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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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カツカツと自分の足音がやけに大きく耳を打つ。
オレと目があった隊員はすぐに目を反らすか、青ざめた顔で固まりやがった。
それがますます気に障り、唸るように威嚇すると知らず知らずに覇気が出ていて後ろでばたりと倒れる音がした。

食堂の戸を開けると中は人も疎らで、イゾウがひとり離れたところ新聞を読んでいた。
オレを見つけて、おっと声をあげたイゾウはすぐにぶっと噴き出した。

「…何笑ってんだい」
「…くくっ…お前さんなんて顔してんだ」

人の顔見て笑うとは失礼極まりない奴だ。
憮然としてオレはイゾウの向かいに腰を下ろした。

「…そんな顔して、何があった」
「どんな顔してるってんだい」
「そうさなあ…言うなれば、般若、だな」
「…」

イゾウはばさりと新聞を畳み、陶器の湯飲みから茶をすする。

「珍しいんじゃねぇの、お前ェにそんな顔させるったァ」
「…はんっ」
「オレの目星じゃあ…アンかサッチ辺りだな」
「!!」
「はっ、当たりか」


思わず息を呑んでしまい、それがまたこいつの笑いを誘う。ちっと舌打ちが漏れた。


「お前さんあの夜からいろいろ考えてんだろ」
「…」
「大人っつーのはよ、本当に面倒なもんだなァ」


まったくだ。このぐつぐつと煮えるはらわたを抑える術を知っているが、あえてそれを使わず忘れる狡さを持っている。

…サッチの考えていることなど、わかっていた。何年の付き合いだってんだ。
サッチなら、オヤジだって文句ないだろう。
この船の兄たちだって、サッチをいいかげんな奴だがいざとなれば頼りになるとわかっている。だからこそ、あいつは今も4番隊を背負っているのだ。

わかっている、わかっているのに。


何故こうも腹が立つ?
サッチにではない。アンにだ。

ムカつく。いらつく。アイツ。
何より、さっきオレを見たときのあいつの目がオレを苛立たせる。言わば諦念、のような。







カシャンと目の前で何かが音を立てた。
顔を上げると、机にはゆらゆらと湯気を立てるコーヒー。
どかりとサッチが横に座った。

サッチは自分のコーヒーを音を立てて啜る。
イゾウはじゃあオレはこれで、と新聞を持ち席を立った。





沈黙が落ちる。
目の前に置かれたコーヒーに手を付ける気にもならなくて、それが冷めていく様子を眺めていた。







「…お前何してんだよ」


突如発せられた不可解な言葉。
眉を寄せてサッチを振り向くと、奴はいっそ憐れんだような顔でオレを見ていた。

「…お前本当ムカつくわ」
「…」
「ったく、変な顔しやがって」


先程からオレの容姿について失礼な言葉が飛び交っているが、手元のコーヒーを覗き込むとそこに写った自分は成る程醜い顔だった。


「…やだね、おっさんは。歳は取りたくねぇよ」
「…ああ」
「…大人んなるとさァ、欲しいもんも欲しいって言えずにさァ、大人ぶって」
「…」
「で、本当に失くす瞬間に駄々こねんの」

いやだ欲しい、って。








オレはこいつの考えていることくらいわかる。
何年の付き合いだと思ってんだ。
だが裏を返せば、こいつにとっても同じこと。





「…早く行けよ」





オレは腰を上げた。














木の扉を叩くと、少し間があってから誰?と返ってきた。

「オレだよい」

息を呑む音が聞こえて返事がないので勝手にドアを開けた。

アンはベッドの隅で壁に背を付けて座っていた。
オレと目が合うとすぐにえへへと無意味な笑い声をあげたが、その目は赤い。

「あっ、包帯!包帯持ってきてくれたんだっけ?今日の朝さあ、ステファンに飛び付かれたとき血が滲んできちゃっ」
「オレは」

思いの外低く出た声に、アンの言葉が途切れた。



「お前に惚れるこたァねェ」



そう言うとアンは少し驚いてから目を伏せた。

「知ってる」
「だが」



カツ、と一歩歩み寄るとアンは視線を上げオレの顔を見た。
泣きそうな顔。
もしかするとオレもかもしれない。




「お前ェが他の誰かのモンなのは、すげぇ嫌だよい」





っ、とアンは息を呑んだ。
ゆっくりと口を開く。


「…マ、ルコは…あたしが好きなの?」










どうしようもないガキだと思った。
言うことは聞かねぇ、仕事はしねぇ、よく食べよく飲みよく寝る本能に忠実なガキ。
少し成長したと思えばやっかいごとを笑顔で持ち帰ってくるし、人の気も知らず好きだと思えば好きだと口にする。

うるせぇ黙れ向こう行け、とオレは何度口にしただろう。
だが本当にアンがオレから離れようとしている今、オレは非常に焦っている。
大馬鹿野郎だ。救いようがない。






黙ったままのオレに、アンは口を開いた。



「…ねぇ、さっき、見てた?あたしと、さ、サッチ」
「ああ」
「…き、きす、した」
「…初めてかい」

こくりと頷く頭。
舌打ちが漏れた。
あのリーゼント、あーだこーだ言いつつ奪うもんはちゃっかり奪いやがって。
今頃オレはあいつやイゾウたちの笑いの種になっているに違いない。



ベッドの側まで足早に歩み寄ると、アンはオレを見上げる角度を上げた。
膝立ちでベッドに乗り上げると、ふたりぶんの重さにスプリングが悲鳴をあげる。
足だけでサンダルを抜き取った。




「…マ、ル…」

壁にぺったり背を付けて動かないアンは掠れた声を絞り出した。
とんとアンの顔の横に肘をつく。
アンは壊れてしまったかのようにオレしか見ない。
それでいい。





息がかかるほど近くで。




「…あの野郎のは、忘れろ」







唇を重ねた。
薄く開いた目の間から見たアンは、これでもかと言うほど目を見開き、それからぎゅっと閉ざされた。しかし閉じた目の隙間からほろほろと液体が零れ出る。

オレは壁に着いた腕を離しアンの背に回した。
ゆっくりと、アンの腕が伸びてきてオレの背中のシャツを掴んだ。

触れるだけだったキスをゆっくりと深いものにする。
上唇を軽く噛み、少し離してはまた口付ける。
少し開いたままの口に舌を差し込むと、アンの身体が震えた。
アンは膝立ちのまま上から口付けるオレにすがりつくよう抱き着いている。
奥に引っ込んでいた舌を見つけて吸い上げると、やわやわと答えるように絡み付いてきた。

唇を離すと銀が糸を引き、二つの唇を繋いだ。
一度べろりとアンの唇を舐め、その肩に顔を埋めた。

オレの胸元に押し付けたアンが流す涙がシャツを湿らせていく。

「…マルコ、」

マルコマルコ、とオレの名を呼び続けるその声に心臓が痛いほど高鳴っているのがわかった。






「アン」





とりあえず、この気持ちに名前を付けようか。







「好きだ」












狂おしい恋



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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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一声いただければ喜んで遊びに行きます。

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