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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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太い喉にくっついた喉仏がこくりと動いた。

「…何、言ってんだい」


視線を掛け布団に固定したままじっと待つ。とても長い時間だった。
さっきの一言でマルコは全部わかってしまっただろう。
マルコの論理的な頭が今必死で整理をつけているのが感じ取れた。


「へ、へ…笑っちゃう…実は敵の娘でしたー、なんて」


乾いた笑い声は行き着く場所もなく、拡散して消えていった。
マルコはさっきから黙ったまま、じっとあたしの横顔を眺めている。
その視線があたしから「アイツ」の面影を探しているようで、いたたまれなくて口を開いた。


「オ、オヤジは知ってるんだ、言ったから…ほら、でも敵だったんでしょ?やっぱその、殺し合いとかしただろうし…あたしは顔も知らないんだけど、似てる?似てたらやだなぁ、なんて…」


空回りし続ける言葉が紡がれる間もマルコは黙ったままで、ついにあたしの口も閉じてしまった。
ほたり、と手の甲にひとつ水滴が落ちた。

「い、いまさら敵の娘だなんて言え、なくて」

「…アン」

「止まらないの、血、が、止まらない」

「アン」

「…あたしは鬼の子だ…!」

















鬼の子だと、小さい身体を震わしてそう言った。
知っている。オレはその男、ゴール・D・ロジャーという男を知っている。
20年以上前、オレはその男に殺されかけたことだってある。
時代を開いた大悪党、この世界を変えた男。
それは一般人からしたら恐怖の幕開け以外の何物でもない。

ちっぽけなアンがその世界に突然放り出された時、世間の空気はどれだけ鋭かったかなんて想像も容易い。いや、もしかするとオレなんかの想像も及ばない…



「アン」

「…?」

「お前は誰の娘だって?」

「…だから、海賊お」

「じゃあお前がその背中にしょってるモンはなんだってんだい」

「…オ、オヤジ…!」

「ああそうだい、お前はオヤジの娘で、オレたちの妹だ。それ以上の肩書きがいるかい」

「ううぅ」


ぶんぶんと激しく首を振ったアンは、額をオレの肩にぶつけた。

「あ、あたしの血、汚い…!」

「バカタレ。それを言うならオレもこの船に乗る奴らみんなそうじゃねぇかよい」


囚われるな、縛られるな。
お前が思っているより世界はもっと広いことをどうかわかってくれ。




コンコン、と柔らかく木の音が響いた。
ゆっくりと開いたドアの向こうからナースが顔をのぞかせる。

「ごめんなさい、ちょっといいかしら」

「あぁ、」

「来てほしいの。アン隊長に、マルコ隊長にも」


オレの肩から顔をあげたアンは、崩れた顔で不思議そうにユリアを見つめた。
片やオレも同じく、ユリアの意図はわからなかったのだが。











連れてこられた部屋はめったに用のない女部屋、つまりはナースたちの寝床。
少し憚られたが促されるままアンとそこへ入る。
ナースの部屋にしてはやたらとこざっぱりしたそこのベッドには、一人の若いナースが腰掛けていた。
そいつはオレたちを見上げて少しだけ目を見張り、それから柔らかく笑った。


「彼女、船を降りるのよ」

オレたちに続いて部屋に入ってきたユリアはごく淡々とそう言った。

「え!?」

「…ほう」

そうなのかいと座るナースに問いかけると、彼女は穏やかに笑って頷いた。

「ごめんなさい、パパさんには言ったんですけど」

「いや、構わねぇがよい」

この船のナースたちも、他のクルー同様オヤジに惚れて乗ったも同然の奴らばかりで、めったにナースが入れ替わることはなかったため半ば驚いた。

「…なんで?」

遠慮がちにアンがそう問うと、ナースは軽く頬を染めて笑った。


「結婚するんです」

「え!?」

大声出して驚くアンを尻目に、ナースはゆるりと自身の腹部を撫でた。

「…子供が、ね」


それにはオレも目を丸めた。
聞くところによると、以前立ち寄った島で再会した男とそういうことになり、次の島で船を下りたらその男が迎えに来てくれるのだそうだ。


「…そりゃ、めでたいよい」

「ありがとうございます、マルコ隊長」


いつもの身体の線がはっきり出るようなナース服とはうってかわって、ゆったりとしたワンピースを着た彼女はお世辞なく綺麗だった。


「…ミラ、」

掠れた声でナースの名を呼んだアンの横顔は、何かが零れそうに揺れていた。

「…嬉しい…?」


一瞬きょとんとしたナースは、小さく笑ってからアンを手招いた。

「マルコ隊長も」

そう呼ばれアンと彼女に近づくと、ナースは一言失礼、と断ってからオレとアンの手をとった。

「わわっ」

ナースがアンの手を引っ張り自身の腹部に添えさせる。そしてその上にオレの手が重ねられた。
アンの薄っぺらい手を通して熱が伝わる。

「暖かいでしょう」

「…うん」

「まだぺったんこなんですけどね、生きてるのよ、ここに」

すごいでしょうとほほ笑むナースを、オレとアンは固まったまま見つめた。

「…嬉しくないわけがない。だって私の子ですもの」

理由なんかない、今ここに存在している、ただそれだけで愛しいんです。
そう言ってナースは笑った。

















「ごめんなさい、ちょっと聞いちゃったから」

「…あぁ…別にいいんじゃねぇかい」

ユリアと二人、ナース部屋から戻る際ユリアが謝罪した。
しかし彼女一人知ったからと言って、いやおそらくこの船の誰が知ったとしても何一つ変わるものなどないだろう。

アンはまだあのナースと二人でいる。
静かに涙を零しながら、よかったねと呟いてナースを抱き締めていた。


「お節介だったかしら」

「いや…ありがとよい」


ユリアは声を出さずに笑った。













優しい鼓動は愛の音

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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