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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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海鳥の声が高く低く聞こえる。
ざんと波が船にぶつかりゆらりゆらりとベッドも揺れた。
現在冬島近くを周遊中で、肌寒い日が続いている。

目が覚めてしまったが、まだ日が昇り初めたばかりだろう、部屋に薄紫の光のすじが差し込んでいた。
自慢じゃないがオレは朝が頗る弱い。もうしばらく惰眠を貪ることにしようと再び瞼を下ろす。
身体が自然とぶるりと震えて掛け布団を肩まで上げ、腕の中にある熱を掻き抱くように胸に寄せた。
鎖骨のした辺りに少し涼しいような風が一定のリズムであたりこそばゆい。
ああでも。


(…あったけぇ…よい、 )


うつらうつらと思考が眠気に引きずられていく中。
ふと気付いた。


オレは何を"抱いている"って?


身体は動かずに、そっと目線だけを下ろした。
ふわりと柔らかな黒が首の辺りにうずくまっている。
神経を辿るように、いま自分が触れているものに力を込めてみる。柔らかい。
んぅ、と胸のあたりから小さな声が聞こえた。


「!!!!!」


手のひらの丸みにすっぽりと収まった柔らかな肌に触れたまま、身体は動かなくなった。
驚きすぎて息ができないというものを初めて経験する。
金魚さながらに口を半開きにした。

オレの右腕はアンの首の下に敷かれ、そのまま包むようにアンの素肌剥き出しの肩に手を添えている。
もう片方の腕はというと、アンの、その、腰あたりに回されていた。


なぜここにアンがいる?

…落ち着け、思い出せ。

昨日は確か13番隊の誰かの誕生日とかいう名目で宴が始まって、オレはサッチやこいつと飲んでいて、またこいつがやたらとくっついてくるもんで欝陶しがってはいたが、それなりに楽しい酒だったはず。

それからどうした?
ああそうだ、オレはやり残した書類を思い出して一足早く部屋に戻った。
アンはサッチとその後も飲んでいたはずだ。
それから、さっさと仕事を終わらしたオレは特に何をすることもなく布団に潜り込んだ…はず。

これほどはっきりと記憶が残っているというのに、アンがここにいる理由になるようなものはかけらも思いだせなかった。
一瞬、オレが連れ込んだというのが掠めないでもなかったが、有り得ない、有り得てたまるかと首を振る。
何よりこの船でも指折りの酒の強さを誇るオレが、酒に呑まれるなんてあるものか。

寝起き早々頭がフル回転する中、はっとして、しかし恐る恐る腕で布団を持ち上げて中を覗いた。


…ああ、よかった。服を着ている。
ここで、その、情事の後でもあったものならオレは精神的に粉になる。
オヤジに合わせる顔もない。


「…ん…」



すり、とアンがオレの胸に頬を寄せた。
おそらくアンはいつもの恰好、すなわち胸元に巻いた布とショートパンツという姿で無防備に惜しげもなく肌をさらして寝転んでいるはずだ。
剥き出しの足がこつんとオレのそれに当たった。


「だあっ!!」


アンの首の下に入っていた腕を持ち上げ、そのままアンを転がした。
その先にベッドはない。
つまりはベッドから落とした。
白い腕の先が視界から下へと消える。


「った!!」

どたんと腹から落ちたアンは驚いたように顔をあげ、オレを見たかと思うとあろうことか、さわやかに笑った。


「あ、おはようマルコ」
「おはようじゃねぇよい!!テメェなんでここにいる!なんでオレのベッドで寝ていた!」
「ん、夜這い?」


耳を疑った。思わず絶句する。



「・・・お前それ、一応聞いておくが、その言葉誰に教わった」
「サッチ!」


聞くまでもなかったと、これほどまでに思ったことはない。
アンはくああとあくびをし、眠たげに眼をこすった。



「あのな、あれからサッチと飲んでて、サッチが『好きなら夜這いくらい一度はしとくもんだ』って言うからさ」


夜這いって何?って聞いたら寝てるところに忍び込んでイイコトしちゃうことだって言うから、と。
悪びれることもなく罪状を告白してくれた。
頭が痛い。


「マルコもう寝てたんだけどさ、特に何すればいいのかサッチに聞き忘れたからふとんにもぐりこんでみたんだ。マルコ起きるかと思ったけどお酒飲んでたからか起きなくてさあ。あたしもあったかくて眠くなってきて」
「・・・で、寝たのかい」
「ううん、だから眠くなってきたからもう部屋戻ろうとしたんだよ。そしたらマルコが抱きしめてきたから」
「!!」
「動けなくて、まあいっかあと思って寝たの」


あたし悪くないよねえ、と笑う。
言うつもりだったあれこれの単語がざあーっと脳の奥底に沈んでいく音を聞いた。
就寝中の自分を踏みつけて燃やして粒子にして海にばらまいてやりたい。


「ああ、そりゃあ、その、悪かったよい。だがな、まず部屋に忍び込んできたお前に問題ありだよい」
「でもサッチが」
「あいつの言うことをこれ以上鵜呑みにするんじゃねぇ」
「? うん?」


わかったのかわかってないのか、おそらく後者だがアンは首をかしげながらも殊勝に頷く。
するとぎゅるりぐるると朝の合図。


「…おなかすいた。朝めし、サッチ起きてるかなあ。マルコ行こ」
「…あいつの飯を今後食うことはねえよい」
「? なんで?」


どゆこと?とオレを見上げるアンにさっさと食堂行って来いと追い払うと、にぱりと笑って駆けて行った。
その後ろ姿を見送って、オレは背中からベッドに倒れ込んだわけだ。


まったく、本当に、まったく!!



 

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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一声いただければ喜んで遊びに行きます。

足りん
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