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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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「いいーねえー、アンちゃん、いい食いっぷり」

「ん、うま、だって、おごってくれるって言うし、いっぱい食えっていうから、食べないと、もったいない」

「サッチ持ちだからいいよい」

「おっと初耳」



金網にいくつもの肉が並べられ、ジュウジュウと香ばしいにおいと共に焼き色がついていく。
金網と自分の取り皿とを行ったり来たり忙しいアンの箸は動きづめに動いた。
乾杯したばかりのジョッキの中身は、三つともすでに半分以上ない。















買い物に行きかけていたアンに強制帰還を命じたマルコは片手にぶら下げていたコンビニ袋を部屋に置き、アンたちがアパート前に着くころには折り返して降りてきていた。


「サッチ車出せよい」

「どこ行くんだよ」

「どっか」

「オレらがこの子乗せて車乗ってたら間違いなく誘拐じゃん、歩いて行けるとこにしようぜ」

「誘拐って!あたし成人してるし!」

「いやだめ。オレアンちゃん女子高生だと思ったもん」

「確かに車だと飲めねぇな…おいお前、何食いたい」

「肉。……あ、いや、なんでもいい」

「じゃあそこの焼き肉屋でいいじゃん」




そんな成り行きがあって、三人並んでぶらぶらと大通りまで歩き、こうして肉を頬張っている次第である。




「ね、アンちゃん明日仕事?」

「うんそう」

「ああもうほんといいなぁマルコ、オレマルコの部屋住みつこっかな」

「冗談じゃねェよい」


あっはっはー、となんだか気分良くなってきちゃったサッチとアンは朗らかに笑う。
生二杯で出来上がった酔っ払い二人を眼前にして、マルコはため息をつきつつ、悪くないと思った。













店に入った時には薄紫だった景色が、店を出た頃には黒く染まっていた。
オレこっちだからー、と陽気に手を振ったサッチは、酔ってはいるが案外しっかりとした足取りで駅へと歩いて行った。


「…帰るかい」

「んー!あ、あのおっさんアパートに車」

「どうせ乗れねぇだろい」

「あ、そっかー!」


そうだったそうだった、飲酒運転はんたーい!とけらけらと笑う小娘を横目に見つつマルコが歩き出すと、アンもその隣に並んだ。



「あー、久しぶりにお腹いっぱい食べたなぁ」

「若ぇのが、節約しすぎなんじゃねぇのかい」

「だってルフィに仕送りもしたいしー、あたし普通の量じゃお腹いっぱいになんないしー」

「じゃあまた飯作り頼むよい。そったら腹いっぱい食えるだろい。オレも楽だ」

「あっ、そっかあ、でもあんまりいらんないしー」

「は?どこにだよい」

「マルコの部屋だよ、自分が言ったのにー」


酔っ払いらしくからからと笑うアンを、マルコは歩きつつ見下ろした。
笑っていたと思ったら次の瞬間には不意にどこか遠くを見る目をするから、その睫毛さえ震えているように見えた。



「…あぁー、まぁそりゃぁあんまり遅いのは駄目だけどよい、」

「遅くなくってもさあ、あたし玄関で鉢合わせとかやだよー」



面倒はごめんだと、楽しそうにさえ見える顔で言ったアンにマルコは首をかしげた。



「何の話だよい」

「え、だからぁ、マルコの彼女と玄関で、」

「…オレの女?」



何を言ってるんだと口を開きかけた矢先、この間自宅を訪れた編集者の女社員と玄関先でしゃべったこと、そのあとすぐアンが帰ってきたこと、そしてそのアンがやたらそっけなかったこと、そのすべてが縁起でもないが走馬灯のように頭を駆け抜けて、それが今さっきのアンの発言に繋がった。


あれは違うと言ってしまえばすべて解決だが、言い訳めいたその科白が性に合わないような気がして、開きかけた口をいったん閉じる。
少し考えて、マルコは口を開いた。




「・・・オレに女がいたら、よい。あんなむさっくるしい野郎と女子高生に見えるOL小娘連れて焼肉なんていかねぇよい」



振り返るようにしてマルコを見上げたアンは、同じように自分を見下ろすマルコの顔をしばらくの間見つめて、はたしてきちんと理解できたのか微妙だがそうだよねぇと呟いた。







「なんだぁ、よかったあ」








ぽとりと落とされたその呟きを聞いてマルコがもう一度アンを見下ろすが、今度はアンはまっすぐ前を向いていて、また震えているような睫毛しか見えなかった。


電柱にくっついた電灯が黄色く光るその下で、アンは足元の小石を蹴飛ばしながら足を進める。
黒く塗りつぶされた二人分の影がぽっかりと浮かんでいた。




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コンクリートの床につまさきを数回ぶつけて、はみ出した踵をスニーカーの中に収める。
その動作を家のドアを開けながらすれば、左側から聞きなれない声が届いた。



「・・・から、しょうがねぇじゃん。いねぇんだもん、ったく・・・お、」



隣人の家の扉に背中を預けて携帯片手に喋っている男は、思わずまじまじと男の姿を眺めまわしてしまったアンに気づいて小さな声を上げた。


「あぁ、んじゃまた連絡する。・・・うっせ、じゃな」


指先が小さく動いて通話を切ったような動作をすると、男は背中をもたれさせたままアンのほうを振り向きにかりと笑った。
前にせりだしていたリーゼントもそれと同時にアンのほうを振り向く。



「どーもこんにちは」

「・・・あ、こんにちは・・・誰?」

「お宅のお隣さんの仕事仲間」

「マルコの?マルコならもうちょっと前に出てったよ」



男の顔よりリーゼントのほうが気になって、リーゼントと会話するようにそう言えば、男は一瞬だけ眉根を寄せた。


「お嬢ちゃんマルコと仲いいの?」

「え?仲いいってか、おとなりだし」

「でもマルコって呼んでるし、外出してるのもしってんだ?」

「だってマルコがそう呼べって・・・それに外出したのは音で分かった」


うち壁薄いから、と淡々と問いに答えれば、男は成程と納得したように頷いてからまたにかりと笑った。



「オレサッチってんだよ!ずりぃな、マルコの奴こんな若い子とお隣さん!」

「・・・あ、あたしアン。ポートガス・D・アン」


つられて自己紹介すれば、サッチはますます上機嫌に顔を緩めた。


「な、アンちゃんどこ行くの?今から出かけるんだろ?」

「うん、スーパー行く。買い物」

「じゃ、おにーさん荷物持ちしちゃう」


えっ、とその顔を見上げれば、愛想のいい笑顔がにかにかと光っている。

「いいよ、だってマルコに用事だったんでしょ」

「それがあのパイナップル野郎人のこと時間指定で呼んだくせにその時間に留守してやがる。暇だからいいってことよ」


そう言うや否やぱっと手を取られて、さっ行きましょ行きましょと促される。
マルコの友達?みたいだし、いい人そうだし、と得意の勘で判断したアンは、じゃあよろしくと口を開いたのだった。
内心お兄さんという言葉に突っかかりを感じたのは口にはしなかったが。

















「アンちゃんは学生?いくつ?」

「働いてる、そこのなんとかっていう会社で。21」


自分の会社の名前くらい覚えようぜ、とサッチにからからと笑われてから、アンもサッチに同じような問いを返す。
それによればサッチは、マルコが書く記事が載る雑誌の編集をしているらしい。

「あいつぁ自由契約だから好きなとこと手ぇ結んでんだけど、オレんとことはなんだかんだ言ってずっと付き合ってるわけよ」

「ふーん、忙しい?」

「まあねー、でも可愛いOLとデートする時間くらいあるんだぜ?」


サッチの軽口はへぇ、とかふうん、とかいうように適当に流せばいいとなんとなくわかってきたアンは、例に漏れずふうんと相槌を打った。



「・・・確かに、マルコもそういう時間、あるみたいだし」




口から転がるように出たそれに、隣を歩くサッチがへ?と首をかしげた。



「マルコの奴、アンちゃんとデートまでしてんのか」

「はぁっ!?違う違う!あたしじゃないよ!」

「じゃぁあいつに女いるって?」

「・・・知らない」



自分から言い出したくせに口をつぐんでしまったアンを見下ろして、サッチはぽりぽりと後頭部を掻く。
とりあえずなんだか面白そうだという勘だけは働いた。






「じゃさ、アンちゃんは?彼氏いんの?」

「いない。弟がひとり」


彼氏いないけど弟がいるってどんな紹介だ、と思いつつ、サッチはとりあえずへぇと相槌を打つ。


「弟は?あそこで一緒に暮らしてんの?」

「弟は、…弟はやりたいことしにいった。ルフィには夢があるから」


足元を見つめたままのアンのつむじを見下ろして、サッチはそこにぽんと手を置いた。



「わっ、なに?」

「で、アンちゃんは寂しいんだ?かぁいいなあ、」

「ちょっ、やめっ・・・」


くしゃくしゃとサッチの手が無造作に動き、はねた黒髪がますます空気を含んで絡まりあう。

寂しいと言葉にされたことは心外でもあり事実でもあり、でも誰かに頭をなでられたのも遠い記憶のことで、それでも久しぶりに感じた人の体温にアンは思わず笑みを漏らした。



「髪ぐしゃぐしゃ!」

「可愛い可愛い・・・あ、」


手櫛で髪を整えるアンを手伝うように、サッチもアンの髪を撫で付けていれば、ふたりの前方から歩いてくる人物が目に付いたサッチは小さく声を上げた。



「・・・何してんだよい」

「そりゃぁこっちの台詞だってんだ!お前なあ、人呼んどいて・・・」

「なんでアンと一緒にいるんだよい」


なめらかにサッチの苦情を聞き流したマルコは、サッチにというよりアンにそう問いかけた。



「マルコの部屋の前で会って、あたし買い物いくとこで、荷物持ってくれるっていうから」

「・・・晩飯かい」

「うん」

「必要ねぇよい」

「は?」

「帰んぞい」



そう言いながらアンの横を通り過ぎたマルコは、ぽかんと口を開けたままのアンとさらにその後ろにいるサッチを残してずんずんとアパートのほうへと歩いていく。

ぽんとアンの肩に手が乗せられ、頭上から困ったようなサッチの声が届いた。



「・・・あー、まぁ、ああ言ってるし、帰ろっか、」

「え、でも帰るっても、あたしご飯ないから買いたいんだけど」

「一緒に食べに行こうって言ってんだよ」




まったく言葉の足らない奴で悪いな、とサッチが苦笑する傍らで、アンはどんどん小さくなっていく背中をしばらくの間見ていた。




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土曜日の夜、アンはファミレスのバイトの帰り道で疲れた体にムチ打ってペダルを漕いでいた。

遊びという遊びを知らないアンは休日の上手い使い方もよくわからないまま、事務の仕事がない土曜日は終日バイトを入れていた。
さすがに日曜は家のことなど細かいことをしなければならないので、まるっと一日本当の休みである。
その休みを、アンは大抵家で過ごしていた。





(・・・さむっ)





四月下旬とはいえ、夜の外気は冷たく澄んでいる。
ペダルを漕いでいるとはいえ、滑らかに進む体にぶつかる風がアンの体を冷やした。


新居に移って一か月、すでに慣れてきた自転車置き場に自分のそれを止めてしっかりと鍵をかけ、アパートの表へと歩いていく。
冷えた両腕をさすりながら鉄筋の階段に足をかけたとき、上から同じように階段を軋ませる音がしたことでアンは顔を上げた。





下りてきたのは、シンプルなカットソーにスカート姿の女性で、綺麗に伸びた髪がふわりと揺れていた。
階段に上りかかっていたアンは慌てて体を端にずらす。
それに気づいた女性はアンの気遣いににこりと笑って小さく頭を下げた。
近くで見ると女性は華やかな顔立ちで、清楚な笑顔が印象的な綺麗な人だった。



(・・・なんかいい匂いしたぞ)



あんな人がこんなところに何の用だろうと、通り過ぎて行った女性を見送ったアンは階段を上っていく。
住民ではなさそうだなぁと考えながら二階に到着したアンの目に、いつもの紫煙をくゆらせながら今まさに部屋へと引っ込もうとしている隣人の姿が映った。




「あ」

「・・・おう、遅ぇな」

「うん、バイト。マルコは?」

「・・・ちょっと、ねい」



ふーんと相槌を打ったアンは、マルコの視線が一瞬アンの背後に移ったのを捉えた。





(あぁ、そういうこと)




いつもはそっち方向に働かないアンの勘が今ばかりは敏感に反応して、マルコがなぜ手ぶらで外にいたのかという理由がしっかりとわかってしまった。
煙草をふかすだけならばベランダでいい。
外に出て見送りをする必要があったのだ。





(・・・別にごまかさなくてもいいのに)





今日はさみぃな、などと取り留めのないことを言うマルコには適当に相槌を打って、アンはただマルコの言葉を受け流していった。
なぜか出所のわからない怒りまでわいてくる。
それと同時に、なぜ以前マルコがアンに『早く帰れ』と言ったのか、結構前の話だというのにその理由にも気づいた。





「・・・もう、寝る」

「ん?・・・あぁ、早く部屋入れよい」「ん・・・」




唐突に話を切ったアンに特に不審な顔を見せることもなく、マルコはあっさりとアンが部屋に入っていくのを見届けた。

ぐちゃぐちゃと言いようのない気持ちだけが、アンに残った。




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「お前、それ食ったら帰れよい」





しゅるしゅると器用な手つきでりんごを剥いていたアンの手が、その言葉で不意に止まった。
少し体をずらして居間のほうに顔を向ければ、先の言葉を放った当のマルコはテレビに視線を合わせたままである。



「なんで?」



思うままにそう口に出せば、眉根を寄せた眠そうな顔が面倒くさそうにアンのほうを振り向いた。
面倒くさそうというより、呆れを含んだような顔。




「・・・なんでっておめぇ・・・」


その言葉の続きは、ストンっとリンゴが真っ二つになる小気味いい音によって遮られた。
さらにすとっ、すとっ、と包丁が落ちて、皿に乗せられたりんごがアンの手によって居間に運ばれてくる。
遮られた言葉を続ける気にもならなかったマルコはそのまま口を閉ざした。



「・・・めーわく?」

「は?」


てらてらと瑞々しく光るりんごの先を口にくわえて、フォークに刺したリンゴをマルコに差し出したアンの目は、ゆらゆらと不安に揺れている。
マルコは既に慣れてきたため息を吐き出して、それを受け取った。


「迷惑だったらこんなこと頼むかよい。むしろ助かった、ってさっきも言ったろい」


口に突っ込んだそれを噛めばしゃくっと大きく音がして、じゅわりと果汁が染み出した。
アンはその答えに、じゃあなんで、と問いかけようとしたが口を開いただけで何も言わず、しばらく逡巡するように俯いていたが、迷惑じゃないならいっか、と答えが出たらしく明るい顔をあげた。
手に取るように感情のわかる娘だ、とマルコはこっそり喉で笑う。



テレビの雑音と、しゃくしゃくとふたりぶんりんごを咀嚼する音だけが響く。
会話がなくても不思議と気まずさは微塵もなかった。
むしろ心地いいとさえ思えた。





「あ、ねえ」

「あ?」

「あれ、仕事机?雑誌が、いっぱいのあれ」



そう言ってアンが指差すのは二人が座る部屋の中心から少し離れたところ、本棚と並んで壁にくっついているデスク。


「あぁ、」

「なに?しごと」

「・・・ライター」

「ライター?」

「阿呆。そのライターじゃねぇよい」


物書きだ、とアンの手からマルコが常備しているライターを取り上げてそう言えば、アンはそれでも首をかしげた。




「・・・オレァ自由契約だから好きなもんを書く。専門誌の時もあれば、普通のカタログやら週刊誌やらも書く。そんだけ」

「へえ・・・」


りんごを口に突っ込んだままやたら感心するアンに、何がそんなにすげぇんだと聞いてみたら、口の中のりんごを飲み込んだアンは事もなげに笑顔付きで答えた。





「自分の好きなこと仕事にしてんのって、いいなあって、思って」




書くの好きなんだ?とアンはにかりと笑って見せた。


軽く目を見開いたままマルコがひとつ瞬いても、その様子に気づきもせずアンはまたりんごにフォークを突き立てる。
さすがに視線を感じたアンがマルコを見返して、なに?と尋ねるが、マルコはいや、と軽く首を振った。







「・・・確かに、好きだよい」










微かに口の端が上がって、ふっと息の音が聞こえる。



ああこういう笑い方もするんだ、と思うと急に顔が熱くなった。




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いつものごとく出勤ついでにゴミを抱えて家を出たアンは、ゴミ置き場の前で件の隣人とでくわした。


「あ、おはよう、ございます」

「あぁ」


そっけない挨拶も慣れてしまえば悪くない。
今日は珍しく寝起きの良かったアンは、上機嫌にゴミをいくつかの袋の上に放り投げた。
その隣に、マルコが自身のゴミを置く。

特に見るつもりもなかったのだが、ちらりと視界に映ったその袋の中身をアンの目が捉えた。





「ねぇ」
「あ?」
「コンビニ弁当、ばっかだね」
「あぁ・・・作ってもいいんだが面倒くさくってよい。たいして旨くもねぇし」


そう言って煙草をふかすマルコを見上げて、ふーんと相槌を打ったアンは、ふと閃いて目を輝かせた。





「ねぇ、あたし作ってあげよっか!」
「あぁ?」
「あんまり上手じゃないんだけどさ、一応7年間弟の面倒見てご飯も作ってきたし、今も自炊生活だし。
コンビニ弁当ってさ、ほら、よくわかんないけどいろいろ入ってるっていうじゃん、悪いのが」


ねっ?と同意を求めるアンを見下ろして、マルコはあー、と低く唸りながら首筋をさすった。


「・・・だがよい」
「あ、あたしならいいよ。今日は夜のバイトもないし」



いいじゃん、とにかりと笑われて断る術を失ったマルコは再びあーと唸り、それから小さく息をついた。




「・・・じゃぁ、頼むよい」
「うん!あ、材料は買ってね!」
「あぁ」



じゃ、行ってきます!と大きく手を振りながら出勤するらしいアンを煙草の煙と一緒に見送ったマルコは、その姿が角を曲がってから一際大きく息をついた。



「材料って、何買えばいいんだよい・・・」




















夕刻の6時、マルコの部屋のインターホンが安っぽいベルを鳴らした。
見当のついていたマルコがドアを開ければ、案の定にかりと愛想よく笑う小娘が一人。
帰宅後着替えたらしく、パーカー姿という部屋着のようなラフな格好になっていた。


「よう」
「ひひ、お邪魔しまーす」


知り合って数日とは思えない気安さで笑い、アンはつっかけてきたサンダルを脱いで部屋に上がる。
一番に見えたのは片付いたキッチンだったが、裏を返せば全く使われていないように見えた。




「あ、そういえば何作るの?」
「・・・適当に買ってきたよい」


マルコがビニール袋の中身を広げれば、アンはその中をのぞいておぉと感嘆の声を上げた。


「いっぱいだね」
「二人分の材料ってのがどんなもんかわかんなくてねい」



そう言えばアンがきょとんとマルコを見上げたので、マルコも何かおかしかったかいとアンを見返す。
だがすぐにアンの疑問点を理解したマルコはふうとひとつ息をついた。
この娘といるとどうもため息をつくことが多くなるようだ。



「一緒に、食べるに決まってんだろい」



作ってもらってはいさようならなんてするはずがない。
そう言えば、アンは考えてもみなかったようで、驚いたように目を丸めたがすぐに嬉しそうに笑った。















アンが作ったのは二人分にしては大きすぎるお好み焼きで、作る様子を所在なく見ていたマルコはその量に目を剥いたが、まぁ買ってきたのは自分なわけだしと黙ってみていた。
だが心配は不要だったようで、手際よく作られた大量のお好み焼きはその多くが細い体のどこへ消えたのか、アンの口に難無く放り込まれていった。




「おなかいっぱい!」
「そりゃあれだけ食えばそうなるよい」
「あたし食べ過ぎ?マルコ足りない?」
「いや、オレももう無理だよい」
「あたしの弟もよく食べるからさぁ、いっつも二人分であれでも足りないくらいなんだ。あ、その、どう・・・だった?」


今更ながらアンが不安げに尋ねれば、マルコは小さく笑った。



「美味かったよい」



その言葉にぱあっと笑みを零したアンは、あたしも!と嬉しさを隠さず答えたのだった。







2014.01.24 修正

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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一声いただければ喜んで遊びに行きます。

足りん
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