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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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まぁいいか、おれっちで上塗りしちゃる!と高らかに宣言したサッチは、再びアンに顔を寄せた。
またキスされるのかとアンは身構えたが、頬に当たったのはそれよりも面積のあるもの。


「うわっ、サッチ、ヒゲが痛い!」

「時には愛って痛いもんだぜっ」


 
 
むずがるアンにお構い無しで、サッチはアンの頬に自分のそれを寄せて頬ずりする。
サッチなりの精一杯の愛情表現である。



(…まったく、ほんとに…)




 

どこまで可愛いんだこの人たちは。
マルコを除き、クルーたちは揃いもそろってアンを猫可愛がりするが、アンからしてみればこんなに可愛いおっさんたちは他にいない。



「…ひりひりする…」

「んひひ」

「…ふふっ、」



耳のすぐ横でサッチが嬉しそうに独特の笑い声を出す。
それにつられるようにして、思わずアンからも笑みが漏れた。

ふたり顔を寄せたままくふくふと笑うと、それが囁くほどの小さな声でも、じわりと温度のように甲板に広がった。

通り過ぎるクルーたちは、場合によっては冷や汗ものの光景であっても、今のこの状況に半ば苦笑混じりの、それでいて微笑まずにいられないといったように笑みを零すのだった。








 
 
 
 
 


しかしそれも長くは続かず、上空から飛び降りたように高くカンッと靴底が鳴ったことによってその状況は一変した。


所謂、冷や汗ものの光景に。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
当事者二人のうち、先に気付いたのはサッチだった。
 
 
 
(…あー、こりゃまた物騒な)
 
 
 
ぴんと張りつめた空気が電気のように肌を刺す。
 
 
 
 
 
「…随分と楽しそうじゃねぇかよい」
 
「おうよ、超楽しい」
 
 
そこに影ができるほど眉間に皺を刻んだマルコとは対照的にサッチがにこやかに返答すると、マルコはさらに額の青筋を増やした。
サッチの胡坐の中に座り込んでいたアンはというと、心当たりのありすぎる声を聞いて顔を輝かせ振り返る。
 
 
 
「マルコ!おっかえり!!」
 
 
わたわたと、不安定なサッチの脚の上から抜け出したアンは迷うことなくマルコの胸に飛びついた。
それを難なく受け止めたマルコは、いつもの小言そっちのけでサッチへと視線を戻す。
 
 
 
「で、何してたんだよい」
 
「んな怖ェ顔すんなって」
 
 
まったく過保護は困るとでもいうように軽く苦笑を浮かべながらそういうが、マルコの機嫌は一向に転じない。
どれだけ顔をしかめサッチを睨んでも、腰にアンがぶら下がっていては効果半減ではあるが。
 
 
 
「いいじゃんたまにはオレにも構わせろよ」
 
「断る」
 
「…お前最近いろいろ露骨になってきたな」
 
 
 
サッチの呆れが混じった声を聞き流して、マルコは腰にくっついたままのアンを頭から引きはがした。
そのときマルコの背後から、つまりはアンとサッチの正面から、カンッと軽く甲板を叩く音が響く。
カランともうひとつ木の音が柔らかく響いて、薄紅の着物がふわりと翻った。
 
 
「おう、おけーり」
 
サッチの声にイゾウは片手をあげて返事をし、少し顔を引くようにして三人を見渡した。
 
 
「三隊長集まって、またアンの取り合いか?」
 
「そーそー、マルコが譲ってくれねぇの」
 
「違うよい」
 
「どの口がぬかすかテメェ」
 
 
片手に茶色の紙袋を抱えたイゾウはくだらない応酬を繰り広げるマルコとサッチの傍らで、もう片方の手で支えていた煙管を口に咥えさえるとおもむろに紙袋の中を漁りだした。
そうして取り出したのは赤から黄へと、鮮やかなグラデーションに染まった果実。
 
 
「アンに、土産」
 
「マンゴぉっ…!」
 
 
あっさりとマルコから離れたアンは、差し出されたマンゴーを両手のひらで受け取った。
 
 
「名産なんだとよ」
 
「おぉ、それオレも見てきたぜ。すっげぇいい色してるよな」
 
「っ…!食べていい!?」
 
 
勿論とイゾウが頷けば、アンはプレゼントの包みを開ける子供のように顔を綻ばせてマンゴーの皮を剥きだした。
 
 
「アンそれ食いにくいだろ。切ってきてやんぜ?」
 
「待てない…!」
 
「…あ、そう…てかイゾウ、お前アンにだけかよ」
 
「なんでオレが野郎に土産買わなきゃなんねぇんだよ」
 
「ごもっとも!」
 
 
 
 
ぺろんと上部の皮を剥いたアンは、輝かせた瞳のままかぷりとそこに噛り付いた。
 
 
「んまいっ…!それにあまい…!!」
 
「そりゃよかった」
 
 
ありがとイゾウ!と朗らかな笑顔を見せれば、イゾウも満足げに口角を上げた。
 





「で、また興のある遊びが流行ってるらしいじゃねぇか」

「っ!!・・・イゾウまで知ってんの?」

「さっき船に上がる前にラクヨウに会ってな」


心当たりあるその名前にアンが顔をしかめれば、マルコが何の話だよいと目を細めた。




「隊長格の野郎どもがアンにキスを迫ってるってぇ話」

「・・・は?」



ゆらりとマルコの背後、厳密には空気が揺らぎ、先ほどのアンとサッチの光景に納得がいったマルコはついと視線をサッチに移す。
険のある視線を受けたサッチは、焦るように口を開いた。



「バッカ、遊びっつったろうが!あそび!」

「男の悋気は見苦しいねぇ」

「りんきってなに?」

「イゾウもアンも余計なこと言うな!!」



馬鹿馬鹿しいと口では言いながらも、マルコはしっかりと視線でサッチにくぎを刺す。
サッチは半ばあきれたように苦笑しつつもその視線をしかと受け止めた。
受け流せる程度の牽制ではなかったゆえ。




「馬鹿らしい遊び流行らせてんじゃねぇよい」

「発端オレじゃねぇもーん、ジョズだもーん」

「そうそう、ジョズはゆーじょー」


マンゴーに齧り付きながら怪しい呂律でアンがそういえば、マルコは友情?と眉を寄せた。


「ほら、キスは場所によって意味があるとか言うだろ?」

「ジョズはおでこだったから、ゆーじょー」

「『友情』な、アン」


またもやマルコは馬鹿馬鹿しいと呟くが、ということは他の野郎どもがアンの至る所にキスしたってことかよいと内心穏やかではない。



「そう、あとまだ聞いてないとこあった。瞼は?」

「瞼ぁ?意味なんてねぇだろ」

「・・・いや、瞼は確か『憧憬』、じゃねぇか」


ショウケイ?とアンが首をかしげれば、憧れ、とイゾウが注釈を入れる。
瞼へのキスは、ブラメンコとキングデュー(まぁ事故ではあるが)。




「・・・そういうことって、なんでみんな知ってんの?ジョーシキ?」

「常識ってか、男の嗜み」


なぜか胸を張るサッチに、ふんとマルコが鼻で笑った。



「ひっかかりもしねぇ女のためにたしなんでても仕方ねぇよい」

「辛辣!」



どすっとたわわなリーゼントがマルコの肩に刺さるが、マルコは鬱陶しさを前面に押し出した顔でそれを手で払った。

ふうん、たしなみ、と呟いたアンは、また半分ほどになったマンゴーに齧り付く。
じゅるりと果汁が切り口から染み出した。



「アン、手ぇ」

「? おぉ、」


イゾウが視線で指し示すのはアンの手首。
果実から指先を辿り滴った果汁がアンの手首を滑り落ちて行く。

勿体ない!とアンが慌てて滑り落ちる液体に顔を近づけたそのとき、ぐいと別の力がアンの腕を引っ張り上げた。


「イゾッ、垂れるっ、勿体な、」


離してという意味を込めてそう言った矢先、不意にイゾウが小さく屈んだ。

前腕の裏側、その中央あたりに生暖かい感覚を捉え、それがつ、と上へと昇っていく。
イゾウの高い鼻が手のひらにぶつかって止まると、とくとくと脈を刻む手首の上にひとつキスを落としてイゾウの舌先が離れた。

アンはただそのイゾウの動きを辿るようにぼんやりと眺める。
サッチがんひゃーと素っ頓狂な声を出す。
マルコの細い目がこれでもかと開いた。









「おう、いい味してんじゃねぇか」

「あ、うん」
















Please kiss me!




(ちょっと待て、今の軽くスルー!?てかマルコ息しろ!!アンも「うん」じゃなくて・・・あぁもうツッコミが追いつかない!)


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