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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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「おっ、はよー、アン」
「はよう」
「おう、今から朝飯か!?」
「うん」
「アン、飯食ったら今日は二番隊中央甲板だかんなー!」
「わかった」
 
 
白ひげに仲間入りしてひと月ほど。
船が4つもあり、あまつ1600人もの大所帯ともなると顔を合わせるのは同じ隊のクルーばかりと限られてくるが、少なくともその二番隊の彼らとは、馴染んだと、思う。
入団4日目の朝から2番隊隊員を筆頭に流行したアンの頭を撫でる行為は、どうしてこうなった、と今でも思うがまだ続いている。
朝の挨拶、寝る前の別れを告げるとき、ほんの些細なやり取りの間に、彼らは勇み喜んでアンの頭を撫でる。
ひとりだけ、ぽんぽんと軽く叩く仕草では収まらずしつこく撫で続けてきた奴がいたが、一度牽制をかけてしまえばそれ以上はなかった。
もしかしてそういう習慣なのだろうかとも思ったが、アンのほかにそんなことをされているクルーは見当たらない。
それはいつのまにか2番隊内では収まらずにほかのクルーにも伝播され、今ではアンの前に列をなす勢いだ。
ただひたすら不思議な気分にはなるが別に不快なものではなかったので、アンは黙って受け入れ続けている。
いつのまにか自然と呼ばれるようになった名前にも違和感がない。
「船長」という肩書を失って、アンという単体になって、身ひとつで受け入れられることに初めは抵抗があったが、いざ「アン」と声をかけられたら、迷わず振り向けた。
振り向いてから、あ、と思い当ることもしばしばあった。
 
 
また、散らばってしまった元スペードの仲間たちに偶然会った時には近況を聞いてみるが、彼らも自分の隊でそこそこうまくやっていると聞く。
難しい性格の奴はいたが悪い奴はいないのだから当然だ。
それに彼らの寝床はきっと、各隊の大部屋に割り振られている。
寝食を共にしていれば、馴染まない方が難しいだろう。
 
しかし一方アンは、ひとり個室だ。
隣の部屋から聞こえてくるのは男たちがかけに講じたりバカ話に大笑いするにぎやかな声。
一人寝には慣れていた。
しかしそのにぎやかさがスペード海賊団を思い出させて、少ししんみりしたりもする。
だから夜は早く寝た。
遠くのざわめきを聞きながら目を閉じると潮騒と混じって耳に心地よい気がしたが、夢見はずっと良くなかった。
朝は早く目覚めた。
部屋の中にある小さな長方形の窓から光が入ってくる。
日が昇るのとほぼ同じくらいで起きた。
まだ誰も、少なくとも2番隊のクルーは誰も起きていない。
静かで、穏やかで、微かに揺れるベッドの上でアンはひとりだった。
 
一日のうちで交わす会話は朝の挨拶と、日中の雑務での事務的なやりとり。
気さくに掛けられる声はいくつもあったが、そのどれもにどう返していいのかわからず曖昧な顔をしている間に相手は苦笑いを残して行ってしまう。
こんなにも自分がコミュニケーションが下手くそだとは思わなかった。
頭を撫でられた後も、どんな顔をしていいのかわからない。
スペードの仲間と話すときはそうではないのだ。
近況を報告し合い、船が広すぎてなかなか合わないなと小さく笑って、他の仲間がどの隊で何をしているなどの情報を交換して、じゃあまたと別れるそのときまではとても楽しいひと時だ。
それに、たまたま袖擦りあった見知らぬ人間と酒場で飲み明かす機会があったとしたら、その時の方がきっとアンは上手に話ができる。
それくらいできなければ今まで女の体一つで海を渡ってこられたはずがない。
この、まだ相手のことを何も知らないのに突然確約されてしまった仲間という関係を持て余して仕方がない。
 
 
アンが夜中トイレなど野暮用でひとり廊下を歩いていると、すれ違った2番隊は声をかけてくる。
それこそ他愛のないもので、だからこそ返答に困る。
さらに重ねて言葉をかけようか、このまま会話を終わらせようか相手が悩んでいるのがはっきり伝わった。
そして今このときも、同じ状況だったが今度は勝手が違った。
 
 
「あ、アンは風呂まだなのか」
「うん、今日は11時」
「そうか」
「…」
 
 
また、だ。
必要ないのにお互いを困らせる嫌な種類の沈黙。
アンに声をかけた若い隊員は、あーっと、と困り顔でこめかみを掻いている。
もう最近はこうなったら、アンはサッサと立ち去ることにしていた。
「じゃあ」と止めた足を一歩踏み出したその時、「そうだ!」と隊員が大きな声を出した。
 
 
「な、に」
 
 
大きな声に思わず目を丸めて振り返ると、彼は遊びを思いついた子供のような顔で笑っている。
キラキラしてるぞ、こいつ。
 
 
「水曜の夜はな、あそこ、一番端の大部屋でポーカー大会なんだ。知らなかっただろ?」
 
 
空の隊長室の隣を指さした隊員は、キラキラした顔のままアンにずいと寄る。
うんと頷きながらアンは思わず身を引いた。
 
 
「そう、これに誘えばよかったんだ!これぁ2番隊だけしかいねぇんだからお前がいない理由がねぇ!そう、そうさ!」
 
 
自分の発案に隊員は何度もうなずく。
引き気味のアンはお構いなしだ。
 
 
「まぁどの隊でも同じようなことはやってるだろうがよ、うちの隊は水曜日で、あそこの部屋で、つまり今やってるわけよ!アンも来い!」
「えーっと、」
 
 
でもそれってあたしが行っていいの、の言葉は続かなかった。
隊員の大きな声を聞きつけて、どこからともなくわらわらと2番隊員が集まってきたからだ。
 
 
「あ、アンだ」
「なに、お前水曜日のポーカー知らなかったのか」
「じゃあ来いよ、今日はアンの初日だかんな、掛け金は誘ったこいつが出すってよ」
「おい勝手に決めんな!」
「まあなんでもいいから」
 
 
早く来い!と誰もが笑顔でアンを手招く。
面食らったアンはしばらく立ち尽くしたままぽかんとしていたが、おずおずと一歩踏み出すとアンを囲んだ男たちの勢いに押されて流されるように大部屋へと入ってしまった。
なんだかみんな、やけに嬉しそうな顔をしている。
 
 
 
そして始まったポーカー大会。
そこらじゅうに酒瓶が散乱し、イカサマがあっただのなかっただのという喧嘩はすぐに始まるしで部屋の中は無秩序極まりなかったが、それはアンが戸惑うくらい──楽しかった。
正直ポーカーは……得意ではない。
元スペードの船員いわく、「アンはすぐ顔に出る」から。
今回もそれはきちんと発揮された。
 
 
「はっ、アンの奴また負けてらぁ!」
「うるさいな、もう一回!」
「お前今日は掛け金ねぇからいいけど、本当だったらもう無一文になるところだぜ!」
 
 
ううう、と唸る顔からは持ち前の負けず嫌いがにじみ出る。
世の中にポーカーフェイスというものがあるのだとしたら、アンとは無縁に違いない。
男たちは酒を飲みながらかけに高じ、真っ赤な顔をして大きく笑った。
一方アンが見せる笑顔は手持ちがいいカードになったときのニヤリとした顔だけだったが、くるくる回るアンの表情は見ていて飽きない。
その表情の目まぐるしさ故にポーカーには向いていないのだが。
 
そろそろ夜も更けてきた頃、ふとアンがああ!と思い出したように顔を上げた。
 
 
「どうしたアン」
「風呂入るの忘れてた!!」
「あー」
 
 
そう言えば、風呂はまだだとかいう会話を交わしていたんだったとアンを最初に誘った隊員は記憶をたどる。
しかしアンはま、いっかと再び手元のカードに顔をうずめ始めた。
 
 
「風呂いいのかよ」
「一日くらいいい」
「ハッ、男らしくていいぜ!」
 
 
確かに今日は日中2番隊と3番隊で手合せがあり、アンも参加したので汗をかいた。
少し気持ち悪いと言えば気持ち悪いが、朝一でナースのもとに駆け込めば風呂を開けてくれるかもしれない。(ナースの風呂は覗き防止のため、ナース長によって鍵が管理されていた)
 
そうしてポーカーの熱は冷めることなくむしろどんどん上がっていったが、今日の朝も例にもれずアンは早かった。
現在時刻は夜中の2時。
アンを唐突に眠気が襲った。
 
 
「…ン、アン!」
 
 
ハッと覚醒すると、アンを含め輪を作る数人がアンの顔を覗き込んでいる。
 
 
「お前の番だぜ」
「あ、ごめ」
「なんだアン眠いのか」
「お子様だなあ」
 
 
うるさいっと歯を剥いても、今はもう笑ってあしらわれてしまう。
しかし眠いことは確かだ。
アンは小鼻に皺を寄せて、あくびをかみ殺した。
 
 
「…ねむい」
 
 
ぽつりとつぶやくと、男たちは一斉に笑った。
もう部屋に戻んな仔猫ちゃんとまで言われるが、反抗する思考能力さえとろとろと溶けて流れていく。
一度眠いと認めてしまうと眠気は猛烈な速さでアンを眠らせにかかった。
こっくり、と船を漕ぐ。
 
 
「おいおいアン、本当もう部屋戻れって」
「んー…」
 
 
返事はするが、行動が伴わない。
男たちは困り顔で顔を見合わせた。
思わぬところで子供っぽさが前面に出てきた、そのことへの驚きも少々混じっている。
 
 
「ほらアン立てって」
 
 
アンの隣に座った男が、既に肩を落とし何度も船を漕ぐアンを立たせようと腕を取った。
しかしすぐさま、男は顔を歪めてアンの腕を振り払うように手を離した。
 
 
「っつ…!」
「おいおいおい、なんだよお前」
 
 
周りの男たちが半ば引き攣った顔でからかうような声を上げる。
男に腕を振り払われたことで、アンの意識もハッと覚醒して今自分が何をしでかしたのかに気付いた。
 
 
「あ…ごめん…」
「…いや、急に悪かった…」
 
 
アンの腕から手のひらに伝わった熱は、触った本人にしかわからない。
男は赤くなった手のひらを隠すようにもう片方の手で包み込んだ。
妙な沈黙が落ちて、アンはごめんともう一度呟き立ち上がった。
 
 
「やっぱ眠い、もう寝るな」
「ああ、そうしろそうしろ」
 
 
男たちは思い出したように笑みを見せ、一様にアンに手を振った。
誘ってくれてあんがと、と去り際に言うと男たちは一層笑みを深くした。
 
 
 

 
 
やっちゃったなー、と口の中で呟きながら薄明りのついた廊下を歩いた。
こればっかりは、特に眠りなどで意識が飛んで行ってるときなどはアン自身にもどうしようもないのだ。
悪魔の実を食べて、この能力を手に入れて、自然とできるようになった自己防衛。
初めは単純に、無駄に手を下す必要がなくなったと喜んでいたけれど。
この力で何人ものスペードクルーを灼いた。
アンに触れられると触れられないの境はアン自身にもわからない。
相手がその境界線を越えてくれるのを待つしかほかはないのだ。
いつかそのときはやってくるのだろうが、そのときはまだだったらしい。
男くさくて酒くさい、物の散乱した大部屋のにぎやかさを思い出して胸の奥でどこかがツンとひっかかった。
たしかに楽しかったのに──
 
 
アンは大部屋から自分の部屋には直帰せず、一つ階段を上った。
外の空気に当たりたかったのだ。
甲板へつながる扉を開けると、外は少し冷えていた。
ここは──春島海域と言っていたっけ。
比較的暖かな海域でも、夜はやはり冷えるのかもしれない。
今日の空は曇っていた。
紺色の空は分厚い雲に覆われていて霞んでいる。
かすかに月明かりが一部からにじみ出ていた。
眠気はいつの間にかどこかへ行ってしまった。
冷たい空気を目いっぱい鼻から吸い込んだそのとき、背後の扉が開いた。
 
 
「あれ」
 
 
アンが驚いて飛び退いたのに反して、扉を開けた相手はまるでアンがそこにいるのを知っていたからドアを開けたかのように平然としている。
気配がなかった。驚いて当然だ。
 
 
「まだ起きてたのアンちゃん」
「…えーっと、」
 
 
誰だコイツ。
明るい茶色の長髪が夜目でもよくわかる。
長い前髪は生え際からピンでとめてあった。
黒いTシャツと七分丈のボトムスといったラフな格好の男は、人当たりの良い笑顔でニッと笑った。
その笑顔で、ああなんだか見覚えがあると思ったがどこで見たのかも名前も何も思い出せない。
 
 
「風邪ひいちまうぜー」
「ええ、と、2番隊…?だっけ」
 
 
アンが顔を覚えている人物と言えば2番隊か1番隊の隊長くらいしかいない、そう思って口に出してみたが、男が心外そうに眉をひそめたのを見てしまったと思った。
 
 
「ええーっ!オレのこと忘れちまったの!?」
 
 
ショック!超ショック!泣く!と夜中とは思えないテンションで男が叫んだので、アンは思わず辺りを見渡した。
メインマストから見張り当番の男が一人、驚いた顔をして見下ろしてきたが誰かが起きて出てきた気配はない。
男はハアアアと予想以上の落胆を示して膝に手までついた。
 
 
「ごっ、ごめんっ…誰?」
「サッチってんだよおお、4番隊の隊長ですよおお」
「うそ」
 
 
アンが即答すると、男はますます肩を落とした。というよりガクッと前につんのめった。
だって、とアンは言い訳をするように言葉を重ねる。
アンの知っているサッチという男は、たしかコックで、いつも白い服を着ていて、日によって違うスカーフを巻いていて、何より目立つのはそのリーゼントだ。
確かにそのサッチが4番隊隊長であるという情報はあとから聞いた。
だが今目の前にいる男は、アンが知っているサッチたるべき情報を何も持ち合わせていないように見える。
まるで別人だ。
 
 
「まあね、オレのかっちょいいリーゼントが今はないからね…」
 
 
男はやっと顔を上げ、そう言ってひとり納得したらしい。
アンは何となくもう一度ごめんと謝った。
 
 
「で、なにやってたの」
「…別に…ちょっと外出てみただけで」
 
 
そっちはと聞こうとしたら、サッチが急に腰をかがめてアンに近づいたのでアンはつい言葉を飲み込んだ。
代わりに「なに」と怪訝さを含んだ言葉がこぼれる。
 
 
「いや、お前風呂入った?」
「…やっぱクサイ?」
「いやいやそうじゃねぇけどさ。髪が潮っぽいからさ」
 
 
なんとなく。違った?と間近で首を傾げられる。
小首をかしげるおっさんなんて初めてだ。
 
 
「今日は…ちょっと気付いたら風呂の時間過ぎてて…入りそびれた」
「あらら」
 
 
そうなの、と苦笑いを返した男の左のこめかみに、大きく走る傷が見えた。
この傷は確かにあのサッチという男にもあった。
ジジイの傷と同じ場所だと思ったからなんとなく印象に残っている。
 
 
「風呂場は一応空いてっけどー…この時間じゃ水しか出ねぇしな…」
 
 
アンはすでに風呂に入ることなどすっかり諦めていたのに、サッチが真面目に思案し始めたのでアンは慌てて首を振った。
 
 
「風呂は別にもう」
「ああ!そうだ、2番隊の隊長室の使えよ」
「隊長室?」
「おー、隊長の部屋にゃぁ個人用のバスタブとシャワーがついてんだな」
 
 
特権ってやつだ、と悪戯っぽく笑う。
つまり誰も使っていない2番隊の隊長室のシャワーを使えと。
 
 
「隊長室のシャワーにだけはいつでも湯が出るんだよ。使ってないっつっても2番隊んとこのも出ると思うぜー。見に行くか」
 
 
えっと声を上げたアンに背を向けて、サッチは今自分が出てきた扉から船室へと戻っていく。
条件反射か、アンはつい遠ざかる背中を追いかけた。
 
 
「別にいいってば」
「まーまー見てみるくらいいいじゃん。それに潮ついたまま寝ると次の日の方がくっせぇぞ」
 
 
カラカラと笑う男は足を止めない。
結局数分もしないうちに2番隊の隊長室まで来てしまった。
鍵は閉まっていなかった。
初めて見た隊長室は、アンの個室の2倍以上は大きく、大部屋よりは一回り小さい。
しかし部屋に向かって左奥に一つ扉がついていた。あれが隊長専用の風呂場へ続くのかもしれない。
 
 
「うわっ、きたねぇなぁ」
 
 
とサッチがこぼした通り、たしかに部屋の中は空き箱やごみが適度に散らかり、埃を薄くかぶっていていかにも使われていない部屋だ。
サッチは迷わずアンが風呂場と検討をつけたドアに向かって歩いていく。
アンもおずおずとそのあとに続いた。
 
 
「ああー、こりゃ」
 
 
無理だな、とサッチが肩をすくめた。
その肩口から風呂の中を覗き込むと、風呂の中は部屋以上に衛生的に問題がある気がした。
水回りというのは汚れやすい。
きっと排水溝には埃がつまっているだろうし、床のタイルは水垢が目立つ。
さすがのアンでも少し腰が引けた。
せっかく連れてきてもらったけど、という言葉はでも頼んでないしという気持ちが先走って口にしなかったが、
 
 
「やっぱりいいよ」
 
 
そう言っても、サッチはアンに背を向けたまま何やら思案するよう腕を組み立ち尽くしている。
アンの言葉が聞こえなかったはずはない、聞こえているならどうして返事をしないの、どうしてあたしのことをそんなに真剣に考えるの。
 
急にサッチが振り向いた。
 
 
「これ使え」
 
 
ぱっと手を突き出されて、反射で手をだし何かを受け取った。
 
 
「鍵…?」
「オレの部屋のシャワー使え」
「はっ」
「だいじょぶだいじょぶ!アンが使ってるときはオレ部屋出てるから」
「えっ」
 
 
鍵預けときゃあ安心だろ?とサッチはぽふぽふアンの頭を軽く叩く。
 
 
「でもっ、それじゃあたしが使ってる間アンタどこにいるの」
「さあー、まあ場所なんていっくらでもあるし。隊員の部屋にでもいるからよ」
 
 
ニッと笑いながらも、サッチはまだアンの頭から手を離さない。
 
 
「…いやー…いいよ」
「えっ、なんで!オレッチの風呂そんな汚くないぜ?」
「や、そうじゃないけど…悪いし」
 
 
そういうや否や、突然アンの額にピシッと小さな衝撃が走った。
サッチの指がアンの額をはじいたらしい。
アンが虚を突かれた顔で見上げると、サッチは憤懣やるかたなしとでも言いたげな顔で「おバカちゃん」と呟いた。
 
 
「な…なんだよ」
「下手くそな気ぃ使ってる暇あったらさっさと行ってその潮くせぇ頭洗ってこい!ほら行った行った!オレの部屋はこの部屋のちょうど真下!」
 
 
サッチはアンの腕を掴み2番隊の隊長室から追い出すと、ゴー!と叫んで廊下の先を指さした。
行けと言っているらしい。
サッチの声の大きさに、ポーカーをしていた部屋の中から2番隊隊員が一人顔を出して怪訝な顔で覗いている。
なんだよやっぱり潮くさいんじゃないか、とアンはすんすん自分の肩口の匂いをかきながら、仕方なく歩き出した。

変なオッサン!



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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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一声いただければ喜んで遊びに行きます。

足りん
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