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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です





もらう、あげる






そのときオレはごろんと体を横倒しにして膝を抱えていた。
顔はふたつの膝の間に収めるというお決まりのポーズ。
あのときオレは何をしていたんだろう。
寝ていたのかもしれないし、ただ目を閉じて真っ暗闇とはどんなものかを考えていたのかもしれない。
もしかすると、泣いていたのかも。

そこへぬっとのばされた小さな手。
初めはふわふわと、オレの癖っ毛を軽く抑えるように。
今度はゆるゆると、髪の毛ごとオレの頭を撫でるおぼつかない手つき。
顔をあげれば、不思議そうに口を半開きにした弟の顔に出会った。


「・・・なんだよ」


低く唸るような声が出たのだけはしっかりと覚えている。
ルフィは一度首をかしげたと思えば、突然寝転ぶオレの上にのしかかってきた。


「うわっ!重てぇ!ルフィどけっ!」


いつもはうるさいルフィが、一言も口を利かなかった。
ただオレの上にうずくまるようにして、かたくかたくオレのタンクトップを握りしめていた。


「・・・なんなんだよ」


溜息といっしょにそう吐き出し、オレは諦めて仰向けに転がった。
ルフィはまだオレの上だ。

…温かい、な。

そう思って、オレは手のひらで両目を強く抑えた。















「おっかえり~!エースくん待ってたよー!」

「うぜぇ!サッチうぜぇ!!」


オレが敵船から、もしくは町から帰ると必ずと言っていいほどオレを抱きしめにきたおっさん。
スキップを軽やかにかましながら駆けよってくるからこれまた気持ち悪い。
サッチは逃げ惑うオレを簡単に捕まえて腕の中に閉じ込めた。この表現は誤解を生むかもしれない。


「1億の船落としたらしいじゃん、オレの弟はよくできるやつだなー!」

「うっぜ!頬ずりすんなよおっさんが!」

「ん~?いいだろこのひげの触り心地が」

「マッマルコ!助け…」


いつもの眠そうな顔でこっちを見ていたマルコに助けを求めると、サッチがにやりと笑った。


「あ~だめだめ、マルコに助け求めたって。だってこいつオレの順番待ちだぜ?」

「はっ?」

「わりぃねい、エース。次はオレだよい」


ほいっというサッチの掛け声とともにマルコに投げ渡されたオレ。
マルコの胸板に鼻をぶつけたところで、サッチほど暑苦しくない締め付けがやってきた。

「ぶわっ!マ、マルコッ!」

「ほんとよくやったよい」

がしがしと後頭部を撫でられる。
後にも先にも、マルコがこんなふうにオレを抱きしめたのも、サッチにノッてやるのを見ることもなかった。
オレを離した時に、慣れねぇな、と照れくさそうに呟いた顔も。



次々とオレの頭の上に乗せられていく大きな手たち。
よくやった、さすがオレの弟だと。
みんな一様に同じようなことを言う。
ひときわ大きな独特の笑い声が船を揺らした。


「よくやったじゃぁねぇか!さすがオレの息子だ!!」


分厚く大きな手のひらがオレを陰に隠す。
反射で一瞬目を閉じれば、頭に落ちてきた衝撃はどこまでも優しいもの。
撫でるというより、頭ごとかき混ぜるかのような乱暴なそれにオレは目をまわして、でもその手のひらの下でこっそり笑うのが好きだった。













甲板で昼寝をしていた時、よく見た夢がある。

夢の中でもオレは寝ていて、でも場所はいつも同じ場所。
見たこともない花が咲く、どこまでも続くような一面の花畑。
甘ったるい匂いがふわりふわりと鼻をくすぐり、その匂いが嫌じゃなかった。

そして次に遠くでオレを呼ぶ声が聞こえてオレは目を覚ます。
突き抜けるような青空の下でオレは声の主を求めて辺りを見渡す。

「オレを呼ぶのは誰だ?」

「…ス、エース」


はっきりと聞こえる声を感じてそちらに首を回せば、遠すぎて小さく見える人影。
なんとなくおおいと手を振れば、見えないはずの顔がしっかりと笑うのがわかる。
身体の感じからして女だと思う。
それに優しい声をしていた。

一瞬強い風が吹いてオレは目を細める。
薄く開いた目の向こうで、その女の長く柔らかそうな髪が横になびいた。

ふわりと包まれるような温かさがオレにまとわりついて、それを合図にオレはいつも目が覚める。
むっくりと甲板から起き上がると、あ、起きた、といくつもの声が聞こえた。














頼りないほど細く骨の出た肩に顔を預けると、胸から落ちた滴がぽたりと地面をたたく。
この世に二人っきりのような錯覚に陥るが、そんなはずはない。
ここにはオレを家族だと馬鹿みたいに繰り返す奴らがたくさんいて、戦っているのだから。

とくとくとくとくとくとく
命を刻む音が聞こえる。それも超速急。
ルフィの奴どんだけ動悸はえぇんだと思うとふっと鼻から息が漏れた。
おっとそんな場合じゃない。
オレには言うべきことがあった。



オレの背中にまわされた手にきゅっと力がこもる。
相変わらずあったかい奴だ。
モビーではオレが人間カイロとして扱われていたが、おれよりこいつのほうが温かいんじゃないだろうか。

ごめんなルフィ。
オレにはもう抱きしめ返す力が、



















花畑だ。あの、夢に出てきた花畑。
おぉ、やっぱ人って死ぬとまず花畑なんだなあ。あれ、川ってのも聞いたことあるな。
まぁ川じゃなくて良かった。川だとオレは溺れてたかもしれねぇからな。2回も死んじまう。


「エース」

「お?」

「…エース」

「誰?あんた」

「ふふっ、…会いたかった」

「あぁオレもだ」



おっと待てよ?なぜオレも会いたかったとか言ってんだ?オレァこの人を知ってるのか?
いやいや知らねぇなぁ。でも待てよ、どっかで会ったっけ…



「おかえり」


ふわりとその人のワンピースの袖がオレの頬を撫で、オレより小さなその人がオレを包んだ。
ほんとに、オレより小せぇのに、なんでこの人はオレの全部を抱き締められるんだ?


「…あんたは優しい声をしてる」

「そう?」

「あぁ、いい声だ」

「あなたもよ、エース」

「お、そうか?そんなこと初めて言われた」

「だってあの人にとてもよく似てるもの」



ふふっと春風のような柔らかい笑い声が首筋を撫でる。
あの人って誰?とかなんでオレの名前知ってんの?とか、いろいろ聞きたいことはあったが、おかえりと言われたら言わなければならない言葉をオレは知っている。
家族が教えてくれた。


「…ただいま」



オレはやっと、人を抱き締めることができた。
 

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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