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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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ドアを開ければ、そこにアンがいた。
 
 
「おっ、おかえり!」
 
 
マルコはドアを閉めた。
数歩下がり、目の前のドアを眺める。
そこから離れ、隣の部屋のドアをノックした。
 
 
「はい?」
 
 
顔を出したのは1番隊クルーだ。
 
 
「なんかあったっすか」
「…いや?」
「?」
 
 
内側からドアを開けたクルーと、もう一人、彼と相部屋のクルーも奥の椅子から不思議そうにマルコを振り返っている。
 
 
「…わりぃ、なんでもねぇよい」
「? そうっすか、じゃあおやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
 
 
目の前でドアが閉まり、マルコは自然とあごひげに手が伸びていた。
そこを数回擦って、小さく首をひねる。
そしてもう一度、自分の部屋だと思った、いやそうであるはずの部屋のドアを開けた。
 
 
「おっ、おかえり!ねえなんでさっきドア閉め」
「…お前なんでここにいるんだよい…」
 
 
 
マルコのベッドの上に鎮座していたアンは、居心地悪そうにもぞもぞ尻を動かした。
白ひげに書類を提出しに行く、数分の隙。
存在するだけで使うことはない鍵は、このときも使われなかった。
ゆえに猫が一匹入り込んでいたというわけか。
 
 
「待ってた」
「…ほう」
 
 
マルコは後ろ手でドアを閉め、忘れていたがその手に持っていた2冊のファイルを本棚に収めた。
 
 
「随分と久しぶりじゃねぇかい」
 
 
マルコの言うとおり、アンがこの部屋を訪れなくなって久しい。
自分の立場を、女という立場をわきまえてから、アンは『慎み』というものを覚えた。
面積の少ない布を纏っているだけという服装な時点で通常の慎み方からは逸脱しているかもしれないが、アンにしては、である。
相変わらず寝るときだろうがなんだろうが自室にカギはかけないし、宴があれば男どもと一緒になって甲板でごろ寝する(朝を迎える前にマルコによって部屋まで運ばれていることをアンは知らない)。
しかし、夜、暇さえあればマルコの部屋で、それもベッドの上でゴロゴロするという習慣だけはなくなった。
 
自分の身は自分で守れ。
 
ナースに言われたのだろう。
アンはその言葉をしっかりと遵守しているらしい。
 
単純なやつだと笑うことはしない。
アンらしい、素直でまっすぐな回答だ。
夜に恋人の部屋を訪れることが何を意味するか、ようやくわかったのだ。
無邪気であることが裏を返せばどれだけ残酷なことかも。
 
マルコは自室に置いてあるコーヒーメーカーのスイッチを入れた。
 
 
「コーヒーしかねぇけど、飲むかよい」
「あー、うん…あ、やっぱいいや。マルコ飲むの?寝られんの?」
「ああ、慣れてもう効かねぇよい」
「ふーん…」
 
 
ベッドの上でかしこまって正座していたアンは、カップの準備をするマルコの背中を盗み見るようにしながら少し足を崩した。
コポコポと水泡の音が心地よく響く。
 
こういう景色、というより雰囲気は本当に久しぶりだ。
波は静かで、窓の外は暗くて、少し遠くから酒盛りをする男たちの騒ぎ声が聞こえる。
部屋の中は静かで、どちらが話すということもなく、マルコは常に何らかの動作(おもに仕事)をしているのだけど、慌ただしくはない。
ここにいると、アンはすぐに眠たくなる。
マルコが発する独特の空気が眠気に似た快感となり、アンに自由を与える。
 
ここにいるときはなにをしてもいい。
話したいことがあれば口を開くままに話す。
ただじっと黙っていて、うずくまっていることもある。
マルコは何をするでもなく、アンの好きにさせてくれる。
 
この船の中で唯一アンに甘くない、無条件では甘えさせないマルコだが、このときだけは甘えさせてくれているのだとアンにもわかっていた。
 
だからこそ、この数か月それをアン自身が許さなかったことはアンの中ではとても大きい。
頑張ったじゃん、と自分を褒めたくなる気持ちも少々、しかしそれ以上に『許す』ときの覚悟も相当のものだった。
 
 
マルコは湯気の立つコーヒーをすすりながらベッドに歩み寄り、そこに腰かけた。
視線はまっすぐ、部屋の壁、本棚へと向けられている。
アンはベッドの真ん中でその背中を眺めた。
 
頭がぐるぐるする。
頬は発火している時ほど熱いし、目は緊張でちかちかする。
気を抜くと倒れてしまいそうだった。
先ほどこの部屋で感じた安心感は、マルコがベッドに座った瞬間つむじ風に巻き込まれるように一瞬にして飛んで行ってしまった。
 
 
唐突にマルコが振り返った。
 
 
「なんて顔してんだい」
 
 
くっと笑ったことによって目じりに寄った皺を見て、アンの肩から少しだけ力が抜ける。
しかし、別に捕って喰やしねぇよいという言葉ですぐに肩に力が戻った。
 
そんなアンを目の端で見て、マルコはからかうようにもう一度笑った。
アンが何か言いたそうに口を開き、そしてまた閉じる。
マルコはサイドテーブルにカップを置いた。
 
 
「マ、ルコ、」
「おう」
「あた、あたし、」
 
 
アンは膝の上で拳を握り、俯いたまま瞳を何度も動かした。
マルコはじっと、アンの言葉を待っている。
 
 
「マルコが、すごい、すき」
 
 
振り返ったマルコは少しの間アンの額辺りを見つめ、そしてふっと笑った。
それが空気越しにアンにも伝わった。
 
 
「…だか、らぁ、その…」
「アン」
 
 
呼ばれた声に反応し、ほとんど反射で顔を上げた。
顔が上がりきる前に、下から掬い上げられるように唇同士がぶつかった。
 
その衝撃でアンが思わず後ろに肘をつくと、それにあやかるかのようにマルコから力がかかりアンは背中から倒れた。
 
 
「思ったより早かったよい」
 
 
天井を背景に、マルコが見える。
悪そうな顔、と口をついて出そうになった言葉を慌てて飲み込んだ。
 
 
「だ、って」
「ん?」
 
 
欲しくなった。
どことなく寂しい夜は隣で寝ていてほしいし、寝付くときは頭を撫でてもらいたい。
マルコのことを考えて眠れないなんてそんなかわいらしいことは一切なかったが、アンにとってはそれに近い。
これが俗に言う『疼く』ということだと、アンにはまだわからなかった。
わかったとしてもそんなこと言えるはずもない。
 
 
だって、から後の続かないアンを見下ろして、マルコは右手でアンの前髪を掻き上げた。
アンはぎゅっと固く目を瞑る。
しかしすぐに、カッと見開いた。
 
 
 
「よし来い!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
いろんな意味で
 
 
 
 
 
 
(気が抜けた)
 
 

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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