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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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◆893と幼女
 
 
 
 
ヤクザとか何番煎じ!?って感じだけど、私的に幼女ってとこがミソっている。
 
 
言わずもがな、ヤクザは白ひげ組ですわ。
ヤクザってか、極道だな。
 
 
んでもちろん、幼女はアンちゃん。
 
原作っぽくボロボロズタズタの荒んだ5歳児でもいいけど、
まだなにもわからない純真無垢なかわいこちゃんでもええぞ!
 
 
 
 
ダダン孤児院(笑)からなんとなく脱走したアンちゃんは、道端に突っ立って煙草ふかしてるマルコの背広(というかズボン)にぶつかるのですね。
前を見ていなかったから。
 
 
「……(ガキ?)」
 
 
こっわい顔で見下ろしてくるマルコにひるむことなく、アンちゃんはにっこぉ!てマルコに笑いかければいい。(この時点で純真無垢であること確定)
 
 
そりゃおっさん堕ちちゃうよ!
たとえほっぺたぷにぷにでぬいぐるみみたいな幼女でも、堕ちちゃう堕ちちゃう!
 
 
 
「…お前どっから来たんだよい」
「?」
「おめぇの親はどこにいんだよい」
「??」
「…名前は」
「あん!」
「…とりあえずオレと来るかよい」
 
 
アンちゃんまたにかぁって笑うのですね。
とりあえずじゃないよ、おっさん。
そしてはい連れて行っちゃう。
誘拐以外の何者でもあるまい。
 
 
 
隣に並んで歩いてたら、途中でアンちゃんから手を繋げばいい。
おっさんのハートを無差別に撃ち抜く。
 
 
 
 
 
で、白ひげ組の門前にて。
 
 
 
「おうマルコおめぇ遅ェ………ってマルコォォォォォォ!!!
お前それどこで拾って来た!この犯罪者め!!」
 
「ごもっともだがお前に言われたくねぇよい。
そこのタバコ屋の前に落ちてたんだよい」
 
「女の子は落ちてるものじゃありません!元の場所に返してきなさい!」
 
「親とかいなかったんだよい」
 
「…だからっておま、犬猫じゃあるまいし……まぁいいや、えーっと、お嬢ちゃん?名前は?」
 
「あん!!」
 
「(きゅーーん)よしアンちゃん、おにーさんが中でプリンご馳走してやるからおいでー」
 
 
 
そうしてサッチに手を引かれ、極道の家へと入っていく危機感ゼロの幼女アンちゃん。
サッチのほうが子供好きであやすのが上手いため、マルコは後ろでちょっと悔しがればいい。
のちに自分もお菓子で釣ろうとすればなおよし。
 
 
 
門の外ではダダンがアンちゃんを探しています(笑)
 
 

拍手[8回]

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◆バカップルの友人なりきり100の質問。
 
 
バカップルに当てられている『苦労人』キャラになりきるそうです。
 
 
 
 
・・・ねぇ。
そんなこと言われたら、ねぇ。
 
彼しかいないよ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1.お名前は?
 
オレ?サッチってんだよ!
 
2.ご職業を
 
白ひげ海賊団4番隊隊長かつ厨房・食糧管理担当!
ご指名お待ちしております!
 
3.年齢は?
 
・・・く、くちがかってに・・・「おにいさん」
 
4.性別を
 

 
5.座右の銘は?
 
据え膳食わぬは男の恥
 
6.貴方の周りのバカップルに付いて質問させていただきます
 
おうよ、いるぜうちに。
 
7.バカップルのお名前は?
 
不死鳥と火の玉娘
 
8.バカップルの性別をどうぞ
 
もちろん男と女
 
9.奴らが付き合い始めたのを知ったのはいつ頃?
 
おれが焚き付けたみてぇなもんだし、最初から
 
10.素直に祝福できましたか?
 
おれ大人だし
 
11.そうでゲスか…(……)
 
なんだよ!信じてねぇな!
 
12.気を取り直して次の質問です!
 
さっさといけ!
 
13.バカップルの片割れから恋愛相談を良く受ける?
 
悲しいことに可愛い妹ちゃんからは。
おれがアクション起こした時はさすがにしばらく来なくなったけどな!
 
14.相談事の内容など詳しく教えてください
 
マルコがかっこいいどうしよう
マルコに無視されたどうしよう
マルコのメガネ壊しちゃったどうしよう
あーはーはー
 
15.その中で一番ムカついた事は?
 
マルコがかっこいいどうしようから惚気へなだれ込んだこと
でもムカつきはしねぇよ。
 
16.共感してしまった事
 
マルコに無視されるとかおれ、常日頃!
 
17.ノロケとしか思えなかった事
 
さっき言った通り、マルコの愚痴を聞いていたはずがいつのまにかマルコのどこがかっこいいかっていう話にすり替わってたこと。
あとマルコは酔うとアンの仕事の出来なさをここぞとばかりに責めるけど惚気てるようにしか聞こえない。
 
18.今ならバカップルどもを殲滅しても許されると思った事
 
そんなことおれっちしねぇよ?なんだかんだで楽しいからな
 
19.自分を巻き込まんでくれと思った事
 
マルコとアンが喧嘩すると、おれはふさぎこんだアンを慰めなならんし、マルコは不機嫌になってやつあたりするし。
まったくおれってなんていいひと。
 
20.何だかんだ言ってお前らラブラブだなぁと思った事は?
 
世間のラブラブとは程遠いかもしれねぇけど、ああだこうだいいながらいつも一緒にいること
 
21.貴方に相談を良く持ちかけるバカップルの片割れは誰でしょう?
 
言わずもがな、アン
 
22.その片割れは受or攻どちらですか?
 
攻めてたらそれはそれで興味深いけど、受けだな
 
23.最近相談聞くのが辛くなってきた
 
い ま さ ら !
 
24.そんなにヤツレた顔をしないでください…そのうちイイ事ありますよ(多分)
 
うるせぇな!ほっとけよ多分なら!
 
25.所で貴方はお付き合いしている方は?
 
ほら、おれが一人と恋仲になると世の中の女の子たちが可哀相だからさあ
 
26.………野暮なこと聞いてスイマセンでした…………
 
・・・わかってんなら聞くな!
 
27.まぁ…そんな貴方にバカップルが及ぼしている影響は?
 
おれにというより、船全体が苦笑に満ち溢れた感じになった
 
28.ラブラブバカップル台風接近中!!避難勧告発令!!主な被害内容は?
 
マルコがアンを腰にぶら下げたまま何事もなくおれの前を通り過ぎて行った。
まぁいつものことだ
 
29.バカップルがラブラブしているのを見て大変困った反応をする別の友人がいる?
 
新入りとかはびびってっかもなぁ
 
30.その人の主な行動内容は?
 
固まってんじゃね
 
31.その困った友人の尻拭いをよくさせられるのは自分だ
 
その辺にいるやつが説明するだろ
 
32.バカップルだけではなくその困った友人も「殺っちゃいたい」と思った事がある
 
そんな物騒なこと!あ、おれ海賊だった
 
33.今一番願うのは自分の心の平穏を保つことだ
 
船が穏やかならおれの心も穏やかだからさ
 
34.貴方の心の平和と安全を保つために消えて欲しい奴の名をこっそり教えてください
 
うん、モビーにはいねぇな
 
35.そうですか……強く生きてください…
 
いねぇって!お前さっきからちょくちょく気に障ることを!
 
36.奴らが巻き起こした事件で一番困ったことは?
 
アンの迷子事件もそうだけど、マルコが煮え切らなかった期間が面倒だった
 
37.微笑ましかった事
 
甲板で酔っ払って寝こけたアンをなんだかんだ言いながらマルコが部屋に持っていくときとか
 
38.思わず縁を切ってやろうと思った事
 
残念ながらおれら切れる縁は持ち合わせてねぇんだ
 
39.自分まで巻き込まれた事
 
マルコとアンが喧嘩したとき、結局おれとマルコの殴り合いになったこと
 
40.逆に自分が奴らを巻き込んだ事は?
 
ん、おれそんなことしねぇよ?こら、いつもだろとか言った奴出てこい!
 
41.大変!!バカップルに破局の危機が迫っています!!さて貴方はどうしますか?
 
あー大丈夫大丈夫。そのうちどっちかが我慢できなくなるからさ
 
42.そこで中を取り持つと言われた貴方…貴方の熱い友情に乾杯!!
 
仲なんて取り持ってたら身がもたねぇよ!
 
43.……スイマセン質問でも何でもない事をほざきまして……以後気をつけます……
 
ぜひそうしてくれ
 
44.さてそんな貴方をバカップルはどう思ってるんですかね?
 
マルコはちょっとくらいおれに感謝の気持ちを表してみろ!目に見える形で!
アンは気の利く優しい兄ちゃんくらいに思っててくれたらおれはしあわせ・・・
 
45.ココでいっちょ奴らに貴方の有難みを教え込んでおきますか?
 
おうそうしよう
 
46.貴方の事を自画自賛してみてください
 
へらへらしてっけど100人の隊員従えててそこいらの海賊には負けない腕っぷし!
んでもって料理させれば絶品仕上げる闘うコックさん!
甘いマスクと優しさは世の女を腰砕け!
こんないい物件いないぜそこのお嬢さん!
 
47.奴らの愚痴を思いっきり叫んでください
 
おまえら!そういうことはよそでやれ!船の風紀が乱れる!
 
48.長々と48問目ですが中途半端ですね……
 
ほんとだぜ
 
49.いっそ50質にしちゃ駄目ですかね?
 
おれはいいけどよ
 
50.……まぁ冗談はこのぐらいにして…次からバカップルを単体で検証していきたいと思います
 
冗談かよ、おれっちもう疲れてきたぜ・・・
 
51.バカップル受について…貴方はどう思っていますか?
 
アン?・・・妹だな。
すげぇすきだ。すげぇ。
 
52.受の属性を客観的に分析してみてください
 
馬鹿
 
53.バカップルになる前受と貴方はどんな関係でした?
 
おれはちょっといけないこと考えたりしたけど、アンは前も今もおれのことは兄貴だと思ってる
 
54.受の良い所は?
 
まっすぐであかるくて馬鹿なところ
 
55.悪い所は?
 
猪突猛進のくせに傷つかないふりして馬鹿なところ
 
56.実は受に淡い恋心を?
 
古傷がうずくねー
 
57.受とは何処で知り合いましたか?
 
アンがこの船に乗り込んできたとき
 
58.初対面の受の印象は?
 
据わった目ぇしてやがる
 
59.今受と友人で良かったと思うことは?
 
あんなに可愛い妹ほかにいねぇよ
 
60.逆に受と友人で後悔した事
 
妹じゃなかったらもしかして、とかは考えない
 
61.貴方と受との友人としてのお付き合い暦は?
 
アンが白ひげを背負ってからだな
 
62.攻といる時の受は貴方の目にどう映っていますか?
 
マルコだいすき!のオーラがアンの体のいたるところから出てる
 
63.受のノロケってどんなの?
 
マルコについて機関銃の乱れ撃ちトーク
 
64.攻と喧嘩した時の受の様子は貴方の目にどう映っていますか?
 
捨てられた子犬
または餌をもらえない子猫
 
65.貴方以外の周りの人間は受の事をどう思ってるんでしょう?
 
二番隊隊員たちぁ宗教作っちまいそうなほど陶酔してやがるし、ほかのおっさんたちはまぁ、可愛がってるな
 
66.バカップル攻について…貴方はどう思っていますか?
 
家族で仲間でときどきむかつくこというやつ
 
67.攻の属性を客観的に分析してみてください
 
冷製スープみたい
 
68.バカップルになる前攻と貴方はどんな関係でした?
 
ん?かわんねぇよ?
 
69.攻の良い所は?
 
なんだかんだいってあいつ面倒見いいからなぁ。基本放任だけど。
 
70.悪い所は?
 
おれを足蹴にしすぎ!
 
71.実は攻に淡い恋心を?
 
・・・え、ちょ、まっ・・・ぞわぁっ!
 
72.攻とは何処で知り合いましたか?
 
おれがオヤジの船に乗った時
 
73.初対面の攻の印象は?
 
ちびのくせにつんけんしてた
 
74.今攻と友人で良かったと思うことは?
 
今更言うような関係じゃねぇよ
 
75.逆に攻と友人で後悔した事
 
ねぇ
 
76.貴方と攻との友人としてのお付き合い暦は?
 
ガキん頃から
 
77.受といる時の攻は貴方の目にどう映っていますか?
 
冷めてるように見えっけど、アンでいっぱいになってるぜ
 
78.攻のノロケってどんなの?
 
アンの出来の悪さを語る
 
79.受と喧嘩した時の攻の様子は貴方の目にどう映っていますか?
 
超不機嫌。もうほんとやめて・・・
 
80.貴方以外の周りの人間は攻の事をどう思ってるんでしょう?
 
冷静沈着で頼りになると思ってんじゃね。
実際そうだけどさぁ…
 
81.彼らがカップルでよかった事は?
 
アンが幸せそうだからそんでいい
 
82.逆に悪かった事
 
ねぇよ。これからも
 
83.苦労した事は?
 
今まで言ってきたことでわかるだろ?オレの苦労を
 
84.貴方がこれからもバカップル達にしてあげようと思う事は?
 
飯なら任せろ!愚痴は海にでも垂れ流せ
 
85.逆にこいつ等にしてもらってもバチ当らねぇだろうと思う事
 
おれをいたわって・・・
 
86.彼らとの友情は永遠ですか?
 
おれっち永遠とかよくわかんねぇけどよ。
生きてるうちがそれだっつーなら、そうなんじゃね
 
87.自分も恋人が出来たら彼らに負けないバカップルになってやろうと思ってる?(もしくは恋人がいてバカップルだ)
 
・・・はは
 
88.世界が彼らを祝福しなくても自分は祝福してあげようと思う
 
祝福なんてされなくてもあいつら関係ねぇだろうけどよ。
まぁおれはするよ
 
89.誰がなんと言おうと彼らの味方であるつもりだ
 
おう
 
90.後10問です頑張っていきましょう!!
 
はいよー!
 
91.当てられると解っているのにバカップル達が悩んでいると手を差し伸べてしまう?
 
苦笑が似合う男サッチですから
 
92.お優しいのですね…そんな貴方に「苦労人」の称号を授けましょう
 
すっげぇいらねぇ!
 
93.何だかんだいって自分はお人よしなのかもしれない?
 
なんだかんだ言わなくてもそうだろうな
 
94.多分奴らはそこに付け入ってるんですよ?
 
マルコはわかってるだろうけどアンはそこまで頭回ってねぇだろうなぁ・・・
 
95.これからも当てられまくりの人生決定だと思う?
 
あいつらがいる限りな
 
96.とんでもないバカップルさんたちですが結局は迷惑掛けられても許してしまう
 
アンに笑顔でありがとう!とか言われたらもうどうでもいい
 
97.貴方にとってバカップルとは?
 
本人たちイチャついてるとか微塵も思ってないだろう奴ら。
マルコとアンだな
 
98.バカップル攻に一言
 
泣かすなよ馬鹿マルコ!
でも泣かされたらおれのとここいよ
 
99.バカップル受に一言
 
泣かされたら兄ちゃんがマルコぶん殴ってやるからなー
 
100.この質問の感想を一言
 
おれを痛めつける質問の数々どうもありがとよ!
 
 

拍手[4回]



◆マルコがヤンデレ


もちろんアンちゃんに病んでる。
 
 
海賊設定でも現代パロでもいいな。
私的公式のマルアンは、マル→(→)←←←←アンだけど、
病みマルコ×アンは、マル→→→→→→→→→→アン。
 
 
海賊設定だったらやりにくいので、やっぱ現パロで。
 
 
コンビニでも居酒屋でも、バイト少女のアンちゃんにマルコが一目ぼれ。
っていうか直感で「こいつオレの」と勝手に決める。
 
そして鮮やかな手つきでアンちゃんに近づく。
 
 
サッチと飲みに行った居酒屋でアンちゃんがバイトしてたことにしよう。笑
マルコが心中でアンちゃんに所有宣言してるともしらず、サッチはバイト中の可愛いアンちゃんにちょっかいかける。
愛想いいアンちゃんは面白いおっさん二人組と仲良くなる。
 
 
「アンちゃーんこっちきてオレの酌してくれよ」
 
「残念、うち居酒屋だもん。女の子欲しいならそういう店行ってよね」
 
「じゃぁ一緒に飲みに行こうぜ!バイトいつ終わるの?」
 
 
ってサッチがいい具合にアンちゃんを誘ってくれる。
マルコは興味ないふりして、心中よくやったとサッチを誉めてる。
 
 
 
で、その日は普通に飲みに行って3人で馬鹿話して、気が合って、楽しくなっちゃって、普通に別れる。
 
 
 
 
 
 
 
 
んでもしばらくしたら次はマルコが一人で店来て、アンちゃんと約束つけちゃう。
アンちゃんは特にマルコに対して何の気もない。
 
普通におしゃべりしてさよならーみたいな二人飲みが数回続く。
 
 
でもそれから、アンちゃんが店終わって裏口から出るとマルコが待ってるようになる。
 
 
 
 
・・・怖ァッ!
 
 
 
 
 
 
「・・・どしたの?」
 
「遅かったねい、待ってたよい」
 
「・・・今日約束してたっけ、」
 
「オレらが理由もなく会うのは駄目かい?」
 
「・・・んなことないけど」
 
 
 
って感じで危機感薄いアンちゃんは気づかない色々。
 
 
 
 
 
 
んでもそれが数回続いてさすがにちょっとコイツヤバイて気づいたアンちゃんは、
マルコにもサッチにも言わずバイト変える。
 
 
 
 
 
 
で、新しいバイトの帰り道。
(なんかホラーみたいになってきた)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「アン」
 
「・・・っ!・・・マ、ルコ」
 
「バイト変わるのも教えてくれねぇとかさすがに酷ェよい」
 
「・・・、何の用・・・?」
 
「前も言っただろい。理由が必要かい?会いたかったんだよい」
 
「・・・」
 
「携帯の番号も変わってたが・・・最近会えなかったから連絡できなかっただけだよな?」
 
「・・・」
 
「今日はどこ行こうかねい、前アンが好きだって言ってた、」
 
「っマルコ!あ、あたしもう帰る・・・!」
 
「あぁ、疲れてるのかい。じゃぁうち来いよい。そこに車が」
 
「いい!うち帰る!!・・・っ!」
 
「帰さねぇよい。新しいバイト先見つけるのも一苦労だったんだ。今度こそ会えなくなったら困るだろい・・・?」
 
「っ、離して・・・!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アンちゃんお持ち帰りされまして。
 
 
マルコの住む(高級)マンションの一部屋に隔離されたりして。
親はもちろん親戚保護者その他のいないアンちゃんひとり社会から消えても気づかれなくて。
アンちゃん暴れて家具壊したりして。
怪我したらマルコがちょっと怒りながら手当してくれる。
 
 
 
 
「アンにはオレがいればいいだろい?オレはアンがいればそれでいい」
 
 

拍手[9回]

*アンちゃんの性格が常と若干(結構)違うので注意













それは突然のことだった。
なんてことはない、穏やかな日。
洗濯当番が回ってきた二番隊一同は、精を出して洗濯干しに勤しんでいた。
アンはその役職上洗濯なんぞする必要はないのだが(二番隊隊員は喜んでアンの服でもなんでも洗う)、男ばかりのその中にひとり小さな身体を投じて、談笑しながら大きなシーツを引き伸ばしていた。
 
 
「あ、アン隊長、そろそろあいつら帰ってくんじゃないっすか?」
「ああ、ロールズたち?そうだなぁ、島の偵察行ってからもう二週間かー。帰ってきたら宴かな!」
「はっ、あんたはいっつもそればっかだなぁ」
 
その言葉にむぅと頬を膨らませつつも、顔はゆるりと緩む。
その隊の中で、というかこの船の中で最年少でありながらもアンにとって自隊の隊員は愛しい。
久しぶりだし、早く会いたいなあという気持ちが顔を綻ばせていた。



 
ふと、甲板前方でサッチとマルコというおなじみの2人が目に入る。
いつもはじゃれあっている2人だが、今日は真面目な顔付きで書類を睨み合っていた。
 
(…物騒な顔。こんな天気に)
 
そんなことを考えばさりとシーツを紐にかけたとき、ひょいとマルコが顔を上げた。
当然ぱちりと絡む視線。
 
(あ、)
 
気づいたアンがにかりと笑うと、マルコはしばし固まり、逆に少し顔をしかめた。
しかしそんなマルコをサッチが緩んだ顔で突く。
何か言っているがアンのところまで声は届かないが、マルコの裏拳が飛んだことでろくでもないのはよくわかった。
 
 
 
 






 
 
 
 
 
「オヤジーーーー!!!」
 
 
突如響いた怒号に近い叫びと、小舟を動かすモーター音。
全クルーの視線がそちらに向いた。
 
偵察に行っていた二番隊クルーだ。
 
 
「あっ!シェイエス!おかえり!!」
 
帰ってきた隊員を見つけ満面の笑みでアンは船縁に駆け寄った。
しかしモビーにあがってきた男の顔は血の気が引き蒼白で。
 
 
「シェイ…」
「ロールズがやられた」
 
 
色を失った唇が確かにそう動いた。
一変した空気に、マルコとサッチがすかさず歩み寄ってくる。
 
 
「説明しろ」
「し、島からの帰り、名も知らない海賊とはちあわせて…特に戦う気もなかったから放っといたんすけど」
 
 
 
そこまではよかった。
どうせ中堅海賊である、白ひげが相手にする程の奴等でもない。
だがこともあろうか、奴らは小型船のジョリーロジャーに手を出した。
もちろん逆上した二番隊隊員は応戦し、命知らずだった相手海賊は苦戦を強いられた。
白ひげ海賊団の明らかな優勢。
 
だが面倒な事だと、いつものことだと、高をくくったのが悪かった。
安心したその隙に突如鳴り響く発砲音。
息も絶え絶えな敵が転がっていた銃を手に取り発砲した。
弾丸はロールズを貫き、不測のことに膝を折った彼に無数の刀が突き刺さった。
すぐさま他の隊員が敵に反撃をしかけようとしたものの、敵は沈みかけた船から小型船で脱出し逃げた。
追いかけようかとも考えたが、それよりもロールズの受けた傷は深く、血液はとめどなく溢れる。
この海の真ん中で医術も持たない男ばかりでは知識を寄せ集めた応急処置しかできない。
島に戻るより我が家にと、偵察組は急いで帰路に着いたのだという。
 
 
他のクルーに運び込まれて来たロールズは出血過多により色を失い、当然意識もない。
微かに揺れる胸がかろうじて命があることを示していた。
 
 
「医療班は今すぐこいつの処置をしろい。8、9番隊は島に行ってその海賊とっ捕まえてきやがれ」
 
地を這うような低い声に重なって、男たちの叫びが響く。
 
 
「オレの息子に手ェ出すったァいい度胸じゃあねぇか」
 
 
騒ぎを聞きつけた白ひげが甲板に姿を見せるとそこはより一層熱気を増した。
仲間が傷付いた怒りと、これからくるであろう戦いに対する興奮。
 
 
「…すんません、隊長。オレらがいながら…」
 
 
シェイエスが顔を歪めてそう告げると、アンはぐっと俯き首を振った。
先程目に入ったロールズの姿が目から離れない。
何度も見た。
人は死ぬとき、ああいう冷たい空気を纏う。
 
 
「おつかれさん、お前らは島の報告纏めてオヤジんとこ行け」
 
サッチが肩を叩くと、シェイエスはあからさまにほっと息を吐き頷いた。


「おいその海賊とっ捕まえたらここまで引っ張ってこいよい、殺すな」


マルコの言葉に、据わった目で数人が頷いた。
 
 
 
 
 
 



 
 
「待って」
 
ミニモビーに乗り込む支度をしていたクルーたちだったが、アンが静かに放った声が甲板の騒音を吸い込んだ。
 
 
 
 



 
 
 
 
 
「あたしが行く」
 
 
 
 
マルコを見据え、きっぱりと言い放った。
マルコはぶれることのないアンの瞳を見返して、溜息を抑え込む代わりにはねのけるような言葉を放った。 
 
 
「駄目だお前は残れ」
 
 
 
カッとアンの眼の色が変わった。
知らずのうちに、サッチからは深いため息が漏れる。
 
 
アンは人の死を嫌う。
勿論戦いとなれば敵は殺すしなにより本人が放つ炎は地獄の業火だ。
しかし今のような身近な死を何よりも嫌い、恐れた。
 
 
一度それでマルコはアンを叱った。
それでは守れない、犠牲を恐れた海賊が何処にいると。
 
 
 
 
 
「あたしがケリつける」
 「今のお前に冷静な戦いができるかよい。今は他の奴に任せろ」
 「あたしの隊員だ!!」
 
 
 
ごうっと大気が燃え、アンの肩からは炎があがる。
 

「その前にうちの仲間だい。てめぇのコントロールもできねぇくせに一人で行って何するつもりだよい」
 「あたしが殺ってくるって言ってんだよ!」
 「だからそんな煮えたぎった頭で何が考えられる。過信すんな」
 
 
じりじりと上がる炎に辺りの酸素が奪われ、取り巻いていたクルー達は思わず後ずさる。
サッチでさえ、ここにいちゃあリーゼントの危機、とばかりに2人から間を取った。
 
 
赤い熱がマルコの身体まで伸びたそのとき、それを打ち消すかのようにマルコの身体は青を纏う。
 
 

 
 
2人から垂れ流される覇気が甲板を包んだ。
 
 



 
突如、とんとアンが船縁に飛びのった。
 
 
「…行ってくるから」
 
 
次の瞬間にアンの身体は海へと消えた。
その足元には偵察組が使った小型船。
自らの熱を動力源に変えると、アンは瞬く間に海を水蒸気に変えて舟を走らせた。
 
 
 
 

 
 
 
 




 
「…こっえ~…」
 
しゅう、と音を立てておさまったマルコの青の炎を遠くに見やり、呼吸を忘れていたクルーたちはやっとのことで息をする。
 
ははっとサッチからは乾いた笑いが漏れた。
 
 
(…ちょっとやばいかも…なんて、)
 
 
アンが走り去った水面を見遣るマルコの顔は、これでもかと言う程渋かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
「アンが帰ってきたぜ!!」
 
 
その報告はあれから半日もしないうちに届いた。
 
アンは小船に焦げた男達を積み重ね、ぶすりとしたまま甲板に立った。
報告を受けたマルコは、医務室から甲板へと出た。
アンはこちらに歩いてくるマルコを見つけると、決まり悪そうに顔を背ける。
 
 
 
「言ってた通り殺してない。…だからあたしひとりでもい、」
 
 
 
ばちん、と弾けた音が再び甲板の騒音をさらっていった。
よろりと後ろによろめいたアンは事態の成り行きに頭が追いつかず、ぱちくりと目の前の顔を見つめた。
いつも通り細い目に、いつも通り固く結ばれた口元。
その目にはなんの感情もないようで、アンの体温を一気に奪った。
 
 
 
 
「部屋に戻れ。謹慎だ」
 
 
 
辺りに立ち尽くす二番隊クルーは目を剥き、オロオロと成り行きを見つめていた。
だが隊長たちは黙って目を逸らす。
サッチでさえ、口元を引き締めたまま何も言わなかった。
 
  
「聞こえなかったかい。部屋に行け」
 
 
じんわりと、叩かれた頬からいつもとは種類の違う熱が広がる。
心配げに自分を見つめるクルーの視線とアンを串刺しにする冷たい視線に、羞恥でカッと赤くなった。
逃げたわけじゃない、と後から言い訳を考えなければならないほど、その時は体の動くままに船室へ駈け込んでいた。 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 

 
 
 
 


 
ふらりふらりと覚束ない足取りで廊下を歩いた。
そこの窓から覗いた空は既に闇が落ちていて、ああもう夜かとなんとなく気分が沈んだ。
 
二番隊なら誰かが来るかもしれないという期待は見事に裏切られ、部屋に篭ったときから一切誰も来なかった。
物音もしなかったところを見ると、どうやら部屋の近くにさえ寄ってきていないようだった。


…マルコのお達し、ってやつかな・・・


だが実際は、放っておけと言われた二番隊隊員たちはアンの部屋付近に来ると無性に駆け込みたい衝動に駆られたため、自らを律して(それはもう舌を噛み切るほど)隊長部屋に近づかないようにしているのだった。



ふと右頬に手を遣ると、ピリッとした痛みが伴う。
覇気を纏ったマルコに殴られるのなんて、言ってしまえばしょっちゅうだ。



(・・・わかるかよ、)


あんな顔で殴られるほど悪いことだとは到底思えなかった。











誰もいない廊下を歩き続けてたどり着いたそこは医務室。
きぃと年季のある扉を押しあけると、つんと慣れた匂いが鼻をついた。


「…アン隊長、」


気付いたナースに目的の人物を尋ねると、そっと視線でそこを示してくれた。


長方形のベッドに横たわる大きな体。
自慢の筋肉はぐるぐると痛々しいほどに巻かれた包帯が埋め尽くしていた。
こんがりと焼けた肌は土気色をしていたが、帰ってきた時よりは増血剤のお陰で幾分マシのように思えた。


「全血液の三分の一を失っていたわ。普通なら持たなかったはず・…今夜が峠です」


アンにもわかりやすく説明し、最後はお決まりのセリフで締めた。

そっかと呟き、近くにあった椅子を引き寄せた。




「…ロールズ、」



あんたをやった奴らはあたしが始末したよ。
・・・殺しては、ないけど・・・
・・・あたしがもっと強かったら、もっと頼りがいがあれば、マルコもあたしに行けって言ってくれたのかな…

石膏のように色の悪い手をとると、しっかりと温度が伝わった。
アンはその手に頬を寄せたまま、消毒液の香りが沁みたシーツへと顔を埋めた。

















「隊長、」
「謹慎、っつったんだがねい」
「7時ごろいらっしゃって、そのまま・・・」
「・・・持って帰るよい」












 



ふわっと唐突に意識が浮上した。
目を開けて一番に目に入ったのは見慣れた天井で、朝か?と首をかしげる。
しかし窓から見えた外の景色は暗闇に包まれていて、その黒さが今日の出来事を十分アンに思い出させた。


(・・・あれ、あたし医務室に、)


当然と言えば当然の疑問が湧いた瞬間、ふとドアの向こう側に人の気配を感じた。
それはもうすでにアンの体に馴染みつつある気配だったが、今日ばかりはその気配に体が強張る。
気配を隠そうともしないところを見ると、アンが起きるのを待っていたのだろう。
謹慎を告げた手前、部屋の外で。








「・・・起きたかよい」




向こうもアンが起きた気配を感じ取ったのだろう。低く落ち着いた声が届いた。





「・・・なに」
「頭冷えたかい」
「・・・別にあたしは、」
「熱くなってないって言うのかい」
「・・・」
「それじゃまだしばらくここからは出られねぇよい」




ぐ、と言葉に詰まると扉越しの気配も口をつぐんだ。


「…ロールズ、は」
「あぁ、峠は越えたってよい」


扉越しのマルコにも伝わるほど、アンは大きく息をついた。
 


「なぁアン」



呼びかけられても返事をせずにベッドに腰掛け床を睨みつけていれば、一度オレと手合せしねぇかい、と一風変わらず穏やかな声が聞こえたことによってアンは目を丸くして扉を見つめた。















「…能力、使ってもいいの」
「好きにすりゃあいい」


アンはふんっとマルコから顔を背けた。
選ぶ権利を渡すのはずるい、と思う。
マルコが能力を使わないとわかりきっているから、好きにしろと言われたらアンもそれに倣うほかない。

星の少ない夜だった。
見張りが見張り台から心配げに視線を送る。
誰もいない甲板はうら寂しく、二人の人間がそこにいても寂しいままだった。



今日はわからないことだらけだ、とアンはブーツを甲板にぶつけながら思う。
まだわからないのかとマルコに呆れられたところでわからないものはわからないし、ましてやなぜこんな夜更けに1,2番隊長が手合せしなければならないのかもわからないままだ。

ただ、甲板の中央で対峙したその時にはすべて忘れた。
マルコが動かないので、アンから飛びかかった。











振り上げた足は空を切り、力いっぱい床を叩いた。
代わりに背後から鋭い振動が伝わり、マルコの脚がアンの首をかすめるその瞬間に寸でのところで跳んで避ける。
そしてその着地をバネにして今度は腰あたりをめがけて重たいブーツを振りかざすがまた手応えはなかった。
かわりに頭のてっぺんに抑えつけられるような重みが一瞬だけ乗る。
アンの頭を中継して後ろへ翻ったマルコは、キッと振り返ったアンの目を見てこっそり苦笑した。

再びブーツが重く床を鳴らしてアンの体が飛び上がった。


「相変わらず正面からしか来ねぇのかよい」


呆れを浮かべた顔で攻撃をかわす。
振り返ったアンはうるせぇと悪態づいた。


「蹴りが遅い。そのブーツ、重たすぎんじゃねぇのかい」
「そんなわけっ、あるかっ」



言葉と同時に振り下ろされた踵を手のひらで受け止めて背後へ弾き飛ばす。
だがアンは弾き飛ばされるよりも早く自分から飛び退き、船室の壁をバネにして再び跳んだ。


「だからお前は馬鹿だってんだよい」



一瞬だった。
振り上げたこぶしを手のひらで叩き落とされたその瞬間肩と首を掴まれ、拙いと思ったその時には床へ叩きつけられていた。
かはっと肺から意図せずして呼気がせりあがる。



「まっすぐで、黒白はっきりつけたいおめぇのタチはいいことだよい」


アンが身をよじっても解放される気配は微塵もない。
身動きの取れないイラつきをぶつけるように、目の前の顔を目いっぱい睨みつけた。



「だがそれに馬鹿が足されると、愚直ってんだい」
「…クソッ」
「勝てると思ったかい、本気でオレに勝てると」
「うるさいっ…」
「力が及ばねぇのはわかってたよな。だがお前は途中でそれを忘れた」
「ちがうっ」
「挑発されて、正面切ってばっかなことを指摘すりゃあ絶対正面譲らねぇし、蹴りが遅いと言やあ蹴りしかださねぇ。挙句の果てに『馬鹿』の一言で顔面にこぶし振り上げてこのザマだ。ひねくれもいいとこだよい」
 


アンは息を詰め、夜目でもわかるほど顔を赤くした。
アンの手が、首を押さえつけるマルコの手首をつかむ。
爪が食い込んでもマルコは平然とその姿を見下ろしていた。


「どれだけ強くても周りが見えなくなるのは致命的だよい」

















あのとき、隊員の負傷に動揺したのはアンだけではない。
同行していた隊員たちも、船にいた隊員たちも、自分が一番に駆けつけて敵を沈めてやりたいと誰もが思った。
しかし命令が下らない限り勝手な行動はできない、それはアンにとっても同じことである。
それならアンは二番隊のトップに立つものとしてその場を取り持つべきだった。
それをアンは我先にと一人船を飛び出した、そのことをマルコは言っているのだとアンはようやく理解した。



アンの目が不意に静まったからか、マルコはその手の力を緩めた。
感情のこもらなかった細い目の向こうに柔らかい光が灯る。


「お前が弱いから一人じゃ無理だとか、ましてや女だからだなんてこれっぽっちも思っちゃいねェよい」



アンの意地も矜持も理解しているからこそアンの気持ちはわかる。
わかるなんて言うとまたアンは怒るだろうからマルコは口にしないが、それでもマルコがわかっていることをアンにもわかってほしい。





マルコはアンの上から退くと、腰に手を当てて伸びをした。
オヤジくさい格好だと思いながらアンは上体を起こす。

言われるまでもなく、マルコに押さえつけられた瞬間から自分の非力さなんてわかっている。
叩きつけられた背中がひりひりと痛むのと同時にそれが身に染みた。

マルコは背を向けたまま言った。



「お前があの時一人で突っ込んで行って、もし帰ってこなかったら、オレはどうすりゃいいんだよい」



アンが息をのむ。
それと同時にマルコは振り返った。
小さく笑みを浮かべたマルコは哀しいほどに、もう二度と勘弁だとアンが思うほど、淋しい顔をしていた。



(ああマルコは、ずっとずっと、それが言いたかったの)



「…ごめん」


きまり悪さよりもその顔を見ていたくなくてアンが俯くと、静かに歩み寄ってきたマルコの手が何かを塗りこむようにゆっくりとアンの頭を撫でた。
逆の手が、まだ少し赤みの差す頬へと伸びた。
そして詫びる代わりにそこをやさしく包む。



「あんまりオヤジを心配させんじゃねェよい」
「…それってまんまオヤジのこと?それともマルコのこと、」
「アホウ、誰がオヤジだ」


オレらのオヤジのことに決まってんだろバカタレ、と赤くなった方と逆の頬がつねられる。
頬も背中もまだひりひりと痛むのに、小さな胸の中はとてもくすぐったかった。








いたいはやさしい



 

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スプーンに盛られた一口分が、パクリと口の中に消える。
うもうもと頬が上下して、喉が少し動く。
そんな咀嚼を一つするたびに、アンはスプーンを握るこぶしをテーブルにつけては悩ましげなため息をついた。


「何アン、今日は勢いのらねぇな」


アンの斜向かいで、イゾウが湯呑に口をつけたままアンに問う。
んー、と肯定ともつかない声を発して、アンは再び皿の中身を口へと運んだ。


「腹減ってねェのかよい」
「そういうわけでも…んー、ないんだけどなー…」
「夏バテかよい」


今日は特に暑ィからねい、と隣でマルコがアイスコーヒーをすすった。



サッチが厨房から三枚の皿を両手に載せてやってくる。
アンのための「おかわり」である。
鼻唄交じりにやってくるその姿を、アンはぼうっとかすむ視界の向こうで捉えた。


「何、アンまだそっち残ってんのか」
「んー、ごめんおいしいんだけどねえ。今日はもういいや」
「まじ?夏バテ?」


サッチも先程のマルコと同じくそうアンに問うと、アンはそうかもと笑うだけで席から腰を上げた。


「あたし先部屋戻るね」
「おー」


ひらりと長椅子を跨いだアンは、とてりとてりと幼時のような足取りで食堂の正面扉へと歩いていく。
どうにも違和感満載なその後ろ姿を眺めていた、隊長たちをはじめとする男たち一同だったが、不意にサッチがおおう?と頓狂な声を上げたことで視線を集めた。


「なんかここ、焦げてね?」


そういって手を伸ばす先の長いす、今先程アンが座っていた部分が丸く黒い跡を残している。
そして空になった大皿が数枚積まれたテーブルにも、ところどころ黒くくすぶった跡が。
まさかと合点の行った男たちがその火種に目をやったその瞬間、およ?と呟いたアンの歩みが止まった。
かと思えば左右にふらふら揺れ出して、終いにはその細い体が一枚の薄い紙切れとなったかのように崩れた。


その一連の映像に目をひん剥いた男たち全員が、アンを受け止めるべく一歩を踏み出す。
しかしアンの膝が床につくよりも早く、その体は風を切った男の腕によってとさりと受け止められた。
じゅうっと皮膚の焼ける痛々しい音が近辺に響く。
しかしマルコはそのまま顔色一つ変えることなく、両腕を青い翼へと変化させた。

全身を不死の羽毛で包まれたアンは、力なく腕を垂れて目を閉じている。



「ナースを呼べ、あとオヤジに報告。コックどもは療養の準備だよい。…さっさと動け!」



その一声で、男たちは弾かれたように動き出した。

















「道理でやたらとあの席暑ィと思ったよ」


ナースたちへの指示説明を終えたマルコに、袂へ手を収めたままのイゾウが声をかけた。
マルコはその声の主を振り返ることもなく、手中の書類の文字に斜線をかける。


「アンがやられんだ、ただの菌じゃねぇかもな」
「わかってるよい」
「んじゃあいつは隔離か」
「ああ」


きゅ、とマルコのペン先が紙の上で止まった。
イゾウは視線をそこに留めたまま煙管を取り出す。
紙の上のペン先は、一度大きくたわんだかと思えば次の瞬間に弾け飛んだ。

まるでそれを予期していたかのように、イゾウは静かな顔で自分のほうへ飛んできたペン先を顔を背けて避けた。



「今日唐突にだったんだ、気づけるわきゃねぇ」
「朝からアイツはおかしかった」
「だからって自分責めて腹ぁ立ててりゃ世話ねぇな」


マルコは先のないペンを握りしめたまま押し黙った。

いつもの元気や勢いが人並み外れているアンだからこそ、気づくべきだった。
マルコがそう言いたいのはイゾウにだってわかる。
自分だってそうだからだ。
一概にマルコにだけ言えることではないと、誰もが思っている。
だがマルコがことアンに関してはひときわ高くプライドに似た責任感を持っていることも、知っている。
それは恋人に対するものというより、親から子へのそれに近い。



「アンは、自分の部屋か」
「…いや、原因がわかるまでは医務室に近い空き部屋を無菌に近づけて隔離だよい」



船の中で流行り、感染る病ほど怖いものはない。
時にはそれがまるっと一つの海賊団を飲み込んでしまうことさえある。
そういう危険因子をまき散らさないためにも、一人無菌室で隔離されたアンの姿を思い浮かべ、マルコとイゾウはどちらともなく苦い顔を見せたのだった。















その日の夜、浮かない顔がそろいにそろった食堂からマルコは一足早く立ち去った。
階段を下り二つ角を曲がれば目的の部屋がある。
ノックしようと右手を持ち上げたものの迷い、結局そのままドアノブに手を掛けた。


「マルコ隊長?」


不意に現れた高い声に、マルコは無意識のうちに素早くノブから手を離した。

声の主を振り返れば、束となったカルテと思われる書類を手にした一人のナース。
古株の一人だ。


「ここにいたんですね」
「ああ…悪い、無菌ってのぁわかってたんだが」


やっぱ入っちゃまずいのかよい、ときまり悪そうに頭を掻くマルコに、ナースは思わず笑ってしまった。


「今、そのことについてまず隊長に話そうと思って食堂まで行ってたんですけど。
入れ違いになっちゃったみたいですね」


くすくすと上品に肩を揺らすナースをぽかんと眺めていれば、ナースは目元に笑い皺を作ったまま、


「アン隊長、大丈夫ですよ。溶連菌感染症、ってわかります?」
「溶連菌?」
「えぇ、一昨日上陸した島で貰ってきたんでしょうね、もしかしたらほかに症状のある人が出るかもしれないです。
でも幸いアン隊長はもともと専用の食器使っておられますし、そう広がることはないかと」


アンの食器は、特注特大サイズ。ブレンハイムと同じものだ。
そういうことを得意とするクルーの手によって鮮やかに絵付けされている。


「ああ…そうかい、じゃあ隊員たちに報告」
「アン隊長の容体と今後の体制、クルーたちへの消毒の義務付けは全部報告してきましたから」


どうぞごゆっくり、と意味深な笑みを見せて、ナースはマルコが用のある部屋の隣、ナースたちの部屋の扉に手を掛けた。


「おい、感染症なんだろい。入ったらいけねぇんじゃねェのかよい」
「もちろん出るときは消毒、してくださいね。それに隊長は大丈夫でしょう?
不死鳥だもの」


消毒液は部屋の中ですからと言い残し、今度こそナースは隣室に消えた。
楽しげだったことがいささか気になる。



「オレをなんだと思ってんだい」


とりあえず誰も聞くことのない呟きを漏らして、マルコは再びドアノブに手を伸ばした。

















熱い額に手をのせると、そこは常人よりは熱いがもう皮膚を焼くほどではない。
思い至って布団の端を捲れば、案の定アンの細い手首は、片手ではあるが海楼石の手錠がはめられていた。

不意にアンが身じろいだ。
うっすらと瞼が持ち上がる。


「起こしたかよい」
「ん…マル、」


こてんとこちらに首を転がして、潤った黒目がマルコを捉えた。
ぼんやりと焦点の合わない瞳は、何を言うでもなく目の前の男を見つめている。
多分何も考えていないのだろう。
マルコも特に何を言うでもなく、見つめられるがままその瞳を見返していた。


「…手…」


不意にアンが自身の右手を持ち上げた。
ぱさりと布団から腕が現れ、くすんだ紺色のような金属がジャラリと鳴った。


「熱がすげぇからよい、能力が制御で来てねェ。気分悪ぃだろうが我慢しろよい」
「…やだあ…」


眉を眇め、取ってくれとでもいうようにベッドの横の木の椅子に腰を下ろしたマルコの眼前でふらりふらりと手首を振る。
我慢しろ、とマルコはその腕を布団の中に戻した。



「…あたし…びょうき…」
「溶連菌感染症だとよい」
「よーれん…」
「そうたいしたもんでもねぇ、夏風邪だと思え」


なつかぜ…と呟いたアンは、視線を天井へと戻した。


「夏風邪はなんとかがひくって言うが、その通りだよい」
「…るさい…」


くくっと空気を含んだ笑いを漏らすと、アンは仰向けのまま顔をしかめて見せた。
応える元気があるならまあ大丈夫か、とマルコは汗で額に張り付いた黒髪を払ってやる。



「っと、もう晩飯終わったんだがねい、なんか欲しいもんあるかい。食いたいもんとか」
「…よるごはん…終わったの…」
「言っとくが普通の飯は食えねェよい。消化に悪いからねい」
「…今日ごはんなに」


食えねぇって言ってんだろがと言いつつも今日のメニューを教えてやると、アンは呼気に大きなため息を混ぜて吐き出した。


「…あたしのぶん…とって、」
「また作ってもらやぁいいだろい、しばらくは食えねぇよい。それより今何もいらねぇのかい、なんか食えそうなもん」
「んぅ…」


アンはしばらく考えをめぐらすように目を瞑り、真剣な面持ちで口を閉ざした。
数秒後、再びこてんと首をこかすと口を開いた。


「サッチ…プリン…アイス…」
「はいはい」


言われるまでもなくサッチを筆頭にアンの病人食は作られているのだろうが、ご指名とあればアイツはいくらでも作るだろう。
マルコは、サッチを喜ばせるのは癪だがと思いつつもアンの要望を伝えるべく立ち上がった。


「…マルコ」
「あ?」
「…どって…くる…?」


口より下を布団の中に隠して呟かれたため、言葉はもごもごと聞き取りづらい。
しかしマルコは数秒考えたのちアンの言いたいことを捉え、その額に大きな手を被せた。


「すぐ戻ってくるよい」


口の端に笑みをのせてそう言えば、アンも安心したように赤くなった目元を緩めた。




「…マルコ…」
「まだなんかあんのかよい」
「…プリン…に、生クリーム…」
「はいはい」



どこのお嬢様だかと思いつつ、まあそう変わんねぇかとひとりごちて、マルコは食堂へと赴くためアンの部屋を後にした。
















扉を開けると、今度は眠りが浅かったのかアンはすぐに起きた。
ナースに着せられたのだろう、クリーム色のシャツを着ていた。


「起きられるかい」
「ん・・・へいき…」


よいせと腕を突っ張って上体を起こすアンを、支えるようにして手伝う。
そしてその膝の上に、持ってきた盆を置いてやった。


「おぉ…」


標準サイズのプリンに、ぽってりと生クリーム。
その横に彩られた柑橘類のフルーツ。
そして水分補給のための栄養ドリンクと、薬。

アンは要望通りの食べ物たちに感嘆の声を出したものの、同じく乗せられた粉薬を目に捉えて顔をしかめた。


「くすりぃ…」
「それ食ったら飲めよい」
「こな、やだぁ…粒がいい…」
「ガキくせぇこと言ってねぇでさっさと食え」


しばらくぶすくれていたアンだったが、諦めたのか食欲に負けたのかしぶしぶスプーンを手に取った。

が、掬った量が、いつもより少し少なめと言うだけでどう考えても病人の口のサイズに合わない。
そもそもプリンを2、3口で食べてしまおうというのがおかしい。
それでもアンは小さなスプーンで、生クリームとプリンをごっそり掬った。


「おいおいおいゆっくり食…」
「あ、」


小さなスプーンの上で重力に負けたプリンは、まっさかさまにアンの腹の上に落ちた。
ぺしょっと、無残にも腹の上で潰れている。


「あああああ…」
「言わんこっちゃねェ…」


マルコが慌てて盆の上の布巾に手を伸ばした隙に、アンは腹の上に落ちたプリンを指とスプーンで掬いだした。


「おいそんなん食うんじゃねぇ」
「だってもったいない…」


言ってる傍からアンは腹の上のプリンを掬い、迷いなく口へと運んだ。
その味がお気に召したのか、一人にへっと笑う。


「ったく…おら、手ぇ出せ」


熱が出ると子供返りするというがここまでかと、マルコは半ば辟易しながらアンの指を丁寧に布巾で拭っていく。
シャツの腹部も荒くではあるが拭いてやり、マルコはアンからスプーンを奪い取った。


「ああっ」
「おめぇ手元もおぼつかねぇんじゃねぇかよい」


スプーン返してと真赤な顔でわめくアンをすっきり無視して、マルコはアンのプリンを標準的な一口サイズで掬った。


「ほら」
「えぁっ、」
「口開けよい」


つんつんとプリンをのせたスプーンの先でアンの唇を突いてやる。
食わせてやるっつってんだよいと言うと、アンは発火しそうな勢いでますます顔を赤らめた。


「う、あ、」
「いらねぇなら食っちまうぞ」
「いるっ!」


慌ててあがっと口を開ければ、スプーンとプリンの冷たい感触が口内に触れる。
するりと溶け込んだほどよい甘さに思わず顔を緩ませると、スプーンを握るマルコの頬も心なしかゆるんだようだった。



アンが口の中のものを飲み込んでしばらくすると、再び甘い匂いが口のあたりに持ってこられる。
今度は喚くことなく小さく口を開くと、先と同じようにプリンが滑り込んできた。

その動作を何度も繰り返す。
二人ともが何を話すでもなく、淡々とマルコはプリンを運び、アンはそれを食べていった。




「…おいしかった」
「そりゃよかったよい」
「ありがと」


よいとそっけなく応えたマルコはアンの膝の上から盆を退け、アンの右手に液体の入ったコップ、左手に薬の包みを持たせた。

アンがうえっと顔を歪ませても、マルコはさぁ飲めと言わんばかりの表情でアンを追い詰める。




「…この、さぁ…こなだと、さぁ…コフコフするんだもん…」
「じゃあ明日の薬は粒にしとくよう言っといてやるよい、だが今日はそれを飲め」



いやだ、だめだ、むりだ、むりじゃない、と似たような応酬をいくつも繰り返して数分、アンは諦めたのかぐっとコップを握りしめた。
勢いのまま口の中にばさばさと薬を放り込み、すぐさま水を含む。
ぎゅっと目を瞑った一瞬の動作だった。


「~~っ、オェッ、まずっ、」
「ほらよい」


口直し、とマルコは甘い栄養ドリンクの入った別のコップをアンに手渡す。
アンはすぐさまそれを受け取り喉に流し込んだ。


「はああ~」


アンが目を閉じたまま安堵の息をつくと、ふわりと大きな掌がアンの頭上をかすめた。
しかしアンが目を開けてマルコを見ても、マルコは何を言うでもなく再び食器の乗った盆を手に取る。



「すぐ戻ってくるからよい、ちょっと寝ろ」
「…あ、うん…あ、マルコ仕事は…」
「ここでする、気にすんな」


いいから寝ろと言い残して、マルコの背中は再びドアの向こうに消えた。
アンは火照った頬を押さえて、ぼんやりと木の扉を見つめていた。

















ペン先が紙の上を踊る音と、一定の呼吸音。
ときおり息が詰まったような苦しげな声を出しては寝返りを打つ。
そのたびにマルコはペンを置いてアンの顔を覗き込んだ。



(…暑そうだよい)


いくら額に張り付いた髪を払ってやっても、アンは不快そうに顔をよじる。
ナースに熱が上がっているようだと告げたが、


「夜には熱は上がるものなんです。薬も飲まれたので、しっかり汗かいて眠れば大丈夫ですよ」


と替えの氷枕を手渡されただけだった。



アンの頭を持ち上げ、新しい氷枕を入れてやると気持ち良かったのかすうっとアンの顔が和らいだ。
額と首元に冷えたタオルをあてて汗を拭いてやる。



「ん…きもちい…」
「そうかい」



ぼんやりと目を開けたアンはにへりとその目を細めた。
しかし、ぺたりと自身の首元を触って、うへぇと顔をしかめた。



「べたべた・・・」
「あぁ、風呂ぁ入れねぇからよい。着替えるかい」
「んぅ…脱ぐ…」


もぞりと半身起こしたアンは、窮屈そうにシャツのボタンに手を掛けた。



「ちょっと待て、替えがねぇから持ってきてやるよい」
「いい…もう着ない…」
「アホウ、おい、待てって」


言ってる傍からシャツを脱ぎ捨てたアンは、いつものホルタ―ネック姿で再びシーツの中へと埋もれていく。



「それじゃ治んねぇっつってんだ、ったくなんか着るもん持ってきてやっから」
「いい…」
「よくねェよい」
「…じゃあそれでいい…」



そう言ってアンがつんと引っ張ったのは、マルコが羽織る白いシャツ。
オレに脱げってかと呟くも、アンはシャツの裾を握りしめたままただぼんやりとマルコを見上げている。



「…オレァまだ着替えてねぇからよい、これ一日来てたから汗くさいよい」
「いい…」
「オレのがいいなら別の持ってきてやるから」
「いらない…」
「…あのなぁ、」



それがいい、と握りしめたシャツをそのままに目を閉じたアンを前にして、マルコは閉口する。
熱も酒もタチが悪いことには変わりねぇな、と自身のシャツを脱ぎ取った。



「ほらよい、体起こせ」


ずるずると這い上がってきた上体をしっかり立たせて、ばさりと幾回りも大きなサイズのシャツを羽織らせる。
上から下まできっちりボタンをしめてやり、長すぎる袖を幾重にも曲げて指先を出してやる。
アンはされるがまま、首を上げたり手を伸ばしたりしつつ、頭をふらふら揺らしていた。




「ほい完成」


さあ寝ろ、と額を小突くとアンの身体はあっけなく陥落した。
もぞもぞとシーツの皺と皺の間に埋れて行くアンを眺めながら、マルコはいつのまにか肌を伝っていた嫌な汗を拭った。

きっちり上まで閉められたシャツの襟元に顔をうずめるようにして、アンはすんすんと鼻を鳴らす。
マルコは思わずやめてくれと言いたくなったが、アンが満足げな顔ですうと眠りに落ちたのでマルコの肩からも力が抜けた。

 


(…こりゃあ敵襲でもあったほうがマシだよい)

 

全身を襲う疲労感を持て余して、はあとため息と共に首筋をさする。
しわくちゃになった掛け布団でアンの身体を覆い、この厄介娘がと軽く額に手のひらをこすりつけた。

 

「…ルコ、」
「あ?」

 

いつもなら一度寝れば生半可な刺激では起きないアンが目を覚ましたことに半ば驚きつつ声を返す。
しかし当の本人は目を閉じたまま。
うわ言かと背を向ければ、再び囁かれる自分の名前。

 

「…なんだよい、さっさと寝ろって」
「…きょうの、マルコ…なんか、へんだ…」


未だ目は閉ざしたまま、しかし今度ははっきりとそう呟いた。
アンを覗き込むように腰を屈めていたマルコはその言葉に軽く目を見張ってから、吐息を吐き出すついでにベッドの傍の椅子に腰を下ろした。


「変って、なにが」
「…マルコが、やさし…」


オレはいつも優しいだろうがと憤然と返せば、少しの後嘘だあと返ってきた。
こんな状態で普通に会話が続いていることが不思議で仕方ない。



「…でも、だめだねえ…」
「なにが」
「…こんなふうに…マルコがやさしいと、病気も、いいなって…」



びょうきしたことなかったけどこんないいものだとおもわなかったよ。
そう言ったかと思えば、今度こそ寝たのだろう、ことんと首が傾いて規則正しい寝息が続いた。

 

「…バカタレ」


ぺんと額をはたくつもりで手を伸ばしたものの、すぐに迷ってその手は頬に伸びた。
不謹慎な言葉への制裁の代わりに額へは唇が落ちた。

 

ああも騒々しいアンの声がこうも懐かしくなるなんて。
こっちこそ心労で死にそうだと、大きくついた溜息は途中で笑いに飲み込まれた。



 


あの喧騒に早く会いたい


 

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