
からはポロポロ泣いてしまいます。
昔から好きなカップリングでしたが、こまつなさんのお話で沼りました。このお話を越える二人の話には出会わないだろう、というくらい好きです。
まるで、映画のような素敵なお話をありがとうございました。
Re:カリカチュアシリーズ読ませていただきました
そらとゆき 様
コメントありがとうございます~!!
私もとても楽しく書いた話だったので、お楽しみいただけたようでほんっとうに嬉しいです。
ロビンのちょっと重めなところと、ゾロの無骨で朴念仁なところのミスマッチがかわいくて好きなカップリングなのですが、そらとゆき様が拙作で沼ってくださったということは、同感いただけるということでしょうか……トテモウレシイ
本文でも、響く文章があったのなら書き手としてとてもやりがいがあります~
ご感想を文章にしてお伝えいただくのは、とても手間と胆力がいるなあと日々思っていますので、こうしてご丁寧にコメントを頂けて大変ありがたく存じます……
他の作品もお楽しみいただけたらうれしいです。
ありがとうございました!
コメントありがとうございます~!!
私もとても楽しく書いた話だったので、お楽しみいただけたようでほんっとうに嬉しいです。
ロビンのちょっと重めなところと、ゾロの無骨で朴念仁なところのミスマッチがかわいくて好きなカップリングなのですが、そらとゆき様が拙作で沼ってくださったということは、同感いただけるということでしょうか……トテモウレシイ
本文でも、響く文章があったのなら書き手としてとてもやりがいがあります~
ご感想を文章にしてお伝えいただくのは、とても手間と胆力がいるなあと日々思っていますので、こうしてご丁寧にコメントを頂けて大変ありがたく存じます……
他の作品もお楽しみいただけたらうれしいです。
ありがとうございました!
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さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。
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