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OP二次創作マルコ×アン(エース女体化)とサンジ×ナミ(いまはもっぱらこっち)を中心に、その他NLやオールキャラのお話置き場です
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「…あのね。待っててもしないからね」
 
呆れを全面に滲ませながらそう言えば、サッチはまたまたあ~と白ひげの巨体にひっつくアンに歩み寄った。
 
 
「知ってんだぜー、アン、今日は隊長たちに熱い口付けプレゼントキャンペーン実施中なんだろ?」
 
「はっ!?何それ違うし!みんなが勝手にあたしにしてくるんだよ!」
 
 
いつのまにかこの話が手を替え品を替え、おかしな噂になってしまったらしい。
サッチは、あれーおかしいなあそうだっけ?とでも言うように首を傾げていたのだが。
 
 
(…こいつ、絶対確信犯…!)
 
 
 
 
 
そこに突如響いた独特の笑い声と小さな揺れ。
ふわりと、アンは白ひげの身体から、サッチの足は地面から離れた。
 
 
「グララララ!人の身体の上で兄妹喧嘩してんじゃねぇぞハナタレがぁ!!」
 
 
その大きな手に襟首を掴まれた2人は、ぶんと顔が風を切ったかと思えば次の瞬間、サッチが入ってきた時のまま開け放たれてある大きな扉の外へと身体を放りだされた。
 
 
 
ドサッ、ゴツッ、と鈍い音が鳴り響き、背後からは豪快な笑い声。
 
 
「いってぇー…、くそ、オヤジのやつ、手加減しろよな…」
 
 
サッチが倒れた上体を起こしながらも手櫛でリーゼントを整え、同じく投げ飛ばされたアンの方を見遣る。
アンはうつ伏せのまま床で呻いていた。
 
 
「いったぁー…!」
 
「おいアン大丈夫か。なんか鈍器がぶつかったみてぇな音したぞ」
 
つーかお前痛いのかよとロギアという特殊能力を持つはずの妹に問いかければ、あろうことかアンの下にある床がむずりと動いた。
 
 
「お?」
 
「う?」
 
むくりと上体を起こしたアンが自らの着地点に視線を落とす。
と、そこには痛々しく額を腫らしたキングデューの姿があった。
 
 
「…アン、お前、物質的石頭…」
 
「うわわわわ!ご、ごめんキングデュー!下敷きに!!」
 
 
アンが慌てて身体を退ければ、額を摩りながらキングデューが身を起こす。
 
 
「なんで二人して飛んできたんだ」
 
「「オヤジに投げ飛ばされた」」
 
飛ばされた二人が口を揃えてそう言えば、キングデューは少し呆れを滲ませた顔をしながら立ち上がった。
 
「悪さもほどほどにしとけよ。マルコが帰ってきたらその分制裁も増えるぞ」
 
「失敬な!悪いことなんてしてないもん」
 
ただちょっとオヤジの上だってこと忘れてサッチと言い合いになっただけで、とその場にぺたんと座り込んだままのアンがごにょごにょと言い訳じみたことを口にする。
気まずそうに前髪をくしゃりと掴んだアンは、髪の毛のほかに別のものの感触があることに首をかしげて、それを梳くようにして手に取った。
 
「…頭に埃、ついてた」
 
「あ、さっきまでオレ酒蔵の整理してて結構古いやつ掘り出したりしてたからな。オレについてたのかもしれねぇ」
 
「うわほんとだ、アンまだついてんぞー」
 
 
サッチが左隣から膝ですり歩くように寄ってきて、動物の毛づくろいのようにアンの髪についた埃をひとつずつ取り払っていく。
キングデューも同じようにアンの頭頂部についた大きな埃を取ろうと身をかがめたその時、どどどっと重たい騒音が数回響き、次の瞬間にはアンの身体が大きく前に押し出された。
 
 
「わっ!」
 
「アン見つけた!!」
 
後ろからがばっと抱き着いたラクヨウの衝撃によって、アンの身体がぐんと前に傾く。
そしてアンの頭は、ちょうど腰を曲げてアンの頭を覗き込んでいたキングデューに再び衝突した。
 
がつ、と嫌な音がして、キングデューが口元を抑えながらふらふらと後ずさる。
アンも右目の上を手のひらで押さえてキッと後ろを振り返った。
 
「ラクヨウ!イッタイなぁもう!!」
 
キングデューに謝れ!と目くじらを立てると、アンの肩からぶら下がるようにして抱き着いていたラクヨウは多少きまり悪そうに笑った。
 
「いやワリィ。大丈夫かキングデュー」
 
「あ、あぁ…口打った…、アンも大丈夫か」
 
「あたしは大丈夫、あんまり硬くなかったんだもん」
 
そういえば、アンの肩口から顔をのぞかせていたラクヨウがピクリと反応し、そしてぎりりと奥歯をかんだ。
 
「…なんで悔しそうにしてんの、ラクヨウ」
 
「くそ、図らずとはいえ、キングデューにキスさせちまった!」
 
その言葉に、純情丸出しのキングデューは火がついたように赤くなった。
オレとしたことが!と悶え悔しがるラクヨウに、アンは肩に乗せられたラクヨウの腕を外しながら心底呆れたといった顔を見せる。
 
「…ラクヨウいいかげんそれから離れれば?」
 
「おぉ…なんかよくわかんねぇけどラクヨウすっげぇ頭悪そうに見える」
 
 
アンの言葉にサッチが同調すれば、ラクヨウはうるせえうるせえと激しく首を振った。
 
「ほっぺたでいいからオレにもキスさせろ!」
 
「いいよ」
 
 
 
さらっとそう答えたアンに、ラクヨウはぱくりと口を開けた。
 
「…おまっ…じゃぁなんで今まで逃げてたんだ」
 
「だって追いかけられたら逃げちゃうんだもん」
 
ラクヨウすっごい怖い顔してたし、とアンが顔をしかめれば、ラクヨウはがくりと膝をついた。
 
「…最初から普通に頼めばよかった…!」
 
「お前絶対頭悪いだろ」
 
サッチの罵倒に構わずそうしてひとしきり悲しむと、ラクヨウは唐突に身を起こした。
 
「では失礼!」
 
えいやっ、という掛け声とともに、未だ座り込んでいるアンの頬にラクヨウが唇を寄せる。
アンがきゅっと目を瞑ると、ふにっと頬にやわらかい感覚があって、それはすぐに離れた。
 
 
「…ひひっ、やった、」
 
 
アンの横にしゃがみこんだままラクヨウがあんまり嬉しそうに笑うので、アンはさっきまで気持ち悪いとまで思って逃げていたのに、途端に可愛く思える。
これだからうちのおっさんたちは困るんだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Please kiss me!
 
(おおそこの一隊員のお前ちょっと聞けよ、オレアンにキスしちまった!)
 
(…やっぱちょっとアレかも)
 

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 麦わら一味では基本オールキャラかつサンナミ贔屓。
白ひげ一家を愛して12416中心に。
さらにはエース女体化でポートガス・D・アンとマルコの攻防物語。



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