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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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【ハロー隣のクラッシャー】続編オマケとして、ハナノリさまにいただきましたよ!














ウェルカム恋のファンタジスタ







郵便受けにしろ表札にしろそれらは家屋に比例しての付属品だから
当然このアパートの物も例にもれず申し訳なさ程度のブツ。

仕事上大判の郵便物が多いので大抵がドアの下、よくある隙間から玄関の中に突っ込まれている方が多いのがマルコの常だ。

よって鍵を開けてまずする事は狭い玄関に落ちている届け物を拾うことから始まる。
よっぽど大事なものは手渡しされるので、別段困る事もない。

全くもって困ることはなかった。



・・・・・・ほんの一週間ほど前までは、だ。








(いよいよ嫌がらせじゃねェか)


マルコはサンダルと靴とが窮屈そうに並んだ玄関の上、
いくつも散らばる封筒を鬱陶しそうに回収した。

宛名は見なくても分かる。
出版社は一目でわかる様に封筒の色に違いをつけている事が多い。
薄いグリーンの封筒と、同じく薄い水色の封筒。

こんなことをするのはあいつんとことあいつんとこくらいだ。


大事な仕事の書類をこんな風に投げ込む事はありえないので、
マルコは開封しなくともその中身を悟る。


グリーンの方があの女編集者で、水色の方はフランスパン頭。

二人がその場に居たら、ピンポンピンポンと正解音を笑顔全開で言ったに違いない。

うっかり幻聴でその音が聞こえそうになり、マルコはチッと舌打ちをする。



女編集者の方は現場(というほど大層なものでもないが)を見られたとはいえ、
別にナニをしていたところを目撃されたわけじゃなし、
いくらでも訂正はできたが言い募ればそれだけ不利な要素を与えるしかないので放置していた。

ムキになっていると思われたくもないので適当な時間を空けて、
握りつぶして多少不格好になった契約破棄の書類を返送し終える。

と、入れ違いで新たな書類攻撃が始まった。


最初は何かと思い開封した。


出て来たのは不動産情報。

仕事部屋と、寝室、リビング、キッチン


どう考えても一人で暮らすには設備が整い過ぎてやしないか?


その意図くらい聞かなくても分かる。

分かるがこれ幸いと乗り換えるほど単純な作りはしていないつもりだ。
この手のことは無視するに限るが、一度正面からキッチリ断らなければ止みそうもない。

水色の封筒と違って、子供じみた嫌がらせをするほどあの女性編集者は馬鹿ではないので
マルコは最初の封筒の中身を確認してすぐに編集者の番号を呼び出した。



『はい、お疲れ様です』
「どういうつもりだよぃ」
『届きました?あ、っとその前に契約破棄の書類は確かにウチに頂きましたので』
「だったら」
『何か問題ありました?』
契約破棄した時点で引っ越す気はねェって空気は読んじゃくれなかったわけか?」

電話口の向こうでは、心外だとでも言うように女編集者が溜息をついている。

『空気読んでそういう条件の物件にしたつもりですけど?』
「・・・いらねェ世話だよぃ」
『マルコさんのとこ行くの結構遠くて面倒なんです』

編集者が足の苦労をサラッと仕事相手に愚痴るなと内心で突っ込んだが、
じゃぁもういいと手を切るほどマルコも生活にゆとりがあるわけではない。

「家賃だけで原稿何回分が飛ぶか、そっちがよっぽどキッチリ把握してんだろうが」
それとも何か、突如原稿料が三倍四倍にでもなる案が社内会議で通ったかぃ?

マルコの嫌味にも電話口の声は押されなかった。
むしろいい笑顔をしていると声だけで分かる位の音が返ってくる。

『ええ、通りましたよ』
「・・・は?」

『とりあえず今抱えてるコーナーが好評なので、そっちを週刊誌の方へ回すのと、あ、これもう決定ですから』
「おい」
『あとは新しく創刊する雑誌があるのでそっちで一本。
で、あと新しい試みで対談形式の依頼がいくつか、で・・・三倍四倍どころか五倍も全然イケますね』

はい退路断ちました、と言わんばかりの口調にマルコは始終渋い顔で黙るだけ。
この沈黙がどんな表情の元繰り出されているのかは、短くもない仕事付き合いのお陰で正確に伝わっているだろう。

それだけのものを新たに抱えれば、当然今までの物に支障が出てくる。
当然それは別の出版社のものでしかないので、この女にしてみれば『じゃぁそっち切って下さい』と言うだけだろうが。


「・・・即断できる話じゃねェよぃ」
『そうですね』
「また電話する」

お待ちしてます、とにこやかに告げられた声に久々の交渉負けを悟って、マルコは携帯をベッドに投げた。









引っ越し、ねェ・・・


一度はするつもりだった。

極論住んでいる場所はどこだってかまわないし、土地や家屋に執着する性質でもない。

女と別れてからでも別にそこに面影の何やらを見るわけじゃなし、
住み続けるのに何ら不都合は無かった。

ただ仕事の資料で手狭になって来た気はして、ついでに編集部も近くなるならと、
たったそれだけの理由で転居を決めていたのに。



隣に越してきた馬鹿はそんな計画を見事にブチ壊した。

・・・まぁ、本人には壊した気はないのだろうが、
結果として見事に綺麗サッパリの大破だ。



マルコは靴を脱ぐのに邪魔だ、ということと、隣のバカがやってきたときに確実に下敷きになるので、
とりあえず薄いグリーンの封筒は回収する。
チャイムの音と名前を呼ぶ声とノブを回して鍵が空いてれば突撃突進の娘に、足元の確認を期待するのは無駄なだけ。

水色封筒の方は放置しようかと思ったが、残念ながらこの安アパートの玄関は狭すぎた。

ばさりとまとめてベッドの上に放る。


(物件の条件変えたって、俺一人で決めていい話じゃねェだろうが)

腕時計を外し、机に置いたついでに煙草を取る。
火をつけ、深く吸い込むと長く吐いた。



何を思ったのかは知らないが、隣人に別の関係性が付属したのはほんの一週間前。
たかだかそんな時間経過で一体何の決断をしろと?

マルコは内心でアホらしいと吐きながら、
頭の一方ではいつからの関係なのか向こうは知る由もないのだから、やむなしかとも理解はしている。

だから許容できる、とはならないが。



カラカラ、と安いサッシの音をさせながら窓を開ければ、外は夕暮れ間近。

(飯、どうすっかねぃ)

そんな事を考えていたときに、外から何故か声がする。


「マルコ飯!」

白い衝立の向こうでサンダルをつっかけたような音がしたので、マルコもついでにベランダに出る。

「俺はお前ェの飯じゃねェよぃ」

人を丼物のように呼ぶな、とマルコはいい、そしてアンはそれを想像したらしい。
げらげらと笑う声とすげー不味そう、絶対ェ食べないという声。見えないが頭は激しく横に振られていることだろう。


「ね、そっち行っていい?一緒に飯食お?」
「・・・って何食うってんだよぃ」
「職場の人からおすそ分け貰ったんだ」
「?」
「何かお祝いでちらし寿司たくさん作ったんだって」

ていうか顔見ずに話すのって変だな、と続いた声はマルコの了承を聞かずに既に部屋に引っ込んでいる。
そして10秒もしない内にアンの部屋の玄関扉が開閉する音が聞こえた。

続いてマルコの玄関ノブが回りかけて、そして途中で止まる。

そして何故かまたアンの玄関がガチャ、バタンと開く音がして、薄い壁の向こうからはドタバタと部屋を動く物音がした。


マルコは何やってんだと首を捻りつつ、とりあえずベット上に放りっぱなしだった封筒類を棚の隙間に押し込む。
そうこうしているうちにアンが色々抱えてやって来た。

テーブルの上に頂き物の折り詰めを大事そうに置くと、(それはアンの大食を知っているからなのか4つほどあった)、
脇に挟んだ水色の封筒をアンはマルコへ渡す。

「はいコレ」
「・・・何だよぃ」
「知らない、サッチが何か忘れてったみたい」
宛名にマルコって書いてあるからマルコにだよね、とアンは言っているが何故かマルコは嫌そうな顔だ。

今までに封筒に名前を書かれたことなど一度もない事実をアンに言えば何か得られるだろうか、いや何にも無ェ。

マルコがフランスパンへの報復をどうするか考えているとも知らず、アンは着々と夕食の態を整えていた。

ストンとローテブルにスタンバイしたアンは、頂きますと手を合わせようとして、
あ、お茶お茶、と立ち上がり水切りかごにマグカップを探しに行く。


「・・・あれ?マルコ、あたしのマグはー?」
「昨日部屋戻る時に一緒に引き上げてったんじゃねェのかよぃ」
「げ、そうだっけ?」
「つーかお前ェは自分のモンをこっちに置き過ぎなんだよぃ」
「いいじゃんマルコのとこのキッチン殆ど使わないんだし」
サラッとアンはマルコの苦言を聞き流し、んじゃマルコの借りよっと、とガチャガチャと水切りかごを漁っている。

「?マルコのもないよ?机?」
コーヒーをいれっぱなしで机に放置ということはよくあるのでアンはそう聞いた。

「いや?・・・あー・・・そういやこの2,3日見てないねぃ」
紛失する類の物でもないので、机とキッチンになければ後は考え得るのは1つ。

「お前んとこで飯食った時に、マグが足りねェってこっちからそっちにお前が取りに来たままじゃねェのかよぃ」

カチカチカチ、チーンという音がしそうな程アンは首を傾げて考えて、
とりあえず見てくると言ってその場に立ちあがった。

「それにしてもさァ」

ああもう、と何故かアンは投げやりな雰囲気だ。
壁越しに自室のキッチン辺りを見やって、この辺と指さしながらマルコに言う。

「いちいち靴履いて玄関回って取りに行くとかすげー面倒!ここにドアあったらいいのに」
そう思わねェ?と言うアンにマルコは何故か妙な表情で黙ったままだ。


「ベランダの衝立無くしても、結局サンダル履かなきゃだし」
やっぱ部屋が繋がるのがベストだよなぁ、うんうんと頷きながらアンはしょーがねーと言って玄関でサンダルをつっかけている。


「じゃちょっと見てくる」
そう言ってバタンとマルコのドアは閉まった。






「部屋が繋がる・・・ねェ」


隣人からクラスチェンジした後に、
本人から脱隣人を所望されるとはなかなか喜ばしいが、アンにはそんな気など一切ない。

単に面倒が減るだけという非常に合理的な理由だろう。
その下地にしょっちゅうこの部屋に来ることがあり、
来たいと言う気持ちがあるのはわかってはいるが。



さて、とマルコは棚に突っ込んだ封筒の数々を一瞥する。

そこにアンから渡された水色も追加で突っ込もうとして・・・・・それだけはゴミ箱へ突っ込んだ。





ハナノリさんのあとがき

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さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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