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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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欲しいものはたくさんあった。
自由、時間、旨い酒、楽しい仲間、それに可愛い女。
飛びだせば手に入れられた自由。
誰もに等しく与えられた時間。
旨い酒は金で手に入り、得られなければ奪った。
気に入った奴は誘ったし、なんらかの障害があれば連れ去ったりもした。
好きだと思った女は今まで何人かいたが、連れ去って船に乗せたいと思ったことは一度もなかった。
守る自信がなかったからだ。
適当に相手をして、相手をしてもらって、互いに熱を求めあって満足したらさよならをして。
足らない部分を補い足しあうようにして関係を持つ。
それが海の男とただの女だと思っていた。
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
好きな女ができた。
妹だった。
足らない部分を補ってくれる女じゃない。
おれのえぐれた気持ちなんかに気付くような繊細な女じゃないんだ。
全てを包み込むように、温かく、明るく笑う女なんだ。
 
アンの胸の中で全てを吐き出して膝を抱えてくるまって笑っていられればどんなに幸せだろうかとガキくさいことも考えた。
そう思うともうおれが好きになれる女はアンしかいない気さえして、どうしても欲しくなった。
 
 
 
 
 
 
 
 




 
 
「サッチィ…マルコがまたあたし置いてオカ上がっちゃった」
 
 
しゅんと項垂れておれの背中に額を寄せる。
マルコの奴はしょうがねぇなあと言いながら頭を撫でてやれば、猫が喉を鳴らすようにすり寄ってきた。
 



 
ああもうおれはどうしてこんなにも。
 
なあその漆黒の目ん玉に、青い焔をちらつかせるのはやめてくれないか。
不死鳥だからマルコがいいのか。
一番隊だからマルコがいいのか。
もしあのときお前にスープをくれてやったのがマルコじゃなくておれだったら、おれのことを好きになってくれたか。
そのスープ作ったのおれなんだぜとあのとき言っていれば、お前はおれのことを好きになってくれたか。
なぁなんでおれはこんなにもお前のことが好きなんだ、馬鹿馬鹿しい。
 
 
 
 
 
 
 
 





 
 
 
 
「いつまでもアンがお前しか見てねぇと思ってっと、後悔すっぞ」
 
 
精一杯の挑発をしても、マルコの目の色は変わらなかった。
ああでもやっぱり、
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
勢いってのは恐ろしい。
 
あのとき、山賊とやりあって怪我をしたアンを拾い戻ってきたマルコを見て、そのあと船でアンを部屋に運んで行ったマルコの背中を見て、やべぇと思った。
 
本当にアンが行ってしまう。
 
 
 
そう思ってしまえば押し倒すのもキスをするのも簡単だった。
不安に揺れる黒い瞳も愛しい。
こんなにも人を愛しいと思うのは初めてだ。
今まで好きだと思った女と比べることさえ我慢ならねぇ。
きっとマルコもそうなんだろうなと思った。
 
 






 
このまま舌を入れて赤い咥内を味わって、思うままにアンの身体に触れておれのものにしてしまいたい。
アンが泣いたって構うもんか。
アンは優しくて素直で馬鹿だ。
おれに抱かれた体でマルコに抱き着くことなんてできないだろうから。
そしたらおれの勝ちだ、たとえアンがおれのものにならなくてもマルコのものにもならない。
きっと、しばらくは。
 
 
 
 
 
 







 
 
あのときマルコが部屋に入ってこなかったとしても、おれは行為を続けることができたんだろうか。
今になってはもうわからねぇけど。
 
マルコはドアの傍に突っ立っていて、アンはオレが組み敷いた下にいるのに。
マルコの手には白い包帯があって、おれの手はアンの腕に触れていたのに。
二人の視線がぶつかったのを見た瞬間、完全なる敗北を悟った。
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 
好きだと言って抱きしめたら、アンもおれを抱きしめてくれた。
嫌いにはならない、なれないと言っておれの代わりにアンが泣いた。
 
なんだこの満足感。
結局手に入らなかったのに、もういいと思った。
 
アンはおれが好きで、おれもアンが好きだ。
アンはマルコに惚れていて、マルコもアンに惚れている。
一見キナ臭い三角関係みたいだが、なんてことはない。
ハッピーエンドじゃねぇか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



 
 
 
 
 
しょぼくれたマルコの顔を見たら、ちょっとイラッとしたけどそれ以上に笑えてきた。
ああやっぱりこいつからは奪えない。
オヤジからは欲しいものは奪えと教えられたけど、奪ったら欲しいものを失っちまうときはどうすればいいのかは教えてもらっていない。
 

 
アンは好きだけど、すげぇ好きだけど、
やっぱりおれは、マルコのことも大好きなんだ。
 
大好きなんだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 






 
 
 
 
 
「…だから、よい…なんど言ったらわかるんだよい…」
 
「マルコが怒るからできないの!もっと優しく教えてくれたらあたしだって間違えないのに!」
 
「………」
 
「ああああごめんなさあああい」
 
 

 
 
 
じゃれあうおっさんと小娘を横目に見ながら根野菜の皮むきをする。

 
 
「…サッ、サッチ…!たす、たすけてぇっ」
 
「マルコそんくらいにしとけよー、アンの前髪抜けるぞ」
 
 
アンの前髪部分を鷲掴んでいたマルコは面倒くさそうにおれを見てからその手を離し、広いアンの額に一発お見舞いしていた。
アンは額を押さえながらさっとマルコから距離をとりおれの背後に身をひそめる。
きゅうとおれの服を握りしめる手からは相変わらず温かい熱が伝わるけど、それをもうおれのものにしたいとは思わない。






 
 
結局叶わなかったけど、






 
 
 
 
「てめぇまだ終わってねえのに逃げんじゃねぇよい」
 
「やだマルコ怖いサッチ助けて」
 
「よしアン、お前が今から一時間でその書類の山片づけられたら今日のおやつ量増やしちゃる」
 
「ほんと!?」
 
「おいサッチ、アンを甘やかすんじゃねぇよい。コレァ提出期限切れてんだい、やって当然なんだよい」
 
「今日だけ今日だけ」
 
 
まぁいいじゃんと肩をすくめて見せれば、マルコは嫌そうに眉間に皺を寄せたまま息をついた。
アンはおれの背中にぴたりと張り付いたままそのマルコの顔から妥協を読み取ったらしく、嬉しそうにおれを見上げて笑みを咲かせた。
 
 


 
 
「ありがと!!サッチ大好き!!」
 


 
 
 
あぁ敵わない。
 
 
 








世界は終末を迎え、そして始まる



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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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