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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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最中、何を考えてたのと訊いた。
ゾロは訊かれたことの意味を考えるようにじっと私を見据え、「何も」と怪訝そうに言った。

「そうなの?」
「そういうお前は」

布切れのように横たわったシャツを手に取り、頭からかぶる。「あなたのことを考えてたわ」と言うと「ふーん」と興味がなさそうだ。

「なに笑ってんだ」
「いいえ」
「おら、服着ろ」

大雑把に私の衣服を掴み投げてよこす。初めてしたとき、「いつまで腹出してんだ」と同じように服を投げられて気恥ずかしい思いをしたことを思い出した。

「そろそろ出るか」
「シャワー、使わないの」
「どうせ船で動きゃ、また汗かくからいい」

私は入ってから行く、と言うと「おう」とゾロは短く答えた。
小さな宿の、少しくぐもったベージュ色の壁に囲まれて、ゾロはベッドから立ち上がる。窓からは傾いた日の赤い光が差し込んでいる。外からは小さく、自転車のブレーキのような音が聞こえた。

「先戻ってるぞ」
「えぇ」

刀を三本しっかりと腰に差し、いつものいでたちでゾロは部屋を出ていった。私達はいつもばらばらに部屋を出る。時間をずらして船に帰る。何かの偽装工作をしているようで、本当はふたりともそんなに気にしてはいない。でも、なんとなくのお作法でそうしている。ちなみに船で寝たことはない。
ゾロに投げられた服を抱え、裸足でベッドから立ち上がる。狭いバスルームまでの道のりすら億劫なのに、これから船に帰るなんて、とけだるい気持ちが湧き上がる。しかし胃は空腹でぐるりと動く感覚がした。そろそろサンジがコンロに火を入れるだろう。

どうしてあんなことを訊いたのだろう。
熱すぎるくらいの湯を浴びながら、知りたくもないのに、と目を閉じた。



ログの指さない島についたのは久しぶりだった。ナミが広げた海図のどこにもその島は載っていない。当然無人島だ。
数日前に前の島を出たばかりだ。ナミは当然ログが指し示す次の島へと向かっていた。
その航海の途中、ふとひくひく小刻みに鼻を動かしたチョッパーがどことなくうっとりとした表情でつぶやいた。

「いいにおいがするなぁ」

カードゲームに興じていたルフィが顔を上げ、「なんだ、うまいもんでもあるのか」と嬉々として立ち上がる。

「ううん、花の匂いだ」
「なんだ」

あっさりと興味を失ったルフィはまた甲板に腹ばいになり、ウソップのカードの山に手を伸ばす。
チョッパーのまねをして少し上を向き、空気の匂いをかいでみるが潮の匂いばかりでなにもわからない。

「わかる? ナミ」
「まさか。ねぇチョッパー、どっちから?」
「あっち」

チョッパーは明確に十字の方向を指差した。ナミはテーブルに積んだ本の下から海図を引っ張り出して広げるが、すぐに首をひねる。

「そっちに島なんてないけどなぁ。ていうか、この付近にはもうこの前の島以外ないはずだけど」
「でもたしかに花の匂いがするんだ。木に咲く花な気がする」
「植木の商船が近くを通ってるのかしら」

ナミは日差しを嫌って、パラソルの下から立ち上がりもせず双眼鏡を覗き込んだ。

「あ」
「いた?」
「ううん、島」

島!? と叫んでルフィが立ち上がる。その勢いで甲板にカードが散らばり、ウソップが「おいぃ!」と声を上げた。

「島があるのか!? 行こう!」
「行かないって。ログも指してないし」
「でも地図にのってねーんだろ? お前が地図に描けばいいじゃねぇか」

ナミが意表をつかれたように目を丸くした。そういえば、久しくナミが測量をしているところは見ていない。
フランキーががしがしと甲板の端まで歩いていって、ぐっと身を乗り出して双眼鏡を構えた。

「森……と、なんだありゃ、でっかい木が生えてやがる。ま、無人島だな。言ってる間に通り過ぎちまうぞ。どうすんだ船長」

当然、私たちは舵を切り、島へと向かう。


いかりを下ろす音を聞いてキッチンから出てきたサンジは、「なんだこりゃ」と目の前の景色を見上げた。
白い砂浜は美しく、もう長く人が降り立っていないのか波の力で真っ平らに均され、強い太陽を反射して眩しい。
奥は鬱蒼とした自然のままの森が広がっているが、そう深くはなさそうだ。木々の隙間から漏れた光でぼんやりと森の中が見通せる。
一番目を引くのは、森の真ん中に山のようにそびえ立つ一本の木だ。
幹は建物のように太く、まっすぐと猛々しく伸びたその先の枝ですらその辺の樹の幹より太い。
そして枝の先には巨大な白い花がいくつも咲いていた。咲いていると言うより、まるで実っているようにずっしりとその頭を下に向けて垂れている。ときおり風に吹かれて花びらの一枚が海岸に落ちてきた。大きな椰子の葉くらいの巨大な花びらだ。  

「サンジー!弁当!」
「さっき昼飯食ったばっかだろうが」

そう言いつつ、軽食の入った袋がぽいぽいと投げられる。島に寄ると聞いてすぐに準備を始めたに違いない。嬉しそうにそれを掴んだルフィやウソップは、どたどたと船を行き来して着替えに荷物にとさわがしい。

「あれ、ナミさんも行くの?」
「うん、私もなにかもらえる?」
「もちろん、あ、てか待って、おれも行く」

すでに動きやすい格好に着替え、測量グッズを詰めた小さなリュックを背負ったナミは軽いシューズの靴紐をぎゅっと締めている。慌ただしくキッチンに戻り、また飛び出してきたサンジはきれいに包まれたお弁当をナミに差し出し、当然のようにその後を追っていく。
いってらっしゃい、と声をかけた私を振り返り、サンジは首を傾げた。

「ロビンちゃんも行かねぇの? 見張りならマリモが上で寝てっから、置いてきゃいいぜ」
「えぇ、もう少しあとで行くわ」

キッチンにロビンちゃんの分も軽食があるから、と言い残し、構わずずんずん島へと入っていくナミを追って、サンジも慌てて船を降りていった。
人気の散った甲板をしばらく見つめ、パラソルの下、さっきまで座っていたチェアにまた腰を下ろす。「ちとうるさくするぜー」と断りを入れてフランキーが横切ったかと思うと、しばらくして船底の方でカンカンと金属を打つような音が足の裏に響いてきた。

チョッパーが数キロ先から感じたという花の匂いは、島に着いてもまだわからなかった。チョッパーも、近づいてもあまり匂いは濃くならないとほっとしたように言っていた。
日差しを遮るパラソルから覗き込むように、島の真ん中の樹を見上げる。こんなにも目立つ島がまだ誰にも見つかってないなんて。
ぼんやりと座っていると、日陰が動き腕がちろりと舐めるように焼かれた。避けるように立ち上がり、見張り台を見上げる。
嫌がるだろうな、とわかりながら、ゾロのいるところへと向かった。

トレーニングをしているのだと思っていたら、サンジの言ったとおり、見張り台をぐるりと囲む半円形のソファに体を横たえてゾロはいびきをかいていた。
昼食の後からずっと寝ているらしい。よく眠っているが、長く眠っていることは珍しい気がする。中途半端な距離で立ち止まり、意味もなくゾロの寝顔を見つめた。
窓の外に目をやると、さっきよりずっと近くにあの樹が見える。少し揺れているのがわかった。怖いくらい大きな花が、いくつもいくつも粒を揃えて同じ方向にゆさゆさと揺れる。
重たそうで、今にもぼとりと椿のように落ちそうなのに、落ちることなく頭を垂れている。

「……なにしてんだ」

さっきまでいびきをかいていたゾロが、腕を枕にしたままこちらを見ていた。ソファの幅はゾロの身体には窮屈そうで、少し身じろげばごろんと転がり落ちそうだ。

「島に着いたのよ」
「島ァ?」

むくりと体を起こし、ひとつ伸びをしてから目を細めて眩しそうに外に視線をやったゾロは、「なんだありゃあ」と巨大樹に目を留めて声を上げた。

「もう次の島か、ずいぶん早く着いたんだな」
「いいえ、チョッパーが島に気付いて、ルフィが寄っていこうと」
「あぁ」

合点が行った、というようにゾロはまた興味を失い身体を横たえた。

「まだ寝るの?」
「あいつらはどうせ降りたんだろ。静かでいい」
「あなたは行かないの?」
「お前こそ、何してんだ」

訊かれて、曖昧に笑い返す。ゾロは怪訝そうにちらりとこちらを見て目を閉じたが、すぐにまた起き上がった。

「街があんのか」
「いいえ、無人島みたい」
「野生の動物でも狩ってくるか。どうせ外で食うだろ今日は」
「いるかしら。静かな島だけど」

ふーん、と妙に子供じみた相槌を打って、ゾロは座ったままぼんやりと空を見ていた。私もなんとなく同じ方向を見つめてみる。

「出かけねぇのか」
「まだ暑いから。日差しも強いし」
「無人島にゃ興味ねぇか」

くっと笑ったゾロの顔を見て、少し気が緩む。近づいて、隣に座りたい気がしたがこのまま立ってゾロを見ていたいとも思った。

「今何時だ」
「二時……前くらいかしら」
「寝すぎた」

立ち上がり脇においた刀を掴んだゾロは、「おれも下りる」と告げて甲板へと続くはしごへと向かった。すれちがいざま、「お前は」と再び訊かれる。

「フランキーが船にいると言ったら出ようかしら。彼がいなければ、見張り代わりに残るわ」
「あいつ、もういねぇぜ」

気配でわかるのだろう。「そう」と言うとゾロは少し考えるように視線を外し、おもむろに私の手を引いた。おどろいてたたらを踏んだ私の顔に顔を寄せ、ゾロが言う。

「誰もいねぇ。どうする」

ばかみたいに目を丸めるしかできなかった。数秒見つめ合って、ゾロがくくっと笑う。

「お前もそんな顔すんだな」

冗談だ、とゾロは手を離した。代わりに唐突に唇が触れた。ほんの少し湿った温度が混ざり、すぐに離れた。何も言えなかった。

「おれァ下りるぞ」
「──えぇ」

どうぞ、という言葉を投げかける前にゾロの背中は下へと消えた。
ぽつんと一人見張り台にいても仕方がないので、私も甲板へと下りる。さらにがらんとしたそこでまたパラソルの下に座り、傘の向きを変え、本を開いた。
思いついてアイスコーヒーを入れ、サンジがこしらえてくれた軽食のケースを持ってきて蓋を開ける。小さなサンドウィッチと焼き菓子が入っていた。粉砂糖のまぶされた小さなクッキーを口に含み、島の方を見つめる。
遠くからルフィの雄叫びが聞こえた気がした。
日が少し傾いた頃ブルックが戻ってきて、「代わりますよ、どうぞお出かけしてきては」と言ってくれたけれど、「ありがとう」と応えるだけで腰は上がらなかった。
新しい島の、まだ知らない空気だとか、見たことのない植物だとか、そんなものよりも、私はなにかの余韻をもっと味わっていたかった。




「特にこれと言って何もなかったわ。平和そのもの」

そう言って戻ってきたわりにナミの頬は上気し、腕に抱えたノートには集めたデータがびっしりと書き込んであるのだろう。これから測量室にこもり、夕食までの短い時間でもがりがりと線を引くに違いない。
ひとり、またひとりと戻ってきたクルーたちは声を揃えて「特になんにもなかった」と言っていたが、おのおのが果実だったり燃料代わりの薪だったりを拾ってきていて、いそいそと浜辺でキャンプファイヤーの準備を始めた。
せわしなく働くクルーたちの中に、ゾロの姿を見つけた。サンジやフランキーとせわしなく枕木のような大きな流木を運び、珍しくサンジと喧嘩を始めることもなく巨大な焚き火を組み立てていく。空島の宴を思い出し、懐かしさのようなものに頬が緩む。

「ロビンはどこも行かなかったのに、楽しかったのか?」

不意に足元にいたチョッパーが私を見上げ、尋ねる。

「ええ、景色はいいし、浜辺のバーベキューも楽しみよ」
「バーベキューじゃねぇぞ、キャンプファイヤーだ!」

おしりから飛び乗るように私の隣の椅子に腰掛けたチョッパーは、いつもの青いリュックからいくつかパウチのようなものを取り出して整理を始めた。島にはいくつか薬草が生えていて、貴重なものもあったのだという。
これが胃の粘膜を保護するから痛み止めと一緒に飲むといいんだとか、塗るととてもしみるけれどやけどによく効くのだとか、彼の言葉に耳を傾けながら空を見ている。すこしずつ青は暗く、黄色みが混じってくる。やがてうす赤くなったかと思えばすとんと幕を落としたように夜になった。船に明かりを灯し、浜辺の焚き木に火を入れる。サンジがせわしなく船と浜辺を行き来して調理道具を島へと運び、フランキーはアクアリウムから引き揚げたサメのように巨大な魚を担いでいった。
サンジに手伝いを申し入れると野菜を切るように頼まれたので、チョッパーと並んで浜辺の即席調理台で野菜や果物の皮を向き、串に刺した。ゾロはすでに酒瓶を傾けていたが、調理用の酒だったようでサンジに奪われたのを皮切りに殴り合い蹴り合いの応酬が始まる。
「もう、うるさい!」とナミが測量室から顔を出す。火の粉が飛ばないように船から少し離れたところで準備を始めたのに、彼らの声は船室にまで届いたらしい。サンジが「もうすぐ焼けるよー」とぶんぶん手をふる。
ウソップが島の反対側の岩場で釣ってきたというこまかいが大量の魚を、サンジが油に放り込む。大きな音が上がり、ルフィたちの歓声にこちらの期待も高まる。
なだれ込むように始まった宴に、目の前で爆ぜる大きな火に、喉を通るお酒によるものとはまた別の酔いが回る。頬が熱くなるがすぐに海風が鋭くぶつかり冷やされる。
鮮度の良い刺身に、目の前の火で焼いた魚や野菜に、臆面もなくかじりつく。パンツが汚れるのも気にせず砂の上に座り、踊りだしたクルーを見て笑った。
どんどんと夜は深くなる。月の位置が高くなり、ひとり、またひとりと砂浜のあちこちに横たわり始める。めずらしくサンジがすでにうつ伏せで倒れており、宴の中心から離れたところではブルックとフランキー、そして珍しく潰れていないウソップが車座になっていた。
夜風が身にしみたが、なんとなくこの空間から抜け出すのがもったいなくて立ち上がれずにいたら隣に座るナミが船を漕いでいる。彼女も肩をむき出していたので、やっぱり毛布をとってこようと立ち上がった。

誰もいない船はしんと暗く沈んでいて、さっきまでのどんちゃん騒ぎがひどく遠い場所にあるように感じられた。薄明かりを頼りに女部屋から予備の毛布を持ち出して甲板に出ると、さっきまで寝ていたはずのサンジがひらりと登ってきた。私を見てにこりと微笑むので、黙って毛布を差し出すと「ありがとう」と受け取って船を降りていった。
上着を羽織って浜に戻ろうと思ったが、のどが渇いたのでキッチンに立ち寄る。水を汲み、一口飲むととたんに眠気ににた心地よさが頭と胸に充満してふらりと身体が揺れた。自分の体が傾いたのか、波による船の揺れなのかわからないまま近くの壁によりかかり、もう一口水を飲んだ。

「明かりくれぇ点けろよ」

頭を壁につけたまま首だけで振り返る。声でゾロだとわかっていたが、たしかにそこにゾロがいることに軽く驚いた。明かりを点けろというくせに彼自身、暗いままのキッチンにやってきてごそごそとパントリーを漁り始める。

「……サンジに怒られるわ」
「今更」

目当ての酒を見つけたのか、小さいが胴の太い酒瓶を持ち上げて彼が笑ったのがわかった。すぐに栓を抜く音が響く。
身体の向きを変え、背中を壁に預けた。私に目を留めて、ゾロが瓶から口を離し珍しそうに言う。

「酔ってんのか」
「さあ……楽しかったから」

暗すぎて表情も見えなかったのに、ゾロが「へぇ」というように片眉を上げた、ような気がした。

「お前も飲むか」
「おいしいの」
「まぁ、ぼちぼちだ」

彼が瓶をこちらに突き出したので、少し迷ってから近づき、受け取ってゾロがしたようにそのまま瓶に口をつけて飲んだ。おいしいよりも先に熱い、と感じる。目の縁が燃えるようにひりひりとして、それからじんわりと脳の奥がしびれた。
黙って酒瓶を返すと、ゾロが小さく笑ったのがわかった。スツールを引き、彼が浅く腰掛ける。

「戻らないの?」
「ここで飲めば次の酒がすぐあるだろ」

一口飲んで息をつき、どんとカウンターに瓶を置く。その仕草を目で追っていたら、物欲しそうに見えたのかゾロはまた私に酒瓶を突き出した。差し出されるがままに受け取って、また口をつける。今度はさっきよりも美味しさが早くやってきた気がしたけれど、その分脳の痺れる範囲が広がったようにも感じられた。

「ふらついてんぞ」

ゾロが面白がるように言う。苦笑して、彼の向かいのダイニングテーブルの椅子に腰を下ろそうとしたらおもむろに腕を引かれた。

「座れ」

え、と声を上げる。太ももがゾロの膝に触れ、ぐいと腰が持ち上げられた。上体がぐらつきとっさにゾロの肩を掴む。暗闇に慣れた目がゾロの顔を捉え、間近に視線を交わした。

「……どうしたの」
「何が」
「あなた、今日、昼間から……少し」
「なんだよ」
「おかしいみたい」

くっとゾロが笑った。腕が回され、腿に手のひらが触れた。驚くほど熱い。

「触りてぇと思うのはおかしいか」
「思うの」
「ああ。お前を見てるといつも思う」

腿に触れたのとは反対の手が私の膝の裏をなでた。冷えていたそこが急な熱に驚いて、鳥肌が立つ。手が腿裏に登ってきて、息が漏れそうになるのをこらえた。

「……知らなかったわ」
「へぇ、そりゃあ勉強不足だな」

不意にゾロが首筋に顔を寄せた。鎖骨に舌が当たり、腰に回されていた手が腹から胸へとのぼる。今日一日シャワーも浴びていないのに、と思うがすぐにどうでもよくなる。思考が霧散して、ばらばらと足元に落ちていく。
厚い手のひらで柔らかく胸を揉まれると腕の力が緩み、だらりとゾロの肩に両腕を回してぶら下がった。服の上から何度も押し上げられるだけのことが、どうしてこんなに甘ったるい行為になるのだろう。
ゾロのこめかみに唇を付けて、尋ねる。

「まだするの」

親指が先端をかすめ、反対の手がパンツのボタンを外した。訊かなくてもわかっていたし、私自身その先に触れられることをもう待っている。
ゾロは律儀に「ああ」と答えた。腰が持ち上がり、ずるりとおしりの下までパンツが脱げた。中途半端に引っかかったのをそのままに、ゾロの手が後ろから下着の中に滑り込む。
相変わらず熱い手が臀部を掴み、邪魔だというように手の甲で下着を押し下げた。膝に乗った私を見上げ、ゾロが素朴な顔で呟く。

「お前はいっつも肌が冷てェ」
「そう……?」
「生きてっか心配になる」

突然前からぬるりと指が滑り込んだ。あ、と高く叫んで肩を掴み直す。中に深く入るでもなく、入り口と突起のあたりを何度も柔らかくこすられ、彼のためにゆるゆると開いた脚が小刻みに震えた。
反対の手でぐっとTシャツの襟を引き下げられると、広い襟元は肩から落ち、容易に胸がこぼれた。下着を鼻先で押しやるように、ゾロが顔を埋める。押しやられた布の端から飛び出した先端を淡く噛まれて下があふれるのがわかった。
水の音が響いて、ゾロの手が絶え間なく塗り込めるように動く。

「ゾ、」
「なんだよ」
「あなた、もう」
「おれのことより、集中しろ」

指が一度に二本ほど、唐突に入った。あまりになめらかな様子に気づかなかったほどだ。すぐに中をかき混ぜられて、息が苦しくなった。
いつもならもう彼自身を入れているのに、どうして、と思うがゾロに答える気はなさそうで、私の方も口を開くと快感を漏らすしかできないし、彼の言う通り私は自分を気持ちいい方へと導くことに集中するしかなかった。
ああ、と身を震わせて何度も高い声を出す私の頬にゾロが唇を押し当てる。こんなのは初めてだった。
いいか、と訊かれて何がかもわからず何度もうなずく。ちゃんと言え、と呼吸の間際にささやかれて彼の肩を両腕でぎゅうと囲った。

「いい、きもち、いい」

ひたひたとやってくるなにかが怖くて固く目をつむる。溢れるものがゾロの手を濡らしている、こんなところで、と思うとますます閉じた目の景色は白く爆ぜ、やがて強く足の付根から痙攣した。
は、と短く息を吐く。快感と気だるさが彼の指が埋もれているところから頭の先まで電気のように走り、余韻だけで声が漏れた。

「は、あ、ゾロ」

名前を呼ぶと答えるように唇を塞がれる。そうだこれがほしかったのだ。強く吸うと勢いよく舌が滑り込んできて、より強く口内を吸われた。
唐突に腰が持ち上がり、パンツと下着もろとも引き抜かれて両足でゾロの両膝にまたがった。驚いて顔を上げた途端、熱いかたまりが布越しに触れた。
さっきまで、どうかするとまだ今もびくびくと震えている私のそこに、ゾロのものが服のままあてがわれる。そのまま強く押し付けられた。

「や、待っ……あっ」

先端が服のまま今でも入りそうなほど強くこすりつけられ、あっというまに私のしたたるもので濡れていく。ゾロの短い息が聞こえた。

「ゾ、ロ、なんで」

ゾロは答えず私の腰を掴み、腕の力だけで持ち上げて私たちを押し付け合う。むき出しの私のそことゾロの服をまとったままのものがまるで裸同士みたいに湿り気を帯びて混ざり合い、さっき波のように引いていった快感としびれが唐突に戻ってきた。
ひときわ大きな水音が鳴ったとき、ゾロが息を吐いて動きを止めた。私もぐったりと彼にしなだれかかる。

「ゾロ……入れて」
「お前の部屋、あいてるか」
「部屋?」

きっとこの船には誰もいない。どうかすると朝まで帰ってこないだろう。

「あいてる、けど、もしかしたらナミが帰ってくるかも」
「おれらがいりゃあ入ってこねぇだろ」
「そんな」

不意にゾロは私を抱いたまま立ち上がり、すたすたと扉に向かって歩きだした。

「ゾロ! 私の服」

うるさそうに足を止め、ひったくるように私のパンツたちを掴み上げると、ゾロは足早に私の部屋へと向かった。
当然空っぽの部屋はベッドが2つ並んでいて、「どっちだ」という問いに指をさして私の方を答えると、私を背中からおろして横たえた。
彼がズボンを脱ぐのを横たわったまま見て、「どうして今日はすぐにしなかったの」と改めて尋ねた。
最中に頬に唇が触れたのも、私だけ先に果てるようにいじられたのも、こんなにも長く入れないままなのも初めてだった。もちろん、真昼間にキスをされたのだって初めてだ。
私の片足を持ち上げながらずしりとのしかかってきたゾロは、訊いた私がまるで恥ずかしいことを言ったように思えるくらいじっとこちらを見据えてから「そうしたかっただけだ」と言った。
先端がぐっと押し込まれ、あっと短く声が漏れる。あっというまにずぶりと全部飲み込んだ。

「はあ、それが、どうしてって、訊いたの」
「お前こそ今日はよく喋る」

勢いよく突き上げられ、怒った猫のような甲高い声がほとばしった。咄嗟に、いけない、と息を呑みこんだが今はここに誰もいないのだった。もちろん壁の薄い安宿なんかでもない。
指より数倍熱くて大きなものに内側の壁をこすられ、比べ物にならない刺激に声が、そして意図せずあふれる水が大きな音を出す。

「い、ゾロ、ゾ」

口をふさがれ、両足を大きく持ち上げられる。お尻が浮かび上がり、あられもない格好に羞恥で顔を塞ぎたくなるが拳で顔をおおうとすぐにゾロの手に払いのけられた。

「隠すな」
「や、だって」

そのまま強く突かれ、背中がずり上がるたびにゾロに引き戻されて深くつながる。ゾロの息が深くなり、ひときわ大きく出し入れされたかと思えば急に身体をひっくり返された。
ひ、と情けない声が出た途端背後から胸を強く掴んで持ち上げられる。そのまままた、深く突き刺さる。

「やぁ、もう……」

脚ががくがくと震えだす。指先が胸の先端に触れ、激しく出し入れされたところが突然熱く感じた途端、中で彼のものが大きく震えたのがわかった。同時にゾロの反対の手がわたしの下の突起をこすり、突然のことに体勢が崩れるのも構わずゾロの腕を掴んで高く声を上げた。
ゾロの腕を掴んだまま、ずるずるとベッドに胸から崩れ落ちる。背中にどさりとゾロの重みがのしかかった。どくどくと動く彼の心臓の音がはっきりとわかる。彼が出したものか私のものなのか、あるいはその両方で太ももがひどく濡れていた。
ゾロがごろりと転がって私の上から隣に滑り落ちる。私を抱いたまま、大きな呼吸を何度も繰り返していた。ずるっと緩慢に引き抜かれ、まだ入っていたのだと気づく。
しばらくの間、二人分の呼吸に耳を澄ましていた。落ち着いてくると、思わずうとうととまどろみそうになる。身体の向きを変え、ゾロと向かい合った。
じっと見つめていると、「なんだよ」とゾロがきまり悪そうに言う。

「見てただけ」

ふん、と鼻を鳴らされるが、かまわず唇を寄せると応えるように彼の方も口を寄せてくれる。柔らかく触れ合った。
どうして今日は、とまた尋ねたくなるが、思いとどまった。私はたいして知りたくもないことばかり口にする癖がある。
何もわからないままでいい。
ゾロが仕返しのように私を見つめ返してくるので、「なあに」と尋ねた。

「いいと思って、お前の顔」
「顔?」

思いもよらない言葉に目を丸めると、ああ、と至って真面目にゾロはうなずいた。

「見てぇと思った。いろいろ」
「顔……」

どういうことなのか深く考え込みかけるが、腰が引き寄せられて思考が中断する。

「このまま寝ていいか」
「えぇ、あ、でも……」

誰か帰ってきたら、と頭をよぎるがすぐにどうでもいいかと思い直す。私もこのまま、永遠に横たわっていたいような気分だった。
永遠に横たわって、私の顔を見たいと言ったゾロのことをずっと考えていたかった。
濡れたままの足の間は気持ち悪くても、裸の身体が冷えてきても、朝が来て、慌てて服を着てクルーが帰ってくるのに間に合わせることになったとしても、なにもかもがかまわなかった。

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



我が家は同人サイト様かつ検索避け済みサイト様のみリンクフリーとなっております。
一声いただければ喜んで遊びに行きます。

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