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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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「マールコー、マァーールーー」
 
「…うるせぇ…」
 
 
 
険しい顔つきで扉を開ければ、にかりと歯を見せて笑う小娘一匹。
胸の前で組まれた両腕の中には、数枚の紙切れとノートパソコンが抱かれていた。
 
 
 
「パソコン教えて」
 
「…あぁ?」
 
 
 
 
とりあえずと部屋にあげれば、会社から頼まれた仕事を持ち帰ってきたらしいのだが、いざやろうとしたらてんでわからないのだという。
 
 
 
「…お前いままでよく仕事してきたな」
 
「会社は教えてくれる人いるもん」
 
 
小さな会社で、同じ部署の上司50、40代の男三人女一人の中に放り込まれた。
荒波に揉まれるのかと思いきや、ほんわかした中年たちに囲まれて可愛がられるはめになった。
 
 
 
「『手が空かない』って困ってたからさ、張り切ってやってきます!とか言ったんだけどさ、」
 
 
やっぱわかりませんでしたーとかできないじゃん、とこれも笑顔付きで言われてしまえば、マルコは文句やその他諸々の小言よりさきに溜息が漏れ出してしまう。
格好つけた体裁を守ることはきっちり考えているのに、隣人に無関係の仕事を教えろと申し出るのは厭わないのかと。
思うところは多々あるが、その全てが口にするのも労力の無駄というもの。
数ヶ月足らずでよくもまぁと目頭を抑えたくなるマルコだが、それもアンだから成せる技だと割り切ってしまう自分も大概だと、こっそり思う。
 
 
 
 
 
「…オレにわかんのかよい」
 
「だいじょうぶだいじょうぶ!」
 
 
 
なにを根拠にと口を開いたマルコだが、会社で充電したからバッテリーたっぷりなんだ!と嬉しそうにパソコンを開くアンの姿を前にして、もうひとつ溜息を吐くと同時にその画面を覗き込んだのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
いつもより多めにカタカタとキーを叩く音が室内に充満している。
マルコは仕事机で、アンが訪ねてきたときに書いていた原稿の続きを、アンはそのうしろ、ローテーブルに置いたパソコンを食い入る様に見つめながら慎重にキーを押していた。
 
原稿にキリが付いたマルコがもう一人の存在を思い出して振り向くと、ノートパソコンの背中とアンの頭上部が見えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「…でき、た…」
 
「おつかれ」
 
 
 
アンが深く息を吐いたと同時に顔の横に差し出されたグラスには、なみなみとベージュ色の液体が注がれていた。
アンが振り返ると、マルコはアンの後ろに備えられたソファに腰を下ろして自身のコーヒーを飲み下していた。
 
 
「…いつからそこにいた?」
 
「お前が最後の資料捲る少し前」
 
「…全然気付かなかった」
 
「すげぇ集中してたよい」
 
 
 
資料とパソコンを適当に片付けて冷えたカフェオレをぐっと喉に通せば、文字ばかりを追ってガチガチに固まっていた頭にすっと芯が通った気がした。
 
 
 
「…もう夜だね」
 
「…腹減った」
 
「…なんかある?」
 
「なんもない」
 
「…」
 
「…」
 
「…あたし今お金あんまりないんだよね」
 
「奇遇だ、オレもだよい」
 
「給料日前だからね」
 
「入稿前だからよい」
 
「…」
 
「…」
 
 
 
マルコが突然、机の上に置いてあった車のキーを掴み立ち上がった。
 
 
 
「出るよい」
 
「え、どこに」
 
「サッチにたかりにいく」
 
 
 
 
 
ためらうことなく上着を羽織り玄関に向かうマルコを慌てて追いかければ、重い扉の向こうでぴんぽーんと気の抜ける電子音が鳴った。
 
 
アンはマルコの脇の下から、マルコとふたり玄関口から右手に顔を覗かせると、アンの部屋の前で首をひねるサッチを発見した。
 
アンとマルコが無言でその姿を見つめているのに気付いたサッチは、顔をこちらに向けておっと声を発した。
 
 
「なんだこっちにいたのかよアンちゃーん。あんまりおっさんの部屋ほいほい入っちゃダメなんだぜ?」
 
「…お前なんでオレんちじゃなくてそっちのインターホン鳴らしたんだよい」
 
「え?アンちゃんと過ぎ去った冬を思い返しながら鍋パーティーしようと思って」
 
 
ガサッと、サッチが持ち上げたビニール袋からは太いネギが覗いていた。
 
 
 
「しゃーねぇなぁ、マルコにばれちまったからお前も仲間に入れてやるよ」
 
 
ほらガスコンロと鍋出せ、とマルコの部屋に乗り込んで材料を取り出すサッチに視線をやってから、アンが隣に並ぶ男の顔を覗き見ると、そこには世に出すべきではないと思わせるほど物騒な顔があって。
 
アンが思わず吹き出せば、後頭部に容赦無い一撃が飛んできた。

 


 

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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